現在と一部は異なる
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プロローグ

緑月電園都市 @greenmoonpolis

このお話の世界で言う『夢』は、作中の現実世界の人々が共有する第二の世界。主人公タマゴ・カケルは、ある朝ものすごい悪夢を見て飛び起きるが、その内容についてすぐに思い出す事ができなかった。そしてその日から14夜、夢を見ることは無かった

2015-12-05 18:05:23
緑月電園都市 @greenmoonpolis

同時に、カケルが悪夢で起きた日の学校ではアマリア・マリという転校生が来ていた。マリとカケルはすぐに仲良くなり、休みの日も一緒になって楽しい日々を過ごした。しかし14日後、マリは再び転校してしまう。別れ際にマリはカケルに不思議な小箱を渡す

2015-12-05 18:08:24
緑月電園都市 @greenmoonpolis

カケルはマリがいなくなった悲しみを引きずったまま寝床に就く。枕元にまだ開けていない小箱を置いて。夢世界の中にダイブしたカケルは仰天。周囲は建物どころか川や木ひとつない完全な荒野で、空は黒と紫の禍々しく分厚い雲が斑模様を描いて覆っていた!

2015-12-05 18:12:44
緑月電園都市 @greenmoonpolis

荒廃した大地のところどころに埋まる、武器や建物の欠片。生きたものはみつからない。ふと、カケルはマリから手渡されたあの箱が砂の中に埋まっているのを発見する。彩色を失った世界に咲く一輪の花のごとく、赤と金に光るその箱を、カケルは掘り出してからおそるおそる開ける。中から出てきたのは……

2015-12-05 18:16:39
緑月電園都市 @greenmoonpolis

目つきのするどいオバーチャンだった!

2015-12-05 18:17:05
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リメイという名のその老婆は、箱から飛び現れるなり突然カケルを叱責。いわく、この夢世界は凶悪にして狡猾なる魔王・グリッドIII世が解き放った悪魔によって殲滅されてしまったのだという。カケルは魔王に対抗する戦士の1人であったが、結局その悪魔の覚醒を許してしまったということに

2015-12-05 18:21:51
緑月電園都市 @greenmoonpolis

リメイは怒っているらしい。楽しい日々を謳歌した直後の夢の世界であるだけに、少々記憶がおぼつかなかないカケルだったが、リメイの示した、夢世界の平和を取り戻すための最後の手段に乗る事にする。その手段とは、魔王が悪魔を目覚めさせ、殲滅を開始した14日前の夢世界へ戻る事だった。

2015-12-05 18:25:50
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ワリキルギスと呼ばれるその悪魔は、時間を不正に操った事によって、夢世界の人々の団結力を凌駕し、圧倒的な破壊力によって制圧をしかけたのだという。しかし、不正に操作された時間には歪みが生じており、リメイの力でその歪みを正す時に、時間を逆行する『タイム・ビー・バック』が可能になるという

2015-12-05 18:30:22
緑月電園都市 @greenmoonpolis

カケルは、マリが自分の事を戦士と認め、この夢世界を救ってくれると信じてあの箱を渡してくれたのだと確信し、14日前に戻って魔王と悪魔の非道を阻止する事を決意し、過去へと飛び立った・・・!

2015-12-05 18:34:43

第一話

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タイムバックによって飛ばされたカケルの目に飛び込んできたのは、影の如き異形の怪物の群れ!彼が現れたのは、とある小さな村のど真ん中。悪魔による世界殲滅の一番最後の標的だった。カケルはおぼつかないながらも剣を振るってこれを倒し、村人たちの命を救う。

2015-12-05 18:46:49
緑月電園都市 @greenmoonpolis

時間は1日しか戻っていなかった。リメイいわく燃料切れらしい。村を救う事はできたが、村の外に出てみれば、そこには先ほど見た殺風景が広がるばかり。マリもこの村にはいない。カケルは頭を抱えるが、リメイは村付近の小さな山から妙な気配を感じ取る。2人はそこに向かう。

2015-12-05 18:50:52
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山の麓には少し大きな祠があり、そこには村の人々が信仰する魔神が祀られていた。リメイはこの魔神が広くは邪神として知られるものである事に嫌な予感を感じながらも、祭壇の奥にぽつと置かれた宝石を取ろうとする。しかし、それを阻止したのは祭主の老人であった。

2015-12-05 18:58:54
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カケルとリメイはこの老人にただならぬ狂気を感じ取る。邪神に取り憑かれているのだ。先ほどの魔物の軍勢の最終目的地はこの山であったのかもしれない。リメイのアシストにより、カケルはおかしくなった祭主を撃破した。宝石は魔王一族に伝わる、時間の歪みを増幅させる結界を生成する魔石だった。

