0
にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

龍作✕半龍半人の尾。尾は龍次郎とトメの間の子。龍作さんは正真正銘龍(五本爪)尾は長く生きてるけど完全な龍になれないから龍の住む世界に行けない。平安京の片隅にいる。陰陽師の真似事をして生きてる。食べたり飲んだりしなくても生きていられるけど、甘いものは好き。

2024-01-02 00:28:01
にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

ところがある雷雨の夜に尾がいる荒屋にどすん!!と何かが落ちてくる。尾はぼや〜っとしてたのでびっくり。なんだなんだと見に行けば尾の背丈の半分くらいの龍がいる。怪我をして血まみれで、せわしなく息をしている。尾はびっくりするが、龍の世話なんてしたこと無い。

2024-01-02 00:33:06
にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

なんだこれは、と咄嗟に駆け寄ると龍の尾が鞭の様に振るわれる。荒屋の壁がバラバラと崩れていく。止めろ!と叫ぶ。龍はその声に目を見開いた。そしてぐぅ、と唸って威嚇する。尾ははぁ、とため息をついた。「言葉はわかるか?なら家を破壊するのは止めてくれ」そう言うと龍は周りを見渡す。

2024-01-02 10:15:15
にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

これが家?と言わんばかりだ。悪かったな、荒屋で、と尾は目が据わる。「何があったか知らんが、龍を殺す趣味は俺にはない。手当も無理だが……見せてみろ」そう言い、龍に近づく。龍は訝しげに髭と尾を揺らめかせながらこちらを見ている。尾が龍の身体に触れると、びくりと震える。

2024-01-02 10:18:09
にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

ゆっくり、鱗の様な表皮を撫でる。気脈と言うのだろうか、その流れの乱れを解きほぐす様に撫でると龍は次第に身体の力を脱いた。ズシン、と音を立てて床に寝そべる。龍が案外重いのだなと感じた。ぐぅ、と甘えるように身を寄せる。「現金なやつだな、龍ってのはそんな厚かましいのか?」と尾は笑う

2024-01-02 10:23:10
にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

尾は龍の血が入っているから水を操るのが得意。龍の流した血を一つの雫にし、固める。「飲め、力が戻るはずだ」血には力が宿っている。ましてや龍の血。良からぬ奴らに知られたら面倒だ。だが龍は嫌そうに目を細める。かちかちと爪を鳴らして苛立った意思表示もする。尾はため息をつく。

2024-01-02 10:30:47
にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

更に水分を抜いて小さく凝縮する。本当は水分が多い方が身体に馴染む。だが元々血を流す経験がない龍には抵抗があるのだろう。「自分で飲まんなら鼻から突っ込むぞ」そう言って血の玉を龍の顔に近づけると、龍は渋々それを口に入れた。多少力が回復したのか、出血が止まる。

2024-01-02 10:37:05
にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

だがまだまだ力は戻りきっていないようだ。五本爪ならもっとデカく強大な力を持つはずだ。それにほのかに黄色く光る鱗。まさか、龍の王である黄龍ではあるまいか。尾はとんだ落とし物に頭を抱えた。これがもし本物の黄龍なら、弱ったこいつを魑魅魍魎が狙うだろう。もっと安全で清涼な場が必要だ。

2024-01-02 10:52:41
にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

「お前、もっと小さくなれないか、これくらい」と説得し、なんとか子狸くらいの大きさになってもらう。一応気位も高いのだろう。不満げにぴいぴい言っている。そして狩衣の懐に龍を入れた。もぞもぞと動き落ち着く場所を探し、良き体勢を見つけたのか、はふぅ、と息をつく。

2024-01-02 10:59:45
にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

「顔を出すなよ、ここでは弱った龍なんて丸焼きにして食っちまうからな」そう脅すと、ぴ!?と反応する。先程の威厳はどこへやら。すっかり尾の懐に籠城している。尾は龍の血の力を使って風の様に駆け出す。目指すは陰陽寮。尾の食い扶持稼ぎを持ち込む奴らの場だった。難なく陰陽寮に忍び込む。

