◇2022年1月～6月◇ A3プラスログ

そら @primavera_mm

視線……その薄花色に僅かだけど安堵が広がったように見えたのは、恐らく気のせいではない、はず。 「千景は優しいね」 「……うるさい」 素っ気なく見えたって、いつでも私のことを考えてくれているみたい。 先程までの寂しさはあっという間に消え去って、もう一度その背中にぎゅっと抱き着いた。

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至くんと向かい合ってとりとめのないことを話しながら、不意にあくびがこぼれる。「寝る？」「ん……手、繋いでいい？」「なにその可愛いお願い、眠気飛ぶからやめて」早口でそんな言葉が返ってくるけど、気にせず手を取り目を閉じる。深いため息の後、額に感じる柔らかい温もり――おやすみ。 #A3プラス

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ベッドボードに背を預け読書中の千景さんはまだ寝そうになくて。先に寝ようかなと思いつつ空いている片手を取るといつもよりも温かい。「何？」「……千景さんも寝よ」手を引くと仕方ないといった表情で潜り込んできて……目を閉じれば握られたままの手にぎゅっと力が込められた――おやすみ。 #A3プラス

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「あれ？お疲れさま」会社の資料室で作業中。誰もいないかと思ったのに、と入ってきたのは内緒で社内恋愛中の千景さん。「量が多くて。もう少しかかりそうです」「そっか。すぐに行かないとだから、手伝えなくてごめん」自身の目当ての資料を手に取り、そんなことを言いながらも様子を見に→ #A3プラス

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傍へと来てくれて。会えただけでも嬉しい、なんてここでは言えないけど。大丈夫ですよ、と顔を上げると――影がかかり、唇に一瞬の柔らかい温もり。「っ、卯木、先輩！」「しーっ。ここは死角だから大丈夫だよ」非難の目と会社での呼び名を向けるも飄々と躱されしまい、もう一度先程よりも長い口付け。→

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「……一つ、資料の確認は丁寧にすること」ひんやりとした指先が頬をなぞる。「二つ、誰かに会う前に化粧室に行くこと」そう言って私の手に握らせたのはポーチに入っているはずのリップ。「守らないと、バレちゃうかもね？」じゃあね、と笑顔で出ていく背中に文句さえも言えず、熱い頬を両手で覆った。

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理不尽なお小言にも文句を言わず何度も説明をして、漸く解放された頃にはもうお昼過ぎ。ランチのお誘いは断り、大好きなミルクティーを片手に人気のない非常階段の隅へと腰掛ける。一人になりたい時の特等席。ため息を吐きながら缶を開ける音と共に響く扉を開ける音に身構えると、スマホを→ #A3プラス

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横持ちにした内緒でお付き合い中の至くん。「……びっ、くりした」「こっちの台詞だよ、いた……茅ヶ崎くん」「誰も聞いてないからよくない？」そう言いながら隣に腰掛け、素早く画面をタップする姿に力が抜けて、少しだけ寄りかかる。「めずらし」「誰も見てないからよくない？」同じように返せば→

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覗き込まれる瞳。「今日家行っていい？」「ん〜」「デリバリーでいいじゃん」なんて見透かすような言葉と同時に押し当てられる唇に驚きで固まる――「HP赤ゲージのお前を放っておける程、ヒドイ男じゃないよ俺」軽口のようだけど真剣味を帯びた声と瞳が嬉しくて、返事の代わりに秘密の口付けを返した。

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あなたのためなら！〈千景〉 #A3プラス なこちゃん(@nakonaco7575)の表紙・タイトルを使わせていただきました！📕ありがとうございます♥ pic.twitter.com/msks9sr9bJ

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月明かりに照らされ静かな夜道を歩く。まるで「この世に二人きりみたい」繋がれた右手で彼の中指のリングをそっとなぞる。「俺が魔法をかけたからね」「え」隣を見上げ、眼鏡の奥で目を細めるあなたと見つめ合い――「……なんてね」そう囁かれるその瞬間まで、私たちはきっと、確かに、 #A3プラス

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左手は私と指を絡め、右手は……珍しく空いている。「スマホは？」「ん、置いてきた」見上げれば交わる視線。「……その方が、二人きりみが増さない？」なんて囁きと共に更にぎゅっと握り込まれる手のひら。マゼンタに映る星空さえも見えそうな距離、繋がっているのは、あなたと私ただ二人 #A3プラス

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両手を一つに纏められシーツに縫い付けられる。痛くはないけれど、決して逃げる事は出来ない拘束……だけど「こんな事しなくても、逃げたりしないよ？」じっと見つめれば、眼鏡の奥の薄花色が微かに揺れ、そのままゆっくりと近付いて――全てを受け入れるため、私はそっと瞳を閉じた。〈千景〉 #A3プラス

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降り続いていた口付けが止み、ぎゅっと抱き込まれる――まるで、縋るように。耳元で重く吐かれた溜息が鼓膜を震わせ、身体中に彼の気持ちが流れ込んでくる……そんな気がした。ねぇ、曝け出す事も、受け入れる事も、上手くできるか分からないけれど。あなたと私ならきっと「大丈夫だよ」〈至〉 #A3プラス

