五類相当にすると金を自腹（比喩です）で払いたくない人は感染症災害を巡る公衆衛生対策の堤に穴を開ける（比喩です）話

加藤AZUKI @azukiglg

昨日からの「五類にして自腹にしろ｣論の人達、その理由として「将来世代にツケを回すな｣とか「公費負担を下げろ｣とか言うけど、「自由診療にしろ｣というのでない限り、７割の医療費（高額医療費なら９割以上）が公費負担されてるのと変わらないのでは、と。

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そのうえで、そのたった３割～１割以下（高額医療費）の負担やら、ワクチン費用やらすら、「自由診療なら無料じゃないから行かない｣って奴が【出るだろう】けどそれはどうするのか？という問いをしてるんだがなあ。

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「これで命が助かるなら安いもの｣と考えるのは、 1)自分・家族の健康に自信がなく、健康のありがたさを知っている（重傷病の経験者が現役） 2)十分な所得があり医療に使える可処分資産に余裕がある 3)命が最優先 という思考の人だとは思う。 自分がそうだから皆もそうだろう、と思いがち。 pic.twitter.com/7XlVQ6A43t

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一方で、 a)自分・家族は若く大病大怪我をした経験に乏しく、特別な努力をしなくても健康で当たり前だと思っている b)十分な所得がなく医療に使える可処分資産に余裕がない c)（比喩としての）「命より優先したいこと/もの｣がある という人は必ずいる。でなければ賃金や経済が問題にならない。

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(1)-(3)の人が主に「五類への変更｣を主張しており、 対して僕は、 (a)-(c)の人が「五類に移行されたら、医療費の自腹支払い負担を渋って、適切な治療や積極的な予防を行わなくなる【かもしれない】｣という懸念を表明している。

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これについて、【かもしれない】であって【そうなるとは限らない】という反論はもちろんあると思う。 その反論をするのは、(1)-(3)が当てはまる人であって、(a)-(c)が当てはまる人ではない、と理解している。

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「月辺り（世帯当たり）の医療費が、万円以上掛かる｣という生活を、「あまり病気をしたことがなく、病気の治療に掛かる費用を日常的に積み立てておらず、想定外の出費と考える｣ような人が、５桁円以上の出費に耐えられるのかというと、難しいとは思う。

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先の図にあったのは、高額医療費制度の負担限度額の図。これは、「その人の所得（前年度年収）の区分によって負担する限度額に上限がある｣ということを示す。

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ざっくり言うと、高額医療費制度は、【本来は７割公費負担、３割本人（窓口）負担だけど、窓口負担額にさらに上限を設けて、「それ以上は幾ら掛かっても同じ額｣】という仕組み。

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60万円掛かって、窓口では18万円支払うが、そこから9万円くらいはこの制度で戻ってくるので実質負担は8万円くらい、みたいな感じ。 「悪化しなかった場合｣の一般的な軽症の傷病ではこんなに掛からないけど、集中治療室に複数日留め置かれると、途端に跳ね上がる。 pic.twitter.com/TQvirMtC6d

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そして、「誰がそのようになるのか｣を事前に選ぶことができない。 「基礎疾患があるとそうなりやすい｣は既に分かっているから、罹患時点で病気になっていなければ問題は軽く済むのかというと、そうもならない。

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「隠れ基礎疾患（何らかの基礎疾患があるのに、これまで受診してこなかったことで発覚していない）｣とかを抱えた状態で感染してしまい、それが理由で該当臓器が急激に悪化する、重度の後遺症が起きる、なんということも起こりうる。

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もちろんそれは、「可能性の問題｣で、「そうはならない｣人のほうが多い、かもしれない。 が、オミクロン株では「デルタ株以前までの経験で規定された重症（肺炎・呼吸器の受傷）｣が起きる何段階も前、中等症ですらない段階で、突然悪化して死に至るケースが報告されてた。

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つまり、「重症までいかなくても死ぬ病気｣であることが示唆されているんだけど、やはり「自分がそれに当たるかどうかは分からない｣。 ここで、健康に自信がある人は「滅多にそうなる訳じゃないから、自分は必ずロシアンルーレットで負けを引かない｣と都合良く考える。

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「コロナなんて（重症化しなければ）熱、咳、疲れやすくなる、という程度で、それは従来の風邪やインフルと変わりない。（オミクロンはデルタに比べれば）重症化しにくく、もはや脅威ではない｣ まあ、だいたいこう考えているのでは、と。

