本当の題名を、『キャバレーの女』(縁総受け傾向)のアナザーストーリー。キャバレーで働く「とある秘密」を抱えた縁の前に現れた、高等遊民な無や将校の兄上、商人の炭/吉さんの三人の男。そんな三人の男を翻弄していた【女】の素顔と正体に迫る。戦前の退廃的でノスタルジックな俺の強めの幻覚Part.3-2
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ゆうさき@低浮上 @yu3k1_4r1

>>>むざょり ルート 突入<<<

2020-05-06 00:49:03
ゆうさき@低浮上 @yu3k1_4r1

【女】が舞台の上に立つと、衆人の視線を一気に集めた。自分が存在していることを自覚できるその瞬間が、【女】はたまらなく安心させた。その視線の中で、チリリッと身を焦がすような視線を感じた。そちらへ視線を投げると、紅梅色の瞳を持つ美しい男がじっと【女】を見つめていた。

2020-05-06 00:54:11
ゆうさき@低浮上 @yu3k1_4r1

暴力的な生命力に溢れた力強さと、誰にも理解されない孤独をたえた、紅梅色の瞳に、【女】は心を奪われてしまった。なぜなら、【女】もまた孤独だった。☀️には🍙がいる。けれど、【女】には誰もいないのだ。その孤独を埋めるように、【女】は舞台にたち続けた。それでも寂しさはきえない。なくらない。

2020-05-06 00:59:30
ゆうさき@低浮上 @yu3k1_4r1

紅梅の男は毎日のようにキャバレーに顔を出し、じっと【女】に熱い視線を送ってくる。その視線を浴びるたび、【女】は自分が本当に生きているように思えたのだ。それが錯覚だとはわかりながらも、【女】は紅梅の男のことをもっと知りたくなった。正しくそれは、恋だったのだ。

2020-05-06 01:02:53
ゆうさき@低浮上 @yu3k1_4r1

「マスター、この花を1輪だけ持っていてもいいかしら」と、わたしは花瓶に挿してある白百合を指さした。「今日のステージで使うのかい?客も盛り上がるだろうからいいよ」と、快諾してくれたマスターに笑いかけ、わたしは1輪の白百合を持ち、ステージへ進んだ。

2020-05-06 01:06:52
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幕の中へ引っ込み、楽屋の中について、やっとわたしは一呼吸できた。ドキドキと高鳴る胸に、頬が熱くなる。「(ああ、彼は受けとってくれたかしら)」「(もしかしたら、捨てられてしまうかもしれない)」 色々な考えが頭をぐるぐるしながら、少し近い場所で見れた彼の姿を思い浮かべて、頬を抑えた。

2020-05-06 01:13:35
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フワリと弧を描くようにスカートを捌けば、観客空は口笛が鳴る。自分に注がれるあの人からの視線を感じながら、わたしは舞台の上で美しく舞ってみせる。そして、去り際に偶然を装って、紅梅色の彼の前へ白百合を投げる。驚く表情を視界に入れて、颯爽と舞台から立ち去る。

2020-05-06 01:10:10
ゆうさき@低浮上 @yu3k1_4r1

舞台用のメイクを落として、普通のメイクに直しながら、鏡の中の自分を見詰める。☀️は私にそっと忠告をする。「あまり、深入りするのは危ない」と。「わたしだって、誰かを思う自由が当たっていいはずだわ」と答えれば、呆れたように息を吐く。むぅとなりながらも、【男】の忠告を胸に留めることにした

2020-05-06 01:18:29
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次の日も、紅梅の彼はステージを見に来てくれていた。「(今日も来てくれた)」と思えば、単純なわたしの心はトクトクと鼓動を跳ねさせる。1人を贔屓してはいけない。ステージガールとしてのプライドもある。だから、仕事は仕事として精一杯にやるこを、自分に誓った。

2020-05-06 01:21:52
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「今日は贈り物があったよ」と、ステージを降りた時に、マスターから声をかけられた。わたしが楽屋へ戻ると、鏡台のところに紅梅色のリボンをのついた1輪の白百合が置いてあった。「──っ」と息を飲んで、思わず口元に手を当てた。「(ああ、彼からの贈り物だわ)」と、脳裏に紅梅の彼を思い浮かべた

