Experimenteさん(@LfsO3Ga1MyiouQ9)による経済地理学(および人文社会科学全般)の方法論についての批判的見解とその応答について。 あまりうまく説明できた気はしないのですが、どう答えればよかったのでしょうか…
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永太郎(ながたろう) @Naga_Kyoto

地理学者の系譜を一枚にまとめた図を作ってみました。ケッペンやデーヴィス、あるいは同心円理論、工業立地論など、高校地理に登場するトピックが学史の中でどういう位置づけにあるのかを見てみるのも面白いかも。 拡大版はこちらから→ miro.com/app/board/o9J_… #地理学のガイドマップ pic.twitter.com/77DxDRsb5H

2021-07-14 16:35:34
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Experimentellt @LfsO3Ga1MyiouQ9

@Naga_Kyoto @like_a_PLACOZOA 初心者の質問で申し訳ないんですが、地理学というのはどういう学問分野なのでしょうか? なにか共通する方法論があるのでしょうか? 面白そうな印象を受けるのですが、とりとめがない感じもします…

2021-07-14 19:01:47
永太郎(ながたろう) @Naga_Kyoto

@LfsO3Ga1MyiouQ9 @like_a_PLACOZOA 地形から都市まで扱っているとそう見えますよね…。実際下位分野によって研究方法はかなり違ってくるのですが、強いて言えば「ある場所や地域がなぜそのようになっているかを空間的に考察する」あたりが共通点と言えるかもしれません。詳しくはこの辺りをご覧いただければと! blog.livedoor.jp/naga_taro/arch…

2021-07-14 19:21:38
Experimentellt @LfsO3Ga1MyiouQ9

@Naga_Kyoto @like_a_PLACOZOA ありがとうございました。 自分は経済学を研究しているのですが、クルーグマンがちょっと出てくるぐらいです。なんとなく勉強した結果のイメージですが、「空間」は重要だけど、経済のロジックの内部には関係しないという感じです。外部のパラメータとしては非常に重要なのですが…

2021-07-14 19:46:49
Experimentellt @LfsO3Ga1MyiouQ9

@Naga_Kyoto @like_a_PLACOZOA ご存知だと思いますが、(マクロ)経済学は国単位がほとんどです。産業単位の場合もありますが、地域を考慮する場合はほとんどありません。おそらく、空間を考慮しても興味深い結果が出ないということでしょう。 何か経済学の「内部」の論理で空間が重要なケースとかありますでしょうか?

2021-07-14 19:50:48
永太郎(ながたろう) @Naga_Kyoto

@LfsO3Ga1MyiouQ9 @like_a_PLACOZOA 「内部」の論理、というと経済学だとどのあたりを指すのでしょうか。経済学は不勉強なのですが、立地や交通を扱う分野だと空間そのものをモデル化して分析することも多いのかなという印象があります。例えばアロンゾあたりは経済学だとどのように扱われているのでしょうか?

2021-07-14 21:02:12
Experimentellt @LfsO3Ga1MyiouQ9

@Naga_Kyoto @like_a_PLACOZOA アロンゾがどのように応用されているのかは詳しくないのですが、「空間経済学」をやっている人たちだけが使っているという印象です。 例えば同じテーマで実証分析だと、回帰分析に中心地からの距離を説明変数に加える程度で済まします。

2021-07-14 21:06:20
Experimentellt @LfsO3Ga1MyiouQ9

@Naga_Kyoto @like_a_PLACOZOA ややこしい言い方をして申し訳ありません。「内部」というのは、単純にモデルの記述に空間変数が出てくる場合です。私の知る限り、「空間経済学」以外でこれが重要なケースを知りません。 何か地理学の立場から、こういう問題には地理的な影響が重要ではないか、というようなご指摘があれば幸いです。

2021-07-14 21:10:47
永太郎(ながたろう) @Naga_Kyoto

@LfsO3Ga1MyiouQ9 なるほど。ありがとうございます。空間経済学にしか出てこないというよりも、空間変数が出てくるものが空間経済学と呼ばれているという関係なのかなと思いました。しかしいずれにしても経済学では少数派なんでしょうね…。→

2021-07-15 10:31:07
永太郎(ながたろう) @Naga_Kyoto

@LfsO3Ga1MyiouQ9 →地理的影響が重要なテーマというと、地場産業は経済地理学でよく取り上げられます。特定の空間に集積しているという点もそうですし、地域資源との結びつきも強いことから地理的な要因は無視できないのではないかと。歴史的な要素も大きいことから、人文寄りの分析も意義を持ってくる例だと思います。

2021-07-15 10:35:05
Experimentellt @LfsO3Ga1MyiouQ9

@Naga_Kyoto 多分経済学の言葉に翻訳すると、#集積の利益#正の外部性#経路依存性 ということになるんでしょうね。こういう経済学の視野に入る話なら論文になってます。 私が知りたいのは、これら以外の分野で空間的要素が経済において重要なものはあるかという点です。あんまり思いつかないんですよね…

