アベルは数秒ほど遺体を見ていたが、ようやく身体が動いたスーパーあめめにおい、と言われながら肩を叩かれ、ハッとしたようにスーパーあめめに身体を向けた。
2022-10-28 22:36:55「…アベル、助かった。ありがとな。」 スーパーあめめは照れ臭そうに感謝の意を伝えると、その姿を見てアベルは優しく微笑んだ。
2022-10-28 22:38:14そう言うアベルは躊躇いもせず、先程の血で汚れることが無かった槍を持っていない方の手で、スーパーあめめの頬に飛んだ血液を拭き取った。 pic.twitter.com/DlAbOXmJCh
2022-10-28 22:39:26人間を屠る所は見たい気持ちがあるものの、超月カグヤは二人が一々神だのなんだのと見せるくだらない寸劇に飽きてしまっていた。
2022-10-28 22:42:30どうぞお好きなように、二人で慈善活動に勤しめばいい。 ちゃんと人間を殺してくれるのならば、超月カグヤは思想も理由も制限する気が無ければ、否定するつもりだって無い。
2022-10-28 22:43:57第1話「昼の月でおやすみ」
席についてようやく気持ちは落ち着いたものの、まだ気持ち悪さは胃の辺りに居座っていて、何かを食べようという気にはなれなかった。
2022-12-10 23:31:30でも、ここまで来て何も注文しないというのも迷惑なものだ。 今の自分でも何か注文できそうな物を探し、それにピッタリな物を見つけられた善典は先程の女性ウェイトレスに早速注文したのだった。
2022-12-10 23:32:29「お待たせしました、こちら特製ブレンドのリラックスレモンローズティー…あ、」 善典の姿を見て、注文の品を運んできたウェイトレスはピタリと動きを止めた。
2022-12-10 23:34:23どうしたのかと振り向いてみると、そこに居たのは見覚えのある青年。 pic.twitter.com/QpQGuMbU2H
2022-12-10 23:35:09「あぁ、きみは…晴くん!」 「…どうも。」 話しかけてみると、晴は軽く挨拶をした後善典の前にそっとハーブティーセットを乗せた。
2022-12-10 23:36:55晴が疑問に思うのも当然だろう。 善典はいつもここで安眠系のハーブティーを注文するのに、今日は晴が知る限り初めてリラックス系のハーブティーを注文したのだ。
2022-12-10 23:39:20メニュー表に書いてある説明にも安眠効果については書かれていないし、こんな長ったらしい呪文みたいなメニューを店員や善典が言い間違えたとは考えづらい。 何かあったのか、と思いつつ晴はちらりと善典の顔を見た。
2022-12-10 23:40:23「あぁ、うん…。ちょっと、今は安眠のハーブティーよりも落ち着くハーブティーが飲みたくって…。」 善典はそう答え、自然に見えるように笑顔を作ってみたが…上手く笑えているだろうか。
2022-12-10 23:41:04そしてそのままローズティーに視線を移すと、ゆらりと揺れる赤茶色の液面を見て善典はそうだ、と晴に話したかった事を思い出した。
2022-12-10 23:42:53「あぁ、そうだ。前晴くんにおすすめしてもらったアプリコットブレンド特性安眠カモミールティー、美味しかったよ。ありがとう。」
2022-12-10 23:43:43昨晩飲んだカモミールとアプリコットのハーブティー。 あまり効果は無かったが、とにかく味は美味しかった。晴のおすすめするハーブティーのセンスは中々に良いものだと飲みながら思ったものだ。
2022-12-10 23:44:32図星を突かれ善典は思わず目を反らすと、晴からは「やっぱり」と返ってきて、隈が酷くなっていると指摘をされた。 …そんなに酷かっただろうか。
2022-12-10 23:46:43「…店長が新しく作ったって言ってた安眠のブレンドティー、レジ前に置いてるからそれ買ったららいいんじゃねーのか。」 善典が隈を気にしていると、晴はどこかぶっきらぼうにそう話した。
2022-12-10 23:48:36「本当?ありがとう、晴くん。買ってみるね。」 きっと、彼なりに心配してくれたのだろうなぁと思いつつお礼をすると、「客が増えてきたから」と話すと善典へくるりと背を向け立ち去った。
2022-12-10 23:49:15晴を見送りながら冷めないうちに、とローズティーに口をつけると、バラの華やかな香りが鼻腔いっぱいに広がり、その後にレモンの爽やかな酸味が駆け抜けてくる。 飲み込む度に気持ちが穏やかになっていくのが分かる。
2022-12-10 23:50:01