ペリ横で書いた過去ss、未完・未発表作品
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メメコ @memeko_tensai

@Periwin_TL 「Revenge」 ミーシャのモノローグ pic.twitter.com/VOQfJbrFwV

2022-07-05 22:22:28
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@Periwin_TL ミオちゃん生誕祭2022 遅くなりましたがノエルからお約束のプレゼントです……!🎉🎉🎉 pic.twitter.com/7DZlHv9vqO

2022-09-25 13:09:16
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@Periwin_TL トライアルウィーク、「Atkins」満を持しての出店です。 お手柔らかに☺ pic.twitter.com/htrO5xQo25

2022-09-29 20:05:35
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@Periwin_TL 「Atkins」トライアルウィーク初日の様子。5p 大遅刻です💦 #ペリ横_TW pic.twitter.com/nNat08KJZl

2022-11-04 21:19:28
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@Periwin_TL 大遅刻、愛の日後日談🎂 ミオちゃんとノエル pic.twitter.com/mzcYTrfMUe

2023-04-23 08:04:25
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@Periwin_TL ミオちゃんの20歳を祝って飲酒するリサと、アーサーと、ノエル。6p pic.twitter.com/9Y4lfkvWgQ

2023-09-07 00:07:59
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父からの成人祝いのはじめての一張羅のスーツは、両親のための喪服になった。
ノエル・アトキンズ、19の年を迎えたばかりの晩春のことだった。
葬儀には親族や友人知人だけでなく、町の人たちや昔からのお客さんも駆けつけてきてくれた。
それは父と母がどれほどの人に慕われていたかの証であり、子供の立場から生前には垣間見ることのできなかった父と母の人柄や逸話を知る機会にも恵まれた。

「本日はお越しくださり、誠にありがとうございました」

「リュカ祭のスーツを作っていただいたのですよ、もう大昔のことですがね……それで妻にプロポーズしたのです。先代には本当に、お世話になりました」

「……そうでしたか、それは父も母もきっと喜んでいることでしょう」

「これから大変だろうけど、頑張ってね。落ち着いたらまたお店に伺いますから」

「ありがとうございます、若輩ながら精進して参りますので今後ともよろしくお願いいたします」

気丈に振舞って面倒な挨拶回りや書類仕事を黙って引き受けてくれた兄の存在は本当に頼りがいがあったし有難かった。兄たちがいなかったらきっと、ノエル一人ではどうなっていたことか分からない。
長兄はすでに家督を継いだ身としてその一人一人に礼を言い、三代目になるが店は閉めないということをくれぐれも伝えて回った。
当然だ、一家の大黒柱が倒れたとしても食べていかねばならない。ただでさえ職人としてはまだ若く、世代交代したばかりで信用もない。喪が開けたらすぐにでも店を立て直さなければ。
祖父が築き、父が守ってきた看板を自分たちの代で傷つけるわけにはいかない。
やるべきことは山積みだ、人が死んだ時こそ悲しみに浸っている余裕なんてない。
アーサーはあれで中々賢い男だし、若いにしては優秀な職人だ。きっとすぐに客足は戻ってくることだろう。
キースもあと二年もしたらきっと独立する、そうしたら実家に戻って靴屋を開くつもりだ。幸いなことに両親が残してくれた家と財産がいくらかあるし、きっと上手くやっていける。
うん、僕たちはきっと大丈夫。
何度も何度も、呪いのように自分にそう言い聞かせる。とにかく僕が今やるべきことは、一刻も早く一人前になって稼ぐこと。いつまでも兄たちの世話になっていてはいけない。父と母はもう、いないんだから。

そう、父と母は……もういない。

知っているだろうか、人は死んだら石になるのだ。
天使でも、風でも、花でもない。肉体はいずれ朽ちて土に帰るけど、実際あとに残るのは小さな白い墓石がひとつ。
そこに刻まれるのは名前と、生まれた日と、死んだ日だけ。よっぽど歴史に名を残しでもしない限り、人がこの世を去る時に残していくものなんてなにもないのだ。
誰の子で、どんな人で、どこでどんな人生を送り、どれだけの人たちから愛されたかなんて。家族でもない限り僕たちは人のことを知る由もない。
所詮彼らは、いつか父と母のことなんて忘れてしまうのだろう。
着古したスーツは捨てられて、また新しいスーツを仕立てるのだ。