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「ハピエンってやつだね」笑顔でエンドロールを眺める横顔に、計画なんて全部捨て去って――「ねぇ、俺と結婚して？」今、言いたくなった。「……ここで終わりじゃ嫌だよ？」涙ぐむ彼女に隠していた指輪を装備して、エンドロールの向こう側の幸せへと、今二人歩き出す。〈至〉#きみと蜜月 #A3プラス

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ずっと一緒にいようと誓いあった夜。幸せなぬくもりに包まれながら目覚めると左手薬指の慣れない感触――キラリと光る指輪。言葉も出ずに固まっていると、後ろから伸びてきた大きな手のひらと三つのリングが重なる。振り返り、優しく微笑むあなたともう一度誓いのキスを。〈千景〉 #きみと蜜月 #A3プラス

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ふと目を覚ますとこっちを向いて至くんがすよすよ寝てるから、珍しい〜まぁこんな時間だしな〜って。手を伸ばして髪を撫でてみたら「んっ…」って少し身動ぐから慌てて離す。顔の横に投げ出されてる手にそーっと自分の手を重ねて目を閉じて――温もりと穏やかな寝息を感じながら再び夢の中へ。#A3プラス

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ふと目を覚ますと仰向けで静かに寝息を立てている千景さん。寝顔が珍しくてじーって見ちゃうんだけどすぐに「…なに？」って起きちゃうから慌てて謝る。おやすみって言いつつ、眠れるかな〜って背を向けたらお腹に腕が回ってきてドキドキするんだけど――優しい温もりでいつの間にか夢の中へ。#A3プラス

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ふたりの距離、ふたりの物語 3（完）〈至〉 #A3プラス pic.twitter.com/6Lx9AN4KXm

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本格的に暑くなってきたから新しいルームウェア欲しいな〜って通販サイトを眺めていると、隣でゲームをしてたはずの至くんがいつの間にか一緒に覗き込んでる。「これ」「短すぎ、却下」「え〜」って残念そう。夏物でしょ、って言われるけどそれは譲れない。無視してスクロールしていると→ #A3プラス

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「…ねぇ、甘やかして」ゲーム中の至さんに話しかけると、画面から顔を上げ見つめられる。「…ん、おいで」端末を置いて手を広げてくれるからその胸に飛び込めば、ぎゅうっと抱き締められて「これからも俺の前ではそのままのお前でいてね」どうしようもない時だって、あなたがいれば大丈夫。#A3プラス

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「ねぇ、甘やかして…？」先が見えない不安に襲われて…ダメ元で千景さんに問い掛ける。少しの間が空き「っ、やっぱり…」前言撤回しようと顔を上げる、と…腕を引かれ温もりに包まれた。「お前の好きにすればいいよ。それに、」辿り着く先は同じだから、って――それってどういう意味ですか？#A3プラス

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「…かずくん、甘やかしてほしいんだけど、」だめかな…我慢していた気持ちが溢れ出す。一瞬目を見開いたかずくん顔、のちフワリ大好きな香りに包まれた。「…やっと言ってくれたねん」ほっとした声色と優しく髪を撫でる手に、胸が詰まる。いつも見守ってくれているあなたに救われているの。#A3プラス

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「甘やかして、くれませんか？」ぎこちない声で左京さんに伝えると驚いた顔、それから…ため息。迷惑だったかな、なんて落ちていきそうな心ごと、大きな手のひらに引き寄せられた。「…もう少し早く頼れ」ぎこちない手付きに撫でられて――甘えるのも甘やかすのも、一緒に慣れてくれませんか？#A3プラス

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甘やかしてほしくて両手を広げると柔らかく微笑み大きな身体で包み込んでくれる臣くん。徐々に心が緩んできて「いつもありがとう」って伝えたら「俺の方こそお前に救われてるんだが…気付いてなかったのか？」いつもありがとうって、優しく同じ言葉を返してくれるあなたと共に、これからも。#A3プラス

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なんだかしんどくて、紬くんにぎゅっと抱き着きにいくと「なあに？甘えたくなっちゃった？」なんて、全てお見通し。回された手のひらが優しく背中を撫でてくれるからほっと息をつく。「あんまり無理しないでね…」どこまでも私の事を理解してくれているあなたから、もう離れられそうにない。#A3プラス

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ゲーム中の至にくっついて「邪魔？」って聞いたら「んーまあ」って言うから、ひどっ…って離れようとするんだけど「邪魔だけど、お前ならいいよ」ってコントローラー持ったままぎゅってしてくれるの、なにそれ…。終わったら「もういいよ」って、こっちがもういい！ってなるくらい構われた。#A3プラス

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PC作業中の千景にくっついて「邪魔？」って聞いたら「別に」って言うんだけど素っ気ないから「うそつき、本当は邪魔だと思ってるくせに…」って面倒な絡みをしたら唇を塞がれて「その口は邪魔」って、なにそれ…！「そのまま大人しく待ってて」って平然と作業に戻るから、もう何も言えない。#A3プラス

