55 ○○:………………ごめん。 飛鳥:………。 ○○:何て答えればいいか……わからない。 飛鳥:え………? ○○:少し…考えさせてくれない? ○○の言葉に、驚いた表情の飛鳥。 飛鳥:……意外。 飛鳥:速攻でフラれるんだろうなって……思ってたから。 ――――― pic.twitter.com/BrB5RzrT2U
2021-10-03 20:54:0956 翌日 さくら:……先輩? ○○:……え? さくら:さくの話、聞いてましたか? ○○:えっと……何だっけ。 さくら:今日講義終わったら遊びに行きませんか?って言ったんです!! pic.twitter.com/8FEkLGjup9
2021-10-03 20:55:3357 ○○:ああ…そっか。 さくら:もう、どうしたんですか?今日ずーっとぼーっとしてますけど。 “もう、“あの頃”の私とは…違うから” “もう一度…やり直したい。” “私と……付き合ってくれませんか?” 飛鳥の言葉と、唇の感触が、○○の脳内を過ぎる。 ○○:いや……なんでもないよ。ごめんね。
2021-10-03 20:56:1058 さくら:……。 ○○:……あっ、そうか。講義終わりね。いいよ、遊びに行こう。 さくら:ふふ♡楽しみにしてますね♡ 笑顔が弾けるさくら。 pic.twitter.com/txVY8d3AGP
2021-10-03 20:56:4159 すると さくら:…あっ、もうこんな時間!さく、次の講義に行きますね。 ○○:うん。 さくら:ふふ、じゃあ…先輩、また後で♡ ○○:うん、また後で。
2021-10-03 20:57:0160 友達と合流し、教室へと向かうさくらの後ろ姿を見送る○○。 しかし、頭の中では 飛鳥のことを、考えていた。 ―――――
2021-10-03 20:57:1861 講義を終え、合流した2人。 さくら:じゃあ、行きましょっか♡ ○○:うん。 手を繋ぎ、歩き出す。 pic.twitter.com/GpluAl7hSV
2021-10-03 20:58:1162 さくら:ねぇねぇ先輩、さくのこと見て何か気づきませんか? ○○:え?えっとー…… 全くピンとこない○○。 さくら:髪…巻いてみたんですけど。 ○○:え?あ、ああ…!ほんとだ!
2021-10-03 20:58:4063 さくら:……。 さくら:(いつもなら…朝一番に気づいて“可愛い”って褒めてくれるのに。) ちょっぴり悲しそうな表情のさくら。
2021-10-03 20:59:0264 2人は、やがて大学の最寄りの駅にたどり着く。 改札を抜け、ホームへ向かう。 さくら:先輩、今日お昼ごはん何食べました? ○○:え?えっと…何だっけ。あれ? 全く思い出せない○○。 さくら:…学食のラーメンです。
2021-10-03 20:59:3366 さくら:一緒に楽しく食べたのに…覚えてないんですね。 ○○:ごめん…。 さくら:……今日の先輩、何かおかしくないですか? ○○:…え? さくら:さくと一緒に居るのに…誰か、他の人の方を見てるような…そんな感じがします。今日の先輩。 ○○:いや、そんなことは…。
2021-10-03 21:00:5567 さくら:何か…あったんですか?それとも、さくが何かしちゃったんでしょうか。 ○○:いや…何でもないよ。気にしないで。 すると さくら:そうやって…隠すんですね。 ○○:え……? pic.twitter.com/Ui3pUv5VJF
2021-10-03 21:03:0468 さくら:今日の先輩の様子がおかしいことなんて、見てたらすぐにわかります。 さくら:伊達に…先輩の彼女やってませんから。 ○○:さくちゃん…。 pic.twitter.com/v1WwR2VXUX
2021-10-03 21:04:2569 さくら:……先輩。 さくら:やっぱり…何かあったんじゃないですか? ○○:………。 さくら:……もういいです。 さくら:先輩なんて、もう知りません!
