#朝の連続ツイート小説 #へんな子たち【2022年3月13日】 赤い糸(4月21日 山崎乃愛) 他人の左手の薬指に、赤い糸が見える。あざやかな鮮紅。血をひきずりだしたような、長い長い長い糸。 近づくと、かすかに繊維がくすんで見える。毛糸より細く、家庭科で使うミシン糸よりは少し太い。 乃 pic.twitter.com/KRRZzKQblZ
2022-03-13 08:00:14愛の知るかぎり、誰にでも、糸はくっついていた。玉結びでくくりつけてあるように見えるが、絶対にはずれない。動けば、それだけ伸びて、いつも少したわんでいる。からまったようでも、いつのまにかほどけている。 ボンヤリしていて、ちょっとピントをはずすと、視界から消える。たどっていくには、
2022-03-13 08:00:16#朝の連続ツイート小説 #へんな子たち【2022年3月14日】 じっと見つめて、慎重に進まなければならない。触れることはできず、ただ見えるだけだ。もちろん、切ることもできない。 男の糸は女、女の糸は男につながっている。たいていは。 たとえば、幼なじみの西原真優と、乃愛の兄。 ふたりの糸 pic.twitter.com/PF2sHKcA1q
2022-03-14 08:00:20がつながっているのは、知っていた。だから、手をつないで歩いているところを見ても、それほど気にはしなかった。 ほんの少し、いやだな、と思っただけだ。 小学校四年生のとき。通学班の班長だった木下映美と、恋愛の話になった。別れぎわにふと気になって、糸をたどることにした。 遊んでくる
2022-03-14 08:00:21#朝の連続ツイート小説 #へんな子たち【2022年3月15日】 、と言いおいてランドセルを玄関に。歩いてゆく映美の後ろから、糸のありかをたしかめて、そのまま一人で夕方まで。海岸ぞいの道をずっと歩いて、ようやく、つながっている相手をみつけた。 犬の散歩をしている、背の高い少年。すれちがいざ pic.twitter.com/BT8MjPZDgv
2022-03-15 08:00:23ま、ぺこりと会釈。映美よりも、少し年上のようだった。中学生かもしれない。 次の日、水を向けてみたが、映美はきょとんとするばかり。知り合いではないらしかった。少なくとも、いまは。 乃愛の初恋は、そのしばらく後。同じクラスの、気の強い男子。 放課後、校舎の中庭につれだして、告白し
2022-03-15 08:00:25#朝の連続ツイート小説 #へんな子たち【2022年3月16日】 た。あいてが口をひらいた瞬間、おもわず薬指を凝視した。 糸は、ぴいんと張って、きれいに伸びていた。乃愛がいるのと、反対の方向に。 もちろん、うまくいかなかった。 それから、両親のこと。 中学校に入ったばかりの頃だ。おむかい pic.twitter.com/oOzECyiAof
2022-03-16 08:00:25の老夫婦の薬指が、しっかり糸でつながっているのをみて、自分の両親はどうなのか気になった。 休日に、公園にいくふりをして糸をたどった。家で家事をしている母の糸は、2ブロック先の、アパートの一室とつながっていた。 一週間後、どうしても気になって、母のスマートフォンを覗いた。眠ってい
2022-03-16 08:00:28#朝の連続ツイート小説 #へんな子たち【2022年3月17日】 る隙に指紋認証を解除して、メッセージアプリと、アルバムを見た。 次の水曜日、学校をずる休みした。家族共用のタブレット端末でこっそり欠席の連絡をして、家を出てから公園のトイレに隠れた。 人通りが少なくなってから、私服に着替えて pic.twitter.com/qGRXkDP9tz
2022-03-17 08:00:25、アパートの前へ。駐輪場のかげにひそんで見ていると、母がやってきて、インターホンを押した。 入っていくのを確かめ、帰ろうと思ったが、足が動かなかった。 十分ほどして、母は短髪の若い男とふたりで出てきた。左手にハンドバッグ、右手で男の手をひいて。男は、指だけで手を握り返しながら、
