長めにネタツイ繋いでいたやつ
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猫寵に出るやむなし(9月・25/2月) @mkz0412

だからこそリーダーは亡き友に託した前王の世継ぎを長年かけて秘密裏に捜索していた。 表向きには死亡した事になって居るが、必ずどこかで生きて居る筈だと信じ、漸く宗近王子の元へ辿り着いた。 宗近王子が名を掲げ立ち上がる事で、間違い無くこの国は変えられる。人々は再び希望を持つ事が出来る。

2018-02-16 12:33:00
猫寵に出るやむなし(9月・25/2月) @mkz0412

力説されるも、正直なところ宗近王子は実感が湧かない。 街へ、王座へ、憧れがあった訳でもなく、本心だけで云ってしまえば宗近王子はこの先も森でまんばちゃんとずっと一緒に質素ながら平和に暮らして行ければそれで充分。 例え森に戦火が及んでも、まんばちゃんと二人でどこかへ行けば良いのだから。

2018-02-16 18:14:46
猫寵に出るやむなし(9月・25/2月) @mkz0412

知った事ではないと、言ってしまえばそれだけの話。 けれど、まんばちゃんは宗近王子をそんな風には育てて居ない。 もし、国広だったら、こんな時どうするだろう。ひどい物だと思わず零してしまう様な街を見て、胸が痛まなかった訳がない。 それを、自分が少しでも変えられるのだとしたら。

2018-02-16 18:20:25
猫寵に出るやむなし(9月・25/2月) @mkz0412

きっと国広は人の為に動くだろう、そう思うのは確かで、では自分はどうしたいのか。 考えながら、宗近王子は森への帰路につく。 街へ来た時と同じくリーダーである男と護衛と連れ立って。 内心、街へ行ったが最後、監禁でもされて森へ、国広の元へ戻れないかも知れない、と考えたのは杞憂に終わる。

2018-02-16 18:29:18
猫寵に出るやむなし(9月・25/2月) @mkz0412

森の家へ帰り着いて、まんばちゃんと再会。 仮面をつけたままのまんばちゃんの表情は到底判らないけれど、おかえりと言った声は何だか少し安心した様に聞こえる。 宗近王子を送り届けた男達は、またひと月後に迎えに来ると言った。 身の振り方を考えてくれでは無く、迎えに来ると。

2018-02-16 20:24:47
猫寵に出るやむなし(9月・25/2月) @mkz0412

宗近王子はもう断るとは言えなかった。 自分に何が出来るかなんて明確には判らないけれど、それが自分にしか出来ない事であると、それが成すべき事であると、悟ってしまった。 戻って来た宗近王子を見てまんばちゃんも察する。元々、宗近王子を街へ帰すつもりだったけれど、遂に別れの時が来たのだと。

2018-02-22 08:18:28
猫寵に出るやむなし(9月・25/2月) @mkz0412

宗近王子が決意を告げた時、まんばちゃんは一言そうか、と答えただけだった。 国広も共に、と未だ諦め切れない宗近王子は言うけれど、まんばちゃんに行けると思うか?行っても目立ち過ぎて足手纏いになるだけだ、と言われればそれはごもっとも過ぎて食い下がる事も出来ない。

2018-02-22 08:28:44
猫寵に出るやむなし(9月・25/2月) @mkz0412

まんばちゃんが使える魔法は俗世から離れて森でひっそりと生きる為には困らない……と言う程度の物で、全く荒事向きではなく、人心操作にも役立ちはしない。 おまけに人の街には紛れられない仮面の呪いが着いて回る。本人も俗世への興味や憧れは無く、当事者でも無いのだから積極的に動く筈も無い。

2018-02-22 08:33:20
猫寵に出るやむなし(9月・25/2月) @mkz0412

それより何より、宗近王子自身も街でひしひしと感じたのだ。 見慣れない存在を物珍しげに、ともすれば値踏みでもする様に見る人々の視線を。 一緒に居たいのは本心だけれど、本人が望んで居ないのに無理やり連れ出して人々の好奇の視線に晒してしまうのは、ただ単純に離れる事よりも嫌だった。

2018-02-22 08:39:57
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