眞姫の奇行まとめ
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ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji こんな表情をする凜王なんてめったにお目にかかれないぞ。 「……わかった」 わかった? 何が? 凜王はいつも使っている味気ないエプロンを付け、台所へ消えていったのだった…… まさか……

2017-02-27 23:31:27
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 「神はついに俺の味方をしたか……!」 「神なんて信じていないくせに何ほざいてんだ。それよりも……」 俺は何だかいやな予感がするぞ。 あいつの目、座っていたぞ。 何かよからぬことでも思いついたのでは……

2017-02-27 23:55:07
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji そして数分後。 戻ってきた凜王は、ドン!とテーブルにある二つの物を置いた。 「選べ。俺が買ってきて冷蔵庫に放置されていたチョコか、今作った手作りか」 冷蔵庫に放置もひどいけど、これ手作り言わんだろ! ドロッドロに溶けてんじゃねぇか!

2017-02-28 08:18:48
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji しかもボウルに入ったまんだし! これ、湯せんしただけだろ! 「ここから固めるんだから、手作りに変わりはない」 「そういう問題じゃねぇよ」 なぜそういう発想に至った。 これで眞姫へ反抗しているつもりか……

2017-03-02 08:11:35
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 眞姫の様子をチラリと見ると、初めは俺と同じくポカンとしていた様子だったが、 「ではこれを有り難く頂戴しよう」 と言って、溶けた方のチョコを選んでいた。 え、ちょ、マジかよ。 「……それ、溶けてるけど」 溶かした本人もビックリである。

2017-03-02 21:13:05
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 「ん?別に構わない」 「構わなくないだろ。溶けてるし」 溶かしたのお前だろうが。 「いいんだよ……これで……それっぽいプレイができそうだからな……ふふふふ……」 「返せ!!」 企みを知って、凜王は即刻ボウルを奪った。

2017-03-03 08:18:59
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 「馬鹿だなぁ、凜王。眞姫のことだから下心ありまくりだって散々痛い目見てきただろ。お前って頭いいわりにはそういうところ気づかないよな」 「惣一……お前はだんだん俺に対する扱いがひどくなってきたな……」

2017-03-04 08:21:38
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji だって何回も同じことを繰り返しているし。 懲りないなぁって。 「おい、俺へのチョコは」 そして空気を読まずに眞姫が口を挟んでくる。 お前、別にチョコは欲しくないだろ。 「……これはちゃんと固める。反省した」 今更遅いだろ。

2017-03-06 22:25:01
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 「チッ。せっかくのチャンスが……」 チャンスって何!? こいつやっぱりいかがわしいことをしようとしていたな!? エロ同人誌みたいに!エロ同人誌みたいに!! 「俺はもうだんだんお前等の関係性がわからなくなってきた」

2017-03-06 22:58:10
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji そうつぶやくと、眞姫の目がキラリと光った。 「そんなの決まっているだろう」 俺は思わず身構える。 「俺と凜王は──親友だ!!」 ドヤ顔の眞姫。 言葉の意味を理解できず、ポカンとする俺と凜王。 「……えっ!?」 そして時間差で互いに顔を見合わせた。

2017-03-06 23:39:09
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 「そ、そういう関係だったのか……俺たちは……」 「落ち着け、凜王。確かにそうだが、今そのリアクションは間違っている」 どうせ眞姫のことだ。 「相思相愛だ!」なんて言い出すだろうから「何でやねん」というツッコミをする気満々だったのに。

2017-03-06 23:59:10
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 「親友……?親友だって?まさかそんな単語で片づけられてしまうとは……どうせ相思相愛なんて言い出すだろうと、何でやねんと言うつもりで心構えていたというのに……」 俺と同じかよ。 それこそ相思相愛じゃねぇか。 気持ち悪いな。

2017-03-07 00:01:32
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 「この関係を親友とするならば、今までのあれやそれは全て友だちとしての行動ということなのか……?」 「いや、あれやそれの中身にもよるだろうけど、恐らくそういうことだろうな」 死にたい……とぼやいて、凜王は両手で顔を覆った。

2017-03-07 07:43:50
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji まさかそんなにショックを受けるとは。 「おい……そんなへこむなよ。第一あいつ、親友の意味を理解していないかもしれないじゃねぇか」 「聞こえてるぞ、馬鹿め。親友の意味くらい理解している」 小声で言ったつもりが……

2017-03-07 07:45:24
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 「勘違いしないでほしい。これまで俺には、心から友と呼べる人間がいなかった……。だが!お前は俺に手を差し伸べてくれた!これを友と言わずに何と言うだろうか!」 役者か、お前は。 いちいちオーバーだな……

2017-03-07 08:01:49
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 眞姫の言いたいことは理解できる。けど…… 俺は横で唖然とした表情で小刻みに体を震わす凜王を見た。 「──かっ……勘違いしないでほしいのはこっちの台詞だっつーの!」 そう叫んで、凜王は、チョコの入ったボウルを思いっきり眞姫に投げつけだのだった……

2017-03-07 08:08:20
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 頭からチョコをかぶる眞姫。 見向きもせずに逃走する凜王。 一瞬、何が起きたのかわからなかった。 そんな中、最初に出てきた言葉は、 「お前……本当馬鹿だな?」 「まずは俺の心配をしろ」 何でだよ。 お前のことなんてどうでもいいわ。

2017-03-07 16:40:23
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 「凜王があんなに感情的になるなんて……よっぽどじゃねぇか。お前、ちゃんと謝れよ」 「そう言われても、何をどう謝罪しろと」 それは……まぁ……俺にもわからねぇけど。 「あんだけベタベタしておいて親友て 」 「なぜだ。親友と言ってなぜ怒る」

2017-03-07 22:09:05
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji だから俺にもわからないって! 「わからない……凜王はなぜ怒っているんだ……?親友と呼ばずしてこの関係を何と呼ぶ?」 頭を抱えて本気で考え出す。 心底どうでもいいけど…… 「お前……親友の意味わかってる……?」

2017-03-07 22:47:50
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 「初めて会ったあの日、自分の心内に踏み込まれるのが怖くては突っぱねてしまったが……本当はあの美しい瞳の輝きに心を奪われてしまっていた……」 「……」 俺は誤ってスイッチを押してしまったらしい。 ものすごく今後悔している。

2017-03-07 22:58:00
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 「馬鹿にしているのか!貴様!あの日あのとき、凜王の救いの手がなければ、俺は地獄のような生活を続ける羽目となっていたんだ。感謝してもしきれない」 ……俺への感謝はないのか。

2017-03-07 22:51:54
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 「俺は今まで他人にこんなにも心を許したことなどなかった……気がつけばいつも凜王のことを考えている。あいつと知らない人間が仲良く話しているのを見ると、胸の奥を締め付けられるような、怒りが沸いてくる」 そこで眞姫は、ハッと顔を上げた。

2017-03-08 08:08:06
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 「もしや、これが恋………」 「はい!今日の営業は終了~!閉店閉店!お疲れ様でしたー!」 眞姫の言葉をかき消すようにパンパンと手を叩きながら、俺はその場から立ち去ろうとした。 「あ、ちゃんと汚したところ片づけておけよ」

2017-03-08 08:17:51
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji チョコまみれの眞姫を残して、俺は今度こそ立ち去った。 俺は……やつに気づいてはいけないことを気づかせてしまった気がする…… 凜王……ごめん…… でも俺、お前を置いて逃げるわ。 こんな無責任な俺を許してくれ……

2017-03-10 07:39:31