CIA法務担当アルハイゼン-トルコ編-

Loni @Nuwa_150

🐯は「話ぐらいしか聞けないけど、困った事って？言ってみたらスッキリするかもよ」と自然に中庭から出口まで送りつつ、話を聞き出す。館長は「大事な思い出の場所を守ろうとしているのに、父が分かってくれなくて。それに仕事の前任者の引き継ぎが最低で、もうどこから手をつけていいやら」と

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愚痴を漏らすので🐯は「あるよなぁ、アタシは逆に父親が……」と話しかけた所で、出口の所で襲いかかってくる黒いバンに気がついて、館長に「危ない！」と覆いかぶさって避ける。中から銃を持った男たちが降りてきて、館長を誘拐しようとするが百戦錬磨の🐯がタンゴの曲に合わせてブチのめす。

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そして、🐯は全ての敵を倒した後、館長自身を丁重にタクシーに乗せると扉を閉める間際に「アタシ、警備会社を経営してんだ。だから、また何か危険を感じたら呼んでくれ。アンタを絶対に守るからさ」と名刺を渡して、顧客の心を掴む。そして残った襲撃犯どもに「依頼人を吐いて貰おうかクソヤロウ共」と

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拳を打ち鳴らして迫る。一方その頃、🎧と🔨はタンゴの曲が終わり、動きを止めるとフロアを拍手喝采に沸かせていた。🔨は曲が終わった途端に膝をガクガクさせて🎧に掴みかかるので、🎧は「負けを認めたか？」と聞くので🔨「じょ、条件が違う、僕は君と踊る前に、結構踊ってたし酒も入ってた！」と

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言い訳して認めなかった。しかし周囲が褒め称えてくれるので「まぁ、これだけ周りの人が喜んでくれたって事は、アレだ、二人の勝利って事で、この話は終わりにしよう。何か飲み物を……」と、これ以上勝負をさせられないようにと、話を誘導する。そんな二人の元にSPがやってきて「お呼びです」と

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二階席の大臣の方を指し示すので、二人とも連れられるまま大臣と会う事になる。🎧の企み通り、パフォーマンスで大臣の心を掴んだのだ。破顔した大臣に「素晴らしい踊りでしたね！パーティも盛り上がって本当に良かった。私は芸術が好きでね……」と快く迎え入れられ、🔨と話が盛り上がる。

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大臣が二人に「この国には観光で来られたんですか？」と聞くので、🎧が「仕事だ」と自分たちが携わってる案件について説明すると、大臣は「申し訳ない、この件については、私も直々に止めるよう言ってます。決して、貴方たちの国と事を荒立てるつもりは無いんです」と謝罪する。

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🔨は逆に大臣の引け腰に館長側に感情移入して「でも、大事な石像と特別展じゃないんですか？」と食ってかかる。大臣は「確かに大事なものですが、特別展の経済効果はそれほど大きくないですよ。アレはどちらかというと、娘の個人的なこだわりが強く反映されたものなんです」と説明する。

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あの美術館は館長が子供の頃、大臣と妻とで良く訪れた美術館だったらしい。しかし、妻が病気で亡くなった事やら時間の経過で行かなくなっている間に、美術館は財政が悪化して売りに出されかけていた。それを官僚になるはずだった娘が思い出の場所を救うために、出世道を外れてまで就任したらしい。

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大臣は「私も芸術を愛しているが、芸術を楽しむためには前提として人の豊かさが必要なんです。国を豊かにしないで、金持ちだけが楽しんでいては芸術も枯れてしまう。壊れてしまった石像を一体修復するより、多くの労働者に建物を建てさせて給料を払う方が優先されるのは仕方ないことだ」と嘆息する。

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そうして🎧に対して「力になることを期待されたかもしれないが、すみません。国の方針としては事を荒立てたくないが、娘が裁判をするのを止めれば貴国におもねって国民に圧力をかけたと思われかねない。隣国のイランなど対米感情が良くない国に変に勘ぐられたくないから、それはできない」と断る。

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🎧は期待してなかったが、コネが徒労に終わった事に溜息を吐く。大臣は「もう少し娘と話はしてみます。様子がおかしい。普段のあの子なら、ここまでお金には拘らない筈だ。補填に貴国の美術品を借りて別の特別展にするなど代案を出すはずなのに、裁判にこだわるし、イライラしてて妙な気がします」

