【長文】日本における舶用機関としての焼玉機関の構造と歴史など
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天翔 @Tensyofleet

陸上運転成績は921軸馬力/184rpmで毎時毎馬力燃料消費量は226g/hp/hrであるから、ディーゼルに比べて燃料消費は1割程度大きいようだ。もっとも、こちらは燃料に重油を使えるので燃料費は安いのだろう。

2017-09-18 23:02:15
天翔 @Tensyofleet

このような超大型焼玉機関が出現した背景には、重油の免税措置があった。1920(大正9)年より「燃料用重油輸入免税」が施行されており、軽油は関税が高いため国内生産品が使用されていたが、これら焼玉機関が消費していた重油はほとんどが輸入品であった。

2017-09-18 23:08:27
天翔 @Tensyofleet

1936(昭和11)年、燃料政策の変更によりこの重油免税制度が廃止されることになり、燃料費の面で恩恵を受けられなくなった超大型焼玉機関は以後製造されていない。課税制度の隙間に咲いた徒花であったといえよう。

2017-09-18 23:20:28
天翔 @Tensyofleet

ボリンダ―型焼玉機関の焼玉付近の図(再掲)。(7)の燃料ノズルの先から、扇状の70~80°と50~69°の2種類の角度が図示されている。 dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid… pic.twitter.com/l6RcaSFg86

2017-09-21 22:34:04
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天翔 @Tensyofleet

これは、低負荷時には燃料の粒子を細かく拡散させ燃焼室のリブに吹き付けて着火しやすくし、高負荷時には粒子を大きく狭くしてピストン上面方向に噴射して過早爆発を防止するもので、燃料弁上部のレギュレーターで調整する。

2017-09-21 22:37:44
天翔 @Tensyofleet

これは私見であるが、日本の焼玉エンジンのほぼすべてがボリンダ―型となった理由は、間接的ながらこの燃料噴射による点火時期を調整する(過早爆発を防止する)機構があり、高負荷に耐え、かつ圧縮比の向上による高効率によるものではないかと思う twitter.com/Tensyofleet/st…

2017-09-21 22:45:32
天翔 @Tensyofleet

注水式と同じく無注水式の燃焼室も各社がさまざまな方式を開発し、何種類かは日本でも製造されて用いられたものの、昭和初期にはほぼボリンダ―型にほぼ統一され、以後日本での焼玉エンジンはすべてこの方式を採用しているようだ。 pic.twitter.com/0cPbq2IymW

2017-09-18 20:16:22
天翔 @Tensyofleet

なお、「焼玉機関の点火は焼玉の温度による熱面着火」ということになっているが、小馬力の焼玉において「起動時は焼玉による点火であるが、運転時は圧縮加熱した空気による着火である」とした論文がある。 doi.org/10.1299/kikai1…

2017-09-21 22:49:16
天翔 @Tensyofleet

参考までに、この実験において使用された「海務院型5馬力焼玉機関」は、制定された標準型焼玉機関のうち最も小型のもの。ちなみにディーゼル機関も同様に戦時中に海務院により標準規格が制定され、いずれも戦後に発展型が登場するなど基礎設計の一部となっている。 pic.twitter.com/39U0OC2pIP

2017-09-21 23:45:39
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天翔 @Tensyofleet

海務院型15馬力焼玉機関、松根油を燃やすの巻。 pic.twitter.com/52V6RKwecL

2017-09-21 23:49:57
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