2020-05-06 01:26:37
ゆうさき@低浮上 @yu3k1_4r1

嬉しくて嬉しくて、アパートに戻ってすぐ綺麗な瓶に白百合を活けた。紅梅のリボンを胸に抱きながら、「(彼と話してみたい。一緒に町を歩けたら、どんなに素敵なんだろう)」なんて夢想して、顔を綻ばせた。そんなわたしを、【男】は不安げに見ていたとも気づかずに。

2020-05-06 01:30:30
ゆうさき@低浮上 @yu3k1_4r1

馬鹿なわたしは、何度でも同じ過ちを繰り返すのだ。 彼への思いを耐えきれなくなったわたしは、アパートの窓辺から下の路地を見ていた。そして、彼が通り過ぎようとしたとき、リボンを眼下へ落とした。もし、彼が拾ってくれたらーーその願いが届いたのか、リボンを拾った彼が視線を上げた。

2020-05-06 01:35:18
ゆうさき@低浮上 @yu3k1_4r1

目がパチリと合った瞬間、彼がアパートの中に入ってきた。そして、わたしの部屋の前で立ち止まる気配を感じた。「やめたほうがいい」そんな【男】の声が聞こえたような気がしたけれど、その声を振り払って扉を開けて、彼を中へ招き入れた。 ギュッと後ろから抱きしめられ、わたしは幸せを感じれた

2020-05-06 01:38:08
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貪るように奪われる口付けに身を委ねながら、ベッドへ押し倒される。「(夢のよう……)」そう思っていると、わたしの体に触れた彼が目を見開き、「…………お前、【男】だったのか?」と、ポツリと言葉を落とした。それを聞いて、わたしはやっと自分の性別を思い出した。わたしは、【男】だったって。

2020-05-06 01:41:55
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はっと息を飲めば、目の前の彼は眉を寄せて体を起こし、ベッドの端に頭を抱えながら腰掛けていた。「……私を馬鹿にしていたのか?」低く言われた言葉に首を横に振るう。「いいえ、」「お前を【女】と思って夢中になる私はさぞ滑稽だったろう」「っ、いいえっ、」縋ろとする手は、はたき落とされた。

2020-05-06 01:47:25
ゆうさき@低浮上 @yu3k1_4r1

「──気色悪いっ」と吐き捨てられた言葉に身をすくめた。あんなに熱く見詰めてくれた瞳が冷たくわたしを見据えて、「この、化け者め」と言い放った。「……ばけ……もの……?」わたしに背を向けて、彼は部屋から出ていく。その背を追いかけようにも、まるで石みたいに固まって動かなかった。

2020-05-06 01:50:42
ゆうさき@低浮上 @yu3k1_4r1

ほろり、と涙が瞳から溢れた。ほろほろと流れるそれの止め方がわからなくて、わたしはベッドに座り込んで泣いていた。「(どうして、わたしはいつもこうなんだろう)」「(私はいったい何のために生まれてきたのだろう)」 【女】にも【男】にもなれない"わたし"は、彼のいう"化け物"なのかもしれない

2020-05-06 02:00:45
ゆうさき@低浮上 @yu3k1_4r1

ほろほろと泣く【女】を鏡の中の【男】は見ながら、苦しげに眉を寄せた。最近は落ち着いてきているはずだった。けれど、あまりに演じ分けを徹底的しすぎた故か、【女】は自分の人生を夢見るようになっていた。そんなもの泡沫だと知りながらも。あまりにも、☀️は演じ分けるのが美味すぎてしまったのだ

2020-05-06 02:08:09
ゆうさき@低浮上 @yu3k1_4r1

☀️は【女】のこと、そして自分自身の危うさについて、徐々に気付きはじめていく。うまくいっているとおもったが、実際は状況は悪化しているのではないか。1度、医者に診断してもらった方がいいのかもしれない。そう思っていると、突然腕を掴まれて路地裏へ引きずり込まれた。

2020-05-06 02:16:51
ゆうさき@低浮上 @yu3k1_4r1

ぱっと振り返ると、そこには無様がいるんですね。☀️は無様をみた瞬間、怪訝そうに眉を寄せた。無様は☀️を壁に押えつけながら、揶揄するように口を開く。「男の趣味が変わったようだな?」「……何の話だ」「この間、共に歩いていた男は、お前の【あの姿】を知っているのか?」と宣う男に血の気が引く

