(※夢十夜ではない) 世界を飛び越えてイチャイチャ(?)する炭善から三つくらい受信した話。死ネタとたいして必要性のない女体化と名前のない我は強いオリキャラとメンタルが心配な炭善が多め。兄弟子ごめん。 大正の彼らの思う神仏とは全く似ても似つかないご都合かみさま的なものがほんの少しかかわってます。喘がせちゃったのでR18。※形にしてべったとしぶに投稿済みです。
1
前へ 1 2 ・・ 5 次へ
朴@色々と限界値 @hzy195

まあ、もう有名すぎて、その時期になると順番待ちで、その時点でお察しって感じだけどさ。このゲームのエンディングはそこだよ。それまでに意中の相手は落としておけって、そういうこと。――竈門君?」 ■怖い、真剣な音が、俺の手を掴んで引いた。

2021-10-12 03:47:10
朴@色々と限界値 @hzy195

■桜の木の下に誘導されて、でもそこにはまだ花はなくて。 ■それでも真っ赤な顔をして、そいつはひどく真剣な顔で口を開いた。 ■「時期でないことはわかってます。ジンクスが効くわけでも、このゲームの王道ではなくて、あなたが望んでいる終わらせ方ではないことも」

2021-10-12 03:47:11
朴@色々と限界値 @hzy195

■だけど俺は、今あなたに聴いてほしい。 ■「その時になって誰かに取られてしまう前に、聞いてくれ。――我妻先輩。俺は、」 ■カラン、とボールペンが落ちて、跳ねて、 ■――とぷん、

2021-10-12 03:47:11
朴@色々と限界値 @hzy195

■一応「ストーカーとか悩んでない?」と訊いてみても、そいつは首を傾げるばかりだった。まあ兄はその辺とろくさいので妹の方にも訊いてみたけど、同じ反応だった。なので、もう確定かな、と思ってしまった。

2021-10-12 04:24:01
朴@色々と限界値 @hzy195

■カレンダーを確認して、俺は目の前の男に声をかけた。 ■「たんじろう」 ■「二十五歳、おめでとう」 ■七月十四日。 ■そいつは、首を傾げるように「ありがとう、善逸」とはにかみ笑ったので。 ■――ああ、もう、死んでもいいなあと確かに思った。 ■夜が、なんだか明け始めたような気がした。

2021-10-12 04:30:06
朴@色々と限界値 @hzy195

■幸甚をにじませ笑ったので

2021-10-12 04:31:28
朴@色々と限界値 @hzy195

■あの方が初めて来たのは、あなたたちの騒動の少し前だったかと思います。 ■先輩たちに無理に連れて来られたのでしょうね。不機嫌な仏頂面で、でも瞳だけは物慣れない様子で好奇心にあちこち動いていて。少しだけ、緊張なさっているご様子でしたね。頬のてっぺんも、少しだけ染まっていました。

2021-10-12 10:02:40
朴@色々と限界値 @hzy195

■ああ、童貞なのだなあ、と思って、お声をおかけして、筆を下ろして差し上げました。それから、何度か。 ■――私、不器量でしょう。その分安くて。新米なのだろうお若いあの方でも、お買い求めやすかったのでしょうね。次にいらしたときには、もう慣れたみたいな冷たいお顔を装っていらして、

2021-10-12 10:02:41
朴@色々と限界値 @hzy195

それが、かわいらしくて、憎らしく思ったのを覚えています。恋をしていたというなら、その時からです。 ■先のない恋だとはわかっていました。周りの女郎からも、あれはやめた方がいいとうそぶかれました。それでも、いらしてくださって胸が跳ねる。お顔を見れば熱が上がって、

2021-10-12 10:02:41
朴@色々と限界値 @hzy195

できるだけよくして差し上げたいと励んだりする。 ■わかるでしょう、あがつまさま、あなたには。私にとっては、確かにそれが恋でした。

2021-10-12 10:02:42
朴@色々と限界値 @hzy195

■頬をぼうっと染めて、まるで少女のように笑う女は、十二分に整った顔をしていた。当人のいうように不器量だなんて、そんなことは決してなかった。糞みてえな店なのだな、とそれだけ思った。病持ちを管理しきれていない時点で、どうしようもないが。

2021-10-12 10:02:42
朴@色々と限界値 @hzy195

■宇随の文は、美しい。漢字のたびたびのひらきにすらも、推敲を自身で何度も繰り返したのだろうこだわりと計算がある。音楽的だとすら、読んでいて思う。だから、一応のしるしはつけても、赤ペンを振りかざすところは本来ならばほとんどない。

