『同期のYさんは』『side : y』の別視点、監督生のお相手の話です。特定の誰かというのは決めていませんので、お好きな方を当てはめて頂けたらと思います。
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ふちゅん @Tdhutyun3Vp

※監督生の性別は不明 ※CP要素有 ※何でも許せる人向け 『side : Q』

2020-06-27 00:55:58
ふちゅん @Tdhutyun3Vp

学園に足を踏み入れると、そこは自分といた時とさほど変わっていないように見えた。メインストリートを歩いていき、正面入口前で足を止める。そこには見慣れた姿の男が立っていた。あなたが最後ですよ。そう言ってカラスの羽のようなマントをひらめかせ、中に入っていった。後に続き、中に踏み込む。

2020-06-27 01:58:17
ふちゅん @Tdhutyun3Vp

ホリデーの時期であるためか、校舎内はやけに静かだった。コツリ、コツリ。二人分の足音だけが廊下に響く。少しだけ冷たさのある空気が頬を撫でた。無言で歩き続けること数分。見覚えのある道順に懐かしさを覚えながらも辿り着いたのは、鏡が集まる部屋、鏡舎だった。

2020-06-27 02:24:51
ふちゅん @Tdhutyun3Vp

入ると、既に人が集まっている。顔ぶれを見るに、どうやら本当に自分が最後の一人であったようだ。全員集まりましたね、と男が確認する。てんでばらばらに反応を示した自分たちにため息をつきながらも、説明を始めた。”早速ですが、本題です。○○さんが見つかりました”

2020-06-27 02:31:13
ふちゅん @Tdhutyun3Vp

場が一気に張り詰める。埃が舞う音すら聞こえそうなほどの静けさが落ちた。全員の視線が男に向けられ、言葉の続きを待った。”見つかったと言うよりも、存在する世界と再度繋げることが可能になったと言うべきでしょう” 男の立つ位置が少し横にずれると、すぐ後ろにある大きな鏡の全体が見えた。

2020-06-27 23:16:12
ふちゅん @Tdhutyun3Vp

ずるりと鏡面が揺れ、薄くどこかの風景が映し出される。オフィス街なのか、建物はどこもかしこもガラス張りだ。行きかう人々は皆忙し気に往来を行き来し、目が回りそうになる。”ここが○○さんが生きる世界です。ついこの間、偶然にも繋がりまして”

2020-06-27 23:33:26
ふちゅん @Tdhutyun3Vp

白々しい。そう思いながらも目は鏡から逸らせないでいた。薄く幕が張られたように霞がかった別世界。同じ人間たちが多く生き、そして魔法がない世界。このどこかに○○はいる。最後の別れはどれほど前だっただろうか。それでも別れ際に見せた、泣きながらの笑顔がはっきりと浮かび上がってきた。

2020-06-28 00:35:35
ふちゅん @Tdhutyun3Vp

"○○さんの姿を見つけたと言いましたが、実際見たのは鏡が繋がった直後の1回きり。しかし鏡はこの場所と繋がりました。恐らくですが、この場所と○○さんが深く関わっている可能性が高い。そうでなければ私の研究の論拠が崩れて……あ……" 思わず、といった様子だ。

2020-06-28 02:01:59
ふちゅん @Tdhutyun3Vp

やはり偶然ではなく、意図的に繋げることに成功したようだ。本来ならばかなりの大発見であるが、今一番重要なのは○○の所在だ。いくら繋がった場所に関わりが深い可能性があると言っても、探し出す材料としては少ない。けれどあちらの世界へ乗り込んでいくことも出来ない。一体どうすれば。

2020-06-28 02:01:59
ふちゅん @Tdhutyun3Vp

"色々考えたんですけどね、まずは○○さんを探し出さないと話が進まないという結論になりまして。この繋がりは○○さんに起因するところが大きいですから、どうにかして見つけて安定した接続ができるように試みたいのです。しかし見つけるにも材料が少ない。おっとここで新情報"

