なんやかんやあって江澄や師姐を養うために自ら性器を切り落として宦官になった魏嬰が、宦官は奸邪であり国家に巣食う蛆虫と教えられてきた官吏の藍湛(皇帝の教育係を務めるような名門出身)と宮廷で出会い、なんやかんやあって忘羨になるまでの妄想ツイ。魏嬰だけでなく藍啓仁も宦官になるので注意!!
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地獄のホテルにお熱なkirishima(🇮🇳🇨🇳沼と🇰🇷ミュ20↑shipper @hananinakuguis7

「妥当な判断ですな。不作や飢饉で志望者が増えると、宮廷に採用されず、世人から蔑まれる身体を抱えて絶望のあまり自死する者も出ると聞く。二人の人間の人生を背負わんとする貴方にとっては、危険の大き過ぎる賭けだ。元帥は勝負師ですが、公算の低い博打はしない」「流石だな。俺をよくわかってる」

2021-11-03 16:02:58
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まあ飲めよ、こんな話は素面じゃとてもできないからな! と副官の杯に酒を注ぐ魏嬰に見とがめられる事がないよう、意識して呼吸を一定にする藍先生。「都入りしてすぐ宦官募集の立て看板を見たのさ。火器や攻城兵器に詳しく、改良に携われる知識のある者という文言と一緒に破格の条件が記してあった。

2021-11-03 16:21:59
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俺は武官を目指していたから当然兵器の知識はあるし、何なら試作品を作った事もあった。師弟を私塾に通わせて科挙の受験費用の一切を賄い、なおかつ師姐の婚資を蓄える事も夢じゃないと思えるような待遇を見れば、迷う余地なんてない。宦官希望者は刀子匠の所に行って手術をしてもらうと聞いたが、

2021-11-03 16:33:14
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保証人は要るし莫大な借金を背負う事になるしで、本末転倒だ。だから刀子匠のところに押しかけて、助手の真似事をしながら処置を覚えた。良く切れる刃物と煮えたぎった油、蠟の棒さえあれば――そして気絶さえしなければ、誰の手を借りずとも事は成る。適当なあばら家を見つけて俺は陽物をぶった切った。

2021-11-03 16:55:34
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とまあ、そこまではよかったんだが…」「無理無茶無謀の三無羨はその頃から健在というわけですな。これは純粋な疑問なのですが、藍啓仁に我が身を厭え等とどの口で仰るので?」「…お説教はその辺にして天子笑を味わえ、な? 美酒があれば世はすべて事もなし!」副官の溜息と魏嬰の笑声を聞く藍先生

2021-11-03 17:35:20
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「運の悪い事に俺が見つけたあばら家は浮浪児たちの常宿でな。かわいそうに、お勤めから戻った子どもたちは局部に蝋を差した血まみれの男を見て絶叫した。悲鳴を聞きつけた温情が来てくれなかったら、冷静に処置ができたかどうか怪しいところだ。俺も気が動転してたし」「貴方はよくご自分を強運と口に

2021-11-03 18:02:12
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されるが、辞書を引き直した方がよろしいのでは?」「何故? 温情を引き寄せたのは俺の強運だろ」「もう何も言いますまい…。時を戻せても同じ道を選ぶ。だがそれは悔いがないのと同義ではないと貴方は言った。その心をお聞きしても?」しばしの沈黙の後、ぐびぐびと杯を干しカン、と地に置く音が響く

2021-11-03 18:09:25
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「…まとまった金を定期的に送れるようになったのはよかったんだが、その…師姐にも師弟にも俺の居所や職の事は話してなくて…」「大方遠くで元気にやっている等という読み手が欠片も安心できぬ一筆を添えて、多額の送金だけしていたのでしょう? 便りを待つ方は生きた心地がしなかったでしょうな」

2021-11-03 19:51:59
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「…怖かったんだ、儒学を叩きこまれてきた師弟が宦官になった俺を見てどんな反応をするのか。俺はこんな身体になる前は結構な偉丈夫で、仕官すれば将軍も夢じゃないと言われてた。今じゃ天下に悪名を轟かせる宦官で、あいつの前途の妨げにしかならない。でも会わなければ、真実を話さなければ、俺は

2021-11-03 20:04:20
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双傑になる約束をした、あいつの師兄でいられるだろ? …あいつが科挙に合格したとき、観念して打ち明けるべきなのはわかってた。でも、どうしても話せないまま…その…殿試の結果発表の場で再会する事になって…」「顔を見せず大金だけ送ってくる師兄を案じながら進士登第を果たしたら、当の師兄は