2024-01-02 11:04:52
にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

だが尾は顔をしかめる。陰陽寮のあちらこちらに病魔の素が蠢いている。白い芋虫の様なのがうぞうぞと。本来であればそれらを祓うのが陰陽師の仕事の一つのはず。なので結界を張って病魔すら寄せ付けない。なにかよからぬ事が起こっているのかもしれない。尾は見習いの小僧を捕まえる

2024-01-02 11:09:22
にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

そいつの肩にも病魔の素がくっついている。小僧ほど体力があれば病魔に取り憑かれてもしばらくは大丈夫だろう。小僧に宇佐美はいるか、と問う。すると小僧は尾を認識したのだろう、宇佐美は今陰陽寮の幹部である鶴見や他の陰陽師と結界を貼り直して居るという。尾は仕方なく、そこに向かうことにする

2024-01-02 11:12:17
にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

内裏の一角に鶴見、宇佐美、二階堂が結界の様子を見ている。尾が近づくと宇佐美と二階堂が尾を見る。「あれ〜?珍しいじゃん、ここに来るの」「荒屋追い出されたな?クソ尾形w」「うるせぇ」からかってくる二人に尾はぶっきらぼうに一蹴する。鶴見はニコニコと尾を見やる。

2024-01-02 11:20:45
にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

鶴見は尾にも結界貼りを手伝う様に言う。尾が渋ると鶴見は良い水があるぞ、と提案する。鶴見は浄化された水を多く持つ。尾としては水を探す手間を省ける。しかしその水がある場は巧妙に隠されている。尾は昔大陸でいくつかの国を戯れに滅ぼしていた。その罰として閻魔大王に能力を封じられた。

2024-01-02 11:37:23
にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

尾は目と鼻が効く。目は千里眼に匹敵し、鼻は清涼な水を何処にいても嗅ぎつけた。しかしその鼻を封じられ、目も本来の半分ほどしか見えない。何か人の世のために働け、と言われて人の世に落とされた。だが人の世のためと言われても何をして良いのか分からない。だから都の片隅でぐだついていたのだ。

2024-01-02 11:48:05
にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

しかし、何かが変わろうとしている。尾は懐の龍を優しく撫でた。渋々、と言う体で結界はりを手伝う。しかし違和感がある。結界は外からの侵入には強い。しかしこれは……。「おい、宇佐美、この結界は」「あ、気付いた?」「……内側」「そーなんだよねぇ、誰が呼んだかなぁ?」陰陽寮も勘付いている

2024-01-02 12:19:23
にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

内裏に病魔を呼んだ者がいる。ただ、それだけであれば前例がないことは無い。権力争いとはそういうものだ。だが、それが結界を破ることはそうそうあるものでは無いのだ。はぐれの陰陽師でも抱え込んだ貴族が居るのだろう。尾は結界を張り終えて息をつく。全く、人間とは面倒だ。

2024-01-02 14:49:29
にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

こんな矮小な国、さっさと亡ぼせばいいと思うのだがそうもいかない様で。「……ところで、それ何?」「あ?」宇の指さすのは尾の腹の部分。尾がそこをみると、ぴっ!と声がする。尾は頭を抱えた。だが出てくるなとは一言も言わなかったことも思い出す。「あ~これは……落ちてきた」「は?龍が?」

2024-01-02 15:10:56
にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

この陰陽寮で尾が半龍であることを知っているのは鶴見とその側近だけだ。宇も知っている。そしてこの生き物が龍であることも。「あ~もしかしてお前の隠し子?お前が産んだんだろ」「あほか」にたにたと笑う宇。尾は一蹴する。産めないこともない。そもそも龍に性別はないのだから、半龍の尾もだ。

2024-01-02 15:18:31
にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

ただ半人でもあるので、すこしばかりそちらの性質も併せ持っている。人の子は産めないが、龍の子なら産めると言ったのは閻魔だったか。そもそもこんな半端物を娶る酔狂なやつもいないだろう。「落ちてきたんだよ、空から」「は?龍が?」「ああ」「よっぽど間抜けなの?」宇は龍の顔を覗き込む。

