一気読みしたい方向け 第一章〜第十章までのツイート全て
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じわじわ @juwajiwa

そのまま手をあげて、どこかを指を指す。 ....ステージの端で見ているだけの自分に向けられている?? 仰け反ったプリンスの汗をかいて息があがりつつも崩れていない美しい顔と、今,自分と目があって指を指されていると分かった途端、口がパクパクと動く。アレにとって一年通って初めての経験だ。→

2023-12-26 14:50:05
じわじわ @juwajiwa

“You” ステージ上のプリンスが明らかに自分を見て声をかける。初めて聞くプリンスの地声は思っていたより高かった。 「後で話が」 それだけ言うと直ぐに体をポールに引き戻し、観客の歓声の中にプリンスは消えていった。 声をかけられてドリンクを落としたアレの後ろでパーシーが待っている ー第三章ー

2023-12-26 14:55:22
じわじわ @juwajiwa

第四章 NY司法試験結果の発表の5億倍は緊張している。 自分の心臓がバクバクと跳ねる音を聞きながらアレが待たされているのはクラブのVIPルームだった。 憧れのプリンスに“You”と指を指されて呆然と立っていると「こちらへ」と誘導されて来た先がここだから意味が分からない。→ twitter.com/juwajiwa/statu…

2023-12-26 16:22:22
じわじわ @juwajiwa

第三章 「どうしよう!」 慌てふためいたンリが飛び込んでくるのはいつもの事なので店のグラスを拭きながら「またきた」とため息を吐くパーシー。 パーシーはクラブを複数経営する友人で唯一プリンスの正体を知る人物。 大抵困った時は飛び込んでくるンリに力を貸しているので今回もあしらおうとする→ twitter.com/juwajiwa/statu…

2023-12-26 12:16:31
じわじわ @juwajiwa

頭の中で「もう記者がアポ取ったのか?いや、取れたら連絡するって言ってたしな」とグルグルと混乱しているが「待っていて」と言われただけで誰も何も言ってくれない。 それにお金には困ってないが流石に勝手に連れてこられたVIPルームの料金がいくらかは知っておきたい!などと悩んでいると扉が開く→

2023-12-26 16:42:08
じわじわ @juwajiwa

カツカツと響くヒールの音、振り返るとステージ衣装から着替えて紺色のスリットの深い落ち着いたドレス姿のプリンスが部屋に入って来た。 ヒールの底の朱色と口紅の色が映えていて、ステージの時とはまた違った印象でアレの前に座るとその足を組んだ。 深いスリットから見える白い足に目を奪われる→

2023-12-26 16:47:30
じわじわ @juwajiwa

初めてステージ上ではなく目の前に座ったプリンスがこの世のものとは思えない程気品にあふれていて、それでいて身体つきは男性らしいがドレスのスリットや胸元の造形で中性的にも見えてその存在に脳が興奮している。 「あ、あの...僕」 何か喋らないとと思い口を開いたらあまりの緊張に声が掠れた→

2023-12-26 16:57:33
じわじわ @juwajiwa

すぐに”Shhhhhh....”と人差し指を口の前に立てて、静かにと牽制された。声も、真っ赤な唇から一瞬覗く白い歯も全部が艶かしい。 「声が枯れてる。シャンパン、飲まないの?」 「あっ、えっ?」 人差し指がそのまま脇に置かれていたシャンパングラスを指さしてプリンスが笑う。気づかなかった。→

2023-12-26 17:03:17
じわじわ @juwajiwa

「いいよ、全部出版社にツケとくから。別に君からお金を巻き上げようなんて考えてない。確かにスーツはいい物を着ているみたいだけど働き過ぎてよれてるから良い男が台無しだね」 プリンスは想像しているよりもずっと優しい声で話しかけて来た。緊張で喉が渇いて仕方なかった事を思い出し口に含む→

2023-12-26 17:08:56
じわじわ @juwajiwa

「OK、じゃあそれ300ドルね」 「ブッッ!!」 口に含んだ途端、声をかけられ思わずシャンパンを吹き出す。目の前のプリンスが嬉しそうにあはは、と声を上げて笑っている。先程までの緊張が一気に解れた。 「嘘だよ、本当にお金要らないから。何?キミってやっぱり弁護士ってだけあって真面目君?」 →

