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近鉄21000以来の車両のニュースクール・デザインの本質について
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川西 康之 Yasuyuki KAWANISHI @ICHIBANSEN_YK

JR西日本やくも号新型車両273系のデザインは私一人の仕事ではなく、JR西日本や近畿車輛の皆さまのおかげです。車体も元は北陸線681系以来の設計を引き継いだもので多くの箇所が変更不可でした。私どもは関係者との対話で、整理整頓と最後の味付けと配膳をしただけです。 近鉄新型一般車両も同様です。 pic.twitter.com/Pc55Eh0srb

2024-04-20 23:44:03
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靖間 誠 @SEI_YASUMA

実際の所、検査設備の都合とか機器設計の都合とか積み重ねていくと、そう簡単には変えられないだろうなぁ。だからこそ、681の場合は試作車を造って長期試験を行い、検討を重ねて以後のスタンダードスタイルを確立した訳で。何にせよ実際にデザイン作業に当たられた方による貴重な証言。 x.com/ICHIBANSEN_YK/…

2024-04-21 14:45:41
靖間 誠 @SEI_YASUMA

国鉄の分割民営化後、JR東日本が651系(1988年)、251系(1990年)、253系(1991年)、JR九州が783系(1988年)、787系(1992年)、といった具合に国鉄形特急電車を多数抱えていた各社が看板となるオリジナル設計の特急電車の早期新造に踏み切る中、JR西日本の特急車新造開始はかなり遅れた。

2024-04-21 20:35:21
靖間 誠 @SEI_YASUMA

同様に遅れたJR東海が381系振り子式電車の後継開発に時間をかけたのと同様、JR西日本のこの遅れにも理由があった。北陸新幹線建設計画の過程で北陸本線該当区間において狭軌線路を敷設し在来線特急車を乗り入れさせて高速運転を実施する「スーパー特急」運転の構想があったからだ。

2024-04-21 20:40:00
靖間 誠 @SEI_YASUMA

このため、国鉄時代より続いて実施されていた湖西線での381系による高速運転試験に引き続き、自社初の新規設計系列となった221系を用いた高速運転試験も同線で実施するなど、狭軌の在来線で160km/h運転を実施する為のデータ収集や基礎研究が続いていて、それが完了するまで特急車新造はお預けだった。

2024-04-21 20:43:50
靖間 誠 @SEI_YASUMA

JR西日本にとって幸運な事には、この時期に高速運転を容易にする三相交流誘導電動機によるVVVF制御の技術開発が進んで、分割民営化直後の5年間に造られた各社の特急車群から明らかに1世代進んだシステムを新特急車に採用できた。

2024-04-21 20:46:14
靖間 誠 @SEI_YASUMA

それでもJR西日本は慎重に開発を進めた。207系0番台試作編成(1991年)でまずVVVF制御そのものを新規導入、ここではスイッチング素子をまだ安定しないGTOサイリスタ単独とはせず産業用パワートランジスタと組合わせての3レベルインバータ構成とするなどしている。

2024-04-21 20:52:41
靖間 誠 @SEI_YASUMA

そして1992年初夏、681系先行量産編成9両は完成した。1C1M方式のVVVF制御により大出力電動機(WMT101。定格出力190kW)を駆動し、軽量かつ高速安定性に優れた軸梁式ボルスタレス台車(WDT300・WTR300)を履き、近鉄21000の影響が見受けられる連窓構造を採用した鋼製流線形車体を備えた完全新作である。

2024-04-21 21:01:41
靖間 誠 @SEI_YASUMA

なお軸梁式ボルスタレス台車はJR西日本として初採用となったが、このタイプは681の開発に参加した川崎重工業が1986年に自社で製造した山陽電鉄5000系5012Fに試作のKW-73・74を装着、約4年に渡る過酷な運用試験(山陽は急曲線連続で耐久性や転向性能の格好のテストコースであった)を実施していた。

2024-04-21 21:06:11
靖間 誠 @SEI_YASUMA

こうして落成した先行試作編成を試験走行や臨時「雷鳥」などに充当して使用実績を積み重ねる事で得られたデータにより、構成部品、機器、車体設計と検討・改良・改設計を3年に渡って行った末、1995年2月に至って漸く681系量産車は完成した。その間、JR九州では新形特急車が3世代目に入っていた。

2024-04-21 21:14:18
靖間 誠 @SEI_YASUMA

同じ年の1月に阪神淡路大震災が起きた為もあり、681系はその革新的な内容にもかかわらず、同年4月、同じ時期に新製され同じ様な機器構成を採用した223系1000番台が、新快速に充当され震災復興の象徴の様に扱われ注目される中で「スーパー雷鳥(サンダーバード)」として割と静かにスタートを切った。

2024-04-21 21:23:30
靖間 誠 @SEI_YASUMA

思えば681系の目立たない、ある意味不遇とも言える経歴はこの時始まっていたのだった。本系列開発の本来の目的であった北陸新幹線のスーパー特急方式による暫定開業の方針は本系列の量産が本格化した1996年に一転、長野ー上越間のフル規格化が決定、本系列の未来に暗雲が垂れ込める事になる。

2024-04-21 21:30:44
靖間 誠 @SEI_YASUMA

この北陸新幹線のフル規格化方針は段階的に東から決定され、2001年には上越 - 富山間、2004年には富山-金沢が決定、もうこの時点で681系を用いたスーパー特急運転の目は事実上無くなっていた。

2024-04-21 21:37:36
Kouchan. @Lamp_kun_

過去のツイートでJR西日本の車両設計に関するHPを見つけてました。 公式がここまで教えてくれてくれるのは中々貴重かもしれません。 twitter.com/Lamp_kun_/stat… x.com/SEI_YASUMA/sta…