2024-01-02 15:24:07
にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

すると龍がぐわりと口をあけて宇に噛みつこうとする。咄嗟に身を引いたおかげで噛みつかれることはしなかったが、がちりと牙がかみ合う音がする。「何こいつ!むかつくー!」苛立つ宇。だが尾は龍の頭を撫でてやる。いい気味だ、とほくそ笑むの、宇もムッとしている。

2024-01-02 15:26:55
にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

「篤四郎さんにお前がさぼったって言ってやろー!」「ふざけんな、糞が!」口喧嘩していると、その鶴見が現れる。妙に芝居がかった仕草でご苦労だった、なんていう。尾はそういうところがこの男の嫌いなところだと思っている。だが大人しく水を貰うと、懐の龍がふんふんと鼻を鳴らす。

2024-01-02 15:30:28
にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

やはり龍なので清廉な水は気になるのだろう、尾はもらったそれを半分分けてやる。だが鶴見が見ている事を忘れていた。「おや?それは、龍?」「あ……しまった……」ぶふっと宇が吹き出す。しげしげと龍を見る鶴見の視線に龍も尾の懐に隠れる。「ふむ、黄色味がかった鱗」と鶴見の言葉。

2024-01-02 15:40:30
にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

尾はまずいと思って龍を隠す。「龍の玉は、無いのかな?」鶴見がにっこりとほほ笑む。本来黄龍は王の証である玉をその手に持っている。それを持っていないというのは一大事だ。尾もよくわからないと返せば、鶴はふむ、と考え込む。「その玉が好からぬことに使われなければいいが……」

2024-01-02 15:54:03
にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

全く持って勘弁してほしい。人の争いごとに龍を、自分を巻き込まないでほしい。尾は再び頭を抱える。懐の龍はもぞもぞとした後、また落ち着く体勢になったのか寝息が聞こえてくる。とりあえず尾はその龍のためにしばらく陰陽寮に留まることになるが、その分雑用を押し付けられるはめになる。

2024-01-02 16:00:47
にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

その分清廉な水と空気に龍はうきうきとしている様だ。だがそんなある日、陰陽寮を辞した男が再び戻ってきたという。尾も偶に会ったことがある。土方と言う貴族の老人だ。尾としては鶴見よりも居心地のいい気を纏っていると感じている。すっぱりとした白刃のような男だ。その土方が尾を尋ねてきた。

2024-01-02 16:05:08
にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

土方は土産だ、と言って浄化した水を差しだす。龍も嬉しそうにそれを銀の器で飲み始めた。「これが龍か、お前とは違うのだな」「人型になるにはもう少し療養が必要みたいだな、一応出血した血を飲ませたんだが、力は戻らないようだ」「ふむ、それはやはり玉が無いからではないか?」「玉……」

2024-01-02 16:47:58
にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

黄龍にとっての玉は力の源だ。その玉が無いと本来の力を出せないという。だがそもそも本当にこれが黄龍だとしたら、人の力に龍が敵わぬものだろうか。何かこの龍には事情があるのかもしれない。そう考えていると龍が尾の懐に入り込む。すっかりここが気に入ったようで、夜眠る時でさえ腹の上に眠るのだ

2024-01-02 16:52:03
にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

土方は懐に潜り込む龍にくつくつと笑う。「ずいぶんと懐かれている様だ。番と見られているのではないかな?」「馬鹿を言うな」揶揄われているのは分かっている。ぴしゃりとそう言うと土方はからからと笑う。「もし協力できることがあるならしよう。龍の世話など、陰陽師冥利に尽きる」

2024-01-02 16:57:44
にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

土方のその言葉は鶴見のものより尾を安心させた。龍もぴい、と鳴いている。尾はそれから鶴見に正式に依頼を受け、病魔を呼び寄せている人間を探し出すことへ協力することに。だからと言って納得できないのは内裏に女房の一人として侵入することだった。「だってお前女に化けて国滅ぼししたんでしょ?」

