krbs夢

𝓼𝓴𝓴 @rd_skk

【伊月】アシンメトリーのオフショルダーのせい、うっすら焼けた肌のまだら。「遠目でわかる？」晒した鎖骨まわりに、きみは一度息を呑み「ここ特にダメ」焼け残しの白い箇所を人指し指の腹でなぞった。「俺だけが見るならいいけど」昼間の火照りだけじゃない、噛みつかれた肩が熱い。 #黒バスプラス

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【緑間】「まだ帰りたくないなぁ」背後、発車警告に紛れてたった一人に聞こえるように、降り立つプラットフォームの隅っこで口にした。戸惑いをにじませた眼差しがわたしの顔色を窺う。なぁに？と小さく首を傾げてきみを見上げるから、このまま罠に落ちてほしいな。そのための、夜だ。 #黒バスプラス

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【緑間】共にいられる時間を見つけた日、どちらともなく手をつなぎ、帰りの地下鉄に乗り込むのだ。路線の分岐まであとわずか、揺れる車内でこぼされた気配りに肩を竦める。「いつまでに帰ればいい？」夜に紛れて拐えない、やわらかなきみが好きだと告げる代わり笑った。回りくどいよ。 #黒バスプラス

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【宮地】確かに友だちのまま、けれどきっと痴話喧嘩だった。「どうしていいかわかんねぇし、今すぐ連れ帰ってキスしたいんだけど」 澱む空気を切り裂いてきみが隣に座る。つよく握られた手とぴたり触れる肩に、わたしの重みを預ける。付き合ってない、そう確かめなくてはもうだめだ。 #黒バスプラス

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【赤司】「好きにしていいんだ。どこへ行っても、だれと居ても」きみが穏やかにわたしを赦すとき、泣きそうな気持ちになる。「戻ってきてくれれば、なんて言わない方がいいんだろうな」何だって手に入るのに傍に一つも置けない不自由なひと、淡くはにかむきみの大事なものになりたい。 #黒バスプラス

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【宮地】落ちてきそうな雲行きにうつむけば、アスファルトに黒い染み。生温い夏の気配を吸い込んで溜息を吐いた。「ぼけっとしてんな、濡れっぞ！」背後から叩かれた肩が、何の気なく抑えられた力加減と手心にゆれる。天の恵みとはよく言ったもの。追いつかれるなら、きみが良かった。 #黒バスプラス

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【青峰】間違い探しの景色に怯む。ひさしぶりの母校は変わりないようで他人の顔、わたしも変わった？「わかんねぇよ、ほぼ毎日見てんだし」いっそ滅多に会わなくなったら気付くんじゃね、と飛び出したきみの台詞、その現実味のなさに肩を竦める。ねぇ、いつまでも二人のままじゃない。 #黒バスプラス

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【青峰】誤解されやすいきみのこと、悪く言われるのが嫌だった。言い方きつくて態度悪くて、庇えないところが目一杯あったって譲れない。簡単に決めつけないでと叫びたいわたしは身勝手だ。「よけーなお世話だっつうの」いつもきみは迷惑そう、なのに眩しい顔をするの。苦しくなるよ。 #黒バスプラス

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【青峰】粗熱を取ったままの心残り、キッチンの隅で刻一刻と酸化が進む。会える確約もない当日、思わず焼いて寝かせたガトーショコラは自分用だ。「お帰り、これ、美味ぇな」戻る部屋につけた覚えのない灯りが滲む。来るなら来ると言ってよ、それに、それはわたしの。それはあなたの。 #黒バスプラス

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【緑間】捨てることも食べることも出来ないから、傷みゆくそれを見つめるのだときみは言う。昔なら受け取りもしなかったのに。潔癖が過ぎて憎まれるなんて随分と酷なこと、反射で動いたわたしの仕打ちの方がひどかった。鼻筋に抜ける鉄錆の香りと頬の痛み、この春だけは覚えていてね。 #黒バスプラス

