さて2023年1月4日、長野旅行三日目の振り返りである。2日、3日と天気が良かったのに4日は雪模様。去年の東北旅行も三日目が雪だった。そして今回は右足の裏に巨大な豆、を潰して水を抜き、黴菌が入らぬように使い捨てスリッパごと靴下を履くという満身創痍っぷり。いや、これ靴が脱げないんだけど…… pic.twitter.com/0pe1LO18Lx
2023-04-27 00:17:12今回の目的地は勿論、善光寺である。長野駅から2キロ程度。せいぜい三十分ぐらいの距離。こんなもん徒歩で余裕じゃ! といつもの僕なら判断するだろうが今回はこの足である。無難に電車使おう。というわけで長野電鉄の長野駅なのだが、なんと地下駅である。まさか長野で地下鉄に乗ることになるとは…… pic.twitter.com/M3B3ZE4B4s
2023-04-27 00:24:39とはいえ改札前の広場で野菜が売られてたりするのでやっぱり長野である。長野電鉄が地下を走ってるのは善光寺下ぐらいまでらしく、そこから須坂市、中野市を経由して湯田中という温泉地まで繋がっている(特急もある)のだが、長野県の北部となるともう……理解の範疇を越えてしまうんだよなぁ…… pic.twitter.com/jFV7FVdieK
2023-04-27 00:55:35長野県北部、つまり県境あたりの土地が何がどうなってるのかいまいち分からないのである。長野とは大地の割れ目のような何本かの平地の筋である……までは理解したのだが、その筋は県境あたりで……なんかもわっとする。おい千曲川よ、何でそっから上越のほうに向かわないの? pic.twitter.com/spwqq9zlG0 twitter.com/lousism/status…
2023-04-27 01:18:03こうやってGoogle Mapの航空写真を眺めていると、長野県と岐阜県の県境あたりで西と東が分断されてるなぁという実感がより強くなる。長野の「割れ目」は大まかに南北に伸びている。だから「関東甲信越」圏を形成することは出来るが、東西を繋ぐような「割れ目」は殆んどないのでここに断絶が産まれる。 pic.twitter.com/PzhuJdIVOl
2023-04-27 01:39:25因みに、安曇野の田園風景から観えていたあの冠雪した美しい山並みの正体がこれ。うん、そら、あんな荘厳な雰囲気にもなるわ……この山脈を挟んで向こう側にはわりとそう遠くないところに富山市があるはずなのだが、見ての通り余りにも越えられない壁なので、長野と北陸はやっぱり繋がらないのである。 pic.twitter.com/JRUO21Rjk0
2023-04-27 02:01:02閑話休題、長野電鉄の善光寺下駅。まさか長野の市街地でこんな地下道を歩くことになるとは……雪降る街の仄暗い地下、まるで寒さから逃れた幽霊達を匿う古ぼけたシェルターのような。 pic.twitter.com/C3FQvLbz6E twitter.com/lousism/status…
2023-04-29 23:20:39善光寺下駅から善光寺まではちょっと離れている。陰気な空模様。濡れて積雪の残った坂道をえっさほいさと登っていく。 pic.twitter.com/0eFhlChNUF
2023-04-29 23:28:54市街地を抜けると今回の目的地、善光寺の参道へ。後ろからだけど仁王門。 pic.twitter.com/cUkkkGbZyq
2023-04-29 23:36:01善光寺の仲見世通り。漆喰の白壁が風格を醸している。三が日は過ぎたけれど往来はまだ賑やか。お金や時間に余裕があったなら、ゆっくり買い物を楽しむことも出来ようが…… pic.twitter.com/XbYXmfITe4 twitter.com/lousism/status…
2023-04-29 23:53:28長野市は善光寺の門前町として発展してきた歴史がある。かつて如来堂があった空き地に商人達が集まって露店などを並べたのが現在の仲見世周辺で、明治には長野駅が開通して観光地としてさらに発展。戦前までは仲見世周辺が長野市の商業の中心でもあったそうな。 nakamise.org/history/