2024-01-02 17:10:24
にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

「昔の話だ、昔の」「はいはい~昔取った杵柄~頑張って~」と流されてしまった。仕方ない、と渋々鶴見が準備した着物を着こんでいく。この国の女の着物は大層重くて動きにくい。膝立ちで擦る様に歩くまねをするがそれでも尾は他の女房より背が高くなってしまう。少し背も曲げておけばいいだろう。

2024-01-02 17:20:05
にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

尾がこっそり内裏に潜り込む。女たちの匂いと男たちの視線が絡み合う。相変わらず不快な場所だ。だが権力のにおいというのはこういうものだろう。尾は術でそこそこ偉い女房に「地元にいる兄弟伴侶の下女」と言う風に擦り込む。都に憧れて女房の下働きとして働くことになった、という事にしておく。

2024-01-02 17:24:08
にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

「貴女、名前は……何だったかしら?」「もも、と言います」「ああ、そうだったわね、貴女ね、肌が白いのは良いの。田舎娘にしてはね。でもね、その高い背は駄目よ、だからもっと背を丸めていなさい」よくしゃべる女だ。だからはい、はい、と引っ込み思案の女の振りをして声を小さくしておく。

2024-01-02 17:27:56
にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

「あと良い事?やんごとなき方に声をかけられても舞い上がってはだめよ、貴女のような田舎者になんて、興味がある訳じゃないんだから」全く持ってめんどくさい話だ。女がみんながみんな貴族の男に見初められたいわけでは無いだろうに。その女の注意を聞き流しながら辺りを検分する。

2024-01-02 17:43:28
にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

内裏には多少病魔は居なくもないが、それも内裏の外に比べれば大分少ない。それどころは女たちの話し声や笑い声が聞こえてくる。活気あふれる空気が伝わってくる。「それに、貴女は中宮様やそのご兄弟の目に触れないようにするのよ」「……はい」「あら、あなた、とても歩くのが上手いのね」

2024-01-02 17:46:44
にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

「そうね、貴女位の器量だったらお貴族の牛使いくらいは捕まえられるんじゃないかしら」ころころと笑う女は、悪気はないのだろう。心底、好い事をしている、そう言う性根の様だ。尾としては驚きも無い。どこの国にいても中央の権力に近い人間にはこういう人間も多い。己の事を本当に親切だと思っている

2024-01-02 17:51:34
にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

尾はその正義の暴走を利用して国を滅ぼしてきたので、何もいう事はないのだが。尾はそれから周囲の話し声に耳を傾けながら病魔の出所を観察する。しかしこの内裏の中では無いようだ。そうして三日経った頃、お使いを言い渡される。それは今尾がいる中宮の敵対勢力に当たる中宮への届け物だ

2024-01-02 18:00:20
にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

尾は他の女房に少し余所行き用の打掛を借りてお使いに出る。そして持たされた菓子と手紙を検分する。物陰に隠れて龍の目を使う。龍の目は瞳孔が縦に割れ、黄色く光る。これは普通の人間にも見えてしまうので、隠れなければいけないのだ。その手紙にはまぁ、まろやかにした悪口だ。

2024-01-02 18:07:51
にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

そして菓子には「おやまぁ……」尾はその菓子の中に詰められた悪意に目を見開く。それは呪い、と言うほどではない。純粋な悪意だ。それを食べても何の影響も無いだろう。だが、やはり人間と言うのは面倒だ。尾はその悪意をぱっぱっと祓う。そしてその手紙の最後まで見る。

2024-01-02 18:10:30
にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

すると手紙の最後には「これから行く女房は好きに扱って良い」と書いてある。ふむ?と首を傾げる。これは、下手をすれば体の好い生贄だろう。ふむ、と尾は考える。これはこの手紙の相手にも接触するいい機会だろう。そのまま運んでいく。手紙の相手は中宮ではなく、その母親の様だ。