2023-12-26 17:14:42
じわじわ @juwajiwa

「ちょ、っとまって、げほっ、何でさっきから出版社とか、僕が弁護士とか、全部知ってる訳?」 ゴホゴホと咽せながら尋ねるアレ。 プリンスが手元のクラッチからスマホとボイスレコーダーを取り出す。 「ヘンリーって記者からメールが届いて、キミとのアポを取らせて欲しいって。普段なら断るけど」→

2023-12-26 17:18:03
じわじわ @juwajiwa

「君が私のファンだって聞いたのと、記者から一緒に送られて来たキミの写真がすっごくキュートだったからOKした。そんな理由じゃだめ?」 「ッ、ぅ...!」 首を傾げてニコリと微笑むプリンス。 マジでえぐい。アレは今の顔を写真に撮ってそのまま逃げ出したい程度には今の状況が堪えられないと思った→

2023-12-26 17:22:59
じわじわ @juwajiwa

「その代わり条件として君と記事にできる様な色んなお話するだけで良いって聞いたから...記者さんは来ないで〜って言っちゃった。そしたらコレを預けられて。」 ボイスレコーダーをプリンスが指差す。 「だから、コレが終わったら君にあげるから記者さんに返して来てよ。会った事あるんでしょ?」 →

2023-12-26 17:26:53
じわじわ @juwajiwa

「でも同席してファシリテーターしないと成立しないだろ、こんな2人きりなんて!」と流石にインタビューの目的と外れそうな事になりかねないと牽制するアレ。 「だからだよ、記者さんがいたら君も私も深ぁ〜い話なんて出来ないでしょ?あくまでもレコードされるって条件に耐えられる範囲で、ね?」 →

2023-12-26 17:30:47
じわじわ @juwajiwa

アレの中で完全に恋に落ちるどころか、クラッシュする音が響く。追い続けていた人物が実際に会話するとこんなにも面白くてセクシーで、それでいて弁護士の自分や記者を相手にこんな立ち回りをする胆力を見せつけられてクラッシュしない訳がなかった。 何も言い返せずに黙るとレコーダーに手が伸びて→

2023-12-26 17:35:53
じわじわ @juwajiwa

「じゃあ、始めちゃおっか。アレックス君♡」 プリンスの甘い声で名前を呼ばれると、手玉に取られた様にこくりと頷くしかない。 その後、アレは何を聞き出されたのか喋ったのかも不確かなまま時を過ごし、1時間後にレコーダーを持たされて店の外でぼんやりと立っているまでの記憶が全くなかった。 →

2023-12-26 17:39:40
じわじわ @juwajiwa

数日後、ブルックリンのとあるカフェ。 ンリが紅茶を飲んで窓際の席で待っているとぼやけた顔のアレが入って来た。 今日はボイスレコーダーを回収する約束としてメッセージで指定された場所と時間にきっちりやって来た筈のンリだが、既に15分も待たされている。入って来た相手の顔を見れば明白だ→

2023-12-26 21:40:56
じわじわ @juwajiwa

「弁護士ってのは...法廷の開廷時間に15分も遅刻して許されるモノなのか?」 席についても上の空の様なアレに声をかける。 「いや、ちょっと...色々あって...」と力無く答えるアレ。 でしょうね、と喉まで出かかった言葉を必死に飲み込む。最初で最後のインタビューだと思って流石に本気を出し過ぎた→

2023-12-26 21:44:21
じわじわ @juwajiwa

どうせ彼は男の自分に興味がない、プリンスのファンとして一時の幸せでも与えてやろうと思ったのがいけなかった。 途中でアレの目の色が変わった時に「あ、僕に恋したな」と行き過ぎたのが分かった。だが正体を明かすわけにはいかない。 化粧を落とした時に馬鹿なことをしたと思ったが遅かった。→

2023-12-26 21:49:30
じわじわ @juwajiwa

僕だって色々気持ちを押し込んで諦めるのに大変だっだんだ、恋煩いめと言いたくなるのを我慢して、努めて記者らしく振る舞うヘン。 「それで、僕のサプライズはどうだった?なんか...君の様子を見る限りかなり私情が入っているのは察してしまうんだけれどね。あぁ、これは記事にしないから安心して」→

2023-12-26 21:52:53
じわじわ @juwajiwa

「サプライズも何もあんなの困るよ...本来君がいたら多分僕だってこんな状態になる事なんてなかったのに!ずーっとあの時の事が頭から離れない、あぁ...でもあれで最初で最後だもんなぁ...神様って残酷だよ、もうステージ下から眺めても彼女と話してしまった前と後じゃ違いすぎる!」頭を抱えるアレ→