2022-03-17 08:00:26#朝の連続ツイート小説 #へんな子たち【2022年3月18日】 もう片方の手で、母の胸の下あたりを擦るようにつついていた。筋肉質の、太い指で。 男の顔はよく見えなかったが、母はわらっていた。 目が合った。すくなくとも、乃愛はそう思った。けれども、母は足を止めなかった。ただ、一瞬唇をひきつ pic.twitter.com/lWLJjHiQ5e
2022-03-18 08:00:20らせて、青ざめたようだった。それから、男と一緒にアパートの敷地を出て、駅のほうへむかって歩いていった。 それから、乃愛は家に帰って、自分の部屋ですごした。夕方、帰ってきた母は、何も言わなかった。乃愛も、だまっていた。ただ、その日から、乃愛は小遣いに不自由しなくなった。 父の糸も
2022-03-18 08:05:29#朝の連続ツイート小説 #へんな子たち【2022年3月19日】 、確かめねばならないような気がして、歩いてみた。市境をふたつ越えたところで、疲れてやめた。母からもらった金で、映画をみて帰った。父のスマートフォンは母がよく触っているので、見るまでもなかった。 だんだん、人が多いところが苦手 pic.twitter.com/cpZDEkpROp
2022-03-19 08:00:17になった。 カバーをかけた文庫本を、いつも持ち歩くようにした。本が好きなわけではない。けれども、文字に目を落としていれば、糸を見ないですんだ。 休み時間、本に目を伏せながら、クラスメイトの薬指を、一人ずつ盗み見た。ほとんどの糸は教室から出て遠くへのびていたが、何人かはクラスメイ
2022-03-19 08:00:18#朝の連続ツイート小説 #へんな子たち【2022年3月20日】 トの薬指を、一人ずつ盗み見た。ほとんどの糸は教室から出て遠くへのびていたが、何人かはクラスメイト同士でつながっていた。うらやましかった。 自分の糸だけは、どうしても見えない。 中学校一年生の二学期、別のクラスの男子に告白され pic.twitter.com/rhevphiEj9
2022-03-20 08:00:17た。糸はつながっていないと知りながら、一週間だけつきあった。そのあと、隣の席の女の子にこっそり水を向けて、引き合わせた。乃愛はふたりに感謝され、それからまた、休み時間は目を伏せて過ごすようになった。 それが、およそ半年前。 さて、夕べのこと。 乃愛が、風呂からあがって、ベッ
2022-03-20 08:00:18#朝の連続ツイート小説 #へんな子たち【2022年3月21日】 ドの上で寝転がっていると、──窓枠の隙間から、つうっと赤い糸が伸びているのがみえた。 思わず、部屋のなかを見回す。誰もいない。自分ひとりだ。 自分の糸だった。 心臓が高鳴る。たしかに、左手の薬指、第一関節に、糸が結んである pic.twitter.com/O5Qwbh2D8C
2022-03-21 08:00:15。思わず、右手でぎゅっと握ってみるが、感触がない。触れないのだ。たしかに、あの糸だった。 どうしていいか、わからなかった。いろいろなことを考える。自分の糸なら、たどるのは簡単だ。でも、どうして、今までなかったものが、突然。 たぶん、見えなかっただけで、糸はあったのだ。今までずっ
2022-03-21 08:00:16#朝の連続ツイート小説 #へんな子たち【2022年3月22日】 と。 すぐに家を抜け出そうかと思ったが、もう夜だ。それに、どうしていいかわからない。糸の相手が見つかったとして、……なんと言っていいのか。 眠れない。時計の針をじっと見て、明け方まで起きていた。 翌日。 ふわふわした気持ち pic.twitter.com/mydcxt5pF7
2022-03-22 08:00:16で登校して、教室で糸をたしかめる。糸は、外まで伸びている。少なくとも、クラスメイトとつながっているわけではない。 悶々としながら、放課後まですごした。 上の空で剣道部の練習をおえ、大急ぎで着替える。一緒に帰ろうとする真優に、「ごめんね」といいおいて、早足で校門をくぐる。 ちら