2023-04-30 00:29:57旧如来堂跡地蔵尊……そして一旦ぶらりと仲見世通りから脇道へと逸れてみる。○○院という額を掲げた御堂が幾つも並んでいる……大寺院に付属するこれ等の○○院がどういう存在なのかいまいちずっと分かってなかったのだけど、善光寺の場合は宿坊、つまり僧侶や参拝者向けの宿泊施設なのだという。 pic.twitter.com/Idapl76lNs
2023-04-30 00:44:36さて、興味はあっても39もあるという宿坊巡りまで頑張ってたら豆が潰れた右足が持たぬ、先ずは本命を叩くところから、というわけで再び仲見世通りへ。いつものことではあるけど結局何処にも寄らぬまま通り過ぎてしまった…… pic.twitter.com/dTX8C8G5fe twitter.com/lousism/status…
2023-04-30 00:54:32実は善光寺は無宗派の単立仏教寺院。25院を司る天台宗の大勧進と、14坊を司る浄土宗の大本願が共同運営(善光寺の住職も大勧進貫主と大本願上人の両名が務める)しているのである。大勧進も萬善堂(本堂)や護摩堂など立派な御堂を有しているのだけれど、善光寺の境内図では詳細が省かれている…… pic.twitter.com/OuSHTP8MrX twitter.com/lousism/status…
2023-04-30 01:38:54善光寺山門、登れます。ただし内部は撮影禁止とのことで、回廊から善光寺周辺の景色だけ。屋根にうっすら雪が積もった静謐な景色……内部には山門の本尊、文殊菩薩騎獅像などが安置されているのだけど、写真を撮らないと詳細は忘れちゃうね。またこの山門は五羽の鳩が隠されている鳩字の額でも有名。 pic.twitter.com/XuSvKrrzTM
2023-04-30 01:55:42国宝、善光寺本堂。大香炉の前に行列が出来ている。現在の本堂は1707年に再建されたもので、撞木造りの檜皮葺き、近世では国内有数の大規模木造建築だという。内部は外陣、内陣、内々陣に別れていて、内陣までは参拝券で入ることが出来る。ただし本堂内部は撮影禁止なので写真はここまでです。 pic.twitter.com/B458pgerx6 twitter.com/lousism/status…
2023-05-01 21:39:46本堂内部の様子まではすっかり記憶が朧気なのだけど、特に興味深かったのはお戒壇巡り。内々陣の床下の真っ暗な回廊で、今にも途絶えそうな仄かな灯りを頼りに手探りで闇のなかを歩かねばならない。え、極楽のお錠前? ……全然気付かなかったんですが…… zenkoji.jp/about/hondou/
2023-05-01 22:00:12善光寺の御本尊は一光三尊阿弥陀如来。内々陣の最奥、瑠璃壇に安置されている絶対秘仏。去年2022年は七年に一度の善光寺御開帳の年で、御本尊の身代わりである「前立本尊」が公開され、それと綱で繋がれた回向柱が本堂前に立っていた。行きたかったなぁ…… zenkoji.jp/meguru/
2023-05-01 22:22:46本堂を出て、境内を探索。 pic.twitter.com/vDUbZ7XZyX twitter.com/lousism/status…
2023-05-01 22:26:59本堂向かって右手方向には鐘楼(これは登録有形文化財)ぐらいしか見当たらなかったので今度は向かって左手方向へ。 pic.twitter.com/3b0X4V7Zek
2023-05-01 22:33:14重要文化財、経蔵。うっすら屋根に雪を被っている。仏教の経典を納めた八角形の回転式輪蔵があり、これを回せば経典を全て読んだのと同じ功徳が得られる……という。他の寺院でも同様の経蔵を見掛けたことがあるのだけど、御時世柄で回せなかったりしたもので今回多分初めて輪蔵を回すことが出来た。 pic.twitter.com/mlEfeHMu4X
2023-05-01 22:42:29境内の森はすっかり雪化粧。静謐な雰囲気が漂っている。そんな小路を抜けていくと日本忠霊殿/善光寺史料館。建て替えられたのが1970年と新しいので、この静謐のなかに一際と目立つ。 pic.twitter.com/rz3d3iPXb7 twitter.com/lousism/status…