2023-12-26 21:56:08
じわじわ @juwajiwa

「相当...君って彼女のことが好きだったんだね」 「今となってはそうだねとしか言いようがない...」 はぁ、とため息を吐きながらボイスレコーダーを差し出すアレ。 「それで、この内容って聞いてみた?僕が記事に出来そうなことって2人で話してる?」 平素を装って受け取りながら尋ねる→

2023-12-26 22:00:10
じわじわ @juwajiwa

「それがさ!聞いてくれよ!僕はあの空間がもう夢みたいでほぼ覚えてなかったからこのボイスレコーダーを家で聞き直したんだけど、彼女ってすごく知的なんだ、マイノリティの話題や今僕に求める事も的確に話しつつ上手く僕の話を引き出して」 そりゃそうだ、僕は端くれだがプロのライターだもんな→

2023-12-26 22:05:06
じわじわ @juwajiwa

夢心地の君が馬鹿な話をしないようにキチンと話題を引き出す様に話していたんだ、You’re welcome。 「途中でセクシャリティの話になって僕の性自認や過去の経験も話したけどそれって記事に書いても大丈夫だよ。寧ろ面白いと思う、後で君も聞いてみてよ」 聞かなくても知ってる、但しバイなのは驚いた→

2023-12-26 22:09:21
じわじわ @juwajiwa

高校の時に彼氏がいた事を聞いた時はもっと聞きたくてプリンスとしてならイケると思って色々聞いたのはマズかったと思っている。でも前だけの経験で後ろはないんだよな?それで今恋人もいないってことも。あぁ、この部分はレコーダーを切っていたし多分アレは覚えていない。 「楽しみに聞くよ」→

2023-12-26 22:16:19
じわじわ @juwajiwa

言いたい言葉や感想を全部飲み込んで、一言だけ返す。 自分を落ち着かせるために紅茶を含む。目の前にいる人はバイで、恋人がいなくて、自分に恋した理想の男性だ。但し彼が恋したのはもう1人の自分で本当の自分にじゃない。記者として引き出せない答えがプリンスなら簡単に引き出せるのが悲しかった→

2023-12-26 22:20:30
じわじわ @juwajiwa

「じゃあ、記事ができたらまた連絡する。僕がいなかったからこの内容で世に出して良いかをちゃんと君の尊厳のために確認してほしい。そして僕は絶対にボイスレコーダーの内容も他言しないから。契約書にも書いてあるから安心して。」 にこりと作り笑いをして立ち上がるとアレの手がヘンを掴む→

2023-12-26 22:24:27
じわじわ @juwajiwa

初めて触れるアレの手に思わずどきりとして振り返る、大きくて細くて長くて、手まで理想だなんて罪作り過ぎる。 「また、君に頼めば...プリンスと会えたりしないよね?」 「どうだろう、難しいんじゃないかな」 目の前にいるよとは言えずに「またね」と声を掛けてカフェを出る。 アレは項垂れていた→

2023-12-26 22:28:52
じわじわ @juwajiwa

記事は1ヶ月後に雑誌に掲載された。 「新人弁護士とドラァグクイーン」という異色の組み合わせだったが、社会欄の特集でマイノリティやLGBTQ+話題でニューヨーカーの心を掴んだらしい。 2ヶ月後、編集室に呼ばれたヘンを待っていたのは「先月の対談を連載にしてくれ」の一言だった。 ー第四章ー

2023-12-26 22:35:56
じわじわ @juwajiwa

第五章 「どうしよう!どうしよう!どうしよう!」 開店前のクラブに飛び込んできたヘンのどうしようが2週間前の3倍になっていたのでパーシーは大事だとすぐに気がついた。 カウンターに突っ伏して「ウイスキーでもブランデーでも酔えるのが今すぐ欲しい!」と叫ぶのでパーシーは水を渡す。 → twitter.com/juwajiwa/statu…

2023-12-27 10:04:32
じわじわ @juwajiwa

かくかくしかじか事情を伝えるヘン。 「要はこの間の一回きりのお願いで君の一目惚れ相手を喜ばせてあげようと思ってサービスしまくったあのインタビューが評判になって連載してくれって?」 「そう!もうこんなの無理だ!」 「で、断ったの?」 「...受けちゃった」 「なんでだよ!断れよ!」 →