2022-03-22 08:00:19#朝の連続ツイート小説 #へんな子たち【2022年3月23日】 ちらと左手を見ながら歩くのが恥ずかしくて、サブバッグから文庫本を出す。先週買った、映画のノベライズ。もちろん、頭には入らない。 下校する生徒にぶつかりそうになる。すれちがうたび、糸に目をおとす。つながっている相手はいない。乃 pic.twitter.com/5wQUqtUEWF
2022-03-23 08:00:18愛の糸は、学校とは反対側にむかって、するりと伸びている。 大きな交差点をふたつ抜けて、知らない道へ入っていく。 ちいさな生活道路、それから住宅街。きれいに区画整理された、新しい住宅地。こんなところが、学校の近くにあっただろうか。 人通りは、まったくない。 文庫本に目をおとすの
2022-03-23 08:00:21#朝の連続ツイート小説 #へんな子たち【2022年3月24日】 をやめて、じっと左手をみる。糸は、このさきの曲がり角をぬけて、塀にひっかかるようにして伸びている。 歩く。心臓がどきどきする。 しぜん、足も速くなる。誰にも見られていないと思うと、何もかも振り捨てて走りだしたくなる。震えなが pic.twitter.com/cAII0Lu2h8
2022-03-24 08:00:17ら、早足で地面を蹴る。 右手の文庫本を、鞄にしまう。うまくいかない。ぐいぐい押し込む。乱暴にチャックをしめる。足は止まらない。息を切らしながら、 曲がり角のむこうへ。 「ほおら」 すぐ耳元で、だれかの声。 糸は、ぷっつりと切れて落ちていた。 目の前に、背の低い、乃愛とおなじ制
2022-03-24 08:00:20#朝の連続ツイート小説 #へんな子たち【2022年3月25日】 服をきた少女が立っていた。毛量の多いボブカットに、あざやかな赤い髪留め。同じ色のスニーカー、それから黒いタイツ。少しきつめの、きゅっとした目を細めて。唇を、かすかにまげて。 右手に、工作ばさみ。 立ちつくしている乃愛に見せつ pic.twitter.com/AtWBwzYUQr
2022-03-25 08:00:29けるように、かちかちとはさみを動かす。 同級生、だったような気もする。とっさに思い出せない。 もう一度、糸を見る。地面にぷっつりと垂れている。ばかな。こんなもので。 「……だーめ、気をつけないと。危ないじゃない」 少女は、しィっと右手の人差し指を唇にあてて、角のむこうを指した。
2022-03-25 08:00:30#朝の連続ツイート小説 #へんな子たち【2022年3月26日】 そこには、巨大な蜘蛛が、びっしりと赤い糸で巣をはって待ちうけていた。 (赤い糸 了) ウルフ(5月16日 藤井大悟) だんだん、暗くなってくる。 綾音は、クラスメイトの藤井大悟とふたりで、教室に居残っていた。 日直日誌 pic.twitter.com/mLzC7mc8OM
2022-03-26 08:00:19を書いていたはずが、いつのまにか脱線して。こっそり鞄に入れていたスマートフォンで動画サイトを見ながら、いつもより高い声で笑って。 遅れていくつもりだった部活も、もう終わってしまった。すっかり日は暮れて、──いや、すっかりというにはまだ早い。かろうじて一番星が出たくらいか。それで
2022-03-26 08:00:22#朝の連続ツイート小説 #へんな子たち【2022年3月27日】 も、夜は夜。 職員室には、まだ人がいるはずだ。日誌を届けなければいけない。そう思いながら、30分。──と、思っているうちに、さらに一時間。 時計の針が、やけに速い。 部活、日直日誌、スマートフォンの通信量。いろんなことを頭 pic.twitter.com/do1PKm204b
2022-03-27 08:00:14の隅におしこめて、距離感をはかる。近すぎないだろうか。それに、つまらないと思われていないか。動画とわたし、どっちに藤井くんの視線が。 「……ねえ、これも!」 関連動画のリンクを、ぐいと人差し指でタップする。ほんの少し、距離を詰める。藤井くんの顔が、ちょっと動く。胸元に一瞬、目が