2023-05-01 22:49:05日本忠霊殿、並びに資料館も内部撮影禁止のためこちらも外観だけ……資料館には結構興味深い展示があったはずなのだけどもう記憶が朧気なのだからいけない。因みに、訳あって使い捨てスリッパのうえから靴下を履いているので、靴の着脱がかなり困難。それで入館を諦めた施設もあったりする…… pic.twitter.com/O8dRaHLhE0
2023-05-01 22:59:56再び道を引き返して、まだ立ち寄っていないエリアへ。境内の端のほうにあったのが歴代回向柱納所。なんと野晒しだ。 pic.twitter.com/9vTStH3Z6O
2023-05-01 23:05:20回向柱は数え年で七年ごと(実質六年ごと)に行われる御開帳に合わせて建てられる。その歴代の回向柱を並べたのがこの区画で、最新のものを合わせて十本。殆んど残ってない最古のものとなると五十年以上前のものということか。古くなるほどに短くなっていき、野晒しのまま土へと還っていくのだという。 pic.twitter.com/gQk7Vm61Xj twitter.com/lousism/status…
2023-05-01 23:15:52午後十一時過ぎ。蕎麦だ、長野に来たんだから蕎麦を喰え! ということで無事にお蕎麦屋さんに飛び込んだ。お昼を食べてもまだ正午前、もうちょっと探索する余裕がありそう、と仲見世通りと並行する脇道に脚を踏み入れる。写真を確認して思い出したけど、善光寺は雪が降ってました…… pic.twitter.com/RIm5IPVyMv twitter.com/lousism/status…
2023-05-02 23:11:27ここは宿坊がずらっと建ち並ぶエリア。善光寺に39ヵ所ある宿坊のそれぞれに御堂があり、それぞれに住職もいるのだという。御朱印を発行してる宿坊もあるほだそうだ。門構えや玄関前の小さな庭などにもそれぞれに個性があって、いっそ39の宿坊を全て探し回るだけでも楽しそうだなと思いながら歩く。 pic.twitter.com/rKkn78G6mY
2023-05-02 23:22:25こちらネットで拾ってきた宿坊配置図。先程歩いていたのが北西エリア。坊が南エリアに多いのは、14坊を司る大本願が仁王門の南側にあるからと思われる。宿坊では精進料理が頂けたり、お朝事を案内してもらえたりするらしいのだけど、いつか泊まれる機会はあるかなぁ…… zenkoji.jp/shukubo/ pic.twitter.com/lWsV0GA1lw
2023-05-02 23:46:37仲見世通りの手前まで戻ってきた。このまま先程の配置図だと北東エリアへ。 pic.twitter.com/zgerTNQW0u twitter.com/lousism/status…
2023-05-02 23:50:59さて、実は通り掛かったのに一旦スルーしてたのが世尊院の釈迦堂。ここには国指定重要文化財の銅造釈迦涅槃像が祀られている。僕もそれなりに仏像も観てきたつもりだけど、等身大の釈迦涅槃像となると確かにとても珍しい。さらに善光寺御開帳の折りにはこの釈迦堂前にも回向柱が立つのだという。 pic.twitter.com/TWdBkBk8w9
2023-05-02 23:59:46堂内は撮影禁止なので御堂の外観だけ。因みに何故一旦スルーしてたかといえば、諸事情により靴の着脱が困難な状況だったので……しかし時間にも体力にも余裕があって諦めるのは勿体ない! と頑張って靴を脱いだのである。頑張って靴を脱いだって何やねん。 zenkoji.jp/shukubo/list/s…
2023-05-03 00:03:24さて……何気に気になっていたのがここ。善光寺の真横にあった寛慶寺だ。浄土宗の寺院だという。善光寺のまさに真横にあって本堂も立派だし境内も広いが、由緒を覗く限りでは善光寺との繋がりは特に書かれていない。これだけごく近い距離にある寺院どうしって、一体どういう関係にあるのだろう…… pic.twitter.com/Mf4841flem twitter.com/lousism/status…