2023-12-27 10:06:28
じわじわ @juwajiwa

「初めて掴んだチャンスなんだ、これで僕の評判が上がってライターとしての仕事が増えれば、文筆業で食べていくって僕の小さい頃からの夢に近づくし、プリンスの姿でも彼に会えるならそれで...幸せだし...上手くいったらその後に記者としてと会えるし...」 「はぁ〜〜」と大きなため息を吐くパーシー→

2023-12-27 10:08:56
じわじわ @juwajiwa

「嘘つき続けて、バレたらどうすんの」と確信を突く質問を投げかけるとヘンは「うっ」と声を漏らして固まる。 「連載になれば記者の君なしでプリンスとその相手でインタビューを個室でするんでしょ?で、お相手さんはプリンスに惚れてるんだよね?じゃあもうさっさと楽になってインタビューしなよ」→

2023-12-27 12:32:16
じわじわ @juwajiwa

「…幻滅される…嫌われたくない」 「はぁ?」 「彼はプリンスが好きなんだ、僕じゃない。バイだって聞いたけど経験はほぼヘテロみたいだし…それにステージを支配して輝いているプリンスがただの雑誌記者で何の変哲もない男だってわかったら幻滅して、プリンスのことも僕のことも絶対に嫌いになる」→

2023-12-27 12:33:56
じわじわ @juwajiwa

「どうなっても知らないけど…部屋を貸す分には別に大丈夫だから。君がボロがでないって思うのなら続けたら?だって、始めたのも連載受け入れちゃったのも君だしね」 「絶対にバレないようにする…大丈夫、ありがとう」 水じゃなくて遂にブランデーを要求したヘンに観念して注いでやるパーシーだった→

2023-12-27 12:35:11
じわじわ @juwajiwa

数日後 ヘンがアレに「先日の記事が好評でありがたいことに連載になったよ、あと4回のインタビューが追加されているんだけど君の予定は大丈夫?先方のプリンスは前回のような二人の対面形式だとOKだと条件を出してきている」と連絡を入れると、鬼の様な速さで「YES」の返事が3秒以内に返ってきた。→

2023-12-27 12:38:27
じわじわ @juwajiwa

これ以上アレをプリンスに会わせたらどうなるか頭ではわかっているのに、自分も記者としてアレに理由をつけて少しでも長く会える事を望んでいて本当に仕事人としては失格でしかない。しかもその場におらず、インタビュアーの管理もしてないんだからアレからの評価はぶっちゃけ最低だろうと思うヘン。→

2023-12-27 12:43:29
じわじわ @juwajiwa

でも、それ以上に理由をつけてアレと会える事が嬉しくて仕方がない。 連載の打ち合わせと称してカフェに呼び出した時にはアレが「君が素晴らしい記事にしてくれたお陰だよ、この後おごらせて!」とレストランを予約してくれていて一緒にカジュアルな話をしながら食事が出来て夢みたいだと思った→

2023-12-27 17:59:54
じわじわ @juwajiwa

「記事に君の恋愛観を書くのはこれから先のキャリアを傷付けるかと思った」と告白すれば「好きになるのに理由は要らないんだとプリンスが教えてくれたから僕なりの敬意だよ」と答えられて、その払われた敬意を目の前で嘘をついてまで利用している自分に嫌気がさすと同時にアレの事が益々好きになる→

2023-12-27 18:10:45
じわじわ @juwajiwa

ワインボトルが2本も空く頃にはアレがじっとヘンの顔を見つめて「眉間に皺が寄ってる、君って僕がプリンスの話題を出すと少し顔が強張るのは...もしかして好きだからとか?嫉妬してる?」 確信を突くようなことを言われてグラスを握る手がびくりと跳ねる 「あー!やっぱりなー、ほら!」肩を叩かれ→

2023-12-27 18:16:39
じわじわ @juwajiwa

「君もプリンスが気になってるけど会えないから嫉妬してるんだろ!と男友達への冗談のように笑われた。 「逆だ!!君がこんなにも好きだから無茶してるんだ!」という言葉をワインと一緒に飲み込んで「君の勘違いだろう、僕は君と友好な関係を築いて記事が書ければそれで良いから」と伝えると→