2020-06-28 16:38:52
ふちゅん @Tdhutyun3Vp

おどけたような語り口な男に、それぞれが鋭い視線を送った。冷たい眼差したちに男はしゅんとするが、気を取り直すように咳払いをする。"昨日くらいから、鏡を別の場所にも繋げることに成功したのです。ですからそれを利用して○○さんを探したいのですが、私は他のことで手一杯"

2020-06-28 18:09:08
ふちゅん @Tdhutyun3Vp

"そういう訳で、本日集まってもらったのは、誰がその探索に協力してくれるかを決めていただきたかったからです。皆さん、○○さんのことがずっと気になっていたようですし、いい機会かと思いましてね。まあお仕事の都合とかもあるでしょうし、無理にとは言いません。私優しいので"

2020-06-28 18:09:08
ふちゅん @Tdhutyun3Vp

散々に聞き慣れた言葉も、久しぶりに聞けば懐かしいと感じる。などということもなく、全員がまたかといった顔で男を見た。それでも探索、もとい調査自体を断る理由もない。どうする。さざ波のように小さな声がひしめき合っていく。視線が行きかい、見えない意見のやり取りが続く。

2020-06-30 15:22:19
ふちゅん @Tdhutyun3Vp

どれくらい経っただろうか。さっと、そのざわめきが止んだ。何かあったかと下に下がっていた目線を上げると、全員の視線がこちらに向けられているのが分かった。”なるほど、確かに君は特に○○さんとの親交が厚かったようですし、適任と言えるでしょう。いかがですか?”

2020-06-30 15:22:20
ふちゅん @Tdhutyun3Vp

何かを言おうと口を開くが、出てくるのは湿気った空気だけだった。自分が○○を探し出せるのか。○○は今、どのような状態なのか。そもそもどうやって探し出せばいい?見つかる確証は? いくつもの考えが頭の中を巡る。それでもこの会えるかもしれないという機会を逃すわけにはいかない。

2020-06-30 19:34:33
ふちゅん @Tdhutyun3Vp

男の方を見て頷く。男は満足げに金色の目を細めた。"よろしい。では明日から作業を始めましょう。今日のところは話を終わりにします。ここまで長旅であった人が多いようですし、皆さんにはゲストルームに宿泊して頂きます。ふっかふかのベッドがありますよ!”

2020-07-01 01:49:51
ふちゅん @Tdhutyun3Vp

さあさあと出入り口に押しやってくる男。聞きたいことは沢山あるが、この調子だと耳を傾けてくれそうになさそうだ。今のところは言われたとおりにゲストルームへ行こう。そうは思っても名残惜しさからか、別世界を映した鏡へ顔を向けてしまう。やはり映るのは、多くの人が行きかう様子だけだった。

2020-07-01 02:17:26
ふちゅん @Tdhutyun3Vp

その時。霞がかった風景が大きく波打った。そして向こう側でピタリと足を止めた一組の人間のうち、片方がつとこちらを見る。瞬間、鏡に駆け寄っていた。こちらを見た人は、目を大きく見開いていた。自分が知ってる頃の面影を残したその姿に思わず手を伸ばすが、鏡面に掌を押し付けることしかできない。

2020-07-01 02:17:26
ふちゅん @Tdhutyun3Vp

○○。○○。何度も名前を呼ぶ。声が聞こえていないのか、○○は少しだけ開いた唇を震わせるだけだった。だが僅かにこちらへ一歩を踏み出そうとした時、連れの人間が○○の肩を軽く叩いた。金縛りが解けたかのように○○がそちらを向く。同時に鏡面がまた大きく揺れ、ぷつりと向こう側の景色が消えた。

2020-07-01 02:17:27
ふちゅん @Tdhutyun3Vp

体から力が抜け、床に膝を着く。大丈夫かと声をかけられながら腕を引っ張りあげられて立ち上がると、いつの間にか横に男がいる。何やら難しげな顔で鏡に触れ、うんうんと唸っている。"見つかっちゃいましたねぇ……" そう一言いい、やはり今日のところは解散とする旨を伝えてどこかへ去っていった。