2022-03-27 10:30:54#朝の連続ツイート小説 #へんな子たち【2022年3月28日】 いったような。 自意識過剰だろうか。 「なになに、」と覗き込んでくる藤井くんのこめかみが、綾音の耳にふれる。 思わず、ごめん、と言いかけて口ごもる。あいては気にしていない。まるで気がつかぬふうで、綾音の右手、スマートフォンの pic.twitter.com/vFptUdLlTV
2022-03-28 08:00:15画面をのぞきこんでいる。 ふと、匂いが気になる。汗の。それから、シャンプーの。いや、柔軟剤か。 きゅうに気恥ずかしくなって、体を硬くする。 動画がおわる。綾音は反射的に手をひっこめて、スカートのポケットにスマートフォンをすべりこませた。 普段、学校では鞄の奥に入れているのだが
2022-03-28 08:00:16#朝の連続ツイート小説 #へんな子たち【2022年3月29日】 、なんとなく、そうした。 立ち上がる。 「もう、帰ろっか」 小さくそういって、背を向ける。藤井くんがどんな顔をしているのか、見えない。いや、見るのがこわい。とにかく、教室のうしろにあるロッカーに歩みよる。 鞄をとる。ごめんね pic.twitter.com/ZVbFNbZmbf
2022-03-29 08:00:20、と言いかけて、謝るのも変かなとやめる。 いつの間にか、満月が出ていた。 そうだ、日誌を。 振り向くと、何かがおかしい。 藤井くんは、目を伏せている。椅子に、ぼんやりと座って、力なくうなだれたように。 窓から、月の光が、長いかげをつくるように差し込んでいる。 ……影!
2022-03-29 08:00:22#朝の連続ツイート小説 #へんな子たち【2022年3月30日】 かたちがおかしい。藤井くんの、影。へんにちいさくて、ちょっと丸まったような姿勢から、首をもたげて。ゆっくりと、立ち上がる。四つ足の──、 犬、みたいな。 おもわず、びくりと身を震わせて、ロッカーに手をつく。気のせい。目の錯 pic.twitter.com/qQBo4TL9ch
2022-03-30 08:00:20覚。そう、おもう。自分の影を見る。細長く、伸びている。満月の光に照らされて。後ずさる。背中が、ロッカーにあたる。 「ねえ、なんか……」 影が、ぐにゃりと伸びて、どんどんかたちを変えていく。とがった口。耳。尻尾。四つ足──、 やっぱり、犬に見える。いや、……狼? それが、ゆっくり
2022-03-30 08:00:22#朝の連続ツイート小説 #へんな子たち【2022年3月31日】 と、歩きだした。こちらへ。 藤井くんの座っている椅子から、糸が伸びるようにつながって、もう毛が見えるほどはっきりと形をとった影の狼が、威嚇するように口をあけて。 かすかな、獣臭。いや、どんどん強くなって。荒い、唸り声が──、 pic.twitter.com/YiLVd6PJVk
2022-03-31 08:01:15からりと、教室のドアが開いた。 「ねえ、暗いよ。電気つけたら?」 ぱちん。蛍光灯がついて、明るくなる。影が消える。すたすたと、無遠慮な足どりで、サブバッグをかついだ女の子が入ってくる。 「アヤち、帰ろ!……大悟くん、日誌よろしくね」 廊下に連れ出されてから、気づく。この子、
2022-03-31 08:01:17#朝の連続ツイート小説 #へんな子たち【2022年4月1日】 なんて名前だっけ。赤い髪留めに赤いスニーカー、やせぎみの、小柄な。たしかに知っているのだが。 「ねえ、……さっき、影が」 そう、言うと、女の子はちょっとおどけて、猫のように両手をまげて、 がお、と鳴いた。 (ウルフ 了) pic.twitter.com/a7n1xSZPBt
2022-04-01 08:00:14鏡写し(5月26日 塚本舞) 「あれ」 歯医者が、すっとんきょうな声をあげた。 「これ…、」 となりの歯科衛生士に、カルテを見せて、なにごとかささやく。 ──これ、逆写し。 そんなはずは、と首をかしげて。そのまま、ひそひそと長話。とりちがえ、という単語。診察台に寝かされたま