2023-05-03 00:12:54Wikipedia先生にお伺いを立てたところ(御由緒にも書いてあることではあるのだけど)善光寺だけでなく戸隠神社/戸隠顕光寺という別のファクターまで関わってきて、これは深入りすると戻れない奴だわと判断。どうやら信濃栗田氏という存在が重要らしいが…… ja.m.wikipedia.org/wiki/%E5%AF%9B…
2023-05-03 00:31:26信濃栗田氏に言及すると甲斐善光寺……武田信玄によって善光寺の御本尊は一時期甲斐に移されていたが、それに関わったのが善光寺別当/甲斐善光寺別当、栗田寛久だったらしい……にまで波及していくのでここまで。流石に戸隠神社は遠過ぎて行けなかった…… ja.m.wikipedia.org/wiki/%E7%94%B2…
2023-05-03 00:48:33寛慶寺の裏手には長野県立美術館、それに付属する東山魁夷館、他にも大きな公園や動物園や神社などがあって折角だからそこまで脚を伸ばすが悩んだのだけど、いや、駄目だ、この足で駅の反対方向へと冒険するのは危険、ということで結局宿坊巡りを続行。あ、院じゃなくて坊だ。つまり大本願の管轄。 pic.twitter.com/UJItTI22zx twitter.com/lousism/status…
2023-05-04 00:52:50宿坊巡り。改めて写真を整理すると、思ってたよりも一つ一つ律儀に宿坊の門前の写真を撮っていた。因みに当時は宿坊がどういう役割の施設なのかさえはっきりとは理解してなかったし、院と坊の二種類あることにすら気付いてなかったので、我ながら何故ここまで沢山写真を撮ってたのか不思議である…… pic.twitter.com/5fjEc7qkQg
2023-05-04 01:01:16うーん、こういう石碑などが散らばってるのも実に観光地っぽい。 pic.twitter.com/8cBFwULQV4 twitter.com/lousism/status…
2023-05-04 01:04:54善光寺参道。特に重要なのが敷石で、伝承によれば7777枚、現在は約七千枚が敷設されており、一部補修を加えつつ約三百年前に寄進により敷かれた当初のままであるという。 pic.twitter.com/rrtXP6IzQq
2023-05-04 01:14:36仁王門へと続く最も主要な参道なので宿坊の他にも色々ある。うーん実に観光地っぽい。 pic.twitter.com/39oezwo8WN
2023-05-04 01:19:46先程は裏手から失礼してしまった仁王門。 pic.twitter.com/HTCOcKnWC4 twitter.com/lousism/status…
2023-05-04 01:21:51善光寺仁王門。二度焼失しているため現在のものは1918年に再建されたもの。なので重要文化財ではなく登録有形文化財……そしてこの迫力ある阿吽の仁王像、近代彫刻家の高村光雲・米原雲海による作である。近代の作品なので西洋の技法を取り入れており、また敢えて最初から着色をしていないのだという。 pic.twitter.com/Ze8PLewTol
2023-05-04 01:33:11大本願は仁王門手前の参道沿いに位置しており、これまで何度も言及してきた通り、大勧進とともに善光寺の運営を担っている。 pic.twitter.com/quuVXfTi5h
2023-05-04 01:37:12大本願境内。大勧進同様に立派な御堂が建ち並んでおり、年始なのでダルマ市が開かれていた。因みに大本願は尼寺である。尼公上人(代々公家の出身者から迎えられているという)が住職を務めており、これはすなわち、善光寺の住職はその片方が常に女性であるということを意味している。 pic.twitter.com/MYUFExRPBK twitter.com/lousism/status…
2023-05-04 02:02:29これでもって今回の善光寺探索は終了。時間は十二時半。最初の計画ならこっから青春18切符で帰る手筈だった。でも軽井沢経由ルートでは青春18切符が使えないことが判明、そのため行きは甲府→諏訪→松本→長野のルートで、そして帰りは新幹線という計画になったのだ。新幹線ならまだ余裕があるなぁ…… pic.twitter.com/6vgKiSZSea
2023-05-04 02:13:25