ああ、なにも考えたくない。将来のことも、これからのことも、明日をどう過ごすかさえ。ただいつまでも泥のように眠って、二度と目覚めなければいい。

没2

「ノエルさん……っ!」

金曜の午後5時、閉店間際のことだった。
本日最後のお客を見送ったあとで、そろそろ店じまいの用意でもしておくかと思い、机の上を片付けはじめた頃。

息を切らしながら血相を変えたリアムが突然、店の中に飛び込んできた。

「ラスター、ここに来てませんか!?」

切羽詰まったリアムの表情を見れば何かあったのは明らかで、二言目に彼が溺愛している使い魔の名前が出てきたとなれば。
ノエルはすぐさま只事ではない雰囲気を感じた。

「なに?どうしたの」

来てないけど、ノエルは不安に駆られて無意識に立ち上がる。
嫌な予感しかしなかった。

「学校帰るときに急に走り出して、」

「うん」

「急いで追いかけて教室まで戻ったんですけど、学校のどこにもいなくて」

「うん」

「それからずっと探してたんですけど、もしかしたらもう学校にはいないのかもと思って、ラスターが行きそうなところをあちこち探してて……」

今にも泣きそうになりながら必至に堪えているリアムに、ノエルは「喉乾いてるでしょ」とキッチンからミネラルウォーターのボトルを取ってきて渡す。
リアムはボトルの栓をパキりと開け、水を一口飲み、眼鏡を上げて袖口で瞼をぐしぐし拭い涙を誤魔化した。

ノエルはというと、リアムの話を聞いてあることを思い出していた。
半年ほど前……エアレースの直後、学校に不審者が出て安全のため町の大人たちで夜の見回りに行ったことがあった。
不本意ではあったが半強制的に駆り出され、ノエルも渋々ながら「Playble」の店主エドワードとともに見回りに参加した。
そこでもう二度と思い出したくない恐ろしい思いをしたのだが、今になって再びその記憶が甦ってきたわけである。

消えた使い魔……。

普通から言って、使い魔が理由もなく宿主のそばを離れることはまずない。さらに言うと、魔法のかかった学校の中でそれは絶対にありえない。
……あるひとつの可能性を除いては。

「上にも聞いてくるから、ここで待ってて。すぐ戻るから」

ノエルは階段を上っていく手間を押しんで、店の電話からすぐさまアーサーとキースに電話をかけた。

――その頃二階では。
「Atkins」の電話が鳴った、お客ではない。内線電話の方だ。
よくよく耳を澄ますと、すぐ上からもジリジリと電話の鳴る音が聞こえてくる。ということは、ノエルだな。

「ん"ん"っ、う"ん"……どうした、弟よ」

「……あんたミハイルか」

「ちっ、バレたか」

電話をとったのはミハイルであった。
声色まで変えてアーサーの振りをして電話に出たものの、あっさり見破られミハイルは不服そうにソファーに沈み込む。

「アーサーは?」

「シャワー中♡」

「うわ聞きたくなかった」

「ウソ、俺のメーデー用のスーツ作ってる。ガッツリ刺繍が入ったやつ」

「最悪じゃん」

「もう別れるって言われたよ」

傍でアーサーが針仕事をしながらミハイルを睨みつけ中指を立てる。ミハイルはそれを見てけらけらと笑い、冗談めかしてキスを投げつけた。
「ねえ、ラスター、見てないよね?」それどころではないノエルが苛立ちながら神経質な声で言った。