2023-12-27 18:21:18
じわじわ @juwajiwa

「つれないやつ〜〜」と口を尖らせて笑って肘で突かれる。プリンスの時とは明らかに違うアレの態度が苦しいが、こんな話ができる事自体が幸せじゃないかと自分に言い聞かせる。 ヘンは家に帰り着くとベッドに突っ伏して声を上げて泣いた、そして連載に向けて気持ちを殺して役に徹する覚悟を決めた。→

2023-12-27 18:29:25
じわじわ @juwajiwa

2回目のインタビュー 初回の時と同じようにアレをVIPルームに呼び出してプリンスと1時間話をし、ボイスレコーダーをヘンに返させる流れだ。お互いに落ち着いて20代30代の貧困などの話をして会話の最後に握手をして終わった。役に徹すると泣いて決めた覚悟もあり、ヘンの気持ちの切り替えは出来ていた→

2023-12-27 18:54:10
じわじわ @juwajiwa

3回目のインタビュー 今日のインタビューのドレスは青を基調にした腹部と胸元にカットアウトが入ったサテンの物で、その大胆なドレスを見たアレの顔が真っ赤になったが、3回目ともなると会話自体は落ち着いている。 「君はすごくステージも大胆だけど...品があるよね、名前のせいかな」と尋ねられる→

2023-12-27 20:51:08
じわじわ @juwajiwa

「どうだろう、この職業をしていたら自然と大胆になるよ。なんていうか...ぜーんぶ化粧の下に隠してドレスを纏えば何にでも出来ちゃうっていうか...私にとってはおまじないかもね」 まるで自分に言い聞かせるようにプリンスが語ると、アレが質問をする 「どうして...ステージネームをプリンスに?」→

2023-12-27 20:53:37
じわじわ @juwajiwa

「誰にも話したことはなかったんだけど...」 グラスを取ってシャンパンを一口含む 「最初ドラァグに憧れて始めた時はNYで生活をするのに必死で、せめてステージの上では自分の力で立って場を作って支配できるようなクイーンになりたかった。キングも考えたんだけど、それって男過ぎるでしょ?」→

2023-12-27 20:58:32
じわじわ @juwajiwa

「だから女らしさと男らしさの間を取って何となくプリンスね。正直私がステージ以外の場所で全部上手いこと出来ている状況とは程遠いけど...せめてステージだけは憧れの存在であり続けたいから」 そこまで語るとグラスを置いた手にアレの手が自然と添えられる 「できるよ、君は...何でもできるから」→

2023-12-27 21:03:50
じわじわ @juwajiwa

本当の自分の姿も晒していないのに、分かりきった様にまっすぐな目で自分を見つめてくるアレの手を振り解く事が出来ずに「今日のインタビューは...ここまででいい?ステージをこなした後にお酒を飲んだから酔いが回っちゃった、記者さんに宜しく」と作り笑いをして無理やり席を離れて部屋を出る。→

2023-12-27 21:08:39
じわじわ @juwajiwa

化粧室に駆け込んで触られた手の熱さや、真剣な顔で自分を見つめる瞳が忘れられずに着ていたドレスやウィッグを剥ぎ取って肩を震わせて泣きながら赤いリップや厚い化粧を落とした。 好きで始めたドラァグなのにアレの前でこの姿になる事が自分で嫌いになり始めている事に気付いてしまった。 ー第五章ー

2023-12-27 21:13:04
じわじわ @juwajiwa

第六章 連載も残すところあと2回になった。 インタビューを終えた後にアレと会い、レコーダーを受け取って(話の内容は全部分かっているのだが)書く対談記事は概ね好評だ。別の記事の依頼も入るようになってきて平日は割と忙しくなったし、アレも雑誌を見て来たというクライアントが増えたようだった→ twitter.com/juwajiwa/statu…

2023-12-27 21:28:28
じわじわ @juwajiwa

忙しくなったと言ったものの土曜日のプリンスとしてのステージアクトだけは続けている。そもそも、ドラァグとして別人になれる瞬間だけが心の癒しだった。 うまくいかないライターとしての人生を忘れさせてくれる別のプリンスという存在が生き甲斐であり、隠れ蓑だ。ステージを支配する感覚は格別で→

2023-12-27 21:40:36
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じわじわ @juwajiwa

アレヘン何でも妖怪です/🗣️🇯🇵🇺🇸/倉庫lit.link/jiwajiwa