龍作×半龍半人尾の平安パロ

にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

勇作はその大きな胸に尾を抱き込んだ。「どうです？格好いいでしょう？」そう言う勇作の声は妙に沈んでいる。だがその理由は尾にも分かった。「ええ、格好いいですね。玉も、その片割れも見つかったでは無いですか」「…ですが、それは」そう、玉の片割れは尾の中にある。尾の心臓として。

にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

「私は、父に玉の片割れを見つけ持ち帰る様に言われました……ですが、これでは……」そう、玉を尾から取り出すという事は、すなわち尾のﾀﾋだ。どくん、どくんと勇作とみっちゃくする身体は、力強く玉と共に呼応する。尾はくつくつと笑った。「罪深い私ですから、まぁ障りは無いでしょう」

にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

すると勇作はいやです！と声を上げた。「私は、兄様を好いています。この姿だって、兄様に褒められなければ何の意味も無い…」「おいおい…」「それに…まさか…兄様は、私の本当の兄様でしょうか？」「…一応俺は龍との混血なので」「…糞おやじ」「？勇作？」「いえ、なんでもありません」

にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

「なんで龍の父が俺に玉片割れを埋め込んだかは知りませんが……まぁ、俺がﾀﾋんだら取り出せば良いんじゃないですかね？」「え？それは……ﾀﾋぬまで勇作と共にいてくださるのですか？！」「いや、俺がﾀﾋんだ時に来ればいいだろ…」「いえ、悲しい事に兄様の方が先にお亡くなりになるのは必須…」

にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

なにやら考え込む勇作。抜群に美しい顔が間近にあり、尾はなんだか居た堪れなくなってきた。「分かりました、この様にくっついていれば、私の力も本来のものになるようですし、このまま兄様と添い遂げます！」「おい、なんか色々変わってきたぞ」「なので、兄様、末永くよろしくお願いしますね」

にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

そのあと、本当に色々あった。尾が穢れを洗い流したおかげで病魔の数はへった。とは言え病魔が根絶することはない。毎日誰かはﾀﾋぬのだ。それが自然の摂理である。内裏の勢力図も大きくは変わらない。だが中宮の力は確実に衰えていくだろう。「ですが、病魔のために玉を使うには少々引っかかります」

にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

勇作が茶を飲みながら話す。場所は土方の屋敷だ。尾は鶴見にも土方にも、自分が龍となったことは話していない。あの時の事は大きなつむじ風という事になっている。真実は、おそらくバレている様だけど。土方は相変わらず勇作と尾を受け入れる。勇作もあの美丈夫姿で土方邸に馴染んでいた。

にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

「うむ…確かにな。病魔を湧かせるくらいなら玉などいらぬ」「もっと、もっと悍ましいものを呼ぼうとしていた、とかでなければいいのですが…」その会話を聞きながら、尾はごろりと横になる。「もう、面倒事はごめんだ」そうつぶやいたのだった。（終）