CIA法務担当アルハイゼン-トルコ編-

Loni @Nuwa_150

対する緻密なリスペクトがあった。 この巨大なレプリカを見た人間は、誰もが「これ一体なんだ？」と考えさせられるだろうし、その過程で自然と元となった石像に興味が湧くであろう、その心の動きが容易に想像できた。 ブルーシートの内側には、観光大使も待っていて、この件について館長に懇願する。

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「この地域は寂れて土地が余ってるんです。この石像と制作風景が世界中に発信されたら、絶対に観光名所になる。どうか、どうか了承してくれませんか！？この人たち、貴方が了承しないなら、コレを破壊するって言ってるんです！」 その言葉に館長は「えっ！？」と慄く。 🎧は真顔で「決裂なら破壊する」

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と人質ならぬ、物質の宣言をする。 🎧「法的に所有権が曖昧なまま放置はできない。この土地は一時的に借りているに過ぎないから、譲渡の交渉が決裂したなら、外国人として責任を持って破壊して撤収しなければならない」 そういうので館長と観光大使は冷や汗をかく。 🔨は「意地悪な言い方をするなよ」

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と🎧を嗜めた上で「まぁ材質と作りの関係で、形状を維持し続けるのは難しいとは思う。これは宣伝用って事で、やっぱり本物は修復しなきゃダメだ。僕も自分のチャンネルで制作過程を含めて宣伝するから、貴方も修復の過程を公開して、修復も一つのストーリーとして、思い出を世界と共有しませんか？」

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それこそが🔨の提案の本質だった。 「芸術も修復も、人に知ってもらって、支えて貰わないと続けられない。このレプリカと僕を宣伝に活用して、元に戻るまで支えさせてください。壊しちゃった国の仲間として責任をとらせてください」 破顔して、そう言われれば誰がNOのいえようか。 🎧が追い討ちに

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「ちなみにコレが🔨の宣伝効果のグラフだ。同時進行で修復に対するクラウドファンディングの設立も、こちらで支援しよう。観光効果や経済効果を考えれば、当初望んでいた100万ドル規模を得られる可能性がある。これでも裁判をする方を選ぶか？」 館長は頷かざる終えなかった。 「契約書をください」

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示談に了承し、レプリカを受け取る内容の契約書にサインをする。 その耳元で🎧は囁く「紛れ込んでいた異物の事なら、安心しろ。テロリストが持ち込んだ物だという調書を制作して提出している。後は大臣がよしなに返還の手続きをとってくれるはずだ」 館長は何から何まで完璧な手筈に完敗を認めた。

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示談が成立して帰り道、館長は🐯とすれ違う。 そして🐯から「大丈夫だと思うけど、また厄介なやつに絡まれたら、あの名刺で呼んでくれよ。世界の裏側からでも飛んできてやるから」と言われ、館長はお守りがわりになった名刺を胸に抱いて、ようやく久しぶりにホッとした表情で、美しい石像を見上げた。

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空港で🔨🎧と🐯は別れる。 🐯「アタシは次の仕事があるんでね、ここでお別れだ。またどこかで会えると良いな！」 そうして家路に向かう飛行機の中で🔨は🎧がムスッと不機嫌なのに気がついて「なんだよ、予算内で丸く治っただろう？」と不機嫌の理由を問いただす。 材料費も機材費も予算以下だった。

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🔨の人件費と考えても、一週間で3万ドルと破格の報酬を貰っているし、自分のチャンネルで製造過程を放送すれば、その報酬が入ってくるだろうから不満は無かった。 しかし🎧は「100万ドルの価値がある物を渡したんだから、100万ドル払ってしまったのと同じだ。君が余計な才能を発揮するから」と唸る。

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🔨は「何だよ！上手く仕事を満了したのに、その言い草は！」と怒ってはみたものの、🎧がつまる所、🔨の作品に価値を見出している事に気がついて笑いを噛み殺す。何だかんだ言って、🎧が🔨の能力を評価していることは🔨も判っているのだ。 🔨は言う

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「君や彼女と過ごした日々、この旅自体がとても楽しかったし。あのレプリカを作るのも楽しかった。それが100万ドルよりも価値がある時間だった、だから僕らは損してない、そういう事で良いだろう」 その言葉に🎧はフンと鼻を鳴らして「だから君は永遠に損をし続けるんだ」と皮肉る。

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🔨は「僕が損してないと思えば、してないんだったら！まったく、この意地っ張りめ！」とプンプン怒り出し、結局二人は家に辿り着くまで、その不毛な議論を止める事はなかった。 後日、🎧の執務室に上司が「調査用のトラック（破壊済）って何！？予算内だけど何なの？」と訪れるのはまた別の話 おわり