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そう首をかしげる。🔨は「娘さんにとって思い出の石像は特別なんですよ」と答えるが、大臣は「でも、私達にとって思い出の石像でも、来館者にとっては、そこまでインパクトのあるものではないですからね。見に来る人を楽しませる観点が、今のあの子はどうも見えてない気がする」と苦言を呈する。

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大臣とはSPに「次の予定が」と言われて「すみませんが」と別れた後、🎧は思案する。確かに、館長は利益がないのに感情的に攻撃を仕掛けてくるなとは思っていたが、そういう人柄なのかと考えていた。しかし身内からも不審がられる変貌という事は、この案件は裏があるのかもしれない。

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思案する🎧と並んで🔨も「う〜ん？」と腕を組んで首を傾げ、そのまま蛇行してホテルの壁に体をゴンゴンッと打ち付けるので🎧は「おい、酔っ払ってるのか、前を向け」と🔨の襟首を掴む「いや……なんか、さっきの会話で答えを掴んだ気がするんだけど、何かわからなくて」と顎に手を当てる。

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そのまま、ズルズル壁に寄っかかって廊下に座り込みそうになるので🎧は🔨を「お望みのデラックススイートに辿り着くまでは人間らしく二足歩行しろ」と引っ張って、大使から貰ったスイートルームへと連れて行く。しかし、普段ならスマホで写真を撮りまくるのに🔨は石のように動かず集中する。

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こうなったら、テコでも動かない。🔨はスイートルームの夜景ではなく足元の絨毯をジッと見つめて「いい絨毯だな、細かい模様、この織り目は」と突然絨毯を撫でながら織り目を見て「２本の縦糸で織られてるからターキッシュノット（トルコ結び）だな」と言って「あっ！」と何かに気がつく。

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そして🎧の肩をバンバン叩いて「なぁイランってペルシャだよな？」と聞いてくるので、🎧は当たり前の知識に「何をいまさら？」と問い返すと「ペンとノート！」と請求してくるので「やかましい」と唸りながら、部屋に備え付けのペンとノートを🔨に渡すと、🔨は絵を描き始める。

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そこには砕けた石像のパーツから矢印で、完成図の図形が描かれ、残った破片から、別の食器などの過去の美術品の図形が精巧に描かれていた。その図を🔨は🎧に見せて「分かるか？この一緒に割れてた食器の特徴」と聞くので🎧は目を細めて見て気がつく「これは、年代の違うペルシャ文明の遺物だな」

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アメリカ人には考古学好きが少なくないが、ご多分に漏れず🔨と🎧もその内の一人だ。しかも、国内随一の大学で主席を取る頭脳を持った二人であるから、話はスムーズに進んだ。🔨は「違和感の正体はコレだよ。故郷が違う美術品同士の欠片が一緒になってたからだったんだなぁ」とスッキリする。

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破片から勝手に完成図を脳内で構築して、出土した国まで当てるのは一般人からしたら超能力と相違ない。しかし🎧が🔨の特殊な能力に驚くには付き合いが長すぎた。サラッと「で？だからどうした、隣国なんだから過去に交易で得たものが出土してもおかしくはないだろう」と🔨に問いかける。

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🔨は「あのなぁ、美術館というのは適当に物を並べてるわけじゃなくて、物の並び自体にストーリーが、文脈があるんだよ。あの美術館の石像周りのコーナーには、ペルシャ文明の物は無かったし、そういう展示の流れでも無かった。なのに、突然出現したから違和感があったんだよ」とプンプン抗議する。

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🎧は「つまり館長は、石像と関係のない遺物の修繕費も入れて多めに請求しようと詐欺を働いたって事か？」と問いかけるが🔨は「どうしてそうなる！？君って本当に性格が悪いなぁ、あんなに熱心な人が、そんな事をするわけないじゃないか、むしろ彼女も知らなかったんじゃないか？」とノートを見せる。

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「この石像は、元々中身が空洞なんだよ。昔の商人が宝物とかを隠すために、ワザとそう作ってるんだ。ほら、ここ回転してズラすと中身が取り出せるようになってる所まで修復してる。だからきっと、その事を知ってる誰かが、前に中に詰めてたのを知らなくて一緒に割っちゃったんじゃないかな」

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🎧は思考を巡らせて一瞬口を開いて別の事を言おうとしたが、飲み込んで「なるほどな」と話しを終わらせる。その気がついた裏の部分に、これ以上🔨を関わらせたく無かったからだ。そうして、デラックススイートの冷蔵庫からシャンパンを取り出すと言った「解決した祝いに飲まなくて良いのか？」

