(モーメント用) 抜粋『精神科医の戦略&戦術ノート~精神科救急病棟で学んだこと~』白鳥裕貴著、星和書店、2017.1.27. 第Ⅰ部 戦略編 (p.40) 退院した後、しばらくは自宅療養を薦めます。この間、まったく退屈せずに過ごすということはありません。必ず退屈な時間があるのです。 pic.twitter.com/KihPldmNRw
2019-11-11 06:00:43この退屈な時間をやり過ごすことができないと、生活に支障をきたすと思います。また、病状が悪い間は、退屈を退屈したままにやり過ごすことができません。うつ状態であれば、悪いことばかり考えて、退屈している暇はありませんし、躁状態であれば退屈を我慢して落ち着くことができません。
2019-11-11 06:09:55被害・関係妄想が強ければ、常に周囲に対して警戒していますから、退屈を感じることはないでしょう。退屈を退屈なままに過ごせるということは、病状を把握し、退院後の生活を安定して過ごすために重要であると考えています。
2019-11-11 06:13:32(p.42) 治療方針は、本来、画一的でないものです。患者さんの意見を取り入れることは重要ですが、患者さんの言いなりでは良い治療にはならないと思うのです。あるいは、リーダーとしては、治療方針を強固に固定しすぎないことによって、多様性diversityが生まれると考えています。
2019-11-11 06:20:14同じチームの中に、差異があり、視点の違いがあることによって、組織として大きな間違いを犯すリスクを減らせるのです。間違いが多くなるよりは、ベクトルが多様であるほうが、メリットは大きいと思います。
2019-11-11 06:26:07多様性diversityを持つことは、異なる意見を持つことに対して寛容であることであり、すなわち、社会的少数派minorityである精神障害を持つ人を顧客として持つ精神科医にとって、必要な資質でもあるのです。
2019-11-11 06:28:53第Ⅱ部 戦術編 (p.47) 精神科医療では、現病歴が"上手に"書けるかどうかが、その後の治療の成否に関わるといっても過言ではありません。長い病状経過の中では担当医も変わることはよくありますから、時間の経過に耐える病歴が取ってあることは患者さんの治療の質に関わります。
2019-11-11 06:36:42上手な病歴は、読んでいると患者さんの様子がありありと目に浮かぶものです。精神科の基本は記述現象学ですから、患者さんの言葉だけでなく、表情や態度なども所見としてありのままに記述、記載することが目標です。患者さんの言葉は、精神科用語のみに置き換えることは極力控え、できるだけ患者さんが
2019-11-11 06:42:03言ったセリフをそのまま記載できたほうが良いと思います。精神科用語のみで記載して具体的なセリフの記載がないと、後で見た時、何をもって被害妄想としたのかわからなくなることがあります。記載法として、患者さんの主観的事実なのか、比較的客観的なものなのかをわかるようにすることも必要です。
2019-11-11 06:46:43自分の感情が、患者さんの状態を知るヒントになることがあるのでたまに意識して評価できると良いと思います。このときの感情は、患者さんの言動によって惹起されたのか、ほかの要因か(時間が押しているとか、腹が減ったとか)十分に検討する必要があります。⇨セルフ・モニタリング
2019-11-11 06:51:08(P.61) Ⅲ. 聞きにくいことを聞くテクニック 1つは、foot-in-the-door techniquesです。より抵抗の少ない話から始めて、徐々に侵襲度の高い質問に進んでゆく方法です。「そういう状況では死にたくなったりする人もいますけれども、あなたの場合はどうですか」などと尋ねる方法です。
2019-11-11 07:05:13「他の人の場合にもよくあることですが」という枕詞は、同調圧力が強い日本社会の場合では、尋ねにくいことも尋ねやすくなると思います。 2つ目は、door-in-the-face-techniques です。少し行き過ぎた質問をすると相手は「自分は、そこまでは悪くないけれど」と思いながら、話がしやすくなります。
2019-11-11 07:12:02過食嘔吐が疑われる場合に、「食べ過ぎて吐くということがありますか?」という質問ではなく、「どのくらい吐きますか? 1日何回くらい?」などと聞きます。患者さん側では「1日何回もは吐かないけれど、週に2、3回吐いちゃいます」などと言ってくれたりします。
2019-11-11 07:18:08聞きにくいことを聞く場合に、遠慮して、恥ずかしそうに聞くと、相手も答えるのが恥ずかしくなってしまいます。聞きにくいことを、当たり前のように聞くということと、患者さんにとって言いにくいことであることに共感し、理解するということとは、両立する必要があると思います。
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