2020-05-06 02:20:03
ゆうさき@低浮上 @yu3k1_4r1

「……彼は何も知らない」と答えれば、ニヤリと口角を上げる無様に、☀️はゾッと嫌な予感を感じた。「全て話してやろうか。あの男に」「お前が男を部屋に呼び込むような奴だと」と続ける無様の顔を見据えながら、震える声で☀️「彼は関係ない。頼むから彼を巻き込むのはやめてくれ……っ」

2020-05-06 02:26:06
ゆうさき@低浮上 @yu3k1_4r1

「それなら、どうすればいいかは分かるだろう」と宣う無様は☀️の手を引き、連れ込み宿へ連れていくと、その体を乱暴にベッドへ放り投げた。「っ!」と息を詰める☀️に覆いかぶさり、肩を押えつける無様。「まさか、」「ああ。あのとき食べ損ねたからな。──今度は戴くぞ」って言って、レ〇プする

2020-05-06 02:31:25
ゆうさき@低浮上 @yu3k1_4r1

ベッドの中でクタリとする☀️を見ながら、そこに【女】の影を見てしまい、苦悩する無様。無様は「また」と言って去っていく姿を見送りながら、初めてを🍙ではなく無様に奪われたことに1人でなく☀️。こんな汚れた身体で、🍙に会えない。そんなことを思いながら。

2020-05-06 02:42:38
ゆうさき@低浮上 @yu3k1_4r1

その頃だっただろうか。徐々に、☀️の中で歯車が狂いだしていく。☀️は無様に抱かれながらも🍙のことは忘れきれずいた。そんな【男】を、【女】は「うらやましい」とさえ思うほど、【男】を通じて無様を見て、【女】は己の恋心を募らせていく。もう二度と彼は自分を見ない。そう思っていたのに──

2020-05-06 13:03:28
ゆうさき@低浮上 @yu3k1_4r1

舞台の上に【女】に、またよく馴染んだ熱く強い視線が射抜く。「(まさか、)」と思いながら、視線を巡らせれば、そこには紅梅の彼が焦がれるような、縋るような瞳で此方を見つめてくる。愚かにも、【女】は嬉しくなって微笑みをうかべだ。【女】には、紅梅の彼しかいなかったのだ。彼だけなのだ。

2020-05-06 13:06:34
ゆうさき@低浮上 @yu3k1_4r1

【男】は【女】にいう。「あの男のことは忘れた方がいい」 【女】は【男】にいう。「友もあの人も傍にいるのに、わたしはいけないの?」 【男】は【女】に重ねて言う。「彼はお前のことも忘れたわけではないはずだ」 【女】は笑って【男】にいう。「うそつきね。なら、どうして助けてくれないの」

2020-05-06 13:11:33
ゆうさき@低浮上 @yu3k1_4r1

【女】のかつての初恋は色褪せて、目の前に全てを飲み込まんとする破滅的な恋のほうが、【女】にはちょうど良かった。【女】は舞台に立ち続けた。そこにいれば、紅梅の彼は【女】だけを見てくれるから。たとえ、【女】として抱かれなくても、せめて、心だけでも通じあっていたら。

2020-05-06 13:14:44
ゆうさき@低浮上 @yu3k1_4r1

それでも、【女】の孤独や寂しさは埋められず、【女】は休みの日に🍙の自宅の方へ足を向けた。何故そんなことをしたのかはわからない。けれど、それも途中で未練がましくなって、近くの酒場へ足を向けた。なんだか、酒を呑みたい気分だった。お店に入ってグラスを傾けてる時、外が騒がしくなった。

2020-05-06 13:19:32
ゆうさき@低浮上 @yu3k1_4r1

その喧噪に【女】は驚いていると、店主が「あんたは裏口から逃げな!もうすぐ、取締の奴等が押し入ってくる!」と【女】に言って、裏口から外へ逃がしてくれた。「あの、お勘定がまだ」「こんなことに巻き込んじまったんだ!お代はいらないよ!さ、早く帰るんだ!」と店主に言われるがまま、外へ出た。