2021-07-15 10:41:07
Experimentellt @LfsO3Ga1MyiouQ9

@Naga_Kyoto 自分は従来の経済学の分析対象が「大国」だったため、こうした #集積の利益#経路依存性 が国レベルで重要になるケースが無視されてきたのではないかと思っています。欧州など人口数百万から1千万ぐらいの国が多い地域だと、どの産業が根付くか、というのは大きいと思うのですが…

2021-07-15 10:44:34
Experimentellt @LfsO3Ga1MyiouQ9

@Naga_Kyoto ただ、欧州の場合はEUのために労働の移動が自由化されて、この効果が薄められているということもあると思います。もちろん、文化によりバリアはまだ十分にあるでしょうが…

2021-07-15 10:55:32
永太郎(ながたろう) @Naga_Kyoto

@LfsO3Ga1MyiouQ9 国レベルでの集積というとフランス(トゥールーズ)の航空機産業あたりでしょうか。工程ごとの国際分業もあり、他の産業への影響力もかなりのもののように思います。→

2021-07-15 13:39:42
永太郎(ながたろう) @Naga_Kyoto

@LfsO3Ga1MyiouQ9 →集積以外で空間要素が重要になるテーマですか…。例えば経済学で貿易を扱う際は国よりも小さいスケールは考慮に入れないものなのでしょうか。この前スエズ運河の事故があったように、物流が具体的にどのような空間で展開されているか次第で貿易のあり方も変わってきそうな気がします。

2021-07-15 13:46:10
Experimentellt @LfsO3Ga1MyiouQ9

@Naga_Kyoto フランスの航空機産業ですが…日本の自動車産業すら特に注目されないぐらいですからね…(笑)流石にこれぐらいの規模になれば、ちょっとは考える余地はあると思いますが… いずれにしても、国レベルで効く、とかではないとインパクトに欠けますね。「貿易のあり方」だけでは関心を引けないので…

2021-07-15 14:04:02
Experimentellt @LfsO3Ga1MyiouQ9

@Naga_Kyoto 国際的な産業の分析ですが、例えば景気循環論だと国際間の同じ産業の動きより、国内の異なる産業の方が相関が高いというのはよく知られた事実です。 もちろん「技術」中心に見る立場からすればこれは矛盾なので、それ自体は少しテーマとして考えられてはいますが…

2021-07-15 14:08:20
Experimentellt @LfsO3Ga1MyiouQ9

@Naga_Kyoto 1つ伺いたいのですが、日本やフランスの様に首都に機能が集中している国と、ドイツの様に様々な都市に分権化されている国は、何が原因で異なるかということは議論されてますでしょうか? 単純にドイツは戦前の一極集中の反省から、連邦制にした結果、というだけな気もしますが…

2021-07-15 14:12:19
永太郎(ながたろう) @Naga_Kyoto

@LfsO3Ga1MyiouQ9 自動車産業でも注目されないとは、なかなかシビアですね。地理学だとマクロ経済へのインパクトは特に評価指標に入ってこず、視点の新しさや分析の深さがあればローカルな事象でも評価される印象があります(フィールドワークをしようとするとそもそもローカルな問題でないと扱えない面もありますが)。

2021-07-15 18:34:45
永太郎(ながたろう) @Naga_Kyoto

@LfsO3Ga1MyiouQ9 都市機能の集中度は一昔前の都市地理学ではよく議論されたテーマですね。都市人口は1位の都市に対してn位の都市で1/nに近くなるという順位規模法則があり、そこから外れるものは政治体制や経済発展の度合いから説明されることがしばしばです(途上国は首位に集中)。→

2021-07-15 18:41:34
永太郎(ながたろう) @Naga_Kyoto

@LfsO3Ga1MyiouQ9 →日本だと、世界単位での都市システムに日本の都市が組み込まれたことで政治機能が集まる東京の優位性が増したことや、第三次産業(特に金融・不動産)の役割が大きくなったことで札仙広福のような支店経済都市が台頭した、などのトピックが議論されてきました。→

2021-07-15 18:54:58
永太郎(ながたろう) @Naga_Kyoto

@LfsO3Ga1MyiouQ9 →もちろんドイツやアメリカのように歴史的経緯から分権的になっている国が多いと思いますが、あえて他の理由を見つけるとすれば産業構造の違い(サービス業化、企業の統合度合い)が大きいのかなと思います。そんなにしっかり勉強しているわけではないので推測に過ぎませんが…

2021-07-15 19:00:11
Experimentellt @LfsO3Ga1MyiouQ9

@Naga_Kyoto なるほど。産業の集積には正の外部性がありますが、人口集中には負の外部性もあるので、最適な人口分布なんかが考えられたら面白いと思います。もちろん、考慮する要素が多いので、はっきりとした結論はなかなか得られないでしょうが…

2021-07-15 19:31:19
永太郎(ながたろう) @Naga_Kyoto

@LfsO3Ga1MyiouQ9 そうですね。最適な人口分布の計画はちょうど中心地理論で知られるクリスタラーがナチス時代にやっており、日本への影響も指摘されているようです。 参考:杉浦 芳夫「幾何学の帝国:わが国における中心地理論受容前夜」 jstage.jst.go.jp/article/grj198…

2021-07-15 20:38:20
永太郎(ながたろう) @Naga_Kyoto

@LfsO3Ga1MyiouQ9 とはいえ、今の人文地理学はモデル化を否定する傾向があるので、おそらく現在そういった試みがされるなら空間経済学など他の分野からになるんだろうと思います。色々と興味深いお話ありがとうございます。これを機会に経済学も勉強してみようと思います。

2021-07-15 20:40:26
Experimentellt @LfsO3Ga1MyiouQ9

@Naga_Kyoto ありがとうございました。最後に、なぜ今の人文地理学がモデル化を否定する傾向があるのかだけ教えて頂けないでしょうか?

