おれのナニを飲み干して、メシもきれいに平らげて、ごちそうさんと手を合わせてからエロマリモは風呂へ向かった。 あまりの興奮にそれはもう呆気なくイったおれは、そのままぐったり潰れてしまい──ファスナーを戻したのも、ヨダレを拭いてくれたのも、ブランケットを掛けてくれたのも全部あいつだ。
2019-12-24 09:12:37(……自分で、してんのかな) 申し訳ないような、さみしいような、やっぱり腹が立つような。 モヤモヤしながらウトウトしていると、ほっこり湯気をまとったマリモが半裸でリビングへ戻ってきた。 小さく丸まったおれの頭元へ座り、ついでのようにくしゃっと髪を撫でる。 「大丈夫か」 「……おう」
2019-12-24 09:13:06「明日もたぶん遅ェから、待ってるんじゃねェぞ」 「何べんも言うな……わかってるって」 「何べん言っても聞かねェからだろ」 クリスマス本番を前に、工場の仕事も大詰めだ。待ち焦がれる子供たちみんなに行き渡るぶんのおもちゃを、明日の夜──イブにはサンタへ託すのだという。
2019-12-24 09:17:01「……抜いたのかよ」 「まあな。まだまだ修行が足りねェ」 「おれだって、したかったのによ」 拗ねて呟くおれの耳を、慣れた手つきであやしながら。 「無茶すんなって言われたろ」 「フェラは無茶じゃねェ……だろ?」 「おれが無茶するっつってんだ。クチで我慢できるかよ」 自信満々に言われても。
2019-12-24 09:17:01激しい性行為はダメだぞ、とつぶらな瞳の医者に諭され、激しくない性行為がどんなものか解らないおれ達は、結局禁欲する羽目になったのだ。 「いいから大人しくしてろ……もう、ひとりの体じゃねェんだ」 ホントに言うヤツいるんだな、と思ったら吹いてしまった。
2019-12-24 10:54:20なんだよ、と不服そうな唸り声。笑いながらのそりと身を起こす。 「へへ……そんなに大事かよ」 「当たり前だ」 ニヤけた頬をつねられ、いてェと文句を言うおれを、裸の胸が抱き寄せる。 腫れ物みたいに扱われるのは、ムカつくときもあるけれど。
2019-12-24 14:01:55「大事なモンが、大事なモン孕んじまったんだ」 温かい手のひらが、少しだけふっくらしたおれの腹へ触れた。 「大事になりすぎて、どうしていいか解らねェ」 神妙に呟いて、おれの肩へ伏せた頭を、そっと抱いて目を閉じる。
2019-12-24 14:02:48「どうもしなくていいんだよ」 おれを選んで、しあわせをくれた。 これ以上欲張ったら、きっとバチが当たるくらいに。 「それにおれァ……あと、こいつらも、そんなにヤワじゃねーよ」 なんせ、おれとてめェのガキなんだ。
2019-12-24 14:05:46神様もサンタも腰を抜かしそうな奇跡は、いろんな意味でひとつじゃなかった。 手を重ね、な?と声を掛ければ。 応えるようにポコポコと、見込みのありそうなパンチや蹴りをあちこちからお見舞いされた。
2019-12-24 14:05:47リビングに飾ったツリーの根元へ、気の早いサンタがたんまり置いたプレゼント。 気づいて大笑いするのは、夜が明けてからのこと。 (おしまい)
2019-12-25 06:08:54うちのゾサ島初期のまとめはこちらになります 春には五つ子が生まれます🦊🦊🦊🦊🐯 #ZS島 #a103zs A棟103号室の日々🦊2018 twitter.com/i/events/10373…
2020-01-18 08:42:07実家でパン焼いて、街のレストランとか保育園に卸してる🦊だけど、先々考えて独立することに決めたんだ〜また短い話書く予定だけど…デリ兼パン屋さんで、産休中に店を任せられる有望なアルバイト募集予定ありです 見つからないときはゾとか🦇ちゃんを無理やり働かせる(未承諾)#ZS島 #a103zs twitter.com/rie_tkm/status…
2020-01-20 20:59:02パンを焼くおれの朝は早い。 まだ暗いうちにジジイの店へ飛び、パン用のガスオーブンでバゲット、食パン、ロールパンなど注文の品を焼き上げていく。 合間に店用の仕込みの手伝い。ジジイはまだまだ元気すぎて、任せてくれるのはこれと配達とたまの店番と、あとは忙しい時間帯の手助けくらいだ。