加藤AZUKI @azukiglg

だが、オミクロン株は、そしてBA.5やBA.2.75ケンタウルスとかは、「デルタとは比較にならないほど感染力が強い（第七波で皆が体験中）｣。 このクラーケン（比喩です）は従来より遙かに「多くの人にまで触手（比喩です）が届く｣訳で、それだけ多くの「隠れ基礎疾患者」を炙り出す可能性がある。

加藤AZUKI @azukiglg

まあ、そんなものは「可能性｣に過ぎないんだけど、可能性、確率というのは【母数が大きくなるほど、該当者の実数は増える。

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が、「今後は自腹ですよ｣「掛かった分は払って貰いますよ」「予防接種は義務じゃないので保険外診療（自由診療）ですよ。インフルと同じです」と変わると、隠れ基礎疾患の可能性がある人も「自腹を切らなきゃ行けないなら無理に行く必要はない。何もしてこなかったが何も起きなかったので」となる。

加藤AZUKI @azukiglg

今般の反ワクチン、コロナ軽視の人は、恐らく幸運にも罹患しなかったか、罹患しても致命的な症状に至らず、後遺症も大きく出なかった人なんだろうなと思う。 幸運にも、「ワクチンを接種していなくても、何も起きなかった」という人は、特にその意識が強かろう。

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そして、「今まで何も起きなかったのだから、何もしないのが正解で、これからも何もしないのが正しいし、何もしなければ何も起きない」と考える。 この思考を聞くたび、「こちらが先に手出しをしなければ相手が先に攻めてくることはない」というローグ・トルネコ反戦平和論を思い出す。

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往年の名作「ローグ（PC98他）」「風来のシレン(DS)」「トルネコの冒険(DS)」というゲームでは、「こちらが何らかの行動を終えないうちは、相手は次のターンまで行動を起こさない」というシステムだった。 「自分が何かいつもと違うことをしなければ、自分には何も起きない」という思考はこれ。

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「予防は害悪」みたいな考えは、このあたりからきてるんだとは思う。 「何もしていない状態」 を落ち度と考えず、 「何もやらかしていないから、自分には何も起きない」 と考えてしまう。 そしてこの思考は、先の(a)-(c)の人が抱きやすいと思っている。

加藤AZUKI @azukiglg

「ワクチンを打つと病気になる」 「ワクチンは効かない」 「何もしないのが正解」 「何かしなければ何か起きることはない」 とかの人達は概ねこれではないかと予想している。

加藤AZUKI @azukiglg

病的な信仰としての反ワクチンはさておいて、 「今が健康なんだからこれからもきっと健康だろう」 「健康なのだからお金を掛けなくて済むはず」 「健康で体力には自信があるから、ちょっと体調を崩しても自分は大丈夫だろう」 「ワクチンは効かないって話だから、自由診療で自腹を切るのは無駄だろう」

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こうやって、「備えないことは落ち度ではない」「自分は備える必要はない」「自分にとっては健康を脅かす傷病は重大事ではない」「コロナは死亡率が低い（後遺症率も低い訳ではない）し大したことない（だろう）」と、病院に掛からない、予防接種をしないでいい理由を積み上げていく。

加藤AZUKI @azukiglg

しかも、「国がお仕着せでしてくれるなら、どうせタダ（比喩です）だし、やらなくても税金（国債も）の負担が掛かるなら、しないともったいない」で受けていたワクチンが自由診療（全額自腹）になったら、「別にやらなくてもいいんじゃないか」にあっという間に鞍替えするんじゃないか、と。

加藤AZUKI @azukiglg

(a)-(c)の人々は、「病気をしたことがないから病気を軽く考えてるし健康はタダで手に入れられたと思ってる」し「貧乏」だし「光熱費に家賃、食費、命より大事な（比喩です）趣味に金を掛けたい」から、健康と病気への備えのウエートはどうしても低くなる。

加藤AZUKI @azukiglg

そうして、「備えに対する落ち度を作る人々」が、「備えない理由」の根拠にするのが「金が掛かるならしない、我慢する」とかで、その結果として、(a)-(c)の人達がどうなるかというと……

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1)ワクチン接種がされなくなるので感染確率が上がり、重症化確率が上がる 2)無自覚無症状で感染した状態で行動し続ける 3)罹患は「それまでの自分の主張や期待」に反するものなので、日常の発言との整合性のため、感染の事実を伏せて隠す 4)就業制限がないのでそのまま仕事に行く