2021-10-12 10:02:43
朴@色々と限界値 @hzy195

■ただ、善逸は、桑島の遠縁であり、どういうわけかことさらかわいがって仕事をくれる宇随の文を読むのが単純に好きだった。

2021-10-12 10:02:43
朴@色々と限界値 @hzy195

■「嫁たちの次に真っ先に見せてやるんだ、いい仕事をしろよ」と最初に言われた。 ■下読みをして、「どうだった」と問われて、「良かったですよ、トリック途中でわかっちゃいましたけど」「どのへんで」「五十ページくらいの…」「はやっ」すると、宇随はそれを巧妙に隠してくる。伏線を増やして、

2021-10-12 10:02:43
朴@色々と限界値 @hzy195

■あらゆる場面で丁重に扱い、「全く別の文じゃん!」みたいな原稿を突っ返してくる。それにまた感想を言って返す。送り返される。そんな感じだ。いやこれ校正のする仕事じゃねえよな。編集とやって?

2021-10-12 10:02:44
朴@色々と限界値 @hzy195

■そして、宇随の文は推理小説にしては後味がいい。感動を乗せたハッピーエンドが多い。少なくともバッドエンドはほとんどない。あるとして、ちょっとメリー!みたいな、それも薄い。

2021-10-12 10:02:44
朴@色々と限界値 @hzy195

■今回も結局ラストにボロ泣きさせられた。お気に入りは、シリーズとして出している一連だ。様々な状況、様々な場所で幾度も出くわす主人公とヒロインの、出会いと、背負うものと、別れと、また再びの出会い。嫌に描写が具体的なので、「モデルとかいるんですか」と訊いたら意味ありげに笑われた。

2021-10-12 10:02:45
朴@色々と限界値 @hzy195

あ、これ一生教えてもらえない奴だわ、とわかったので、それからは特に尋ねないことにしている。ただ、いつか、二人が幸せに寄り添えたらいいな、と思う。宇随の文は、感情をできるだけ廃した観察者のような文のくせに音楽的で、感動を誘い、それを祈り、確約するためのまるで記録のようだった。

2021-10-12 10:02:45
朴@色々と限界値 @hzy195

■――お日様でも、解毒できない毒、かあ。 ■俺はしげしげとそれを眺めた。血鬼術とは違う、人間の扱う「毒」は初めてだった。

2021-10-12 11:33:34
朴@色々と限界値 @hzy195

■小学校からは私立の、比較的金のかかる学校に入れてもらった。産屋敷という福祉に力を入れているグループの傘下の学園で、個室学習が許された。まあそれでもつんざくほどに騒々しくはあったけれども、同じ教室で味わうよりはずっとましだ。高校は行かず、自宅学習で何とか大検を取った。

2021-10-12 11:57:42
朴@色々と限界値 @hzy195

スクーリングの時だけ死ぬほど(毎回こっそり吐くほど)頑張って、通信大学で大卒資格を取った。そして、桑島と宇随の紹介で小さな編集社に拾ってもらい、「お前校閲やれ」との鶴の一声で、特別に自宅で仕事をすることが許され――今に至る。

2021-10-12 11:57:42
朴@色々と限界値 @hzy195

■大事なものは自室に入れてくれ。入りものぞきもしないから――そう言ってある。幼いころ、ふらついてガラスの水差しを割ってしまったことがあった。どう見ても高級そうな細工の器で、烈火のごとく怒った義兄の罵詈雑言よりも、真っ先に怪我の心配をした養父の、

2021-10-12 12:06:05
朴@色々と限界値 @hzy195

一瞬だけ破片にみせた痛ましい目こそがたまらなかった。 ■今でも、よく覚えている。早世した連れ合いとの思い出のある品だったのだと、善逸が知ったのは少しばかり後のことだ。 ■モデルルームのように何もないリビングの掃除は、すぐに終わった。

2021-10-12 12:06:05
朴@色々と限界値 @hzy195

■たんじろうは、己が十八になったその日に善逸の前に据わった目でもって指輪と紙切れを突き出した。「名前を書いてくれ」と言われて、証人の欄に養父とたんじろうの父との名前が書いてあるのを見て、血の気がいっそ引いたものだ。婚姻届という言葉が、上欄に爛々と踊っていた。

2021-10-12 12:34:01
朴@色々と限界値 @hzy195

■さすがにすぐに居を同一にすることはかなわなかったけれど、籍だけは入れた。そんな感じだ。指輪の代金は、必死にバイトをして貯めたという。安くてごめん、とそれでもしょんぼりするので、胸が詰まった。 ■わかっている。桑島は老い先が短い。かいがくはそこまで善逸の面倒は見ないだろうし、

