0
えすてぃ2 @ST_moutsui2

103 さくら:…えっ!? ○○:? さくら:先輩…だったんですか? ○○:そうだよ? さくら:じゃあ、なんでさっきの講義…あれ、1年で受けるやつですよね? ○○:ああ…去年落としちゃったから、再履修。 さくら:なるほど…。

2021-10-03 21:26:39
えすてぃ2 @ST_moutsui2

104 ○○:単位落とすようなやつが、なに偉そうなこと言ってんだって思ったでしょ。 さくら:そ、そんな…思ってないです! さくら:た、た…頼りにしてます…!先輩のこと。 私がそう言うと、先輩はフッと笑みを漏らす。

2021-10-03 21:27:16
えすてぃ2 @ST_moutsui2

105 ○○:先輩…いい響きだなぁ。 つられて、なぜか私も笑ってしまう。

2021-10-03 21:27:43
えすてぃ2 @ST_moutsui2

106 翌週以降、その講義の時だけ、私は先輩の隣で授業を受けることにした。 はじめは講義の時にしか会わなかったけど、連絡先を交換して、講義以外の時にも会うようになった。 徐々に距離が縮まる中、私は、ますます先輩に惹かれていった。

2021-10-03 21:28:07
えすてぃ2 @ST_moutsui2

107 そして、次第に “先輩と付き合いたい。” そんな思いが芽生え、育ち、もう…止められなくなった。 でも…もしフラれたら? せっかくまた会えたのに、仲良くなれたのに…それが壊れてしまうかもしれない。 そう思うと、怖くて動くことができない。

2021-10-03 21:28:36
えすてぃ2 @ST_moutsui2

108 そんなある日、私は偶然12号館の前を通りかかった。 “面白いね、きみ。” あの時の、先輩の言葉と笑顔が脳裏をよぎる。 今思えば、全てがそこから始まった。

2021-10-03 21:29:08
えすてぃ2 @ST_moutsui2

109 夜になっても、私はずっと先輩のことを考えていた。 もう…ここまで来たんだ。 私らしく、全力で走ろう。 まっすぐ…道を、進むだけ。

2021-10-03 21:30:04
えすてぃ2 @ST_moutsui2

110 でも、不安と期待が膨らんで 夜明け前に目が覚めてしまう。 朝日が見えて来た。 弱音は…もう吐かない。 今日こそは、今日こそは。 先輩に思いを伝えるんだ。

2021-10-03 21:30:33
えすてぃ2 @ST_moutsui2

111 先輩と最初に出会ってから半年が経った、10月。 私は、初めて先輩に出会った12号館前のベンチに先輩を呼び出した。 緑の葉っぱが輝いていた木々たちも、今ではすっかり紅葉して、紅く染まっている。 pic.twitter.com/6GhutwaMhm

2021-10-03 21:32:51
拡大
えすてぃ2 @ST_moutsui2

112 まるで、私の恋模様のようだ。 私は、精一杯、先輩に思いを伝えた。 すると

2021-10-03 21:33:16
えすてぃ2 @ST_moutsui2

113 ○○:……ありがとう。 ○○:……よろしくね。

2021-10-03 21:33:41
えすてぃ2 @ST_moutsui2

114 もう…死ぬんじゃないかと思うくらい、心臓がドキドキした。 先輩の笑顔を見た瞬間、涙が溢れそうになったけど、 それよりも、嬉しくて…たまらなかった。 こうして、私たちは恋人同士となった。

2021-10-03 21:34:03
えすてぃ2 @ST_moutsui2

115 さくら:先輩と一緒にいると落ち着きます! ○○:付き合ってるんだし、敬語じゃなくてもいいのに。 さくら:え!? ○○:呼び方も、“先輩”じゃなくていいよ? さくら:○…、○…!/// さくら:や、やっぱり恥ずかしいです! ○○:そんなに!? pic.twitter.com/heLH414bfj

2021-10-03 21:35:36
拡大
えすてぃ2 @ST_moutsui2

116 愛し合うそのことが初めてだったから すべてがぎこちなくて キスだって下手すぎて 緊張しながら何度も抱き合った。

2021-10-03 21:35:58
えすてぃ2 @ST_moutsui2

117 そして、今では どっちが欠けても成立しないような 世界にたった一つの素敵な関係。 あなた以外…想像できない 大切な…○○。 〜〜〜〜〜

2021-10-03 21:36:22
えすてぃ2 @ST_moutsui2

118 ――――― 階段から落ちた際、頭を打ってしまった○○は自分で起き上がることができず、そのまま救急車で病院へ搬送された。 検査の結果、脳や身体に大きな異常を見つからなかったものの、大事を取ってこの日の夜は病院で過ごすこととなった。