2021-11-03 20:54:02
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宦官となり皇帝に近侍している…。貴方の師弟は心臓の弱い者では務まりませんな、副官もですが」やけのように酒を煽った後、ぱたんと地に倒れる音がする。「世界を粉々に砕かれたみたいに硬直してるあいつを見て、そんな顔をさせる道しか選べなかった事を、誓いを果たせなかった己の無力を悔いた」

2021-11-03 21:35:34
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魏嬰の滴るような悔恨の念に胸が苦しくなるのは気のせいだと、自分に言い聞かせる藍啓仁。再びぱたりと衣が地面を打つ音がして魏嬰の忍び笑いが響く。「オイオイ、戦場でもないのに地べたに寝そべるなんてお行儀の良いお前らしくないな。どうした?」「元帥の真似です。宦官と並んで横になり、地下牢

2021-11-03 22:05:22
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の天井をともに眺める日が来る等と一年前の私に言う者があったら正気を疑ったでしょうな。…この世はまったく計り知れぬ」副官の湿った声と衣擦れの音。「…お前、もしかして泣いてるのか?」「貴方の目は節穴ですか。断じて違います」「…まあ、そういう事にしておいてやるよ」「…宦官となった貴方を

2021-11-03 22:05:23
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師弟殿は軽蔑しましたか?」「…いいや。お尋ね者でもないのに顔を見せなかったのは何故だと泣かれたよ。仕事の内容を明かさず大金を送っていたから、賊にでもなったかと大層気を揉んだらしい」「よかった…。藍啓仁のごとく糾弾してきた等と言われたら、その者を特定して殴りに行くところでした」

2021-11-03 22:23:45
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「ふはッ、過激だな。…あいつは宦官の俺を受け入れようとしてくれてる。それでも俺は自分の高い声や貧相な身体をどう思われてるのか不安で、小便臭くないか衣を嗅いで確認せずにはいられない。宦官にさして思うところのなかった俺でさえこの有様だ。藍先生みたいな人が宦官になったらどうなる?」

2021-11-03 23:48:56
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「後悔と無縁とはいきますまい。藍氏は厳格で例外を許さない。宦官となった宗主を受け入れる度量が彼らにあるとは思えませぬな」「それな…」「ですが元帥、これはあくまで藍啓仁の問題。貴方が心を痛めるような事ではない」「…わかってるけど先生は悪い人じゃないし、不幸になるのは見たくないよ」

2021-11-04 00:23:59
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もともと大きくはなかった己の容量を遥かに超える密度と量の情報をいっときに摂取してしまい、思考が空転して一睡もできない叔父上。自分が信じてきた三千条の掟と叩き込まれてきた儒学の知識に照らし合わせて魏嬰の行動の正否を、そして魏嬰が違う選択をした場合に直面したであろう現実の重さを

2021-11-04 09:07:37
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一瞬たりとも考えずにはいられない藍啓仁。自分が彼の立場だったら、義姉の婚資を稼ぎ、義弟を科挙に送り出す等という離れ業は到底できないだろう。月に手をかけようとするようなものだ。人脈もなく財もなければ経験もない若年の子どもが、これだけの事をやってのけるのを異常と言わずして何と言う?

2021-11-04 09:17:18
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穢れを知らぬ幼子のような寝息と、ぱさりと毛布をかける音。「……師姐、江澄、」むにゃむにゃと呟く魏嬰の声にお前の師弟は殿試(皇帝が直々に行う最終試験)で探花(三位)をとった江晩吟か! と衝撃を受ける叔父上。この兄にしてこの弟あり「おやすみなさい、元帥。貴方が良い夢を見れますように」

2021-11-04 09:37:53
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答えの出ない難問を考え続けたせいで三日ほど寝込む叔父上。心配した魏嬰が看病の合間に温情を牢に引っ張ってきてようやく快復の兆しを見せるが、そのときには藍啓仁が収監されてから五日が経過しており、あと一晩眠ったら先生が宮刑の日を迎えてしまうという状況にあせってちらちらと叔父上を窺う魏嬰

2021-11-04 11:18:17
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「魏無羨、言いたい事があるなら言え」「藍先生の気持ちが変わらないなら、手術の方法やどんな危険が待ってるか説明すべきだと思ったんだが…その、どうする、先生?」酸っぱいものでも食べたような顔をして、できる事ならこんな説明したくないというオーラをありありと醸し出す魏嬰を首肯して促す先生