2021-10-12 12:34:02
朴@色々と限界値 @hzy195

そもそも、そこまで安穏と頼り切るわけにはいかない。 ■桑島がずいぶんと安堵した顔をしていた。これは、介護責任者の引き継ぎだと、善逸は思った。 ■でも、必要なのかな、とたまには思う。前触れなく意識が落ちるので火も包丁も扱えないが、さすがに電子レンジくらいは使用できる。

2021-10-12 12:34:02
朴@色々と限界値 @hzy195

週三で通ってくれるヘルパーさんに任せれば、掃除も、冷蔵庫に突っ込まれる作り置きの料理の準備も滞りなく済むだろう。温めて、食べるだけだ。行政の支援が受けづらい症例であっても、障害認定は受けている。善逸はそれを、最低限の自己負担の報酬とともにありがたく享受すればいい。

2021-10-12 12:34:03
朴@色々と限界値 @hzy195

最悪寝ていたって彼らはかまわないのだ。必要十分なつつましい生活は、決してできないわけではない。 ■それでも、たんじろうの料理はおいしく、善逸にとってひどくありがたかった。竈門家は、善逸にとって第二の実家だ。ヘルパーさんの料理はいくら美味しくったって、

2021-10-12 12:34:03
朴@色々と限界値 @hzy195

どうしても「他人の家の味」だった。 ■善逸にとっての「家庭の味」とは、桑島家と竈門家の味だ。とても、食べていてホッとする。向かいに座るたんじろうの柔らかな心音と視線も、ありがたい。

2021-10-12 12:34:04
朴@色々と限界値 @hzy195

■でも、それは愛だろうか。善逸は、いまだにそれがわからないでいる。際限のない欲しがりな己を押さえて、胸に言葉をしまっている。 ■何せこいつは、優しい長男であったから。

2021-10-12 12:34:04
朴@色々と限界値 @hzy195

●知った顔をしてうそぶかれました

2021-10-12 22:32:58
朴@色々と限界値 @hzy195

●感動のさざ波を寄せるような

2021-10-12 22:33:42
朴@色々と限界値 @hzy195

なんでこんなに兄弟子に熱い風評被害をひっかぶせてるんだろう…いつも弟弟子を間接的に殺してくれてありがとね… スナック感覚で読めるようなラブコメ書きたいなあー!と思ったのにスナック感覚で弟弟子が服毒しだしたの性癖に正直になったって言うか力量不足を強く感じてしょっぱい顔した

2021-10-12 22:42:51
朴@色々と限界値 @hzy195

■それは、ぼんやりとした光を背負って言った。 ■――お前は、少なくとも三人を地獄へ落とした。 ■お前を捨てた母、鬼に堕ちた兄弟子、そして、――。 ■報いを受けよ、と、それらは言った。 ■――とんだ詭弁だ、とは、あの時の俺だってすっかりぼんやり思ったけれど。

2021-10-12 23:59:44
朴@色々と限界値 @hzy195

■そのころの善逸にとって、世界とはとても痛い、傷みをもたらす空虚だった。 ■善逸の実母は、桑島の血のつながった娘である。男に惚れ、別れ、生まれた善逸を半ば放置して、急に新しい男を見つけたと家を出て姿をくらました。離れて暮らしていた桑島はそれを知った時、

2021-10-14 18:41:43
朴@色々と限界値 @hzy195

慌てて善逸の姿を見に来て激怒した。 ■結局その娘は再び恋破れたのか一度桑島の家に帰ったが、意を決した桑島は、民事を起こして娘から善逸の親権を奪い取った。何せ、善逸がこれから生きていく中で、親権者が身近にいない、いると限らないというのはとても、とても、不便なことであったので。

2021-10-14 18:41:44
朴@色々と限界値 @hzy195

娘自身もホッとしたのだろう。おとなしくなって、また姿をくらませたのだと聞く。長じて、善逸は己の惚れっぽさを鑑みて、なるほどなあ、と少しだけ納得して、娘を哀れにすら思ったものだ。さみしかったのだろうなあ、と思う。 ■実母の、善逸に関する感情は無か、マイナスかのどちらかであった。

