
読了 タイトルを読んだときわたくしが考えたのは「本文用紙にトレーシングペーパーでも使っているのかな」だったことをお伝えいたします
2023-08-30 15:57:06追記
「そこが謎なの?!」というタイプのミステリ。
「世界でいちばん透きとおった」ってどういうこと? 化学系ミステリか?そ れとも本文用紙にトレーシングペーパーでも使ってるとか? でもそれじゃ読みにくいか・・・。中を覗いてみてもさすがに透きとおってないか・・・いや?
そこで違和感を感じたけれど、そういうことだとは全く気づかなかった。
作中で京極夏彦氏が唐突に名前を連呼され、京極夏彦と言えば・・・の部分も知識はあったので、「この本じたいに・・・?」と疑念が感じた部分もあったが(ページまたぎは確認した)、そんなトリックが仕込まれていたとは。
この本のトリックに関して言えば「奇書」ジャンル行きの突拍子もないトリックが使用されていて、これは大変だったろうなあ・・・と薄い本程度の校正作業をした自分でも気が遠くなるような気持ちになった。
どうしてもまずトリック部分の話にふれたくなってしまう本書。肝心の物語部分について、こちらもとても楽しかった。主人公の複雑な心境、タイトルの遺された遺稿の謎・・・生前の(晩年の)父親の様子を追いながらいろいろな人と(いろいろな父親の愛人たちと)出会うロードムービー的な要素もあり、一緒に見守るかんじで。
ただもっとこの人のこと掘り下げてほしいけどな・・・そういう作風なのかな、と感じた部分がなくなはくて、それがトリック部分に起因するようなら、そこはちょっともったいないかな・・・と。そう感じるくらい楽しく読めました。