加藤AZUKI @azukiglg

スプレッダー予備群が、感染を広げやすい条件が作られるのでは？という懸念がある。 もちろん、「感染者が多すぎて受診入院したくてもベッドに空きがない。仕方がないから家でじっとしているしかない」という現状に問題がないわけではない。

加藤AZUKI @azukiglg

が、「病院に行っても受診できず入院もできずこれまでとは違ってその場で自分の金も取られる（比喩です）なら、セルフで検査して陰性が出るまでジッとしてる」或いは、「セルフで検査して陰性だった（偽陰性の可能性を無視）から自分は未感染。自由に行動する」ってなる。

加藤AZUKI @azukiglg

こうなると、「自腹を切って医療を受け、自粛してる人」のみならず、その人の家族で接種を受けられない人（乳幼児、或いは別の疾患のための治療を行っている病人など）がリスクに晒されることになる。

加藤AZUKI @azukiglg

まあ、今だって反ワクチンの人達にリスク作られてるけど、これに「反ワクチンって訳じゃないけど、俺は健康だし、金もないから」って人が追加される。

加藤AZUKI @azukiglg

この懸念について、「恐らくそうはならないだろう。理由はこうである」という別の説があれば「そうかなるほど」と納得できると思うんだけど、今のところ「それは可能性の話であって、そうなるとは限らない」「他人がどうなろうと自分には関係ない」「将来が心配」という反論しか聞けてない。

加藤AZUKI @azukiglg

「それは可能性の話でそうなるとは限らない」っていうのは反論としては最も下策で、「そちらが期待している未来だって、可能性の話でそうなるとは限らないのでは？」と返された時点で水掛け論になっちゃう(´･ω･｀)

加藤AZUKI @azukiglg

感染症災害の厄介なところは、 ・油断 ・隙 ・個人の例外 を見逃さないところで、制度的な物量作戦を例外なく施行する、とかしないとほぼ成功しない。国内で奇跡的に押さえ込めてるのは天然痘、ポリオ、まだ辛うじて狂犬病辺りか。 鳥インフルや豚コレラが出るたび施設単位で焼いても追いつかない。

加藤AZUKI @azukiglg

ほんで、「自分が持ち出す目先の金が掛からない（比喩です）なら協力してもいい」という人達が、「自分に自腹を求める（比喩です）なら、協力したくない」となって抑え込み圧力が弱まると、感染力の強い（不活化までの期間が長く、放出量が多い）ウイルスの感染は留まるところを知らなくなる（第七波

加藤AZUKI @azukiglg

というわけで、五類相当に転じた後に、「自腹の金（比喩です）を渋って感染症災害の封じ込め（公衆衛生は全員の協力で維持するもの）に隙を作る可能性がある人々」を効率良く効果的に協力させ続ける、協力意欲を下げさせない方法が合わせて必要なのでは、と思う。

加藤AZUKI @azukiglg

まあ、「日本が独自にどれだけ頑張ったところで、永久に鎖国を続ける訳にいかないし、日本相当の対処をしてない海外からの入国者を許容するなら、対策なんてしてもしなくても同じだ。海外なみを受け入れろ」という、超ラジカルな諦観論者もいるわけだが(^^;)

加藤AZUKI @azukiglg

これ言い出したら、「じゃあ、WHOが対処について各国に義務付けしたら従うのかよ！」とか「個々の国の行動を、国内法や国内基準を超えて国連が強制的に統制する前例作ることに、全ての国が同意できんのかよ！」みたいな話にもなるので、【世界政府】がない現状では現実的ではないね(^^;)

加藤AZUKI @azukiglg

というわけで、 「五類相当にすべきと主張する人がメリットと考えていることが、五類相当にした場合にリスクに転じる可能性があるという指摘」 の要旨について、自分なりにまとめ直した。 「リスクとされる要素は解消可能、また実際にはそうはならない。理由はこう」 という御意見を拝聴したい。

加藤AZUKI @azukiglg

「それは可能性に過ぎず、そうなるとは限らない」 これは懸念を解消する主張じゃないです。 「おまえは頭がおかしい」とか、 「貧乏人は未来を諦めろ」とかも、 意見のひとつとしては拝聴しますけど、それは懸念の解消の説明じゃないです。