2024-04-21 21:43:43
Kouchan. @Lamp_kun_

2000年のJR西日本HPに分割民営化~99年までの車両設計の考え方などが掲載されているページを発見しました。 web.archive.org/web/2000101112…

2023-11-12 17:54:50
靖間 誠 @SEI_YASUMA

実際、それを裏付けるように2001年から老朽化した485・489系の置き換え用として量産が開始した681系後続の特急車である683系では、基礎ブレーキを始めスーパー特急運転に必要な装備が準備工事に止められ、その殆どは遂に本工事されないままに終わっている。

2024-04-21 21:44:28
靖間 誠 @SEI_YASUMA

だが不幸中の幸いというか捨てる神あれば拾う神ありと言うべきか、高速化の神様はあれほど高速化技術の開発に努力してきた681系を見捨てなかった。北陸新幹線の既設区間と上越新幹線をバイパスする第三セクター鉄道である北越急行が1997年に全線開通、高速運転実施に名乗りを上げたからだ。

2024-04-21 21:45:16
靖間 誠 @SEI_YASUMA

北越急行は自社発注で681系2000番台18両を新製導入、当初は最高速度140km/h、2002年からは160km/h運転を開始、かくして同社ほくほく線は681系の真価を発揮できる唯一の路線となった。そればかりか、その増備として683系を681系相当の性能機能とした、JR西日本にもない車を8000番台として9両導入した。

2024-04-21 21:51:15
靖間 誠 @SEI_YASUMA

思えばこのほくほく線での160km/h運転開始から北陸新幹線金沢開業の2015年までの13年間が681系の絶頂期であったという事になる。以後は先行試作車の廃車など徐々に凋落の一途を辿ることになった。、

2024-04-21 21:56:56
靖間 誠 @SEI_YASUMA

それでも、バブル期の贅沢の残り香が漂う接客設備は(コンセントやWiFiの整備はともかく)今なお古びておらず、以後のJR西日本特急車のハイレベルなスタンダードスタイルの確立を意図した開発陣の意図は達成されたものと思う。

2024-04-21 22:00:23
靖間 誠 @SEI_YASUMA

実際、以後のJR西日本の特急車では、直系の後継である683でも関空特急車281でもほぼ例外なくこの681系の設計の影響が非常に強いデザインとなっていると言えるが、それは非常に高い基準が予め提示されていて実際にそれと比べる事が出来るが故にそこから下げられないという事で、決して悪い事では無い。

2024-04-21 22:04:17
藤枝ゆうじ @_f205_11j

681系の接客設備ってアーバンライナーあたりにも通じるいかにも豪華さを狙いましたみたいな飛び道具を使わないオーソドックスな中での完成度の高さにあって、登場後四半世紀経ってなお飽きがこないというのが凄いと思うところ x.com/SEI_YASUMA/sta…

2024-04-21 22:30:19
靖間 誠 @SEI_YASUMA

@asakaze81 実際の所、「変える必要が無い」所をいじるのは三流の仕事だと思うんですよ。そういう既設設計をいかに上手く無駄なく生かして仕上げるかが一流の仕事というもので。

2024-04-21 22:42:47
軽トラ @ktran748

その前段、革命を起こしたのが近鉄ULであり。艤装面については明るくないですが内外装に絞って着眼すると。同じ近車主導ゆえ、他社の特急車群に比して鮮明にその影響を受けているのが281/681系なのかなとも思います。 x.com/SEI_YASUMA/sta…

2024-04-21 23:24:19
靖間 誠 @SEI_YASUMA

@ktran748 良くも悪くも681系は「JR西日本流に解釈し直し標準化したアーバンライナーの車体に同じくJR西日本流に標準化したVVVF制御を導入した車両」って立ち位置なんだろうなと思います。

2024-04-21 23:29:50
彩葉 @iloha_train

確かに、この273の窓枠の処理とか、681から始まった「近鉄UL由来の処理」がそのまんま続いてるもんなぁ。<RTs JR東とかだったら、金属のモールとか入れずにFRP一体形成品を嵌め込んで終わり!だろうし。 pic.twitter.com/Ne8pPorFLK

2024-04-22 00:11:35
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きょうた(鉄道考察+鉄道音楽廃人)@M3春キ-09bまた二展二階 @hiaudio

お恥ずかしながら、681系が“標準車両”のような意味合いを持つなど今の今まで考えもしませんでした。 しかし言われてみれば、その後のあらゆるJR西の特急形車両の礎になっており、結果的には間違いなく標準車両。それだけしっかり作り込まれたものだったということですね。 x.com/ICHIBANSEN_YK/…

2024-04-22 04:00:24
靖間 誠 @SEI_YASUMA

例えそれが、車両デザインの大革命となった先行事例(近鉄21000系(1988年))の内外装の強い影響下にあったとしても。新快速用221系の内装の基本とされた近鉄5200系(1988年)共々、良いモノを素直に取り入れその本質を自分の物にしたのは正しかったし、それが出来る度量がJR西日本にあったのは幸いだった。

2024-04-22 09:49:04
靖間 誠 @SEI_YASUMA

それが単なる上っ面の模倣に留まらなかった事は、今のJR西日本の新型特急車で681系以来死守されているデザイン要素が何かを検討すれば容易に理解できるだろう。恐らくは変わらない/変えられないそれらこそが近鉄21000以来の車両のニュースクール・デザインの本質、肝なのだ。

2024-04-22 10:09:11
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まとめたひと
ozero dien @ozero

都道10号線。おれもみんなもご安全に。