2021-10-03 21:04:5270 そう言って、○○を置いて足早にホームへ向かう階段を駆け下りていくさくら。 ○○:ちょ、ちょっと待って……! さくらを追いかけようと、一歩踏み出した…その時。
2021-10-03 21:05:1375 〜〜〜〜〜 高校時代、私はすごく人見知りで、引っ込み思案だった。 そんな自分を変えたくて…あえて、地元から離れた所の大学を受験した。 さくら:(大丈夫かな…。) pic.twitter.com/MmhtMSyjiU
2021-10-03 21:10:3676 通い慣れたホームに春風が吹く。 新たな暮らしに期待と不安が入り混ざって 今、目の前に広がる景色が寄せ書きに見えて来る。
2021-10-03 21:10:5877 やがて、電車が到着する。 さくら:じゃあ…行ってくるね。 見送りに来てくれていた両親にそう言うと さくら母:行ってらっしゃい。辛くなったら、いつでも帰って来ていいからね。 そう言って、私に優しい眼差しを向けてくれるお母さん。 そしてお父さんは…黙って私の頭を2度、撫でてくれた。
2021-10-03 21:11:2779 そして、迎えた大学生活。 さくら:(あれ…12号館ってどこだ…?) 中学や高校よりもずっと広い大学の構内で、私は迷子になっていた。 入学したてで友達はおろか知り合いすら居ない私はただただ、オロオロとしていた。 pic.twitter.com/ZLrXCTQ1HM
2021-10-03 21:12:2980 すると、その時。 緑の木々の下のベンチに座っている、男子学生さんと目が合う。 誰かを待ってるのだろうか? それは、わからなかったけど 風が過ぎてくほんの一瞬に 私のこの胸は、何かを感じたんだ。
2021-10-03 21:13:0381 “人見知りで、引っ込み思案な自分を変えたい。” なのに、道を尋ねることすらできなくてどうする。 私は、思い切ってその男子学生さんに声をかけた。
2021-10-03 21:13:2782 さくら:……あ、あの!! ○○:……!? あっ…しまった。 思い切りすぎて、声が大きくなっちゃった。 ちょっぴり恥ずかしいけど、負けちゃだめだ。 pic.twitter.com/aeSYXn9ZZO
2021-10-03 21:15:3283 さくら:12号館って…どこにあるんでしょうか! ○○:え…? ああ、困惑してらっしゃる……。 もう…いいや。 ここまで来たら、押し切っちゃえ。 さくら:入学したばっかりで道がわからないんです…。案内してもらえないでしょうか?
2021-10-03 21:15:5184 すると ○○:12号館はねー…。 ○○:…そこ。 さくら:!? 男子学生さんは、苦笑いしながらすぐそばにある建物を指差す。
2021-10-03 21:16:1285 ああ、ほんとだ…。 壁にでかでかと「12」って書いてある…。 さくら:あ、ありがとうございます……。 私は、顔から火が出そうなほど恥ずかしい思いをしながら、ボソボソとお礼を言った。 pic.twitter.com/uPeYCRgaqG
2021-10-03 21:17:0487 しかしそれ以降、その男子学生さんと出会うことはなかった。 まぁ…こんなに広い構内だから、当然のことなのかもしれないけれど。 右も左もわからないまま日々を過ごすうちに、徐々に大学生活にも慣れ、友達もできた。
2021-10-03 21:17:4089 そんなこんなで夏休みが終わり、9月。 新たな講義が始まる新学期初日。 それは、突然のことだった。 さくら:……えっ!? 教室に入ると、あの男子学生さんが席に座ってスマホを弄っていた。
2021-10-03 21:18:2490 う、嘘…! 同じ学部、同じ学科だったってこと? 全然気づかなかった…。 私は、驚き半分喜び半分の、なんだか不思議な気持ちになっていた。
2021-10-03 21:18:4091 でも、どうしよう? 突然声を掛けても…前に話した時のことを男子学生さんが忘れてたらまた困惑されるだけだろうし…。 しれーっと、隣の席に座ってみる? いや……無理。そんな勇気ない。
2021-10-03 21:18:5792 とりあえず私は、少し離れた席に座って様子を見ることにした。 様子を見ると言っても、本当に、ただただぼんやりと後ろ姿を眺めているだけだけど。 嬉しかった。 会いたいと思っていた人が視界の中に存在する。
2021-10-03 21:19:2093 でも、人間というのは欲張りな生き物で。 “もう一度、お話をしたい” そんな思いが、芽生えてくる。 でも……声をかける勇気なんてない。 だいたい、何て声を掛ける?
2021-10-03 21:19:4295 “人見知りで、引っ込み思案な自分を変えたい” そうだ、私は 今までの自分と決別するために…ここに来たんだ。 勇気がないなら、振り絞ればいい。
2021-10-03 21:20:2396 講義が終わると、私は男子学生さんの元へ歩いて行った。 さくら:あ、あの…!! ○○:……はい? さくら:え、えっと………。 あ……やばい。 何て喋ろう。 私は、ノープランで突撃したことを心底後悔した。 pic.twitter.com/HHdh0sJEUx
2021-10-03 21:22:2497 ○○:俺に…何か用ですか? さくら:えっと、その……。 ああもう、走って逃げようかな。 そんなことを思っていた、その時。
2021-10-03 21:22:4399 私は教室がある建物を出て、近くのベンチに腰を降ろした。 ○○:いやー、びっくりした。まさかまたきみに会うことになるとは。 さくら:覚えてて…くれたんですか? ○○:そりゃあ、覚えてるよ。 pic.twitter.com/jmvxo8XY59
2021-10-03 21:24:51100 ○○:いきなり、目的地の目の前で迷子になってる知らない子に大声で声かけられるとか、忘れるわけないでしょ。 さくら:うぅ…。 恥ずかしくて真っ赤になる私。
2021-10-03 21:25:20101 ○○:…あ、今さらだけど、俺は○○○○(フルネームだと思ってください)。きみは? さくら:遠藤さくらっていいます…! ○○:そっか。よろしくね。 ○○…○○。 たぶんもう、この名前を忘れることはないだろう。
2021-10-03 21:25:41102 ○○:もう、大学生活には慣れた? さくら:…なんとか。 ○○:そっか。まぁ、俺2年だから、わからないことがあったら何でも聞いてね。
2021-10-03 21:26:05