「見てないよ、アーサーも見てないって」

「あっそう……ていうかなんでキースは電話に出ないの!」

三階で鳴りっぱなしの電話の音がまだ聞こえる。
ノエルがヒステリックにそう叫ぶと、ミハイルはあっけらかんとして答えた。

「それは、今ここにいるから」

「は?何やってんの」

「俺の足のサイズ測ってる、メーデー用にお靴も新調するの♡白い革靴持ってないからさあ。ちなみにラスターは見てないって」

「……で、あんたは何やってんの?」

「きみの電話の内容を彼らに伝えてあげてる、超忙しい、今すごく重要なミッション中だからね」

「よかった~暇なやつがいてくれて。今から学校行くよ、準備して」

「なんて?」

ミハイルは言葉の意味をとっさに理解できず、思わず耳を疑った。ノエルはなんでもない事のようにさらりとして言った。

「わんこ探しに行くの」

――

まあ正直言うと、二度と来たくないと思っていたわけだが。
学校に来るのは実に半年ぶりである、しかも昼間ならまだしも夜の学校。まあこの前よりはまだ早い時間ではあるけれど、それはそうなんだけども。
巡り巡ってノエルは再びリアム、ミハイルとともに終業後の母校を訪れていた。
守衛に無理を言って鍵を借り、あの時と同じように正面昇降口から鍵を開けて中に入った。
はじめは当然突っぱねられたが、ずいぶんと粘って、最終的には快くマスターキーを貸してくれた。
正確に言うと、ミハイルを少しばかりだしに使わせてもらった。
「あの人、すごい有名人なんだけどご存知です?ミハイル・シェロノフ!ここのOB。今度ここでバレエの慈善公演やりたいと思ってるんですよ、まだオフレコなんですけどね……」

「――学校とか何年ぶり~、懐かしすぎる。講演ばっかで同窓会もいつも行けなかったからさあ」

そうとも知らずに当の本人はといえば。
のんきに青春を懐かしんで感慨に浸ったり、教室の椅子を引いて座ってみたり、あちこち見て回ったりしていた。

「リアム、教室どこだっけ?」

「あ、こっちです!」

鍵の束を指に引っかけてじゃらじゃら鳴らしながら「ラスター、出ておいで~」とリアムが呼びかける。
いつもは名前を呼べばすぐに駆けつけてくる従順な使い魔だが、返事はない。
ノエルはふと頭の後ろを撫でられるような、背後に冷たい気配を感じて後ろを振り返る。

「……なに?」

しかし後には、ポケットに手を入れて緩い歩幅でのんびりとついてくるミハイルがいるだけであった。

没3

コンコン。

深夜、日が昇るか昇らないかという頃。
不意に扉を叩く音でアーサーは目が覚めた。
こんな時間に誰だろう、まだ覚醒しきらぬぼんやりとした頭で考える。
時刻は午前3時、こんな朝早くにお客ということは考えにくい、というかむしろ考えたくない。
もし弟たちが緊急の用ならば、ノックなどしなくとも扉を開けて駆け込んでくるだろう。
考えられるとしてミハイルだが……彼がこんなに早起きするとは到底思えない。ランチタイムに起きて、飲みながら徹夜でギャンブルに興じるという自堕落な生活をしているような男だ。
……と、なると、誰だ?

コンコン。

曲げた指の骨が硬質な扉を叩く、ハイヒールの靴音のような小気味よい音。
しかし寝起きの神経には刺激が強く、アーサーはいらいらを募らせながら往生際悪く毛布を頭から深くかぶってやり過ごそうと試みる。
しかしノックは鳴り止まず、少し待ってからまた「コンコン」と繰り返し繰り返し扉は叩かれる。
次鳴ったら起きて玄関まで出ていって、場合によっては文句を言ってやろう。
全くいま何時だと思ってるんだ、夜の夜中に人を起こしやがって。こっちは明日も仕事なんだぞ――と思っていたらまた案の定「コンコン」とノックがされた。