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数十分後、飲んで、デラックススイートにはしゃいで写真を撮りまくりSNSにご機嫌で上げまくりイイネ通知の振動を子守唄代わりに、眠りに落ちた🔨を横目に、🎧は🐯を部屋に呼ぶ。🐯は「デラックススイートだ！」と少し興奮した後、🎧の視線に咳払い一つして「仕事の話しに移ろうか」と襟を正す。

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🎧と🐯はお互いの情報共有を行う。🐯「そもそも、アタシと例の諜報員は過激派テロ組織の人間が、この国に来た際に確保する作戦に参加してたんだ。んで、そいつを追いかけて、あの美術館に入って、作戦自体は成功したものの……あの破壊事件が起きてしまってアンタの世話になる事になった」

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🎧は「ああ、だが先程の🔨の図解と説明から分かる通り、事は単純じゃなかった。そもそも、そのテロリストが、この国に入国した理由が、その鍵になる。主な活動拠点は隣国の彼らが、この国に来た理由は？」その問いかけに対して🐯が答える「そりゃ活動資金を得るためさ、違法行為でね」

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そして、🐯はスマホを取り出すと先程館長を襲った男達かボコボコにされた状態で映っており『俺たちは、ただの雇われだよ。違法商人が……名前は知らない！けど何でも売るやつだ。自分のルートと持ち物を盗んだ女に金を払うか協力するか、少し脅かしてこいって！ほんとそれだけだってば！』と証言する

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🎧は「なぜテロリストの資金源になってた商人も一緒に捕縛しなかったんだ」と唸るが🐯は「国際指名手配を受けてるテロリストだから捕まえられるんであって、この国の犯罪者の問題は、この国の警察に任せるのが、アンタの所属の方針だろ？」と肩をすくめて、こう続けた。

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「まぁ何で美術館なんかに逃げ込んだのか、とは思ったけど……ココは馴染みの場所だったわけだ。違法商人が取引の隠れ蓑に使ってた」その答えに🎧は「恐らく、彼女を困らせている前任者の問題というのは、違法商人と結託して盗掘された美術品の裏取引に美術館を使われてた件の事だろう」と頷く。

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🎧は🔨の図解と、あの石像が隣国の美術館に貸し出された公式記録の回数を確認する。その回数分、隣国の重要な遺跡品や違法な何かが空洞の中に詰め込まれ、この国に持ち込まれ、闇マーケットで売り捌かれて、犯罪者とテロリストの活動資金へと変換されていったのだろう。

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🐯は「で、だ」と腕を組んで🎧に向き直ると「書記官様はどうする？前任者のせいで、犯罪者に脅迫されて、思い出の美術館に汚名を着せられて閉館の危機に怯えてる館長様と裁判するか？それとも、事実を知ってるって言って黙らせる？それとも100万ドル払って助けてあげる？」と問いかける。

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🎧は「全て却下だ。裁判になれば諜報員のキャリアに傷がつくし、他の諜報員の今後の活動にも差し障る。彼女を黙らせるのも脅迫に当たるからしない。そして100万ドルの予算はない。であるからして、通常業務で俺に出来る事はない」と言うので、少しだけがっかりした🐯に対して、続けてこう言った。

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🎧は「だから、ここからは調査業務だ。通常業務、示談の妨げになっている対象を知るために、本拠地に行って顔を見てこよう」と言い出すので、🐯は「相手は裏社会を牛耳る商人だ。いきなり顔を見るったって、無事じゃ済まないとは思わないのか？」と問いかける。

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🎧はしたり顔で「そうだな、違法の集団だから武装している可能性はある。その場合は正当防衛が発生する可能性もあるだろう」と🐯に手をのばす「ナイフを貸してくれ。この話を持ってきた時点で、相手の拠点も、規模も把握して、赴く準備はできているんだろう？」と見透かされる。

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🐯は「できれば地元の警察に持ってって欲しいから殺すのはナシだ。アタシは警備会社の人間であって、殺しのライセンスなんて持ってないんだからね」と断ってから🎧にナイフを渡す、🎧は「安心しろ、俺もそんなライセンスは持ってない。だが、まぁ正当防衛が発生した時は諦めろ」とすげなく返す。