2024-01-02 18:19:18
にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

その手紙と菓子をわざわざ届ける意味が分からないが、尾はあっさりとその中宮母に通される。貴族の女性らしくなく短く切られた髪をし、勝気そうなその女性に、尾は少しいい印象を覚えた。少なくとも尾が潜り込んだところより、なんというか朗らかな雰囲気がある。中宮母はにぃっと笑う。

2024-01-02 18:41:18
にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

「お前、ここに売られたのは分かるかい?」「はぁ、まぁ……」「全く、あそこの女房逹は気が利きすぎるからねぇ……こんな事をするなんて」ような尾のような新米を高位貴族へのお使いにやる、と言うのはそれを相手を軽んじることになる、という事だ。尾には少し理解しがたいが。

2024-01-02 18:43:54
にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

「お前がそこまで気にしていないのならいい。望むのなら私が引き取ってあげよう。だが、もしあそこに戻れるのならば」「私に間者になれ、と言う事ですか?」単刀直入に切り出す。すると中宮母は困ったように笑った。「良いですよ、私は」尾が目を細めて笑うと、中宮母は大きく息を吐いた。

2024-01-02 18:47:29
にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

「不思議な子だね、お前は」尾はそれを鼻で笑いそうになった。だが今そこでする訳にはいかないことは分かっている。「あと、ここでは寛ぎなさい、背中をそんなに丸めたら苦しいだろう?」尾は何がそこまで気に入られたのか分からなかったが、有難くその提案を受け入れた。尾はお使いから戻る。

2024-01-02 18:54:17
にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

女房達はにやにやして、どうだった?と聞いてくる。尾は「お菓子を貰って食べた。色々都の話を聞いた」と良くしてもらったことを話すと女房達は不満そうな空気を出していたが、表面上は良かったわね、と取り繕っていた。なるほど、中宮母はそう言うことを言っていたのかと納得する。

2024-01-02 18:58:15
にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

それからも尾はなるべく目立たないようにしながらも、中宮の母との接触は続けていた。そうやって過ごしていて三週間ほど、土方の式神が一度戻ってくるように、と伝えてきた。龍の様子を見に来いと。尾はそう言えばそうだったな、と思って土方の所に戻ることにした。周りには一時的に田舎に戻る事にした

2024-01-02 19:02:07
にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

尾は土方の下に戻る。すると龍が少し大きくなった姿で尾に突進してきた。ぎゅうぎゅうと何かを訴えるように体を擦り付ける。「ずいぶんと回復してきたようでな」と笑う土方や永倉、家永や牛山など土方の屋敷の人間がほほえましく見ている。尾は龍に押し倒されるような形になっていた。

2024-01-02 19:27:26
にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

「あんまり甘やかすな……犬猫じゃねぇんだぞ……お前も、甘やかされるな」龍と爺たちを睨むが、皆朗らかに笑っている。龍は狼程度まで大きくなっている。3日程度土方のところでダラダラしたり、鶴見に現状報告し、内裏にもどることにする。しかし龍が離れたがらない。

2024-01-02 23:23:00
にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

仕方ないのでヤモリ程度に小さくなるように指示をする。女房姿になると合わせに龍が潜り込んだ。ぴいぴい言うので、内裏にいる間は声を出さない様に言い聞かせた。土方がお守りとして櫛をくれる。何よりも女の悋気に気をつけろ、とのことだ。全く、早く病魔を呼び寄せた奴をしばきたい。

2024-01-02 23:25:22
にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

内裏に戻ってきて、土方に持たされた土産を配る。みなその土産を物珍しそうに食べている。仕事の針仕事をしていると、再び女房の一人にお使いを頼まれる。台所に器を持って行って欲しいと。断る理由も無いので引き受ける。普通に廊下を通るのではなく、一度庭を通って行けと。位の違いもあるかららしい

2024-01-02 23:38:47
1 ・・ 4 次へ
0
まとめたひと
にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

かれーの二次垢。krad/🐰🐉/勇尾/源頼光推し推し FGO/チェリまほ/特撮/金カム 女体化好き ネタバレは容赦なく フォロバ希望の方はリプください 昭和と平成をまたいで令和で生きる年齢18↑ 鍵垢→@kastukare