2021-11-04 12:06:36
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男根を切り落とした後の過程や運悪く死ぬ確率、一生抱えていく障害や宦官の待遇など、知っておいた方がいいと思った事すべてを一切の感情を交えず話していく魏嬰に圧倒される藍啓仁。「――あとこれは先生に一番覚えておいてほしい事なんだが、陽物を切り落とす前に執行人が必ずかける言葉がある」

2021-11-04 12:20:39
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魏嬰の声がぞっとするほどの真剣みを帯び、身体が強張る叔父上。「"后悔、不后悔"、後悔しないかって聞くんだ。そこで否と答えれば刀子匠は得物を置く。悔いはしないと答えれば、決して後戻りできぬ道に足を踏み入れる事になる。裏を返せばその言葉を口にする瞬間までは、あんたは道を選べるんだ」

2021-11-04 13:29:07
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止まらず、これから起こる事への恐怖とトラウマで指先が冷たくなるのを感じる魏嬰。この瞬間だけ――自分への形ばかりの謝罪が済み、騒動が落着するまで――でいいからと、天帝に叔父上の変心を願わずにはいられない。もともと悪感情がなかったところに七日間ともに寝起きした事で、完全に先生に情が沸く

2021-11-04 13:55:52
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阿片を服用し、台の上で半臥の姿勢になって仰向けになる藍先生の胴を助手の一人が晒し木綿を使って腰骨の上あたりできつく縛り、もう一人が両脚の付け根を肉がえぐれるほどかたく括っていく。刀子匠が鎌を火鉢の燠で消毒しているあいだに、止血帯を完成させた助手が丁寧に藍啓仁の股間を洗い清める。

2021-11-04 14:37:49
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檻の向こうで、焼けた鎌を下げた刀子匠が叔父上の足元に立つ。「后悔、不后悔――悔いはしないと天帝に誓えるか?」瞳を閉じて深呼吸した先生が瞼を開け、今この時まで見えていないかのようにふるまっていた魏嬰とほんの一瞬、目を合わせる。様々な感情が渦巻く先生の視線の意味を計りかねて、戸惑う魏嬰

2021-11-04 15:18:38
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をよそに刀子匠と向き合った叔父上が叩きつけるように宣言する。「この天に誓おう――不后悔!!」藍啓仁を羽交い絞めにする弟子たちの腕に力が入り、温床の裾にうずくまった刀子匠の刃が一閃する。肉の焼ける臭いが鼻を刺し、火柱のように激しい悲鳴が耳を聾して、棒立ちになる魏嬰だが、藍先生が気絶

2021-11-04 15:39:57
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しかけているのを見て、牢に飛び込み平手を浴びせる。「いま気絶したら傷が膿んで死ぬぞ、先生ッ! しばらく歩いて悪い血を出すんだ! ――この人は俺が歩かせとくから、あんたらは切ったモノを処理してくれ」真っ白な紙で被われ、処置された傷口から滴り落ちる鮮血が冷たい石の床に幾重もの弧を描く。

2021-11-04 15:50:32
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副官を呼び寄せて叔父上を牢から出し、両脇から肩を支えて部屋のぐるりを歩かせながら、かつての記憶が蘇って唇を噛みしめる魏嬰。この人は別の道を選べたはずだ。何故だ、どうしてこんな事になる?! 藍先生の顔を見たら自分が何を言うかわからないので、牢の中で立ち働く刀子匠や弟子たちに視線を

2021-11-04 15:59:19
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固定する魏嬰。弟子の一人は切り取ったモノを盤子に浸して洗うと布で水気を拭き、火鉢の上にかけた油の煮えたぎる容器の中に放り込む。揚げ物のにおいがあたりに立ち込め、泣きそうになる魏嬰。モノを揚げるのは自分たちが息絶え、葬儀を執り行うその瞬間までしっかり保存するためだ。死んだ時は棺に

2021-11-04 16:06:15
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ちゃんとそれを収めて、来世で雌の騾馬に生まれ変わる事がないようにする。来世で何になろうが構うものかという魏嬰のような手合いも、験宝といって仕官や昇進、配置換えの度に上司から身分証明として求められるので、吐き気をこらえて防腐処理を施したのだった。自分の肩にもたれているこの貴人には、

2021-11-04 16:15:33
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もう宦官として生きる以外の道はない。ならせめて先生が世を儚む事がないよう、命を繋ぎとめてよかったと思えるように力を尽くそうと決める魏嬰。術後の三日間は尿が詰まったり傷が開くのを避けるために水が飲めないので、渇きと傷の痛みのために地獄を味わう事になる。とりあえずこの三日を乗り切る!