2022-04-01 08:00:15#朝の連続ツイート小説 #へんな子たち【2022年4月2日】 まの舞を、不安なまま放置して。 それから、ぼそぼそと、曖昧な説明。どうも、記録がまちがっていたみたいで。とにかく、虫歯はあるみたいなので…、 親がきていれば一言あったかもしれないが、今日はひとり。ともかく、黙って口を開けてお pic.twitter.com/e5YUUVkvFY
2022-04-02 08:00:14くしかなかった。 「そんなことがね、」 と、通学路をあるきながら、こぼす。 「そお」 隣をあるいている岡野ひなたが、きれいな、軽い声で相槌。いつものように、にこにこと笑いながら。細い、人形のような手足と顔をして、張り付いたような、いつもの、型どおりの笑いかた。 「気にしないで、い
2022-04-02 08:00:16#朝の連続ツイート小説 #へんな子たち【2022年4月3日】 いよ」 いわれて、「そうね」と気をとりなおす。 「どうもね、」 「どうも」 おうむ返しに。まっすぐ、こちらの目を見ないで。 ひなたは、いつもそう。 「ア、」 横断歩道のむこうに、栗山くん。手をふると、ちょっとこっちを見る。長身 pic.twitter.com/Uw37Gb2NIl
2022-04-03 08:00:13で、前髪が目にかかるくらい長いのに、先生に注意されているのを見たことがない。いつも堂々として、人を見下ろすように立っている。 青信号。 こっちに歩いてくる栗山くんを、待つ。急ぐでもなく、いつもの、ゆっくりした歩調で近づいてくる。「おはよう、」と、舞はわらってみせる。ちょっと強め
2022-04-03 08:00:15#朝の連続ツイート小説 #へんな子たち【2022年4月4日】 で、前髪が目にかかるくらい長いのに、先生に注意されているのを見たことがない。いつも堂々として、人を見下ろすように立っている。 青信号。 こっちに歩いてくる栗山くんを、待つ。急ぐでもなく、いつもの、ゆっくりした歩調で近づいてく pic.twitter.com/e7xarrzxB1
2022-04-04 08:01:27る。「おはよう、」と、舞はわらってみせる。ちょっと強めに唇をまげて、かすかに前歯が見えるくらいに。 栗山くんは、何もいわずに歩いていく。無視されたようにも見える。けれど、ちょっと歩調が変わった。こっちに合わせてくれている。 そのまま、三人で歩く。こちらも栗山くんに合わせて、ちょ
2022-04-04 08:01:29#朝の連続ツイート小説 #へんな子たち【2022年4月5日】 っと急ぐ。他の生徒を、どんどん追い越していく。 栗山くんは、まっすぐ進む。そうすると、みんなが道を譲る。同級生も、下級生も、先輩さえ。 「ねえ栗山くん、」 ちょっと目線をあげて、栗山くんの顔をみる。まっすぐ前を向いた、きつめの pic.twitter.com/RyGIUfizDy
2022-04-05 08:00:18目。やせた、線の細い顔。 整っているな、と思う。ほんとうに。 「英作文。できた? 明日まででしょ」 「今日だろ?」 え、とまぬけな声が口からでる。そうだっけ、と口からでかかって、こらえる。記憶をさぐる。そういえば。 「……手伝ってあげよっか?」 ひなたが見上げてくる。反射的に、「
2022-04-05 08:00:21#朝の連続ツイート小説 #へんな子たち【2022年4月6日】 できてるよ、」と言って、それからすぐ後悔する。 英語は5時間目。まァ、なんとかなるだろう。 「──おはよう!」 とつぜん、後ろから大声。 ひょいひょい、とかろやかな足取りで、舞とおなじ制服をきた少女が、右側から大きく回るよう pic.twitter.com/bpKOLbuzYQ
2022-04-06 08:00:17にして追いついてくる。 赤い髪留めで、ふんわり跳ねたくせっ毛を押さえるように留めた、背の低い少女。同学年だろうか。いや、同じクラスだったかも。名前は思い出せない。 「ね、……けさ、鏡見た?」 やぶからぼうに、にやにやと笑いながら。 思わず、足を止めて睨みつける。それから、左手で
2022-04-06 08:00:19