地理学と建築学の違いとか ――――― ※2017.11.27作成のまとめをTogetterより移行 なんか自分いつも学問の比較やってますね
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永太郎(ながたろう)/重永瞬 @Naga_Kyoto

都市デザイン研究体(1968)『日本の都市空間』を読んだ。磯崎新ら12名による著作。都市計画において象徴論(シンボルをいかに操作するか)が重要となっていることを踏まえ、日本の都市空間に見られる空間要素や構成の技法を類型化し、実例を通して考察している。

2017-10-20 01:11:12
永太郎(ながたろう)/重永瞬 @Naga_Kyoto

「天地人」「あられ」「ひきたてる」など独特の語彙を用いて伝統的集落空間の特徴が述べられている。その場を訪れたときにだけ感じられるような捉えがたい都市の印象を、語彙によって象徴化することで、実際のデザインにおいて操作可能なものとしている。

2017-10-20 01:16:31
永太郎(ながたろう)/重永瞬 @Naga_Kyoto

これらの語彙は空間の特徴を捉え、記録し、考察する上で非常に有用なので、空間をデザインする側でなくとも習得しておきたいと感じた。特に、日本的空間デザインの塊とも言える参道を語るには、こういった語彙は欠かせない。

2017-10-20 01:21:21
永太郎(ながたろう)/重永瞬 @Naga_Kyoto

特に「Ⅴ 実例の検討」で提示されている密教型(日光、琴平)、塔頭街型(妙心寺、大徳寺)、枝割型(清水寺)、弓張型(厳島)といった類型はそのまま参道の類型にできそう。会誌に引用したい図表がたくさん載っていた。 #参道研究会

2017-10-20 01:24:34
永太郎(ながたろう)/重永瞬 @Naga_Kyoto

一方で少しもどかしい部分もあり、砺波の散村や宿場町の景観に空間デザインの妙を見出しているところは、集落形態がいかに地形や社会環境に左右されているかといった点を重視する地理学とはかなり視点の違いを感じた。

2017-10-20 01:29:49
永太郎(ながたろう)/重永瞬 @Naga_Kyoto

もちろんこれは学問分野自体の役割の違いに起因するものなので、それぞれの分野の視点でやっていけばいいのだが、このところ都市工学の分野に対してある種引け目を感じている自分としては、「そうならざるを得なかった物語」を描ける地理学の可能性を少し感じて安心する部分もあった。

2017-10-20 01:33:46
永太郎(ながたろう)/重永瞬 @Naga_Kyoto

といってもこの本を都市工学の代表とするのは無理があるだろうし、刊行年も古いしでやっぱりもやもやする部分はある。あっちに行ったら都市工学・造園学とぶつかるしそっちに行ったら社会学とぶつかるし、みたいな。

2017-10-20 01:37:18
永太郎(ながたろう)/重永瞬 @Naga_Kyoto

まあたぶんこれは同時に両方の極を見ているからそう思うだけであって、一対一の比較であればどこに対してもそれなりに意義を主張できるはず、という結論に達しつつある。(あともう一つ歴史学って極もあるね)

2017-10-20 01:41:27
Kohyoh Yang @00ur0b0r0s

↓RT『日本の都市空間』は実は持っていないのだが、地理学と建築(さらには文化人類学)の間でのフィールドワークにおける都市は集落の調査や分析の手法や理論の違いについて気になる。イメージとしては、建築は図式化して当てはめていくところがかなり強いが、

2017-10-20 01:43:38
永太郎(ながたろう)/重永瞬 @Naga_Kyoto

学際的な対象を研究する分野なら少なからず隣接分野との差異化は意識すると思うんだけど、そこで「手広さ」とか「バランス感覚」みたいなところに自分野の意義を見出しちゃうのは、どうも自‐他バイアスがかかっている気がしてあまり良い感じがしない。(この話は2回目)

2017-10-20 01:45:37
Kohyoh Yang @00ur0b0r0s

図式化も人によって違う、流派あるのかどうか分からないけれども、デザインサーヴェイ全盛期だった頃の磯崎新、槇文彦、神代雄一郎、原広司、陣内秀信、(思い付く限りだが)各氏のそれぞれについて比較してみると、おそらく建築(もしくは都市)の言語の大部分が浮かび上がってくるのではないか。

2017-10-20 01:49:41
永太郎(ながたろう)/重永瞬 @Naga_Kyoto

「そうならざるを得なかった物語」とか気取ったことを書いてしまったけど、現代の人文地理学はむしろそういった環境決定論的語りからいかに逃れるかというところに気を張ってきているし(自分の理解ではそう)、そう考えると「そうならざるを…」に可能性を見出しちゃうのはマズいかも。

2017-10-20 01:55:37
永太郎(ながたろう)/重永瞬 @Naga_Kyoto

反対に東京地形ブーム的な語りが建築系と近いところから出てきているのは、この本が出された1960年代よりも建築と地理が接近してきているということなのかもしれない。知らんけど。

2017-10-20 01:58:54
永太郎(ながたろう)/重永瞬 @Naga_Kyoto

都市形態の研究に関して言うと、建築は列挙して類型化する傾向が強くて、地理は一つの事例から普遍性を抽出する傾向が強いような気がする。で、自分はわりと前者の方法のほうが好き(というか自然にそうしちゃいがち。参道研究会とか)なのでそこが悩みどころ。

2017-10-20 02:07:06
永太郎(ながたろう)/重永瞬 @Naga_Kyoto

なぜ少ない事例から普遍性を語れるのかみたいなところをもうちょっと考えたほうがよいのかもしれない。(すべてのツイートの最後に「知らんけど」をつけたい…)

2017-10-20 02:08:12