今まで呟いた幻覚です。
15
前へ 1 ・・ 64 65
にゃろーめ @nyaropokke

断じて下心があったわけじゃないと、待ったのポーズを見せる。snaはもう色々と起こりすぎて穴があったら入りたかった。酔いつぶれた時点でもうやらかしてる感がとんでもないのだ。更にはdndに下着をつけているとはいえ裸を見られたなんてとんでもないベスト1だ。 「ちなみに……皆さんには何を……」

2021-12-29 15:11:55
にゃろーめ @nyaropokke

「言っていいのか?」 「言えないようなことなの……?」 「多分聞いたらキミびっくりするぜ」 忠告にも聞こえるdndの言葉にもう既に再び青ざめかけていた。言えないようなすごいことってなんなのと。そんなの死刑宣告でもあるのではないか。 「聞くか?」 「聞かなきゃ……いけない気がします、ね」

2021-12-29 15:14:38
にゃろーめ @nyaropokke

「……キスしてたぞ」 「キ……っ?!」 「ほっぺにな」 「ほ……っ」 開いた口が塞がらない。頬で良かったじゃない。キスしたなんて信じられない。全員ということはつまりキス魔になったということじゃないか。その事実に耐えられない。そんなことする自分なんか知らない。だって、キスだ。

2021-12-29 18:35:03
にゃろーめ @nyaropokke

あまりのショックにへなへなと床に座り込む。信じられない。キスなんてほいほいするものじゃないのに。すごく楽しかったけど言われてみればなにかぴょんぴょんしていたのは薄ら覚えている。薄らだ。 「皆驚いてたしオレも驚いた」 「ね、ちょっと待って……全員てことはやっぱり、dndくん……も?」

2021-12-29 18:37:36
にゃろーめ @nyaropokke

dndの声が同じ位置から聞こえる。snaの目線に合わせてしゃがんだdndは膝に頬杖ついてがっくり項垂れるsnaを見ていたがsnaの問いかけにぴくりと反応した。暫く無言なのがsnaには恐怖だった。なにせ絶賛片思い中の相手である。dndであるのだ。 「まぁ……」 「うぅ~~~~」 肯定の声に終わりを感じた。

2021-12-29 18:42:38
にゃろーめ @nyaropokke

終わりだ。いくらほっぺにちゅーとはいえそれすら覚えていないなんて愚かとしか言えない。キスしたことよりもキスした瞬間を覚えていないのが思った以上にショックだった。何度も言うがキスである。いつか出来たらいいなと思っていたdndへのキスなのだ。じわりと涙が浮かぶ。 「泣くなよ」 「だって」

2021-12-29 18:45:36
にゃろーめ @nyaropokke

色んな人にキスをしたというのを目撃されたこと。軽率にdndにもしてしまったこと。酒癖が悪いと思われたに違いない。キス魔になるなんて自分でも知らなかったのによりにもよってあんな場で露呈してしまうなんて。恥でしかない。はしたないにも程がある。 「酒が入ってのことだし……皆気にしてないさ」

2021-12-29 18:49:13
にゃろーめ @nyaropokke

皆の中でどんな印象になってしまったのか。そもそも皆いい大人だからからかうようなことはしないと思ってもそれでも酔っ払いのイメージがついてしまったことにひどく落ち込む。dndへのキスと合わせて二重の意味でダメージだ。慰めるように摩ってくる手も今は虚しい。 「それより」 「まだあるの……」

2021-12-29 18:56:20
にゃろーめ @nyaropokke

「キミ、オレのこと特別って言ってたんだ」 「………………嘘ぉ」 「本当だ。あとキミの名誉のために言うとだな、あー……その、キスも、されたん、だが……」 dndの言葉にぴしりと固まる。さっき頬にキスしたのは聞いたがdndの声から察するにそれは本当に、口にするキスを指しているように聞こえた。