2021-11-04 17:19:49
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三時間ほど藍先生を歩かせた後、刀子匠や弟子たちが撤収して殺風景になった牢の中に導き、施術の際に利用した寝台の上にそっと降ろす魏嬰と副官。魏嬰は意識をなくした叔父上の両手両足を晒し木綿で寝台に括りつけ、副官に余った布を渡して猿轡をするよう指示。「…元帥は藍啓仁が自害を試みると?」

2021-11-05 15:36:39
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「…術後は身体を地獄の釜で茹でられてるみたいな感じなのに、三日は絶対に水を飲めない。激痛と渇きで頭がおかしくなって発作的に舌を噛むって事もなくはないだろ?」防腐処理済みの藍先生のモノが入ったガラス瓶や陶器の茶碗、鉄箸や硯といった凶器になりかねないものを牢の外に出していく魏嬰。

2021-11-05 15:57:28
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「鼻腔は塞ぐなよ。窒息したら元も子もない。顎をしっかり固定して、上下の歯と唇で舌を閉じ込めるように縛ってくれ」「元帥、貴方に意識のない者を窒息させる事無く、自害を確実に防ぐ猿轡のやり方を教えたのは誰だと思っているんです?」「悪い、孔子に論語だったな」頬をぽりぽりと掻く魏嬰をじっと

2021-11-05 16:45:26
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見つめる副官。「貴方は不安な時ほど無駄口が多くなる。この三日を藍啓仁を死なせず乗り切る事ができるか、案じておいでなのでしょう」藍先生を縛める布の強度を確認していた魏嬰の手がぴたりと止まり、微笑む副官。「私と貴方で戦場からどれだけの人間を連れ帰ったとお思いで? 藍啓仁ひとりの命など

2021-11-05 17:03:01
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物の数ではありますまい」「…そうだな、お前の言う通りだ」小さく笑って魏嬰が肩の力を抜いたそのとき、藍啓仁の瞼が開いて、生きながらにして食われている手負いの獣のような咆哮が間断なく牢に満ちる。顎を突き上げて身も世もなく暴れる叔父上を縛める晒し木綿の布に擦過傷による血が滲んでいくのを

2021-11-05 17:16:57
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見て、寝台に乗り上げ渾身の力で抱きしめ、動きを封じる魏嬰。「藍先生、俺がわかるか? もう手術は終わったよ。…ッ! 痛いよな。苦しいよな。喉が真っ昼間の砂漠みたいにカラカラで、頭がおかしくなりそうだよな。くっ…でもこれから三日は、あんたに水を飲ませるわけにはいかないんだ」文人とは

2021-11-05 17:37:32
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思えない力で暴れる藍啓仁を身体で受け止め、服の下に打撲痕を増やしていく魏嬰に副官がたまらず声をかける。「元帥、私が代わりに、」「引き付けを起こしてるやつを宥めるのはコツがいるんだ。俺は慣れてるから平気だ!」「気絶させますか?」「だめだ! 身体が氷みたいに冷たい。うまく熱をつくれ

2021-11-05 18:38:51
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なくなってるところに、眠ってさらに体温が下がったら駄目押しだ。お前は火鉢の炭を継ぎ足して、ありったけの温石をつくってくれ! くそっ、なんて力だ…ッ! 藍氏の始祖は僧侶と聞いたが、大猩々(ゴリラ)の間違いだろ?! あだっ!」頭突きをされても決して叔父上を離さず、逆に額をつけて目を

2021-11-05 19:06:13
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合わせる魏嬰。「…よしよし、ごめんな。俺が悪かった。そんなに怒らないでくれよ、先生。大丈夫、大丈夫だ…今は溺れてるみたいな心地でも、ちょっとずつ息をするのが楽になるからな」副官から布で包んだ温石を受けとり、叔父上の冷え切った両手に握らせると、上から自分の手でしっかり包み込む魏嬰

2021-11-05 19:56:30
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術後二日目の朝、喉の渇きや激痛の他には何も考えられず、手負いの獣のように暴れていた藍啓仁が理性を取り戻す。スキンシップの概念がない生粋の藍氏である叔父上は自分をきつく抱きしめて眠っている恥知らず/魏嬰を引き離そうとして、自分の両手が布で縛られている事に気づき、文句を言おうとして

