伝奇物な話（※ 未完）

てすら🌗 @t_quet

断片メモ： 黙々と石段を登っていくと額にじんわりと汗が浮かび息切れがしてきたので少し休憩する。水を飲みながら上を見上げると頂上はまだ先のようだ。ふと、疑問が頭をもたげる。老人ばかりのあの村で誰がここらを整備しているのだろう？僕でさえ山頂まで行くのに少々キツいのに。

てすら🌗 @t_quet

断片メモ： 普通に業者を雇って修繕しているのかもしれない。ならば業者を手配しているであろう当主の、修繕がままならないの言葉は何なのだろう？嘘も方便でそこに近付かれると困る何かがあるのだろうか？そう言われると逆に、子供じみた好奇心がくすぐられて余計に行きたくなってしまう訳で。

てすら🌗 @t_quet

断片メモ： 好奇心は猫を殺すと言うが、まさにピッタリな状況なのだろう。水分補給と休憩で人心地付き気力も回復したので、再び山頂を目指す。何処かからか聞こえる鳥の鳴き声と木々に茂る青葉がのどかな雰囲気を醸し出すが、そんなのどかな風景の中でも向かう先への不安は拭えない。

てすら🌗 @t_quet

断片メモ： 果たして不安を抱えて目指した頂上はと言うと、どこまでも続く青空が爽やかな風光明媚な場所だった。なんだか拍子抜けしながら神社までの石畳を歩く。左手側に広場があり、お祭り等が行なえそうな広さがある。そして正面には参拝するための拝殿があり、本殿は無いようだ。

てすら🌗 @t_quet

断片メモ： 拝殿の周囲から少し離れて御神体を探すが、それらしきものは見当たらない。山そのものがそれにあたる場合は、禁足地として自由に入山出来ないようになっているのが普通だ。得心の行く答えが出てこないまま拝殿の正面まで戻り、ここで唯一の日陰となる軒下に座り込んだ。

てすら🌗 @t_quet

断片メモ : 軒下にしばらく座り込んで、見て回った状況をメモ帳に書き込んでいるとかすかな違和感に気付いた。 ー………さん………ら………ー 「人が居る……？」 人の声が聞こえてくる方向へ耳を澄ますと、拝殿の中から聞こえてくるようだ。僕は罰当たりにも拝殿の扉を開ける暴挙に出た。

てすら🌗 @t_quet

断片メモ: バンッと観音開きの扉を開けると六畳くらいの板張りのスペースが現れた。 「あれ？」ガランとした空間の正面にまた扉があり、奥に何かありそうな雰囲気を醸し出していた。「おじゃましまーす」靴を脱いでその正面の扉へ近づくと子供の声が聞こえる。どうやらこちらが本命らしい。

てすら🌗 @t_quet

断片メモ : 最初の扉もそうだが、こちらの扉も特に鍵や封印らしきものが無いのは頻繁に使用しているからかもしれない。あっさりと正面の扉は開き、中には予想通りに人が一人。それは上等で重たそうな着物を着た少女だった。 「！ ……おじさま？」 か細く不安げな声で僕に問いかけてくる。

てすら🌗 @t_quet

断片メモ：まだ20代だと混ぜっ返したいのをグッと堪えて、入口付近で正座をして身を屈め、目線を少女と同じくらいにする。 「初めまして、重藤慶心と言います。君はなんでここに居るの？」 取り敢えず怪しい者じゃないアピールで名乗ったけど、少女は少しも警戒を緩めてはくれない。

てすら🌗 @t_quet

断片メモ：「……む、村の外の人とは話しちゃいけないから、ごめんなさい」 目線どころか顔さえも背けて拒絶されてしまい、この子から話を聞くのは難航しそうだと実感した。出て行けと言われないのをこれ幸いと、僕がこの村に来た理由やら、村での出来事を勝手に話し始める。

てすら🌗 @t_quet

断片メモ：何か反応が有れば儲けものだと、少女の反応を伺いながら話し続ける。よくよく見ると少女は文学的な表現の似合う美しさなのだと気付く。緑なす黒髪、雪のように白い肌。豪奢な着物とのコントラストで余計に白く見える首筋が艶めかしい。その艶めかしさに思わずぼおっとしてしまう。

てすら🌗 @t_quet

断片メモ：いつの間にか話すのを忘れ、少女を見つめていたらしい。「あの、大丈夫ですか？」見上げる少女の心配そうな顔と鈴の鳴るような声にはたと我に返る。「大丈夫、ちょっとぼうっとしてただけだよ。ありがとう」お礼を言えば花のような笑顔を返してくれる。多少は警戒を緩めてくれたのかも。

てすら🌗 @t_quet

断片メモ：「おじさまって村長さん？ そこに住んでるんだ？ 僕も村長さん家にお世話になってるんだ」同じ人間の庇護の元に居ると認識させることでもう少し警戒を解ければと思ったんだけどどうやら正解だったらしい。話の続きをねだる様子を見せる。そして西上が怖がっていた幽霊の正体は恐らく彼女だ。

てすら🌗 @t_quet

断片メモ：話をしていくと彼女には小学生レベルの社会的スキルが抜け落ちているように思えた。学校等での集団行動の経験が全く無いのだ。過疎化の進んだ山村だからか？それでも学校に通わせていないのはちょっと問題ありかもしれない。言葉使いからは教育は受けているようだけど……。