2021-10-03 21:37:02
えすてぃ2 @ST_moutsui2

119 さくら:うぅ……ぐすっ…………。 ベッドで横になる○○。その横で、ずっと泣きじゃくっているさくら。 ○○:さくちゃん………。 さくら:………うぅ。 ○○:大丈夫だから。そんなに泣かないで? pic.twitter.com/PaW2BQuwZe

2021-10-03 21:38:08
拡大
えすてぃ2 @ST_moutsui2

120 さくら:だって………。 さくら:あの時……さくが先輩を置いていこうとしなければ…こんなことには………。 ○○:さくちゃんのせいじゃないって。 さくら:でも………。 ベッドから手を伸ばし、さくらの手を握る○○。 小さなその手のひらは、小刻みに震えていた。

2021-10-03 21:38:37
えすてぃ2 @ST_moutsui2

121 “もう、“あの頃”の私とは…違うから” “もう一度…やり直したい。” “私と……付き合ってくれませんか?”

2021-10-03 21:38:58
えすてぃ2 @ST_moutsui2

122 “さくと一緒に居るのに…誰か、他の人の方を見てるような…そんな感じがします。” “今日の先輩の様子がおかしいことなんて、見てたらすぐにわかります。” “伊達に…先輩の彼女やってませんから。”

2021-10-03 21:39:20
えすてぃ2 @ST_moutsui2

123 2人の言葉が、頭の中をぐるぐると駆け回る。 すると さくら:先輩………。 ○○の手をぎゅーっと握り返すさくら。 pic.twitter.com/CekejulynF

2021-10-03 21:40:49
拡大
えすてぃ2 @ST_moutsui2

124 ○○:……? さくら:さく……本当に、先輩が死んじゃうかと思いました。 ○○:そんな、大袈裟だよ。 さくら:その時…気づいたんです。 ○○:え……? pic.twitter.com/88MV79yF7M

2021-10-03 21:41:39
拡大
えすてぃ2 @ST_moutsui2

125 さくら:さく、先輩が居ないと…生きていけない。 さくら:先輩と一緒じゃないと…だめだなって。 ○○:さくちゃん…。 さくら:だから、こんな私ですけど… さくら:これからも…ずっと一緒に居てください…。 pic.twitter.com/t1Puc2J008

2021-10-03 21:42:31
拡大
えすてぃ2 @ST_moutsui2

126 ○○:………。 ○○:……もちろん。 ○○:ずっと…、一緒に居ようね。

2021-10-03 21:42:56
えすてぃ2 @ST_moutsui2

127 ベッドに横たわったまま○○がそう言うと、○○の胸でわんわんと泣き出すさくら。 そして、そんなさくらの頭を優しくぽんぽんとなでる○○。 気づけば、○○の胸はさくらの涙でびしょ濡れになっていた。 ――――― pic.twitter.com/82L83qBlsY

2021-10-03 21:43:30
拡大
えすてぃ2 @ST_moutsui2

128 それから、数日後。 営業時間を終えたカフェの店内には、片付けをする飛鳥とさくらの姿が。 pic.twitter.com/SDWclbzOtc

2021-10-03 21:45:05
拡大
拡大
えすてぃ2 @ST_moutsui2

129 さくら:それにしても…びっくりしました。お店、閉めちゃうなんて。 飛鳥:…ごめんね。せっかくバイトに来てくれてたのに。 さくら:いえ…。 さくら:でも…どうしてなんですか?

2021-10-03 21:45:37
えすてぃ2 @ST_moutsui2

130 飛鳥:…このお店、元々は…私のお母さんのお店なの。 さくら:…。 飛鳥:でも、お母さんが体調崩しちゃって…私が継いでたんだけど、なかなか良くならなくて。 さくら:そう…だったんですか。 飛鳥:いつまでもこうしてるわけにはいかないから…お母さんと話し合って、一旦閉めることにしたの。

2021-10-03 21:48:24
えすてぃ2 @ST_moutsui2

131 閑散とした店内には、静かで、落ち着いた空気が流れている。 飛鳥:……ねぇ、えんぴー。 さくら:はい? 飛鳥:大事な話が…あるんだけど。 さくら:…? 互いに、作業の手を止める2人。 pic.twitter.com/Kqldjgj91D