2021-12-29 19:00:01
にゃろーめ @nyaropokke

「く、口に………ですか………」 「……ああ」 「~~~~~~っ!!」 言いづらそうな再びの肯定。耐えきれないsnaは荷物も何も持たずそのまま玄関へ向かおうと勢いよく立ち上がったのをdndの手が止めた。 「sna?」 「帰る!忘れて昨日の醜態は!ごめんねキスなんかしちゃって!忘れて!本当に!!」

2021-12-29 19:03:22
にゃろーめ @nyaropokke

「なんでって……!」 理由なんて決まってる。けれどそれを言うわけにはいかない。どう答えればいいかわからずに口は力なくはくはくと動くだけ。下からじっと見つめてくるdndの視線はこそばゆくて恥ずかしくてキスをしてしまった事実を知った今snaの目はdndの唇へと向いてしまう。 「特別ってなんだ」

2021-12-29 20:32:33
にゃろーめ @nyaropokke

「特別、は……そ、の」 「ん?」 ずるい。そんな風に聞き返すのも。急かそうとしない雰囲気も。好きだからそんな声を出されるだけで今この瞬間も胸がぎゅうぎゅうしている。dndは何も知らないはず。切り抜けようと思ったら幼馴染という体でかわせられる。 「dndくんは、お、幼馴染だから」 「そうか」

2021-12-29 20:40:58
にゃろーめ @nyaropokke

納得したなら離してほしいのにまだ解放されない。ぶんぶん再度振っても頭痛に響くだけで状況は変わらない。幼馴染は幼馴染だ。それは紛うことなき事実。この片思いだけは知られてはまずい。 「だから、そういう、特別だよ。他意はないよ……多分……」 覚えていないから多分としか言えないけれど。

2021-12-29 21:18:15
にゃろーめ @nyaropokke

特別ってだけで好きだなんだと言っていないならまだ救いはあるのでないか。そんな光が差し込んで見えた。けどもう悲しいのか恥ずかしいのかなんなのかわからない涙が完全に浮かんでいて。なのにdndはちょっとだけ照れくさそうな笑みを浮かべている。 「多分、な」 「お、覚えてないんだから……」

2021-12-29 21:35:10
にゃろーめ @nyaropokke

しょうがないじゃんという言葉は段々と掠れて消えていった。今すぐ消えたいsnaの意に反してdndはくいくいと引っ張り座るよう促す。もう逃げることは叶わない。dndの目はどこまでも優しくてこんなときなのにまた胸が苦しい。 「あのなsna」 「はい……」 「キス、な。その……二回、したんだ。オレに」

2021-12-29 21:48:58
にゃろーめ @nyaropokke

dndの言葉に絶句する。二回だ。二回もしたと。ますます恥ずかしくなって手で顔を覆った。もうなんと言ったらいいのかわからなくて目の前がぐるぐるする。 「二、回もしたの……」 なのに口からは確かめるようなセリフしか出てこない。 「したんだ……。だから何か……意味があるのかと思ってだな……」

2021-12-29 23:09:20
にゃろーめ @nyaropokke

dndとしては『特別』の意味が知りたい。なぜ自分にだけしっかりとキスをしたのか。したことに関してべつに嫌悪感はない。これが見知らぬ女性からだったら嫌悪感でいっぱいだっただろうがsnaはそうではない。そもそもsnaに嫌だ嫌いだという感情を抱いたことはないのだ。 「sna……教えてくれないか?」

2021-12-29 23:14:03
にゃろーめ @nyaropokke

純粋な好奇心。幼馴染を抜きにしてもそもそも唇にキスをするというのは何かしらの意味がある。決してマイナスじゃない好意的な何か。男女の云々がわからないdndでもsnaから何か発されているのなら受け止めたいと思う。無下にはできない、そういう位置に彼女はいるのだ。 「sna」 「あ……の、あのね」

