ブレーン出版 2006.9.10 誰かの役に立ちたいという価値は、セルフ・ケアに関する価値を軽視する理由(「そのために自分の健康を犠牲にしてもよい」)にはならない。
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手話通訳者の抱えるストレスについては、よく知られている。  以下、『アクセプタンス&コミットメント・セラピーの文脈』武藤崇編著(ブレーン出版 2006 ) 第12章 職場でのストレスに対するACT : 手話通訳の領域にみる新たな支援の可能性 吉岡昌子 から抜粋。

2015-03-18 13:06:06
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全日本ろうあ連盟(2004)の報告によると、手話通訳を必要とする聴覚障害がある約5万人に対して手話通訳者は約3600人しかいない。下図は、ストレス症状と発生に関する問題。(前掲書p.242) pic.twitter.com/sFIt72ZVU3

2015-03-18 13:17:49
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上肢の痛み、うつ、イライラは、頸肩腕障害や蓄積性外傷疾患と呼ばれ、手話通訳者の職業病として、1990年に労災認定された。また心理的傾向については、障害児学校の教員や小学校教師も同様の傾向を示すことから、自己奉仕的な側面の強い職業に就く人々の特性かもしれない。

2015-03-18 13:25:50
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すなわち、 高いレベルのストレスを抱えているにもかかわらず、労働意欲は低下しない。バーンアウトや離職の問題も含め、これらは対人援助職におけるストレスの典型的な傾向である。

2015-03-18 13:29:59
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手話通訳は他の対人援助職よりも職制の確立が遅れており、教育課程やスーパーバイズなどの資源にも大きな改善の余地がある。

2015-03-18 13:34:23
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より深刻な問題として、マイノリティの人々へのスティグマや偏見が露見する事態への頻繁な接触がある。そこで喚起される困難な私的事象を体験しながら、個人が効果的に機能し、職業上求められる中立性を保つには、どうすればよいかという問題である。

2015-03-18 13:39:06
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Harvey(2003)は、手話通訳者のこの日常的な困難を「共感的な痛み(empathetic pain)」とメタに捉え直した。

2015-03-18 13:45:09
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共感的な痛みとは、ろうのクライエントがフェアではない扱いを受けた時に、それを見た手話通訳者が、自分に起こった出来事であるかのように、苦痛や怒りを感じる、あるいは自分が過去に体験した同様の記憶が喚起されるといった私的な体験を示す。

2015-03-18 13:47:12
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「極度の心身の疲労にもかかわらず、労働意欲が低下しない」という心理傾向は、ACTの価値に沿ったコミットメントと言えるか。おそらく、答えは否である。誰かの役に立ちたいという価値は、セルフ・ケアに関する価値を軽視する理由(「そのために自分の健康を犠牲にしてもよい」)にはならない。

2015-03-18 13:54:47
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加えて、他者を大切にするには、自分の健康のケアも不可欠である場合が多いだろう。

2015-03-18 13:57:51
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社会貢献や他者との関係性における価値だけが追求され、他の生活領域の価値が放棄された状況は、心理的非柔軟性の一側面として捉えられる。 手話通訳者が他の価値を求めることを妨げるバリアは、二つある。

2015-03-18 14:03:53
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一つは、労働環境などの外的なバリア。自分の疲労を我慢して通訳するか、休む代わりにクライエントをコミュニケーションの輪から孤立させるかという究極的な選択を迫られることも多い。

2015-03-18 14:05:33
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もう一つは、社会的随伴性の影響である。自己犠牲的な他者への奉仕は、美徳として社会的に評価されることが多い。そうした聞き手の賞賛は、それに反する行動(たとえば、疲労回復を優先して、休憩をとる)の生起を妨げることが予測される。

2015-03-18 14:10:01
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手話通訳者などの、ストレッサーに曝されるリスクの高い職業において、専門家としてサービスを提供するには、マインドフルネスやウィリングネス、価値に沿ったコミットメントに関するスキルを職業的資質として、高めておく必要があると吉岡は言う。

2015-03-18 14:16:03
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✄---------- 以上、個人が痛みとどのような関係を築くかについての事例研究でした----------✄

2015-03-18 14:19:39