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友人と恋バナ中、彼氏とペアルームウェアを買ったという話に。何それ可愛い。「ん～うちは絶対してくれないなあ」アイスティーの氷をかき混ぜながら呟く。だって千景くん、そういうの好きじゃなさそ。――っていうのが数日前。その友人から「プレゼント！帰ったら開けて」とラッピングされた→#A3プラス

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包みを渡された。家で開けてみると…一方は無地、一方は花柄のトップス。下はグリーン系の同じズボン…いや、明らかにペアじゃん。絶対してくれないって、言ったよね？！これは、どうしよう…なんて頭を抱えていたら「何唸ってるの？」いつの間にか背後に千景くん。膝の上の物を隠す暇なんて、ない。→

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「友だちにもらったの…」「ふぅん。ペア？」「そうみたいデスネ」目線は落としたまま答える。だって絶対にしてくれない。だけど…羨ましい、って思ってしまった気持ちを友人だけでなく、千景くんにも見透かされてしまいそう…すると、すっと腕が伸びてきてメンズのセットが膝から攫われる。「風呂、→

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沸いてる？」「沸いてる、けど」ちょっと、まって。思わず引き止めるようにその手を取る。「それ、着るの？」「…他に誰に着せるつもり？」むっとした声と表情…なにそれ…！「…私も着ていい？」小さく問いかければ楽しそうに目を細め「俺とお揃いでよければ、どうぞ？」なんて、分かってるくせに…！

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通販で買ってもらったペアルームウェアが届いたから早速着ようってノリノリの至くん。ネコのキャラクターがプリントされた、メンズのセットアップとレディースのワンピース。何かのゲームのキャラに似てるからって、さすが。ノースリもショート丈も回避、ついでに一緒にお風呂も回避した。→ #A3プラス

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ナイス私。 先に入ってもらって、寛いでるうちに扉の開く音がしたから顔をあげると…まさかの上裸。いや、なんでよ。思わず固まってしまうと「着せて♡」ってＴシャツを差し出されて…も〜そういうとこ！ここで断っても絶対良いことないから、屈んでもらって着せてあげたらニマニマしてて…も〜〜…→

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可愛い柄なのに似合ってるのもずるい…「早く入ってきなよ」って背中を押され、お風呂に入ってワンピースに袖を通す…うん、似合ってるかは別にして、デザインは可愛い。 なんだか照れ臭くてそっとリビングへ戻るとすぐにバチリと目が合い…にんまりという効果音が似合いそうな笑顔でソファの方へ→

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手招きされる。「やっぱり、かわい」「…どーも」そんな嬉しそうな表情と声…今夜二度目のずるい、だ。頬が熱いのはお風呂あがりのせいだと自分に言い訳しつつ視線を落としていると…グッと手を引かれて膝の上。まって、重いからやだ！って思って逃げようとしたけど、腰に手を添えられて動けない…！→

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「お揃いいいなって思ってたけど、予想以上だわ」え、色々回避したの、無意味だった？「あーでも…せっかくだから脱がせたくない」「！脱がさなくていい」勢いよく返事をしたけど…うわ、なにその笑顔！「言質取りました♡」って言葉と同時に熱い唇が重なって――最初っから手の平の上だったなんて…！

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絶対にしてくれないと思っていたペアルック。千景くんがいいって言うのであれば…「それじゃあ失礼して、お揃いにさせていただきます…」嬉しさと恥ずかしさを誤魔化すように、小さく、思わず敬語で答えてしまったんだけど、だって仕方なくない…？！友人からのプレゼントに流された感は→ #A3プラス

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あるけど…多分嫌なら見向きもしないだろうし、うん。「何その言葉遣い」と笑いながら「先にいただくね」ってお風呂に向かう彼の背中を見つめる私の顔は、きっとだらしなく緩んでる。 若干緊張しながら待ってると「お先」と髪を拭きながら出てきた千景くん…あれ？ブランドのモデルさんかな？なんて→

そら @primavera_mm

思ってしまうくらいには浮かれてる。ほんと何でも似合うなぁ、ずるい。「早く入ってきなよ」って目を細める姿はお風呂上がりだからか色気増しまし…！「いっ、てきます！」逃げるように浴室へ向かうと背後から笑い声が聞こえた気がした。 ねぇ、待ってる時より出ていく時のが緊張するんですけど？！→

そら @primavera_mm

ゆったりしたトップスにミドル丈のパンツ。柄とシルエットが少し違うけど、ペアだとひと目で分かって。そっと部屋に戻るとソファで本を読んでいた千景くんが顔をあげた。「いかがでしょうか…？」…っていや何言ってるの自分？！グッと口を噤む私に視線を走らせたのち「悪くないと思いますよ？」→

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私の言葉遣いをなぞらえる楽しそうな声。ソワソワしてると呼び寄せられ「俺とお揃い、したかったんじゃないですか？」「仰る通りなんですが…」くつくつ笑う彼に抱き寄せられ合わさる衣服。「こういうの興味なかったんだけど…」言葉を止める彼に顔をあげると――重なった唇の熱まで、お揃いになってた。