2021-12-30 00:33:54
にゃろーめ @nyaropokke

「うん」 優しい声。掴んでいた手はいつの間にか安心させるかのようにsnaの手を握っていた。それに気付くと更に高鳴りが激しくなって声が震えてしまう。裏返っちゃわないか気をつけようとしてもどうしても震えてしまってみっともないったらない。 「特別っていうのは、だから、つまりね……」

2021-12-30 00:38:31
にゃろーめ @nyaropokke

「幼馴染だけじゃないのか?」 「……っ」 どうしようどうしよう。そうだって言ったらdndはどんな反応をするのだろう。幼馴染とはいえキスされてしまったのだ。そんな対象に見られずに終わって別れて疎遠になってという最悪のシナリオがよぎる。指の隙間からdndを窺えばじっとsnaを見ていた。 「sna」

2021-12-30 00:40:47
にゃろーめ @nyaropokke

名前を呼ばれたのは何回目だ。何回呼んでくれるのだ。どれだけ待ってくれるのだ。きっとdndはsnaが言うまでいつまでも待つだろう。辛抱強いことも十分知っている。何もかも知った上でdndの全部が好きなのだ。好きで……仕方がないのだ。こくりと意を決し口を開く。 「お、さななじみだけじゃ……ない」

2021-12-30 00:44:56
にゃろーめ @nyaropokke

「それは異性としてか?オレを男として見ているのか?」 「……そう、だよ」 言ってしまった。声が完全に震えている。だめだまた泣いてしまう。再び滲んだ視界を見られないように必死で手で隠す。こんな形で知られたくなかった。ちゃんと告白して好きって伝えたかった。酒のせいにするには限界がある。

2021-12-30 00:48:33
にゃろーめ @nyaropokke

「dndくんがずっと好きだったよ」 上手く言えているだろうか。ちゃんと言葉になっているかすら判断つかないくらいなにもかもぐちゃぐちゃで逃げ出したいのに掴まれている手を振り払えない。こうして触れ合っているのですら喜びを覚えている自分がいる。 「本当にずっと、好きだったんだよぉ……」

2021-12-30 00:53:26
にゃろーめ @nyaropokke

ぐす、と震える息を吐き落ち着け落ち着けと言い聞かせるも上手くコントロールできない。それどころか口は言い訳をするように勝手にベラベラと動く。 「だ、だからごめんねキスとかしちゃって。本当にごめん。気まずいし嫌だよね幼馴染でしかない女の子からいきなりキスなんて、に、二回もさ」 「sna」

2021-12-30 00:55:40
にゃろーめ @nyaropokke

「キス魔なんて最悪な酒癖あるし、キスだよ。いきなりされて気持ち悪いよね」 「sna」 「だか、だからさ、今度研究所来る時はhpとかに話してもらってさ。わたしのことはいないものと思ってくれて……」 「sna。sna」 「だって、顔見たくないでしょ……だって、き、キス……しちゃったんでしょぉ……」

2021-12-30 00:59:20
にゃろーめ @nyaropokke

dndが顔を隠している手も掴んで剥がしてしまう。ボロボロに泣いてるのを見られてしまい更に涙は溢れる。 「見たくないなんてない。嫌いにもならない」 「嘘でしょそんなのだって、」 「確かにキスされて驚きはしたが。でも別に嫌じゃなかった。嫌だったら二回目なんてさせないし無理にでも止めたさ」

2021-12-30 01:02:56
にゃろーめ @nyaropokke

照れ臭い笑顔とは少し違う、苦笑に近い笑み。どこかしょうがないなというのがチラチラと覗くのは気のせいだろうかと思うがやはりdndの言うことが信じられない。恋人でない人からキスされて許すなんてそんなの信じられるものか。 「嘘だぁ……」 「嘘じゃない。気休めでこんなこと言わないぞオレは」

