お題のやつでTwitterに投稿したもの そのうち140字以上のやつもまとめると思う
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悟史 @satoshi_imamura

冷えた手を熱い手で握られて。早鐘のごとく心音が聴こえるくらいに抱かれて私は緊張する。異性に抱きしめられるなんて初めてだ 玲瓏が苦しそうに逃げ続ける。彼に姫抱きにされた私は、背後から襲いくる龍に末期の誠葉をウタう この緊張すら愛おしいと思いながら私は玲瓏を助けるためにウタった

2023-01-09 23:17:19
悟史 @satoshi_imamura

美しい男だった 無造作に積まれた故郷の人々のそばで力尽き、火に飲まれていく思い出の土地を視界に納めていた俺の前に現れた男。不可思議な旋律をウタえば黒球が現れて、広がり、遺体を呑み込む その姿があまりにも色気があったので、俺は男に聞いた 「なぁ、お前が龍王?それなら想像より綺麗だな」

2023-01-09 22:35:39
悟史 @satoshi_imamura

恍惚と眺めてきたのは覚えがある 魅入られたかのように、深い闇夜よりも深いハボダの誠葉による現象をそれは見ていた 「飼い犬に手を噛まれた気分です」 部下の呟いた感想と同時に爆発音が響いた 「どうします?あれの自殺願望にお付き合いされますか?」 癪だが付き合うしかないと返した

2023-01-09 17:05:03
悟史 @satoshi_imamura

閉じたびいどろの中に、煌々と炎が揺れていた。触れても熱くなく、これは便利なものだと玲瓏は思う が、彼は思っただけで誠葉を行使した。途端にびいどろはぐにゃりと溶け地面へと落ちる 周囲には何に使うかわからぬガラクタたち 「これも遺言ですからなぁ」 誰に向けてか分からぬ独り言を彼は零した

2023-01-09 16:53:07
悟史 @satoshi_imamura

玲瓏の目の前には血溜まりに横たわる老人と、それを凝視している少年 「その方に、君を連合に保護してもらうよう頼まれました」 玲瓏が声を掛ければ、少年はぎこちなく振り向く 「君もわるいおとなに捕まってしまいましたなぁ」 少年の手足にびっしりと鱗が生えているのを玲瓏は見ないことにした

2023-01-08 21:40:19
悟史 @satoshi_imamura

天より出しものたちへ呪詛を捧げよう 天に刃向かうものたちに祝福を言祝ごう 眼下に跪く龍たちの古いウタがハボダへと届く。それに対しハボダは皮肉な笑みを浮かべた 「そのウタの意味を知らぬ龍よ、晦冥の名も知らぬのだろう」 この名は祝福される筆頭だった、との告白は届かずに暗闇が地上を襲った

2023-01-08 21:32:18
悟史 @satoshi_imamura

人を屠れば視線を感じ、町を燃やせば騒めく音がする。ならば誠葉で一欠片も残さず消滅させれば、かつて泳いだ宙の匂いを嗅いだ気がした 「今更だ」 自嘲すれば肩を崩壊に叩かれた衝撃思い出した。何をしても湧き出る古い記憶 「結局はお前に辿り着く」 やってきた日出がハボダの五感を刺激した

2023-01-04 19:20:17
悟史 @satoshi_imamura

強大な力、というよりもただ単に単純な攻撃であったのだ。力任せに、押しつぶすように、人など取るに足らない矮小な存在だと言わんばかりに。だからこそ玲瓏はウタう。灼熱を春風に、凍てつく雪を小雨に、そして新しい命を育む  それを驚く相手に彼は笑う 「無防備すぎたのが敗因でございましょう」

2023-01-04 19:08:12
悟史 @satoshi_imamura

話していて楽しい人であった。笑うと可愛らしく、けれど怒ると怖かった。ころころと変わる表情に、耳によく届く声に、未来を夢見るその瞳に、心が躍った だから 「そうでしたか、龍王軍が攻めてきたのですか」 かつて訪れた町が地図から消えた知らせに、玲瓏はツキリと心臓が痛んだ気がした

2023-01-03 12:55:36
悟史 @satoshi_imamura

興奮を隠しもせず、恍惚とした表情で魔法使いを嬲る龍の姿に、ハボダは溜息をつく 普段は若手の良き相談役な部下なのだが、特定の属性の魔法使い相手だとこうなる 恋仲だった相手と同じ属性なのだと知ってはいたが、それでも 「恋を重ねるには丁度良いんです」相手の言い分を素直には飲み込めなかった

2023-01-03 12:39:52
悟史 @satoshi_imamura

「星の道理に基づき我らは等しく同じ命。貴方は不遜と思いでしょうがこれが天星教。故に龍王軍であろうとも、拙僧は経を唱えるのです」  玲瓏の前には美しい女の姿を取った龍。彼女は致命傷を負いながらも人の姿を保っていた 「最期に幸運だったわ」 お代は接物でいいかしらと言って、女は微笑んだ

2023-01-02 21:09:13
悟史 @satoshi_imamura

「どうして人の子を埋葬する」 ハボダの問いに部下は遺体があったのでと答えた 「体が遺るのなら、これ以上傷つかないよう隠しておきたくて。戦ったけど良い子だったので」 龍は体が残りませんから、の言葉にハボダはそうだなとしか言えなかった。良い子と評した情が生まれた背景は聞かないことにした

2023-01-02 15:21:25
悟史 @satoshi_imamura

人は声から忘れるそうです、と驚きを伴って若い龍が告げた。誠葉は音なのに、声はとても大切なのに、と続く言葉にハボダは苦笑いが浮かぶ 「何、意外と人は忘れぬものだ」 そう慰めて、慰めの言葉が現代龍語であることに、古龍語など忘れてしまったと言わんばかりの世界にうっすらと敗北感を抱いた

2022-12-31 10:54:48
悟史 @satoshi_imamura

「で、これがまた素晴らしく拙僧修行中の身でありながら、つい邪な思いを捨てきれずに、欲のままに」 「玲瓏にとって完璧な存在だったんだネー」 「本当に思うがまま貪ってしまい」 「惚気はいいから用件!」 「御師様の茶請けください!!」

2022-12-31 10:24:44
悟史 @satoshi_imamura

ハボダ様知らせがございます、と部下の声が聞こえてくる。草木も眠る時刻だが、そこまで抗えない眠気は訪れていない なんだ、と口にしてハボダは首を横に振った。そうだ、この部下は現代龍語しか話せないのだ 「どうしたのだ」 改めて言葉を直したものの、ハボダは世界が狂っていく錯覚を覚えた

2022-12-30 16:38:30
悟史 @satoshi_imamura

「御師様は、普段は目の色を変えていらっしゃるのですね」 玲瓏の言葉に彼の師である龍は「ああ」と零す。 「契約の担保を忘れんようにな」 「拙僧との、ですか?」 「いや月へ行きたいとか宣った、教の開祖殿とな」 月に行く誠葉を見つけたら貰っていい契約だったんだ、と師は説明した。

2022-12-30 16:20:40
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まとめたひと
悟史 @satoshi_imamura

・創作用の垢/20↑社会人、日常の呟き多め/自創作や企画参加キャラはリンクのlit.linkより確認ください/とりあえず星や都市を壊滅しておきたい派閥に属してる