2018-09-26 04:29:05#ZS島 #a103zs ガキがデキたと解ってから──いや正確には本人すら気づく前から、きつねは猛烈な勢いで巣作りをはじめた。といってもそこそこ理性ある獣だから、穴を掘るとか安心な寝ぐらを探すとかそういう単純なもんでもなく。 「具合が悪ィならじっとしてろ」 「平気だって…いらねェ心配すんな」
2020-01-28 09:13:12見るからに本調子じゃなさそうな青いツラでひょこひょこ出掛けるようになったと思ったら、港町の大通りで売りに出されていた小さな店舗を見つけてきた。 「ずっと考えてたんだ。いつまでもジジイに甘えちゃいられねェしな」 てめェはどう思う?と一応聞かれはしたものの、きつねの心は決まっていた。
2020-01-28 15:31:23唐突に切り出された巣立ち。ジイさんの弟子で、きつねとも古い馴染みだというガラの悪い二人が修行の旅から戻ったことも、まあきっかけではあっただろう。 「デリにしようと思ってんだ。パンとかサンドウィッチだけじゃなくて、日替わりの惣菜なんかも置いてさ」 おれの懐に埋もれ、楽しげに夢を語る。
2020-01-28 15:31:24毛艶が少し悪くなったような気もしたが、目だけは幸せそうにキラキラしていた。 急に活動的になったかと思えば、懐っこさもやけに増して。隙あらばくっついて甘えたり、くせェくせェ言いながらも仕事帰りのおれの匂いをしつこく嗅いだり──洗濯に出したはずの腹巻を枕の下へ隠していたこともあった。
2020-01-28 16:39:04自分でもよくわからねェ、と本人ですら首を捻っていたくらいだ。その愛らしさとアホっぽさに誤魔化され、はじめはやり過ごしていた違和感。 さんざん煽っておいて気が乗らねェと拒まれる夜が続き、吐いたらもったいねェからと自分のメシを減らしはじめたあたりで、引き摺って病院へ連れて行った。
2020-01-28 19:13:50「おい待てって!今日はフランキーがウチのリフォームの見積もりに……!」 「あァ!?」 「お、怒んなよっ……おれ、なんかじっとしてられなくて……」 困ったようにおれに縋る、きつねの耳がぺたんと折れた。 「……わかんねェけど、あのまんまじゃダメなんだ」
2020-01-29 05:28:49フランキーは腕のいい大工だ。当時のおれのバイト先の上司で、きつねの店の改築工事も二つ返事で引き受けてくれた。 「だから待てっつってんだろ!」 「うるせェ!話は後だ!」 「そもそも病院はそっちじゃねェんだよこのクソ迷子!!」 きつねが明らかにおかしい。
2020-01-29 05:28:49迷いに迷ってようやく辿り着いた診察室で、その原因はさらっと告げられた。 「つわりだね」 「は?」 重なる声。医者がにっこり微笑んだ。 「おめでとう。7週に入ったくらいかな」 「いや待て」 「タイミング的にちょうど狂虎病を患ってたあたりだな……無事に妊娠するなんてすごく稀なケースだぞ!」
2020-01-29 13:04:45理解が追いつかないまま固まるおれ達に、名医は続けた。 「しかも多胎だ。キツネには珍しくないけど、経過には充分注意しないと」 隣に座るきつねの横顔。そっと俯いた口元が、ふわりとほどけて。 「はは……マジ、か……」 呟く声は震えていた。 「おれの、ここに」
2020-01-29 13:04:45まだ薄い腹へ、愛しげに触れたその指先が。 混乱も動揺もまるっとひとつに包み、デカくてあったかい何かに変えた。 ついに、とか、でかした、とか。そんな簡単な言葉じゃ、とても置き換えられないくらいの。 「ッ……おい!?」 ふらっと傾いた上体を慌てて抱きとめる。
2020-01-29 14:12:28疲労と軽い栄養不足。そう診断されたきつねは、そのまま病室へ運ばれた。 点滴の管に繋がれた、あまりに見慣れない姿。蒼白い瞼にかかる乱れた髪を梳きつければ。 「おれァそんなに頼りねェか」 つい零れてしまう、苦笑いと恨み言。んん、と眉根を寄せたきつねが、やがてうっすら瞼を擡げた。