2015-12-05 19:05:11
緑月電園都市 @greenmoonpolis

カケルが石を破壊すると、リメイの体にタイムバックの力が再び宿った。2人は、悪魔が力を最大限に使うために、他にも結界石が別の場所にセットされている事を予想し、ワリキルギス覚醒の日まで戻れるという事に対する確信を深める。 pic.twitter.com/wNcHfL6JD5

2015-12-05 19:11:12
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カケルとリメイは村の人々に、休息をくれたお礼と、祠を荒らし祭主の老人を倒してしまった事に対する謝罪をしながら、次の場所、前の日に向かって発つ。その時、祭主の孫娘が飛び入り、一緒にタイムバックしてしまう。例の邪神が祭主に変わって彼女に憑依している事に、2人が気づくのはまだ先である。

2015-12-05 19:17:05

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登場人物:タマゴ・カケル。アマリア・マリとの出会いをきっかけに、ワリキルギスを食い止めるため時間逆行することになる。前向きせ誠実な性格だが天然。 pic.twitter.com/fv4FXUj12f

2015-12-05 19:22:52
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リメイ:箱から飛び出した謎のばあちゃん。時を逆行する、結界石のある場所を感知するなど様々な特殊能力を持つようだが、老体だからという理由で多くを表に出す事はない。そのかわり人に対して口うるさく、おせっかい焼き。

2015-12-05 19:26:39
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パルサ:村の小さな宗教の祭主が育てていた、たった1人の孫娘。幼いが口数が少ない。 pic.twitter.com/w4EsvnXcmS

2015-12-05 19:29:12
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第二話

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前回のあらすじ:少年タマゴ・カケルは、魔王が生み出した悪魔ワリキルギスによって滅ぼされた夢の世界を目の当たりにしていた!彼は転校生マリが遣わした老婆リメイの力によって少しずつ時を遡り、14日前__ワリキルギスが覚醒した日__を目指す。夢の世界に再び平和を取り戻すために!

2015-12-25 15:10:11
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村を救ったカケルが次にタイムバックした場所は、小さな町だった。そしてやはり魔物が暴れている真っ只中!村を襲った敵よりも若干の手強さを感じつつも、カケルは魔物達を叩きのめしていく。

2015-12-25 15:14:04
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だが、彼らについてきた村娘のパルサが襲われると、これをかばったカケルは隙を見せてしまう。絶体絶命のピンチ!と思われたその時、リメイの強力な蹴りが、今まさに襲ってきた魔物を捉え、ふっとばした!体勢を立て直したカケルは、パルサを背に残りの魔物を倒し切る。

2015-12-25 15:18:36
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かくして町は全滅を免れた。カケルはリメイの強力なキックに驚いたが、彼女は「自分は老体だから、滅多にこんな事をさせるんじゃないぞ」と叱る。町の人々はカケルに非常に感謝していたが、まだ脅威は去っていないという声が上がる。

2015-12-25 15:22:51
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聞くところによると、町のはずれの岩場にはある凶暴な大男が住んでおり、町にやってきては家々を破壊して去っていくという。しかしカケルはヘトヘトだった。リメイが言うには、ここで一晩休んでも、結界石を見つけることさえできれば、前の日に戻る事は問題ないそうだ。カケルは休むことにした。

2015-12-25 15:26:59
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パルサはこの町に置いて、件の大男を倒してから結界石を探しにいくつもりだった。だがその日の夜中、カケルが寝ていると外でひときわ大きな破壊音が聞こえた。慌てて飛び起きると、町の人々が部屋に押しかけ、話の大男が今まさに町中に現れたのだという。

2015-12-25 15:30:21
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カケルは剣を握って大男と対峙する。相手はカケルの3倍以上ありそうな背丈、大木のような太い腕を持っていた。カケルは相手があまり素早くない事を見抜き、スピードで利を得ようとするが、相手が空振りするたびに起こる地響きに足を掬われ、遂にはまともに拳を受けてしまう。

2015-12-25 15:36:01
緑月電園都市 @greenmoonpolis

大男の鉄球のような拳をまともに喰らい、動けなくなったカケルをよそに、大男は町人を追い回し始める。そこにリメイが駆けつけ、何か不思議な言葉を唱えると、カケルの体にみるみる力がみなぎった!カケルは飛び起き、再び大男の前にたちはだかる。

2015-12-25 15:39:02
緑月電園都市 @greenmoonpolis

大男はカケルに向かって突進する。さっきの二の舞か?だが、カケルはリメイの行動から思い出した事があった。彼女が使ったのは魔法であり、自分もまたそれを使う資格の持ち主であるということを。カケルが不思議な言葉を唱えると、パンチを繰り出そうとした大男の周りから炎が噴き出した。

2015-12-25 15:44:07
緑月電園都市 @greenmoonpolis

魔法に対抗する術のない大男には大きなダメージだ。カケルはすかさず踏み出し、剣撃で大男にたたみかける。ついに大男はバランスを崩し、倒れこんだ。大喜びで駆け寄る町人たち。しかし、カケルは大男が苦しそうに発したうわ言を聞き逃さなかった。