2021-10-03 21:53:40
拡大
えすてぃ2 @ST_moutsui2

132 飛鳥:私ね…元々、○○と付き合ってたの。 さくら:えっ……? 飛鳥:まぁ、すぐ別れちゃったんだけどね。 さくら:………。 飛鳥:でも、ずっと心の中に未練が残ってて。 飛鳥:……告白したの。○○に。

2021-10-03 21:54:33
えすてぃ2 @ST_moutsui2

133 さくら:え……飛鳥さんが…? 飛鳥:…ごめんね。○○にはえんぴーが居るってのはもちろんわかってるけど、 飛鳥:我慢…できなかったの。 さくら:………。

2021-10-03 21:55:11
えすてぃ2 @ST_moutsui2

134 飛鳥:でも…結局、フラれちゃった。 飛鳥:「さくちゃんを幸せにするのが、俺の使命だから。」…だって。 飛鳥:……正直、えんぴーが羨ましかった。 pic.twitter.com/CS3YsQmAcY

2021-10-03 21:59:33
拡大
えすてぃ2 @ST_moutsui2

135 さくら:飛鳥さん……。 飛鳥:勝手なことしといて…こんなこと言うのも……図々しいかもしれないけど。 さくらをじっと見つめる飛鳥。 さくら:………?

2021-10-03 22:01:16
えすてぃ2 @ST_moutsui2

136 飛鳥:お店閉めたら…もう会うこともなくなるかもしれないけど。 飛鳥:○○と2人で…幸せになってね。

2021-10-03 22:01:32
えすてぃ2 @ST_moutsui2

137 さくら:あずがざん…!!! 思わず、熱いものがこみ上げるさくら。 飛鳥:あはは、なんて顔してんの? さくら:だっで…。 pic.twitter.com/2DggEvJFDB

2021-10-03 22:04:00
拡大
拡大
えすてぃ2 @ST_moutsui2

138 2人は、どちらからともなく抱き合うと 互いが満足するまで、互いの身体に身を預けていた。 ―――――

2021-10-03 22:04:24
えすてぃ2 @ST_moutsui2

139 そしてさらに数日が経ち、10月3日。さくらの誕生日だ。 ○○:じゃあ、記念すべきさくちゃんの20歳の誕生日に乾杯! さくら:かんぱ〜い! グラスに入ったビールをぐいっと飲むさくら。 さくら:あ"あ"っ……!苦いです……! pic.twitter.com/tk6uPKc9DR

2021-10-03 22:05:30
拡大
えすてぃ2 @ST_moutsui2

140 ○○:あはは、子供なさくちゃんにはまだ早かったかな? ニヤニヤしながら○○がそう言うと さくら:む!もう子供じゃないです! そう言ってもう一口ぐいっといくと さくら:あーー美味しい!! 顔をしかめながら強がるさくら。

2021-10-03 22:06:07
えすてぃ2 @ST_moutsui2

141 ○○:もう、別に強がらなくてもいいのに。 さくら:強がってなんかないです! ○○:俺は子供なさくちゃんも好きだよ? さくら:え……?

2021-10-03 22:06:26
えすてぃ2 @ST_moutsui2

142 さくら:じゃあ…たまには子供でいてあげます。 そう言って、○○に甘えるさくら。 さくら:ふふふ…♡酔っちゃったかも♡ と、ここぞとばかりにぺたぺたくっつくさくら。 pic.twitter.com/qzuzFbq3rT

2021-10-03 22:07:03
拡大
えすてぃ2 @ST_moutsui2

143 ○○:…さくちゃん、酔ってないでしょ? さくら:えっ…!なんでわかったんですか? ○○:見ればわかるよ。 さくら:むぅ……でも今日はたっぷり甘えさせてもらいますからね! ○○:はいはい。 pic.twitter.com/qGMy6ACsrP

2021-10-03 22:07:35
拡大
えすてぃ2 @ST_moutsui2

144 さくら前線は、今日も○○の腕の中に停滞中。 これから先も… 動くことは、なさそうだ。 pic.twitter.com/Z0CGULrouK

2021-10-03 22:08:04
拡大
0
まとめたひと
えすてぃ2 @ST_moutsui2

@ST_moutsui のサブアカウント。基本的に中編更新時のツイートにしか使いません。というわけでフォローは非推奨。