2020-01-29 19:45:19「……ゾ、ロ……?」 こんなになるまで気づいてやれなかった不甲斐なさ。こいつは獣の本能で、とっくに親になっていたのに。 きつねは不思議そうに数度瞬きをしてから、ハッとしたように飛び起きた。 「バカ、寝てろ」 「なあ……夢じゃ、ねェよな?」
2020-01-30 05:06:52押し戻そうとするおれの腕を掴み、必死な目で食い下がる。 アホで、まっすぐな、おれだけのきつね。 似合いもしない後悔のぶんまで、この先は。 「おれが守る」 抱きしめたカラダへ誓う。ひとりで何もかも背負い込んでいた背中から、力がだんだん抜けていくのを感じながら。
2020-01-30 05:06:52「焦んな、大丈夫だ。てめェのために、今は休め」 言い聞かせるように耳へ注げば、か細く唸っておれのシャツを握り締めた。 「先のことも、腹ん中のガキのことも、それからだ。ふたりでゆっくり考えりゃいい」 わかったか、と額を合わせる。
2020-01-30 05:08:50年が明け、完成したきつねの店に『Queue(クー)』という名前がついた。 「しっぽ、とかでいいだろ」 「もうてめェは黙ってろ」 すげなく却下されたおれの案が、結局のところ通ったらしい。
2020-01-30 08:15:29安定期とやらに入り、すっかりいつもの頑丈なカラダに戻ったきつねは開店準備に忙しく、アパートのリフォーム工事に継続して携わることになったおれの毎日も飛ぶように過ぎていった。 「おかえり……ってオイ、今はよせよ」 「さっさと手ェ洗ってこい。メシなら出来てる」
2020-01-30 08:15:29義父の鋭い眼差しを受け、腰にまわした手を渋々離す。 部屋の工事が終わるまでは、きつねの実家──このジイさんのところで世話になる。 きつねの妊娠を報告した日。照れまくるきつねと、言葉を失くしたジイさんのツラはどちらもなかなかの見物だった。
2020-01-30 08:15:29初めて酒を酌み交わしたその夜、きつねがガキだった頃の想い出をぽつりぽつりと語る姿に、垣間見た深い愛情。文句を言いつつもなんやかんや手厚く世話を焼いてくれることには感謝しかないが、今までみたいに好き放題イチャつけないのでストレスは溜まる。
2020-01-30 08:18:55「んなツラすんなって」 ジイさんがキッチンへ戻った隙に、おれの頬へ素早くキスをしてきつねが笑った。 (……後で倍返しだ) その髪をくしゃっと撫で、決意を胸に笑い返せば。驚いたように瞬いた蒼い目がとろんと潤んだ。
2020-01-30 08:18:55「……なんかお前、最近ちょっとかっこいいな」 調子狂うぜ、と俯くきつねの顎を取る。 「まだまだ、こんなもんじゃねェぞ」 おれは強くなる。 誰にも負けないかっこいい親父になる。 愛する男と、その腹ですくすく育っている、五つの新しい命のために。 (おしまい)
2020-01-30 08:18:55#ZS島 #a103zs #a102zs 「そんなワケで、しばらく騒がしくてごめんな」 「ん〜夜ならいくらうるさくてもいいのによォ」 ふたりで菓子折を持って工事の挨拶へ行くと、隣の悪魔は面倒臭そうに頭を掻いた。 「あっそうだ!てめェどうせヒマだろ?来月からおれの店手伝えよ」 「あァ!?」
2020-01-30 15:26:59サンちゃんのバイト先はリエさんとこのパン屋さんにお世話になるかも…??知れないです😊またゾサ島に同棲することになる序章の話と一緒にちょこっと漫画かけたらいいなーっておもってます。ぼちぼちやっていきまーす✌🏻 #ZS島 #d302zs #a103zs
2020-02-02 20:44:38#ZS島 #a103zs #a102zs #d302zs 求人とエロいおっさん pic.twitter.com/fm2YlnFTPU
2020-02-04 09:45:06そういやあんまり公にはしてない(たぶんkむさんしか知らない)んだけど、うちのゾはピアス穴だけなんですよ…ゾサ島に越してくる前、金欠すぎて質に入れてしまったという過去が #ZS島 #a103zs
2020-02-06 10:44:53@rie_tkm やったぁぁぁぁ〜〜 久々🦊ちゃんたちだぁ〜〜!! リエさんありがと〜!!(思わず描いた) pic.twitter.com/aA0bNjm0oO
2021-07-30 22:38:36