2021-12-30 01:06:45
にゃろーめ @nyaropokke

えぐえぐと泣きじゃくりをしながら流れる涙がTシャツを濡らしていく。大人になってこんなに泣く姿を誰にも見せたことがない。もちろんdndにもだ。それを寝起きで二日酔いでボロボロのステータスでだなんてsnaにとっては悪夢でしかない。しかしdndの言葉はそんなsnaを救おうとしている。 「本当だ」

2021-12-30 01:12:57
にゃろーめ @nyaropokke

「嫌じゃなかったんだ不思議と。snaだからそう思ったんだ。多分な」 本当に本当だと握る手の力がほんの少し強くなる。今となっては繋ぐこともなくなった手を握り合っている。こんな状況とはいえ夢みたいだった。 「本当に、本当に……、嫌いにならない……?」 「ならない。大丈夫だ」

2021-12-30 01:18:46
にゃろーめ @nyaropokke

その言葉にほぅっと静かに息を吐く。ひっくひっくと泣くのを止めようと試みるがなかなか上手くいかない。心配していたことはとりあえずは解消されたと言えるが告白に対する返事はまだ得ていない。それが一番気がかりでもある。 「なぁsna」 「なに……」 「過去形か?」 「なにがだよぉ……」

2021-12-30 01:21:24
にゃろーめ @nyaropokke

何か言いたそうにしながらも引き続き表情は苦笑のまま。なんのことかわからないsnaへコツンと額を合わせ至近距離で再度訊ねる。 「好き『だった』って。過去形か?」 「過去形なわけないじゃんかぁ。進行形だよ……今も好きだよぉ」 それにdndはふはりと嬉しそうに笑い、そして金色を瞼の裏に隠した。

2021-12-30 01:25:36
にゃろーめ @nyaropokke

「なら……オレはそれを受けよう」 「へ……」 「キミの好きを貰おう。キスまでしてくれたんだ」 「dndくん、なに言ってんの。だってそれって、」 「恋人になるってことだろう?」 パチリと金色が再び現れる。引き込まれそうな蜜にも似た色。惹かれてやまないずっと昔から好きな色。 「……本当に?」

2021-12-30 01:27:53
にゃろーめ @nyaropokke

「本当にだ。キミの『好き』は嫌いじゃない。素直に嬉しい。男女の云々はまだまだ不得手だが、それでもいいなら」 なるか?恋人。 そう聞かれsnaは目を瞬かせる。涙に濡れた睫毛は色濃くし信じられないという風に唇は震える。どくどくと心臓は果てしなくうるさい。 「sna」 「なる……恋人、なる……」

2021-12-30 01:31:20
にゃろーめ @nyaropokke

「なら今から恋人同士だ。sna」 「な、に……」 「記憶の上書き。今なら出来るぞ」 snaにはない記憶。dndにはある記憶。覚えていないことを恥じて悔やんだsnaと驚きっぱなしだったdnd。いいの?というsnaの表情にdndはまた優しく聞き返す。 「ん?」 「嫌じゃない……?」 「言ったろ。嫌じゃない」

2021-12-30 01:37:10
にゃろーめ @nyaropokke

二人の指先は溶け合うみたいにじんわりと温かい。すり、と慈しむような手つきにも、dndの眼差しにももう何にでもsnaの胸はときめいている。本当に悪夢から吉夢に変わったようで夢心地だった。 「恋人同士がするんだから何もおかしくないだろ」 「dndくん、心広すぎじゃん……」 「知らなかったか?」

2021-12-30 01:41:54
にゃろーめ @nyaropokke

いつまでも床に座り込んだままの二人に不思議に思った18含めたpkmnたちがわらわらと寄って来る。 それで?と続いたどこまでも優しい声色にはくりと息を吸い込み金色を見つめ返し呟いた。 「する……」 「うん」 静かに弧を描いた唇はやがてsnaのへと触れ二人は『恋人』としてのキスを初めて交わした。

2021-12-30 01:48:18
前へ 1 ・・ 64 65
15
まとめたひと