「ちっ……あ゙あ゙もう!なに!?」

アーサーは毛布を跳ねのけて、裸足のまま冷たい床を玄関までどすどす歩いていった。

「どなた!?」

怒りを込めながら扉をバンと開く、冷たい夜風がぶわっと吹きつけて寝起きの体に芯まで冷え込む。
扉の前に立っていた人物を見るなり、アーサーは思わず喉の奥で「ひっ」と小さく声を上げ一歩後ろに後ずさる。
そこには見覚えのない一人の美しい女性が立っていた。
きれいに結えられた濡鴉の美しい黒髪、肌は陶器のように白く、ベルベットの唇は1ミリの狂いもなく完璧に紅く塗られ、それがむしろ血色をなくしてまるで青白い死人の顔のようであった。
おまけに葬式の帰りみたいな真っ黒い喪服にベールを着けているものだから、これがもしドッキリ企画なら大成功である。
問題はターゲットが寝起きでいまいち反応が悪かったことくらいで、でもまあ撮れ高としては悪くないのではないか。
寝起きのくせに頭だけはよく回る、正直こうしてモノローグでも語っていないと恐怖で今にも叫び出しそうなのだ。

「な、なにか御用ですか」

女は答えない。
アーサーは恐る恐るベールの下の女の顔を覗き込む、紅を塗った赤い唇は見えどもそこから先は分からない。

行方不明のツリー小説

「……リアムくんは好きな人とかはおらんのかね」「へ!?」
不意に話しかけられリアムは驚いた拍子に机の上のティーカップがガシャンと音を立てる、分かりやすく動揺を露わにする少年にミハイルは鼻で笑った。
「俺たちが学生の時ときたら、それはもうとっかえひっかえスゴかった――」「わっ、わーっ!いいです、だいたい想像つくんで……」
青春の日々を懐かしげに振り返るミハイルを、リアムは慌てて止めた。彼の話は未成年には刺激が強すぎる。
「いいなあ、十代。人生の華だよ」フラミンゴは哀愁の眼差しでもう二度と戻ることのない時間を羨んだ。
稽古に明け暮れた日々の中で、ミハイルの青春は舞台の上のスポットライトと、僅かな喝采。
「若いうちにもっと遊べ、俺みたいなイイ男になりたけりゃ」冷めた紅茶をウィスキーかの如く煽る。
ここの人たちときたらどうしてこんなセリフもさらっと言えてしまうのだろう、恥ずかしくないのかななんてリアムは心の内で思う。
「君も髪型変えて、そのだっさいメガネやめれば様変わりすると思うんだがな~!ほら、ちょっと貸してみろ……」「わっ、ちょっと、やめてくださいよ~っ!ミハイルさん!?」
ひょい、と眼鏡を奪われたリアムは慌てて目の前のぼんやりとしたピンク色に手を伸ばす。ミハイルはすっと身をかわした。
度数の高いレンズ越しに隠れていた空色を見つけ「おや」と目を瞠る。

未定

おお……イケメン。
キース・アトキンズについての第一印象はありふれたものだった。
キリリと整った目鼻立ち、優しそうにやわらかく垂れた眉、笑うと口端から覗く犬歯。大きな背丈。よく使い込まれた職人の大きな手。
ピンピン跳ねた短い金髪は、いかにも潮風と太陽に焼かれて傷んでいそうなのに柔らかく枝垂れている。耳にはピアスの穴一つなく、肌は日焼け知らずでタトゥーもない。
ハキハキ通る声は温かく、上品で控えめで、底が9cmもあってコウモリのマークがついてる厚底ブーツの下手なスケッチを見せても一度も笑うことはなかった。真剣な顔でそれを見つめ、素材や寸法についていくつか質問した後に、「二、三日預からせていただいてもよろしいですか」と尋ねた。
リサは「どうぞどうぞ!」と頬をほんのり赤くさせながらスケッチを差し出し、もうほとんど飲みきってしまってあと四分の一ほどしか残っていない紅茶をちびちび舐めた。
ふだん紅茶はあまり飲まないリサだが、なんていう銘柄なのかなと興味を持った。甘い花びらのような香りがして、とても美味しい。ついでにもう一杯おかわりしたいくらい。
でもそんな図々しいこと言えないよね、カフェじゃあるまいしと口を噤む。すると不意にティーポットがふわりと浮かんで、リサのカップの中に黙っておかわりを注いだ。

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まとめたひと
メメコ @memeko_tensai

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