2021-07-15 21:19:28
永太郎(ながたろう) @Naga_Kyoto

@LfsO3Ga1MyiouQ9 冒頭の図をご覧いただくと分かりやすいと思いますが、地理学では50~70年代に計量革命と呼ばれる数理モデル化の流れがありました。それに対する反発として人間の主観的場所認識や、貧困、ジェンダーなど社会問題に目を向ける潮流が生まれ、現在ではその考えが支配的、という経緯です。→

2021-07-16 07:39:51
永太郎(ながたろう) @Naga_Kyoto

@LfsO3Ga1MyiouQ9 →フィールドワークによって地域を総合的に捉えようとする性向が強い学問なので、モデル化しづらいものを切り捨てることには抵抗が強かったのだと思います。最近の経済地理学が影響を受けている経済学も、レギュラシオン学派や進化経済学など、非主流派が多いように思います。

2021-07-16 07:45:51
Experimentellt @LfsO3Ga1MyiouQ9

@Naga_Kyoto これはあくまで経済学側からの偉そうな見方なのですが、#経済学帝国主義 が一定程度の成果をあげた結果、そこで扱われていない分野について社会学・人文学系が扱っているという印象があります。タイミングとしても、他の分野と同じような印象をうけます。

2021-07-16 11:49:54
Experimentellt @LfsO3Ga1MyiouQ9

@Naga_Kyoto やはり疑問なのは、そうした学問が方法論として科学として成立しているのか、という点です。 政治学と社会学でも『社会科学のリサーチ・デザイン』や『社会科学の方法論争』など、そもそも方法論のレベルでどうすべきか、未だに結論が出ていない有様です。

2021-07-16 11:55:43
Experimentellt @LfsO3Ga1MyiouQ9

@Naga_Kyoto また『地域を総合的に捉え』る地理学は、要素分解的な近代科学に対してのホリスティックな反発という流れだと思われます。 もちろん興味深いアプローチですし、データがあれば多くの変数の相関関係を見ることができます。 ただ1つ目の問題は因果関係を捉えることができない、という点だと思います。

2021-07-16 12:17:17
Experimentellt @LfsO3Ga1MyiouQ9

@Naga_Kyoto というか、因果関係をデータからきちんと検証する気がない、あるいはそこに異議を見出していない、という点です。 人文学も近年では人文「科学」と名乗るようになってきていますが、因果関係が分からないものを「科学」と名乗ってよいのか疑問が残ります。

2021-07-16 12:17:59
Experimentellt @LfsO3Ga1MyiouQ9

@Naga_Kyoto 2点目の問題ですが、やはり数理モデルを輩出した結果、理論の発展・検証、予測可能な命題を生み出すことが難しいという点です。これも、やはり科学としてどうかと思います。 ホリスティックな方法論は良いのですが、それが必ずしも数理モデルを排除するものだとは思えません。

2021-07-16 12:19:50
永太郎(ながたろう) @Naga_Kyoto

@LfsO3Ga1MyiouQ9 いろいろと考えた結果、かなり長くなってしまったので画像にしました笑 あちこちで議論されている話かとは思いますが、自分の考えを整理する良い機会になりました。ありがとうございます。 pic.twitter.com/UVKxlknrLb

2021-07-16 14:33:38
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永太郎(ながたろう) @Naga_Kyoto

@LfsO3Ga1MyiouQ9 なお、地理学からの数理モデル批判については、こちらの本がよくまとまっています。今回の議論ともかなり近い内容が書かれていますので、もしご関心があればぜひどうぞ。 twitter.com/Naga_Kyoto/sta…

2021-07-16 14:39:32
Experimentellt @LfsO3Ga1MyiouQ9

@Naga_Kyoto ありがとうございます。ぜひ読んでみます。

2021-07-16 14:44:33

同氏によるnote

リンク note(ノート) 「社会学・人文科系の学問は方法論として科学として成立しているのか」|坂東太郎|note ◆政治学・社会学について まず、人文学系は自分は知識が不十分なのですが、社会学・政治学についてはある程度研究しています。その結論から言うと、『社会科学のリサーチ・デザイン』や『社会科学の方法論争』の論争から見られるように、学問の生誕から100年経ってもなお方法論で争っている学問に将来があるとは思えません。これは、定番の教科書がないという意味で、教育においても非常に深刻な問題になっています。 方法論だけではなく、例えば基本概念である「階級」の定義も未だになされていません。さらに、未だにパイオニアのマルクスや

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