2015-12-25 15:46:41
緑月電園都市 @greenmoonpolis

カケルは町人達に、この中の誰かが大男の持ち物を盗んだのではないかと尋ねた。町人達は、そもそもこの大男に言葉が通じたのかと驚きつつも、必死に首を横に振った。しかし、横になった大男に憤怒の形相で睨まれながらも、その場を静かに退散しようとする一人の女あり。

2015-12-25 15:51:02
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町人達は一斉にその女につかみかかった。その女の夫は無名の盗賊で、片腕を失った今は足を洗っていたはずだった。町人達は夫婦の家に押しかけ、そこにあった盗品の数々を発見。遅れてやってきた大男とカケルは、騒ぎの中で同じ物を指差した。結界石。

2015-12-25 15:56:23
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家の主と町人達が揉み合う中、カケルは結界石を取って戻ってくる。大男はつたない言葉で言った。この石はすごく強い奴から勝ち取った戦利品で、自分の宝物なのだと。カケルとリメイは顔を見合わせた。そしてこうも言った。しかし、改めて自分を真正面から倒したカケルこそが、その石を持つべきだと。

2015-12-25 16:04:24
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二人は再度顔を見合わせた。大男の表情からはカケルへの尊敬と従順の態度が見て取れた。カケルはこのメガトンという名の大男を、仲間に加えることになった。メガトンはやや頭が良くないらしく、カケルが自分の使命を説明しても理解した様子はなかったが、結界石を割る必要性は承知してくれたようだった

2015-12-25 16:08:34
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カケル、リメイ、メガトンは町を出、次の結界石がある時間・場所へと向かい、タイムバックするのだった。この時、メガトンの後ろにとある少女がくっついていたのは、タイムバックが完了するまで誰も気がつかなかった。

2015-12-25 16:12:22

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登場人物:リメイ。前回は写真がなかったので再掲 pic.twitter.com/nj5Dv3nMG0

2015-12-25 16:15:54
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メガトン:とてつもない腕力が自慢の大男。歳はカケルとあまり変わらない。頭はそれほどよくなく、喋り方もおぼつかないが、優しい心を持つ。 pic.twitter.com/gqsItCUrPv

2015-12-25 16:18:28
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第三話

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前回のあらすじ:夢の世界の平和を取り戻すため、タイムバックの力によって、悪魔ワリキルギスが覚醒する日すなわち14日前に向かうカケルとその一行。そこに怪力無双の大男メガトンが加わった。

2015-12-27 20:34:00
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次にカケルがタイムバックした先は、やはり魔物の暴走に脅かされている真っ最中の町だった。ワリキルギスが覚醒してから14日の間、魔物たちは休みなく世界を蝕んでいたのだ。14日間のどこに戻っても、暴走の渦中に放り込まれることは避けられない事態である。

2015-12-27 20:37:50
緑月電園都市 @greenmoonpolis

カケルとメガトンは力を合わせ、魔物たちを次々に倒していった。魔物一体一体の力は弱い。メガトンの拳に撃たれて倒れない魔物はいない。たったそれだけの魔物が、この世界を荒野へと変え果てたのは、それだけの数の魔物をワリキルギスが生み出したということに他ならない。

2015-12-27 20:41:59
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魔物の手は爆心地から放射状に伸びている。一つの町を守りきることができれば、その後ろにある町も守られる。カケルとメガトンはギリギリの所でこの町から魔物が出るのを防いだ。正確に言えば、二人の圧倒的な力によって魔物達の勢力は大きく削がれ、町の人々が倒しながら侵攻を防げるまでになった。

2015-12-27 20:47:25
緑月電園都市 @greenmoonpolis

リメイはこの魔物達の弱点に詳しかった。特に爆心地、すなわちワリキルギス覚醒の地から遠いせいか、襲ってくる魔物は複雑な構成ではない。カケルはそれを考慮して、メガトンは深く考えず力技で、それぞれ魔物の軍団に打って出た。背にはリメイ、パルサ、町の人々。

2015-12-27 20:51:16
緑月電園都市 @greenmoonpolis

特に、タイムバックした瞬間まさに魔物に襲われんとしていた女性がいた。彼女はカケルとメガトンの真後ろで尻餅をつき、一部始終を恐怖と驚愕の目で見ていた。それ以上彼女に魔物が近づくことはなかった。全てが終わり、カケル達が魔物の襲ってきた方角を背に戻る時、彼女は涙を浮かべながら感謝した。

2015-12-27 20:54:08
緑月電園都市 @greenmoonpolis

その女性__と言っても歳はカケルより少し上くらいだが__は、その時は押し寄せる感情に歪んでこそいたものの、顔は非常に美しかった。不思議な香りを持った美女である。カケルとメガトンは思わず固まってしまったが、リメイに小突かれると、いそいそと次の日に戻る準備をした。

2015-12-27 20:58:59