2021-10-14 18:41:44
朴@色々と限界値 @hzy195

おぼろげにだが、覚えている。お互いに、互いが互いの枷だった。母の横顔が、見えない闇に押しつぶされそうになっていたのを、長じた今だからこそだろうか、誰にも言わないけれど、善逸はそっと覚えている。 ■親権を得た桑島は、善逸を家に引き取った。

2021-10-14 18:41:45
朴@色々と限界値 @hzy195

■家には、かいがくがいた。これも桑島の実の孫で、両親は不幸な事故で儚くなったと聞いていた。連れ合いにも早くに先立たれた桑島は、何がどうなったのか、家族に縁が薄い人だったのかもしれない。

2021-10-14 18:41:45
朴@色々と限界値 @hzy195

■とにかく、善逸には世界とはひどく痛かった。桑島は思いやりの音を心から立てる、確かに善良な人格を持ってはいたが、同居経験のない孫――いや今や娘――に、うまくやれるかという致し方ない不安の音も立てていたし、

2021-10-14 18:41:45
朴@色々と限界値 @hzy195

従兄のかいがくは本格的に己のテリトリーを侵されることにビビり散らして、警戒の音を隠さなかった。 ■鼓膜と脳を叩き続ける音は、間を介する三半規管をさんざんに揺らし、真っ青になって痛みと吐き気をこらえることで精いっぱい。世界とはこういうもので、そうやって生きていくのだろうと、

2021-10-14 18:41:46
朴@色々と限界値 @hzy195

そういった音と、そういった扱いしか知らなかった小さな小さな、五歳の頃の善逸は、桑島に手をそっと引かれながらも確かにそう、思っていたのに。 ■「おはよう、君、すごくいい匂いだな!」 ■ころころと仔犬のように、手を振って、駆け寄ってきた男の子。

2021-10-14 18:41:46
朴@色々と限界値 @hzy195

「たんじろうくん」と桑島が相好を崩した。愛嬌のある、下心のないまっすぐで無邪気で、どこか芯のある真摯な笑み。 ■瞬時、善逸は。 ■――ころしてください、と叫んだのだという。 ■自分よりも背の小さな男の子の前に頽れて、しがみついて、俯き滂沱の涙を落として、

2021-10-14 18:41:47
朴@色々と限界値 @hzy195

誰の目も見れずに神の裁きに縮こまった罪人のように、大音声で叫んだという。 ■ころしてください、ころしてください、こんなきれいな音の人間が居るんだ、こんなやさしい人が居るんだ、ころしてください、ころしてください、どうか首を落としてください、このきれいな音を聴きながら死んでいきたい。

2021-10-14 18:41:47
朴@色々と限界値 @hzy195

■異様なものを見るような目で、新しい家族は善逸を見ていた。駆け寄ってくる、若い男女――後で訊いたら、たんじろうの両親――も、目を見開いて絶句していた。 ■「こら、軽々しく死ぬなんて言うんじゃない!」と、幼子特有の遠慮のない拳を善逸の頭に落として叱った、御年四歳の長男だけが、

2021-10-14 18:41:47
朴@色々と限界値 @hzy195

おひさまのように無邪気に笑っていた。 ■それから、たんじろうの超感覚について理解を得ていたたんじろうの両親と、彼らと桑島双方の友人であった鱗滝の勧めもあって、善逸はあらゆる検査を受けなおし、やっと、その突発的な眠気と意識障害が、

2021-10-14 18:41:48
朴@色々と限界値 @hzy195

過剰な音に脳内が占拠された挙句の強制的な脳へのストップ反応だったと、わかったのだ。

2021-10-14 18:41:48
朴@色々と限界値 @hzy195

■――報いとは、マイナスとプラスと、双方にまたがる意味がある。

2021-10-14 19:00:24
朴@色々と限界値 @hzy195

■宇随は言った。 ■「お前は、道徳を説く」 ■少なくとも、竈門や嘴平には任せられねえな。説教ならば竈門はうまい。だが作家によっては要らん反発も出る。嘴平は問題外だ。地頭が良くてもこれはセンスと経験の差が如実に出るからな。 ■「お前も、地頭って意味ではバケモンだがな。普通、

2021-10-17 17:49:51
前へ 1 2 ・・ 5 次へ
1
まとめたひと
朴@色々と限界値 @hzy195

甘味の海に溺死しろ|Fate赤弓とkmt善逸|R18腐ゆえに鍵です ある程度まとまった壁打ち等々はプロフカードへ オタクというより軽率な腐女子 タイッツー垢:同じIDです(鍵)暫くこちらで遊んでます Bluesky垢も新規で作りました:同じIDソーシャル Xは今のところ情報収集目的で覗くことが多いです