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【高尾】渡せなかった思いはかばんの中のまま、放り出すことも出来ず一夜が明けた。「昨日、呼び出し掛かんなかったわ」ぜったい誰か居ると思ったのにな、何気なく笑うきみと翌朝、何事もない日々の始まり。「義理もねぇのは淋しーじゃん、何かない？」今さら、波風立てても怒らない？ #黒バスプラス

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【火神】一枚から頼める焼肉屋、好きなものを好きなだけ。手頃でおいしいホルモンと珍味、覚悟のうえのレバ刺し、締めにココナッツアイス。帰り道、ラーメンあるよ！行く？と乗り気なきみに笑う。「家の近くにあったら、通っちまうな」いっそ二人で引っ越すか！の冗談、本気にするよ。 #黒バスプラス

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【宮地】障る。尖る声と臆病な仕草。障る。鋭い視線ときつく結ばれた口許、どうして怒ってるの。「ちげぇよ、怒ってるわけじゃ」胸の前でおもむろに組まれた両腕に手を伸ばす。防御の姿勢で身構えないで。「どうしていいか、わかんねぇし」じゃあ、今わたしから、きみに触ってもいい？ #黒バスプラス

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【青峰】焼けつくような眼差しは天性のもの、生まれたままを泳ぐ。すべてはきみの物語、自覚なき胸にせめて一矢を放つ。報いたい、報われたいのがわたしの恋だ。「エゴかよ、正直すぎんだろ」エゴだよ、でも青峰くんほどじゃない。きみの目尻が和らぐ瞬間、見抜けないほどバカじゃない #黒バスプラス

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内緒だよ 半身ねじって 寄せる肩 秘密なんかないの それが言えない (高尾和成) #三十一字夢 #夜更かししながら百首詠む会

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いつの頃か きみよりずっと好きになるひと 現れないで 痛みならまだ (青峰) #三十一字夢 #夜更かししながら百首詠む会

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【緑間】乗車率は百を越え、開いた側と反対のドアの隅で向かい合う。呼気も吸気もよく聞こえた。どこも触れていないのに体温はすぐ傍、その気配には安堵と混乱が半分ずつ。いつになく赤い頬で俯くきみを見上げる、その胸のなか納まるようにわたし。いつか理由もなくこの位置にいたい。 #黒バスプラス

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【高尾】きみは友だち、でも会うたびこれで最後って思ってた。気持ちばかり膨らんだ末路、掛け値なしの本音を告げる。「なに言ってんの。始まってもない癖に」きみの躊躇なき即答に目を瞠る。「どうする？」狡さも臆病も隠さないきみはいつになく本物だ。今日すべて終わる、はじめる？ #黒バスプラス

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【青峰】「お前、俺のことも好きだろ」しれっと言い出した悪い友には唖然。「あ、まちがえた。今の無しな」大事なひとは別にいる。でもさ、恋では決してないけれど、まぁまぁの愛だと思うよ。「今に痛い目みるぞ、止めとけ」鼻で笑うきみの背中を見つめる。大丈夫、どうにも転ばない。 #黒バスプラス

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【火神】待ち望んできみと会ったあと、大体さみしい。騒ぎ疲れた身体を引きずって帰る道、口ずさむのは元気な歌がいい。会いたいも恋しいも今はお腹いっぱい、網膜裏に焼きつけた笑顔を思い出す。「またな！」きみの声の震えには気付かないままでいる。夜に溶けて泣いちゃいそうだから #黒バスプラス

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【桜井】きみのことが好きなんです、告げる僕に必殺の一撃。「ありがとう」って、きれいに笑うだけのひとが憎らしい。続きを促して首をふっと傾げる、その頭のうえに雷の一つでも落とせないかな。畳み掛けるなら今なのに、すぐには次の言葉が出ない。ああ、落とせないかな、僕の恋に。 #黒バスプラス

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【今吉】明日、あたらしいきみに会えない。つけたばかりの採点表をひらり机の上に放り出す。自由登校の罠、教室の蛍光灯がやけに冷たく見えた。「どうしたん、浮かん顔して」前の席から振り向くきみがにこやかで憎らしい。夢の途中とひとは言うけど、わたしのゴールに居てほしいのは。 #黒バスプラス