抜粋)『神経性やせ症の身体的残遺症状』鈴木眞理「精神科治療学」30(6) : 773-777,2015

2020-05-27 15:44:35

拡大

本垢は基本メンタル垢ですので、時事ネタ以外はオブラートに呟くようにしておりますが、はっきりさせておかなければならないことに関しては、その旨呟きます。以下の連ツイの参照元は、『神経性やせ症の身体的残遺症状』鈴木眞理(「精神科治療学」30(6) : 773-777,2015)です。

2015-06-28 17:29:51

神経性やせ症患者では低栄養ややせに伴い、低血圧、徐脈、低体温、皮膚のカロチン症、うぶ毛の増加などの身体症状や、骨髄抑制と汎血球減少、低蛋白・アルブミン血症、肝機能障害、低血糖、脂質異常症などを認める。これらは栄養状態が改善すれば正常化する。#摂食障害

2015-06-28 17:40:28

自己嘔吐や下剤・利尿剤の乱用患者では、カリウム、クロール、ナトリウム、カルシウム、マグネシウムの低下などの電解質異常や偽性バーター症候群や腎機能障害を合併することがある。しかし、排出行為が消失すれば正常化する。#摂食障害

2015-06-28 17:47:58

飢餓状態にある生体の合目的防衛機能として、エネルギー消費を節約するために血清トリヨードサイロニン値は低下する。血清インスリン様成長因子(IGF-I)は低下する。ACTH-コルチゾール系の異常を認める。血清レプチン値は低下している。これらの内分泌異常も体重増加によって正常化する。

2015-06-28 17:56:18

神経性やせ症が治癒しても後遺症になりうる身体的合併症について。#摂食障害　 ①低身長　やせが遷延して骨端線が閉鎖してしまうと最終身長は推定最終身長より低くなる。BMI(body mass index)＜16kg/㎡の期間はIGF-Iの分泌が不十分な期間なので1年以内に短縮したい

2015-06-28 18:08:35

②骨密度低下と骨粗鬆症、骨軟化症　#摂食障害　骨密度の低下は迅速だが、回復は緩徐で、体重と月経が回復しても５年後の骨密度が正常域に達しないことがある。骨密度の変化が正に転じるのは、BMIが16.4±0.3kg/㎡で、BMIがこれ以下では骨密度はさらに低下する。

2015-06-28 18:15:55

骨形成因子のIGF-Iや骨吸収抑制因子の血清エストロゲンはBMIや栄養状態に比例して増加することから、本症の骨密度の低下の予防と治療は体重増加である。　#摂食障害

2015-06-28 18:19:47

③性腺機能低下症と妊孕性　#摂食障害慢性の低栄養は視床下部性の性腺機能低下症を惹起する。下垂体の性腺刺激ホルモンの基礎値は低下し(LHがより抑制)、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)刺激試験でも反応が低下し、女性では血清エストラジオール(F2)、男性では血清テストステロン

2015-06-28 18:26:50

が低下する。性腺刺激ホルモンと性ホルモンは体重増加に伴って回復する。体重が回復すれば妊孕性も回復すると推測できる。一方、本人に挙児希望があっても、低体重で妊娠させることは母子ともにハイリスクで、妊娠中の母体の低体重や低栄養は流早産、低体重児、未熟児、帝王切開の合併率を高くする。

2015-06-28 18:38:45

④歯肉障害　#摂食障害自己誘発性嘔吐を伴う摂食障害は、胃酸の作用によりエナメル質が脱灰される酸蝕症やう蝕が多い。【嘔吐後は真水でうがいをして口腔内の酸性度を緩和し、３０分以上経過してから研磨剤が含まれていない歯磨剤で歯磨きをする。摂食障害の知識のある歯科医を定期受診する。】

2015-06-28 18:47:41