高速ディーゼル船の低速航行が危険だった理由
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天翔 @Tensyofleet

妙なグラフを持ち出してみる。これは浅間丸の試運転における、左舷内外軸の捩れ振動の振幅をグラフ化したもの。X軸に回転数、Y軸に振幅が取られている。実線が左舷外軸、破線が内軸で、25~40rpm前後に1次8節の危険速度があるのが分かる。 ci.nii.ac.jp/naid/130003888… pic.twitter.com/7ICzfRpLSf

2017-08-15 19:49:20
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天翔 @Tensyofleet

この回転数がどの程度の速度に相当するかというと、浅間丸の公試成績から数値を拾ってざっくり5~8ノット。つまり、この速度付近では軸系の大きな共振が発生して、場合によっては破損に繋がりかねないということである。高速ディーゼル船が低速船団に入りたくない理由はこんなところにもある。 pic.twitter.com/0i4GuXy0FP

2017-08-15 20:00:50
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天翔 @Tensyofleet

いきなり機関の破損に繋がったりはしないだろうけれども、継手や軸受、船尾管などに悪影響を及ぼすのは間違いない。コンピューターによる解析が進む以前には、共振で推進軸を折ったという話が散見される。

2017-08-15 20:04:46
天翔 @Tensyofleet

ちなみに、こちらが同じディーゼル機関単体の捩れ振動。1次8節が110rpm付近にある。 pic.twitter.com/dV4sfQ4zqX

2017-08-15 20:18:29
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天翔 @Tensyofleet

舶用大型ディーゼルが必ずしも低速運転ができないとは限らない。三井玉野で製作された単動2サイクルディーゼル1062VF115、5,000馬力。搭載していたのは陸軍特殊船甲型の摩耶山丸と玉津丸、本機関は戦時商船標準機関に制定されている。 pic.twitter.com/bgHp4FLgcS

2017-08-15 21:43:29
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天翔 @Tensyofleet

あ、またやらかした。1062VF115は5,400馬力/125rpmです。。。

2017-08-15 21:53:32
天翔 @Tensyofleet

報国丸級貨客船に搭載された1262VF115(12気筒6,500馬力)から2気筒減らして10気筒としたもので、特殊船に搭載された機関は、夜間に微速で目的地に接近できるよう半数減筒運転機構を装備し、6ノット/26rpmの微速性能を得ていた。 pic.twitter.com/hyfjBjYyNi

2017-08-15 21:48:02
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天翔 @Tensyofleet

点火間隔を広げている訳なので、捩り振動の危険速度は通常とは異なる場所にでるのだろう。減筒運転機構は戦前他にも漁船などの主機関に装備された形跡がある。

2017-08-15 21:49:45
天翔 @Tensyofleet

なお、戦後仕掛け品から製作された2基の1062VF115が、大洋漁業の捕鯨母船第一日新丸と塩蔵工船天洋丸に搭載されている。この2隻の機関が減筒運転可能だったかどうかは定かではない。

2017-08-15 21:52:15
天翔 @Tensyofleet

時局柄伏字が多いけれども、第4表の1262VF115を搭載している○○丸はもちろん大阪商船の報国丸。第3表の10MS72/125型は日本郵船の三池丸。 dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid… pic.twitter.com/zbIUOV1MRy

2017-08-15 22:02:22
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