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後に逮捕された違法商人は証言する「家で休んでたら、いきなり凄い音がして……外を見たら、家の扉がトラックで破壊されてたんだ！それで警備の悲鳴が上がるけど、誰がどう何をしてるのか、何も、何もわからないまま、気がついたら吊るされてた！おいアイツら何なんだ！アイツらを捕まえろよ！」

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そう、自分の犯罪行為の証拠品が並べられた庭先で、裸で縛られた状態で叫ぶのを地元の警察は困り顔を見合わせて聞く他なかった。何より、どこからリークされたのか、取材のヘリが飛び回り、この珍騒動は秘匿のしようがなかったからだ。

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翌朝、デラックススイートで目覚めた🔨は、別の部屋のベッドやソファで死んだように眠る🎧🐯とを見て「二人とも、僕が寝た後、どんだけ酒を飲んだんだ？」と訝しんだ。それから、デラックススイートのベランダから見える、町の景色を清々しい気持ちで見つめて「あっ！」と何かを思いつく。

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そうして寝ている🎧を「おい、起きろ！今すぐ、PCを取りにビジネスホテルの方に戻るぞ！」と揺さぶるので「うるさい……後で良いだろ」と寝起きの🎧に地獄の底から響くような不機嫌な声で返されるが🔨は臆さずに「10万ドルにするし、半年後にも間に合うアイデアが思いついたんだよ！」と叫ぶ。

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数日後、呼び出された館長は戦々恐々としていた。ニュースで自分を脅迫していた相手が逮捕されたのを見たからだ。しかし、この美術館に関わる情報も警察の取り調べも無かった。これは相手が介入したからか、そして、理解した上で、どんな要求をしてくるのか疑心暗鬼になっていたのだ。

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🎧は館長に伝える「結論から言って、やはり100万ドルは出せない。しかし、こちらとしても裁判は避けたいので、示談に合意して貰えるように、専門家の意見を反映し、提案を用意した」そうして🔨に続きを促す。🔨は工事現場のブルーシートの前でPCの画面を見せてスライドで提案について説明する。

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「まず、僕は修復師の仕事に敬意を評したい。様々なクリエイティビティを駆使して初めて、正しく歴史の形を取り戻す事ができるからだ。修復に失敗した美術品の悲しさは、悔しいくらい知ってるからね。だから何百万ドルかけようと、半年なんて短期で、その芸術の質を失わせるのは、オススメできない」

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そう断った上で「とはいえ、半年後に特別展をやると言った以上、期待を裏切るのも良くない。何より、館長にはあの石像を知って貰いたいという情熱がある。それは何よりも大事なものだ、というわけで、石像は丁寧に修復すると同時に、展示も見てもらう、というのが僕の提案だ」そんな🔨の提案に館長は

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「不可能でしょ、そんな事」と思わず否定の言葉を漏らす。 🔨は「3Dプリンターという新技術は知ってるかい？樹脂をプリントして、凝固させ、積み重ねて形を作るんだけど」というので、館長は呆れてため息を漏らす「それぐらい知ってます。でも機械のサイズ以上に大きな物は作れないはず」

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それぐらいの知識は美術を追う物として知っていた「ミニチュアでも作って展示するつもり？美術館に観にくる以上、望んでいるのは本物のスケールよ。そんな偽物でお茶を濁されて、わざわざ観にくる人は増えない」そうピシャリと言い切るが、🔨は全く狼狽えない。予想通りという顔でニコッと笑う。

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🔨「さすが館長、分かってるね。みんなが見たいのは、スケールが大きい石像だ。自宅に置けるサイズ感じゃ満足できないよね。だから、僕はこうしたんだ」 そう言って🔨がブルーシートを開いて館長を招くと、その中にあったものに館長は「えっ！？」と驚愕に目を見開く。

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🔨は説明する「3Dプリンタの積層に着想を得てね、建築に使うコンクリートでも、真似できるんじゃないかなって思って、鉄骨とポンプを手動で操作して、プリントしてみたんだ！残念ながら、僕の精度では等倍に作る事はできなくて、五倍の大きさになってしまったけど、良い宣伝になると思うんだ」

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破壊された状態しか見たことがないはずなのに、そこには五倍の大きさで忠実にコンクリートで作成された石像のレプリカがあった。 館長は思った。そんなのプリントでも何でもない。着想を得ただけで、実際は新たな素材による、天才の新しいクリエイトでしかない。 しかし、そこには確かに彼女の思い出に