2020-05-06 13:24:05
ゆうさき@低浮上 @yu3k1_4r1

>>>兄上と【女】のエンカウント<<<

2020-05-06 13:24:30
ゆうさき@低浮上 @yu3k1_4r1

「待て」と、パシッと腕を取られる。其の声に顔を上げて、【女】は驚愕した。そこには、かつて生き別れになった双子の【兄】がいたのだ。兄の姿を見て、彼が父の跡を継ぎ、立派に務めを果たしていることを知った。そして、それに対して今の自分の立場を思い返し、「(知られてはいけない)」と思った

2020-05-06 13:29:18
ゆうさき@低浮上 @yu3k1_4r1

「(わたしのことなど、この方に知られてはいけない)」 【女】にしては珍しくも強く思った。【女】にとって、【兄】は不可侵領域の存在だった。敬慕し、遠くからその背中を見て、彼の顔に泥を塗らぬようにしようと、足を引っ張らぬようにしようと、幼少時に思っていたのだ。

2020-05-06 13:32:49
ゆうさき@低浮上 @yu3k1_4r1

だから、【女】は【男】に言う。「(あなたは会ってはだめよ)」 【男】は【女】に言う。「(久しぶりにお会いできたというのにか)」 【女】は【男】の言葉に頷いた。そして、わざとらしいまでに【女】は兄に詰め寄って自分を逃して欲しいと懇願する。兄は拒んだが誘惑するような真似をすれば逃してくれた

2020-05-06 13:37:13
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その後、部屋へもどった【女】は自分の行いを省みて、少し吐いた。久しぶりに兄に会えた喜びと、己の浅ましい振舞いの嫌悪感で頭を抱えた。それでも、もう合間見えることはないだろうと思った。【女】と兄では住む世界が違う。そう思っていたからだ。

2020-05-06 13:41:12
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そんな兄との邂逅の傍らで、無様によ☀️への執着は変わらぬままだ。【男】もまた兄との邂逅に喜んだが、男に抱かれるような自分が、彼の弟を名乗ることなどできようもなかった。「(何とかしなくてはならない)」と思っていた、その夜。無は【女】のもとを尋ねてきた。

2020-05-06 13:48:10
ゆうさき@低浮上 @yu3k1_4r1

>>>無が【女】を抱くシーンにつながる<<<

2020-05-06 13:48:47
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自分の体に縋り付く紅梅の彼の髪を撫でながら、【女】は多幸感で胸がいっぱいになっていた。初めて、【女】として彼に抱いてもらえた。「……まるでお前は月見草のようだ……」と首筋に顔をうずめた彼が言う。「それは、なぜ?」「夜にしかその姿が見えないからだ」

2020-05-06 13:55:26
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「昼間のお前はどんなにこの腕に抱いても、どんどん遠のく。けれど、夜のお前は私に微笑みかけてくる」 【女】は無の言葉に耳を傾けながら髪を撫で続ける。「せめて、夜のお前だけでも私脳での中にいてくれ」と時分を抱きしめる彼に、「ええ、わたしだけはあなたのそばに──」と囁いて抱きしめ返した

2020-05-06 14:02:29
ゆうさき@低浮上 @yu3k1_4r1

【女】と紅梅の彼は、恋人のような関係になった。それはあまりに歪で脆いものだったけれど、お互いがお互いに溺れていく。【女】の身も心も手に入れた無だが、【男】の心も欲しくてたまらなかった。だから、【男】との関係も続いていて、【男】の精神は摩耗していった。

2020-05-06 14:06:18
ゆうさき@低浮上 @yu3k1_4r1

>>>兄上、【女】を待伏せシーンに繋がる<<<

2020-05-06 14:07:34
ゆうさき@低浮上 @yu3k1_4r1

壁際に縫い付けられ、顔を上げればそこには【兄】がいた。この身を灼き尽くすような、焦がすよう謎の熱い視線に含まれたものを、【女】は気づいてしまった。その瞳の熱量は、紅梅の彼が自分に向けていたものの、それ以上のものが含まれていた。「……申し訳、ございません……」