2020-07-01 15:55:26
ふちゅん @Tdhutyun3Vp

次の日から本格的に調査が始まった。元々○○についてと呼び出しの封書にあったからか。集められた全員が仕事の休みなり私用の都合なりをつけており、なんやかんやでしばらく学園に残るようだった。それを見越していたのだろう。男はそれぞれに仕事を与えた。

2020-07-01 17:42:06
ふちゅん @Tdhutyun3Vp

それは多岐に渡った。例えば鏡の動作管理やメンテナンス。別世界へ意図的に繋げること自体が相当に負荷がかかっているため、こまめに不具合がないかなどを見る必要があった。例えば別世界へ繋げる過程のプロセスの研究。これは男の研究を手伝う形になる。他にも様々なことを、それぞれが行っていった。

2020-07-01 17:51:25
ふちゅん @Tdhutyun3Vp

鏡を操作するのは自分だった。どのポイントにどれだけ繋げていられるか、新しく繋げられそうな場所は、操作の仕方でどこに繋げられるか、などを行っていく。そこに新たに整えられた理論や研究結果が反映されていき、別世界への繋がりは徐々に強くなっていった。

2020-07-01 18:33:41
ふちゅん @Tdhutyun3Vp

けれど、肝心な○○の姿を見つけることができなかった。男の説明通りなら、複数の繋がる場所は全て○○に関係している場所であるはずなのに。男も首をひねり、連日研究は続いた。そして、あることが判明した。

2020-07-02 13:40:46
ふちゅん @Tdhutyun3Vp

結論から言うと、こちらが○○を見つけられなかったのではなく、「鏡越しに存在を認識できていなかった」のだ。つまり○○が鏡と繋がっている場所にいたとしても、こちら側からは見えない状態となっていた、ということらしい。反対に、○○の方もこちらの姿が見えていなかったという具合だった。

2020-07-02 14:05:07
ふちゅん @Tdhutyun3Vp

○○は今、ねじれた存在になっている。抱えるねじれは2つ。1つ目は昔、こちらの世界へ来て、その後に元の世界へ戻った地点。2つ目はこちらと互いを認識した地点。1つ目の時、元の世界に戻った○○だが、世界線同士の絡まりが全て無くなった訳ではなかった。

2020-07-02 15:48:37
ふちゅん @Tdhutyun3Vp

それでも世界は、流れる時を歪ませるものを正す働きを持つ。1つ目の、○○が2つの世界を跨いだという歪みは、世界が時をかけて解消させていったと予測される。その歪みがほぼ無くなった頃、2つ目の歪みが生まれた。

2020-07-02 15:48:38
ふちゅん @Tdhutyun3Vp

ほぼ無くなったはずの歪みは、再び世界同士が間接的に交わったことで無理矢理絡ませられた。その結果、世界の整合性を保とうとする働きがより強くなり、あちらの世界は○○をこちら側から見えなくすることで、これ以上の絡まりを○○に集まらないようにしているようだ。

2020-07-02 15:57:08
ふちゅん @Tdhutyun3Vp

それを解消する術は現状ない。できるとすれば世界の理を無理矢理変えることのみ。つまりは魔法。男や研究班によると、一時的ならば歪みを利用して魔法を働かせるることで、双方向のやり取りができる理論を立てることに成功したとのことだ。それを利用し、自分たちは○○との接触に挑んだ。

2020-07-02 21:23:31
ふちゅん @Tdhutyun3Vp

そして自分たちは禁術級の魔法のプロセスを踏み、世界が隠していたその存在をついに見つけた。世界の理を変えきっていないせいか、未だ薄く幕が張られたような景色の先。求めた姿と目が合う。

2020-07-02 21:29:18
ふちゅん @Tdhutyun3Vp

唖然とした様子でこちらを見る○○。思わず鏡の操作を誤り接続を切ってしまった。男や周りがぎょっとした顔でこちらを見る。きっと○○の方も同じような状態だろう。やってしまったと言うように額に手を当てるが、それとは反対に口角が釣り上がっていくのを感じる。やっと。やっとだ。ついに見つけた。

