『住まいと仕事の地理学』
中澤高志『住まいと仕事の地理学』(旬報社、2019年) 面白いとは聞いていたが噂以上に良い本だった。都市社会地理学の枠組みから、近現代日本の住宅政策・労働市場の展開を説明。単なる「都市の広がり」程度に捉えられがちな「都市圏」が、社会体制とどう結びついて成立しているかがよく分かる。 pic.twitter.com/DfYoRK5vZy
2020-12-28 05:58:31これまた表紙がかっこいいんすよね。「空間―社会弁証法」というのは、人間は「環境の制約のなかで,環境に適応すると同時に,ニーズや価値観に合わせて環境に変更を加え」ていくという視座のこと。 住まいと仕事の地理学 - 株式会社旬報社 junposha.com/book/b442564.h… pic.twitter.com/nnWEQw5ga9
2020-12-28 06:03:30筆者の中澤高志氏は労働を専門とする地理学者。後半の章では、通勤圏を「労働市場の広がり」と捉え、高度成長期、安定成長期、低成長期のそれぞれにおける雇用のあり方がどう空間に規定され、あるいは反映されるかが説明されている。 中澤高志 - Wikipedia ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD…
2020-12-28 06:21:14「商品」としての労働は人間と切り離すことができないが故に、時間的ミスマッチ、空間的ミスマッチ、スキル・ミスマッチという困難を抱えており、労働市場の再編はその克服として捉えられる。↓の指摘も重要。 twitter.com/Naga_Kyoto/sta…
2020-12-28 06:21:14「労働者のスキルは公共財の性格を持ちフリーライダーが出現する余地があるため、特に一般性の高いスキル養成への投資は過少になりがち」 「仕事にやりがいを求めることが、皮肉にもスキル余剰をもたらし、社会的に必要な単純労働力が不足する」 中澤高志『住まいと仕事の地理学』p.239
2020-12-26 14:58:28中澤氏の記事。なぜ「住宅と労働力」ではなく「住まいと仕事」なのかについても語られている。 高校で必修となる「地理」は、もう暗記教科ではない楽しさがある - Meiji.net 明治大学 meiji.net/career/vol227_…
2020-12-28 06:24:50『経済地理学とは何か:批判的立地論入門』
中澤高志『経済地理学とは何か:批判的立地論入門』旬報社、2021年 「住まいと仕事の地理学」を専門とする筆者による入門書。目次を見て「これ絶対俺の好きなやつやん」と勝手にハードルを上げていたが、その期待を超える本だった。 pic.twitter.com/KQHKIzXjgB
2021-02-15 08:56:15農業立地論・工業立地論・中心地理論・空間的相互作用という4つの古典理論の検討がテーマ。均質な空間を前提として構築される理論って本当に現実を説明できるの?という素朴な疑問に始まり、学問が拠るべき立場が模索される。
2021-02-15 09:04:08つまりは学史・認識論の本で、その意味では関心を持つ層は限られるかもしれない。しかし、チューネン、ウェーバー、クリスタラーなどは大学の地理学ではまず最初に教わるような人物で、高校地理でもその理論が登場する。その理論を疑ってかかってみるのはきっと自分でなくともスリリングで楽しいはず。
2021-02-15 09:07:55通例こういう話題はある程度詳しい人向けに書かれるので、ともすれば硬い文体で読みづらくなりがち。その点、この本は入門書なのでそれぞれの理論に関する初歩的な解説もされていて親切(大学のオンライン講義の内容が元になっているらしい)。
2021-02-15 09:16:06アッでも序章がいきなりゴリゴリの経済地理学史なのはちょっとムズかもしんないすね(個人的には藤岡謙二郎・木内信蔵・飯塚浩二の関係性がオモシロイ)
2021-02-15 09:25:46ちょっと気になったこと。地理教育では立地論が占める割合は下がり、地誌の復権が見られるという話が載っていた。思考力を重視するっていう最近の方向性は「理論」のほうが相性がよさそうだけど、そこは矛盾しないんだろうか。
2021-02-15 09:46:58経済地理学とは何か - 株式会社旬報社 junposha.com/book/b556518.h… >「教科書を疑え」とよく言うが,学生が教科書を疑うだけの知的訓練を受けていないのはもちろん,ほとんどの場合,教える側も教科書通りに教えているのが実状である
2021-02-15 10:04:07