2020-05-06 14:12:43
ゆうさき@低浮上 @yu3k1_4r1

謝罪を口にしながら、【女】は必死に頭を働かせる。「──許さん」と落とされた言葉に、噛み付くように塞がれる唇に、【女】は愕然とした。「(実の兄とこんなこと──)」と思えば、自分のしていることが恐ろしく思えて、抵抗をする。

2020-05-06 14:17:56
ゆうさき@低浮上 @yu3k1_4r1

ぬるりと入ってきたに、【女】はぞわりと背筋をあわたてた。それが兄の舌とと分かると、ガリッと歯を立てるも、兄は強引に己の唾液と血を【女】の口内にいれてきた。兄がこんなことをするなんて──自分の中で、何かが切れる音がした。「ーーやめてっ!!」

2020-05-06 14:49:33
ゆうさき@低浮上 @yu3k1_4r1

兄の顔を振り払うも、首筋にぬるりと這う無様以外の体温に、実の兄であることに【女】は強い語調で兄を拒む。「やめてっ!!」「あなたも、わたしを女だから好きに扱っていいとお思いなのね」「わたしにも、自分の意志はありますわ」と言い放ち、兄を突き飛ばしてアパートへ戻る。

2020-05-06 14:54:04
ゆうさき@低浮上 @yu3k1_4r1

【女】はアパートに戻ると、直ぐに浴室へ入った。そして、兄に触れられた所を湯で流しながら、その場にしゃがみこむ。「(どうしよう、どうしたらいいの)」【女】の頭の中は混乱でいっぱいになる。「(まさか、兄上がこんな乱暴な真似をするなんて)」「(あの瞳、あれでは、まるで──)」

2020-05-06 14:57:55
ゆうさき@低浮上 @yu3k1_4r1

「(わたしに、惚れているような──)」そう思いいたった瞬間、胃からぐっと沸き起こる衝動に耐えきれず、その場で少し嘔吐いてしまう。「(どうしよう、どうしよう)」「(いっそ嫌われてしまおう)」「(嫌な女と、憎らしい女と疎まれたほうがいい)」 何があっても兄を拒み通そうと、【女】は自らに誓った

2020-05-06 15:01:08
ゆうさき@低浮上 @yu3k1_4r1

それから舞台に立つと、【女】は二つの視線に気づく。1つは、【女】の愛する紅梅の彼からのもので。もうひとつは、ああ、どうしていままできづかなかったのだろう。この視線は──「(兄上……お店にいらしていたの……?)」まるでこの身を灼き尽くさんばかりの視線に身を震わせた

2020-05-06 15:04:03
ゆうさき@低浮上 @yu3k1_4r1

【女】は兄に視線を送ることは決してしなかった。その視線を正面から受け止めることなんて、【女】にはとてもではないができなかった。それをしてしまえば、兄の自分への思いを認めてしまうことになる。「(兄に地位だってある。なにより、あの方は妻子ある身だったはず──)」

2020-05-06 15:42:42
ゆうさき@低浮上 @yu3k1_4r1

【女】が兄を拒むのは、それは兄の人生や幸せを思えばこそだ。彼を地獄へ堕とすような真似をさせたくない。それに、きっと兄ならばいずれ目を覚ましてくれるはず。と、【女】は自分に言い聞かせる。その考えが甘かったと分かるのは、そう時間はかからなかった。

2020-05-06 15:46:31
ゆうさき@低浮上 @yu3k1_4r1

「"お前"は、昼間は出かけたりしないのか?」 紅梅色の彼が【女】を腕の中に抱きしめながら聞いてくる。 「ほんのたまに出かけるくらいかしら。でも、それもすぐにやめてしまうわ」 「何故?」 「……光の当たる場所は、わたしには眩しいみたい」 「……私と同じだな」 そう笑う彼に胸が切なくなる

2020-05-06 15:56:10
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まとめたひと
ゆうさき@低浮上 @yu3k1_4r1

おい!!!!!なんで🎴の耳飾り触った!!!!!ゆうさき(腐/25↑) kmtの縁受け・黒十(字書き)/twst創作寮生·オリキャラ語り(🥥推しの右固定)/一次創作 ※単行本・プレイ感想ネタバレ 左右固定 自衛中 18↓FR等勘弁。アイコンは彩季さまから🙏 詳細はツイプロ