2020-07-04 09:26:07
ふちゅん @Tdhutyun3Vp

そこからの話は早かった。繋げる度にはっきりと透明になっていく境界線。繋がる場所も○○に関連するしないに関係なくなった。繋げればいつでも○○の様子を見ることが出来る。仕事をしている様子、空を見上げている様子。こちらの世界では終ぞ見ることのなかった、本来の世界で生きる姿。

2020-07-04 09:36:23
ふちゅん @Tdhutyun3Vp

これ以外の変化と言えば、男がよく眠るようになったことくらいか。繋げる度にマスクの下の瞳が微細に揺れ、少し眠りますと言っては鏡舎に持ち込まれたソファに寝そべった。男はあちらの世界に接続するごとに、分身となるものを送っているようだ。その反動で強制的に眠らざるを得ないとか。

2020-07-04 10:05:19
ふちゅん @Tdhutyun3Vp

送ることで僅かながらでも繋がりの範囲を押し広げること、あとは両方の世界をどれだけ行き来が出来るかの確認も兼ねているとのことだ。日に日に男が眠る時間も増えていき、鏡に映る二つの世界の境界も曖昧になっていった。

2020-07-04 10:12:11
ふちゅん @Tdhutyun3Vp

ある日の昼下がり。○○の元にカラスが訪れた。一羽の、黄金の瞳を持つ漆黒のカラスだった。それは○○にもうすぐ繋がるとだけ言い、こちらをちらと見て飛び去る。鏡越しには、一人蹲って泣く○○が見えた。思わず手を伸ばしかけるが、未だ越えることの出来ない境界に触れるだけだった。

2020-07-04 15:48:34
ふちゅん @Tdhutyun3Vp

刹那、顔の真横を一つの旋風が駆け抜けた。追いかけるように首を動かすと、目の前を一つの黒い羽根がゆっくりと落ちていく。その向こうでは朝から眠っていたはずの男がむくりと起き上がるところだった。鏡の方を見ると、○○は変わらず泣いている。横を通り抜けた旋風に気付かなかったようだ。

2020-07-04 15:48:35
ふちゅん @Tdhutyun3Vp

そこに研究班の一人が入ってきた。手には1枚の紙が握りしめられている。唇は固く結ばれ、顔色はやや青い。つかつかと男の方へと歩いていくと、紙を差し出した。一言、立証された、と言い、鏡の方を見る。そして眉根を寄せ、険しい顔のまま鏡舎を出ていった。

2020-07-06 02:07:19
ふちゅん @Tdhutyun3Vp

ああやはり。納得と言ったように男が渡された紙を見ている。どうしたのだと近寄ると、その紙を渡された。妙な汗が背中を伝う。恐る恐る受け取り、書き連なった文字に目を滑らせた。最後まで読み切った時、手に汗が滲んでいるのが分かった。そろりと後ろを振り返り、まだ泣いている○○を見た。

2020-07-06 02:15:02
ふちゅん @Tdhutyun3Vp

「当初から予測されていたように、対象の世界間移動がある場合、対象が所属する世界においての個人情報や存在情報はほぼ失われる」 これが大体の内容だ。つまり、世界が繋がった暁、○○がこちらの世界へ飛び越えてきたならば、その瞬間にあちらの世界での○○に関する情報は全て消えるということだ。

2020-07-06 02:22:39
ふちゅん @Tdhutyun3Vp

最初からほぼ確実である予測だと男から伝えられてきてはいたが、実際に立証されたとなると、自分がやっている事の重さが急に肩へのしかかってくるようだ。覚束無い足取りで鏡の前へ戻る。世界の理を曲げて繋げていることで、双方間の認識は未だ不安定だ。今○○にはこちらが見えていない。