2021-11-05 20:54:23
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猿轡にむせる。身体をよじって抗議を表明する叔父上に魏嬰がゆっくりと瞼を開ける。「先生、意識が戻ったんだな。今外すよ」笑みを浮かべて自分の身体の拘束を解いていく魏嬰の顔や首にできたばかりの擦り傷や打撲痕がある事に気づいて、目を瞬かせた藍啓仁に着替えや清潔な布や温石を持ってきた副官が

2021-11-05 22:02:29
地獄のホテルにお熱なkirishima(🇮🇳🇨🇳沼と🇰🇷ミュ20↑shipper @hananinakuguis7

鼻を鳴らす。「魏元帥の顔や首にある打撲や擦過傷は、痛みと渇きに正気をなくして暴れる貴殿が己の身を傷つける事がないよう、取り押さえている間にできたものです。礼を欠く、不適切だと彼の行いを詰るのは自由ですが、その際は私がふたたび猿轡で貴殿の口を不自由にしますので、お忘れなきように」

2021-11-05 22:26:05
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とてつもない渇きと激痛と筆舌に尽くしがたい喪失感に苛まれて、反射的に行き場のない怒りを魏嬰にぶつけようとしていた叔父上は副官の絶対零度の視線に言葉を失う。"この人に当たり散らしたら殺す"と目だけでパーフェクトコミュニケーションをかます副官と、そんな二人に気づく事なく、叔父上が暴れた

2021-11-06 00:28:57
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際につくった擦り傷や打撲痕の一つひとつに薬を塗っていく魏嬰。彼に何をしてやったわけでもない自分にどうして魏嬰がここまでするのかわからず戸惑う藍啓仁。「…お前は私に何の義理もあるまいに、どうしてここまで骨を折る。私を哀れんでいるのか?」「哀れむなんてとんでもない! 正直、俺はあんた

2021-11-06 00:46:14
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を泥にまみれてあがくやつを雲の上から裁く手合いだと思ってた。貴人ってのはそういうもんだし、それに対していちいち思う所なんてない。天界と地上では秤も違って当然だからな。…でも、あんたは俺の想像してた人じゃなかった」お前も私の想像の斜め上を宙返りするような人間だったとは言わない叔父上

2021-11-06 01:03:36
地獄のホテルにお熱なkirishima(🇮🇳🇨🇳沼と🇰🇷ミュ20↑shipper @hananinakuguis7

「俺はどうしても叶えたかった願いのために取引をして此処にいる。でもあんたは自分の信じるもののために雲の上から飛び降りて、泥に浸かって生きる道を選んだ。俺は尊敬に値する人間には尽くす男なんだ」宦官に尊敬されて胸を張るのは佞臣であり君子ではない、そんな台詞を口にする資格を自分は永久に

2021-11-06 10:40:13
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喪った。強烈な渇きと全身を苛む苦痛と、心臓を奪われたような喪失感に耐えながら、宦者になるとはこの重荷を背負って生きて死ぬ事なのだと震撼する藍啓仁。自分をよく研いだ刃のような鋭さで見つめる副官を睨み返そうとしたとき、落雷のような劣等感が叔父上を襲う。聶兄が帝位に就いてから宮廷は尚武

2021-11-06 11:19:57
地獄のホテルにお熱なkirishima(🇮🇳🇨🇳沼と🇰🇷ミュ20↑shipper @hananinakuguis7

の気風を帯びるようになったが、それでも長年の文官優位は変わらず、叔父上は今まで武官に劣等感を覚えた事はなかった。副官の頑健な体躯、魏嬰と問答をする低い声、無骨な腕を視界に入れたくないと思うのは何故か考え、ひゅっと息が止まる叔父上。自分はもう男ではなくなった。力は萎え、髭も抜け落ち

2021-11-06 11:41:37
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まとめたひと
kirishimakagura(🇮🇳🇨🇳🇰🇷ドラとミュ好き20↑shipper @hananinakuguis7

虎に翼、RRR、hzbn、red book/銀河鉄道の夜(🇰🇷ミュ)マイディアミスター/ストーブリーグ、legally blonde/newsies/hamilton(Bway)山姥切長義にマウモア、魏無羨と温氏残党。マロmarshmallow-qa.com/kirishimakagur…