2020-07-06 12:47:59
ふちゅん @Tdhutyun3Vp

見えていたら、その背に声をかけられただろうか。何を話せただろうか。なぜ泣いているのかも分からない瞳に、どんな言葉で何を伝えられたのか。世界の理を曲げた結果、○○の存在を歪めたことか。それとも、あちらの世界で○○の情報を消してでもこちらの世界へ引きずり込みたいことか。

2020-07-06 12:48:00
ふちゅん @Tdhutyun3Vp

どこまでも自己中心的な考え。ひたすらに自分のため。その結果として人間一人の存在を無かったことにしようとする自分が、そうしてでも○○を得たいという感情が、何よりも恐ろしかった。

2020-07-06 12:54:50
ふちゅん @Tdhutyun3Vp

その日のうちから○○は色々な準備をし始めた。どこかに電話を掛けたり、パソコンを弄ったり、少しだけ掃除をしたり。そうして夜も更けた頃、最後に○○はどこかに電話をかけた。相手と繋がるとぱっと顔を明るくして口を動かし始める。時折相槌を打ち笑っていた。

2020-07-06 22:39:59
ふちゅん @Tdhutyun3Vp

十数分後。○○が電話を切り、ベッドに寝そべる。枕元にあるリモコンを操作し、部屋の明かりを落とした。その様子におやすみ、と呟いて接続を切った。ぱっと目の前の鏡に一人の人間が映る。責めるような、泣き出すかのような、ほっとしているような。いくつもの感情が入り交じる目はこちらを見ていた。

2020-07-06 23:15:50
ふちゅん @Tdhutyun3Vp

次の日、鏡には見慣れない部屋が写っていた。その中心には○○がいて、周囲にある大量のゴミ袋へ物を投げ込んでいる。手を止めて背伸びをすると、こちらに気付いたのか、困ったように笑って手を振った。振り返すと○○はそろりと立ち上がり、足元のゴミ袋を避けるようにしてこちらへ来た。

2020-07-08 16:14:21
ふちゅん @Tdhutyun3Vp

こちらの目の前へ立ち、ペタリと指を境目に触れさせた。視線が合う。○○がまた困ったように笑った。そして腕を上方に上げると、一気に景色が黒い物で覆われた。そこで自分は、○○がいた部屋の姿見か何かと繋がっていたのだと気付いた。だとすると、今○○がいる場所は普段生活する場所とは異なる所。

2020-07-08 17:07:29
ふちゅん @Tdhutyun3Vp

実家。見えていたのは○○が実家で暮らしていた時の部屋。昨夜電話していたのは両親か。 納得が行くのと同時に、鏡での接続を切った。今だけは決して繋げてはならない。そう思ったのだ。 鏡の向こうには本当の闇が広がり、再び一人の人間と目が合う。……何でお前が泣きそうな顔をするんだ。

2020-07-08 21:54:57
ふちゅん @Tdhutyun3Vp

そこから自分は、職場に戻った。長期間の休みが終わってしまったからだ。他にも同じように職場へ戻ったり国に戻ったりする者がちらほらといた。働いている限りは仕方がないことだ。それでも休日は学園に来ようと思っていた。しかし職場に戻って数日。上司から学園へ出向しろとの辞令が下った。

2020-07-09 16:26:06
ふちゅん @Tdhutyun3Vp

男だ。あの、カラスのようなマントを羽織り、黒のマスクに金色の瞳を隠した男。深く考えずともその結論に辿り着く。さすが名門学園の長と言うべきか。どんな手を使って辞令を下したのかは予想もつかないが、こちらとしても都合がいい。辞令が下って数日後。自分は再び学園の敷地を跨いでいた。

2020-07-09 16:30:06
ふちゅん @Tdhutyun3Vp

鏡舎へ行くと、そこには自分同様、1度は元いる場所に帰ったはず含め、全員が揃っていた。話を聞けば、帰ったはずの者たちは何かしらの方法で男に寄り呼び戻されたとの事だ。そっと顔を見合わせ、自然と可笑しさが込み上げてきた。沢山の笑い声で満たされた鏡舎に男が飛び込んでくる。

2020-07-09 16:41:07