性癖ハッピーセット本 後編

ゆうさき@低浮上 @yu3k1_4r1

目の前の美しい男が🍙を見据えると、不愉快げに眉を顰める。そんな男の様子を伺っていると、おもむろに男が口を開いた。｢彼奴も随分と男の趣味が変わったらしい｣ "彼奴"が友であることは直ぐにわかった。そして、目の前の男が、友を追い詰めた原因の1人であることも。

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｢……俺の友人のことでしょうか？それならば、人違いだと思いますが｣と答えれば、皮肉げに笑っ男は｢お前の言う【友】が、衆人達の前でどれだけ淫らに色を振り撒いているのはしっているのか？」｢気に入った男を自分の部屋へ招き入れる淫売だと？｣と悪辣に宣う。

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｢お前の言う【友】とやらは、男に足を開き、悦ぶような人間だぞ。さぞ不快なことだろう。ならばーー」｢知っていますよ｣と男の言葉を被さるように答える🍙。｢何、｣と目を見開く男。｢俺は全てを知っています。彼のことも、彼女のことも。その上で、俺はそばにいるんです｣と真正面から言い切る。

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｢かれがかくしていたいこともしっている。だから、俺は知らないふりをしているんです｣と重ねて言えば、目の前の男は信じられないように目を見開く。その姿に、ふつりと怒りが込上げる。｢(ああ、【彼女】はこの男に惚れたんだ)」また、｢(【彼】もまたーー)」そう思うと目の前の男が許せなく思えた

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けれど、【彼女】が選んだ相手ならば、自分がとやかくいう資格なんてない。俺が【彼女】を見せてたようなものなのだから。だから、せめてーー。 ｢……どうか、これ以上俺の友人を傷つけるような真似はやめてください」｢失礼します｣そう言って目の前の男に頭を下げてその場を立ち去る。

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ツキンと痛んだ掌を見てみると、爪がくい込んで微かに血が滲んでいた。友が選んだというのなら、背中を押してやらなきゃならない。でも、それも今は出来そうもない。あの男と一緒になっても、友は、【彼】は破滅の道へいってしまう。そう思えたのだ。

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＞＞＞ここで、無様とヨリの結末が入ります＜＜＜

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ドンドンっとなるノックに扉を開ければ、そこには【彼】がいて、🍙の顔を見た瞬間に泣き崩れる。その体を抱きとめながら、自宅の中へ招き入れて、その背を宥めるように無でる。嗚咽を漏らしながら泣き崩れる【彼】に、🍙は【彼女】の姿を見た。

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｢……"よりいち"さん｣と名を呼べば、泣き崩れていた【彼女】が顔を上げた。その濡れた深緋の瞳も、嫋やかで稚ない雰囲気も、最後に別れた時から何一つ変わっていなかった。唇を震わせながら、【彼女】は🍙に縋る。｢すみよし……すみよし……っ｣縋り付く【彼女】を抱きとめ、🍙はその姿を見下ろした

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｢きえてしまったの…っ…こわしてしまったの……っ｣と泣く【彼女】に、【彼】があの男との関係を清算したことを悟る。【彼】はギリギリのところで踏みとどまったのだ。胸元に縋り付く【彼女】が懇願する。｢たすけて、お願い……すみよし、たすけて……っ｣と言う【彼女】を宥めて、顛末を聞き出す。

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泣きながら話す【彼女】の話をまとめるとこうだ。｢美しい男に【彼女】が惹かれてしまったこと」｢美しい男が【彼女】の正体を知りこばんだが、俺といる【彼】を見つけてそのネタを理由に脅していたこと」｢生き別れになった兄が【彼女】に惚れ、迫られたこと」｢妻子で血の繋がる彼を拒んだこと｣→

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｢実兄は諦めてくれず、襲われかけたこと｣などを話てくれた。自分が知らないところで【彼女】に降り掛かったことを思えば、この【彼女】には荷が重かったことだろうと思う。なにより、【彼】の心を追い詰めたの、兄のことであり、俺を巻き込まないとしようとしたことだろう。｢(このままではだめだ)｣

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｢……大丈夫。俺が、何とかしてみせる｣泣く【彼女】を抱きしめながら、これからのことを考える。ここには、あまりにも多くのしがらみが多すぎる。【彼】にとっても【彼女】にとっても、ここから離れた方がいい。そう考えながら、自分に出来ることを探す。泣き疲れた【彼女】を寝かして、受話期をとる

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🍙が電話をかけたのは、友の母親のもとだった。そして、友の身に起こったことを全て話して相談した。｢帝都から離れたほうがいいわ……」と憔悴した声音で言う友の母親。｢私の家だと勘づかれてしまうかもしれないわ｣といえば、｢……俺の弟が地方にいます。そこならきっと｣と答える🍙さん

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｢……🍙さん……｣と涙で濡れた声で母親が🍙の名を呼ぶ。｢こんなの勝手だとわかっています……でも、どうか、どうか、息子のそばにいてあげてほしいの……っ｣｢奥様、｣｢あの子、あなたと会ってから明るくなった…あなたの話をする時、とても楽しそうなの…きっと、あの子は……」｢ーーえっ、｣

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友の母親から言われた言葉に、ぐっと目頭が熱くなる。そして決意を固めて、友の母親に誓う。｢ーー必ず、幸せにしてみせます｣と。｢……息子をお願い……｣と母親の言葉を最後に受話期を置き、後ろで途中から聞いていた【彼】に向き直る。｢……🍙……どうして……っ」と泣く彼の手を取り、こう告げる

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｢貴方を愛しているからです。友として、一人の男として｣ くしゃりと歪んだ【彼】の顔を見上げながら、清々しいまでの気持ちで想いを告げる。｢俺と一緒に、生きてくれませんか？｣ 【彼】の手を包み込みながら、溢れる愛しさで顔が綻ぶ。【彼】は俺の目を見て、｢……私も、ずっと愛していた……っ｣

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｢こんな私を受け入れて、寄り添ってくれたお前だから、私は……っ｣と答える【彼】に笑みをこぼす。｢一緒に生きてくれますか？｣と問えば、｢お前と、生きたい｣と返してくれた。｢口付けをしてもいいですか？｣と聞いてみたら、パチリと目を瞬かせて頬を赤らめて頷いた。初めてしたキスは塩辛かった

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2人で顔を見合わせて、ふにゃりと笑い合う。そして、🍙は【彼】にこれからのことについて話す。｢地方に自分の弟がいること｣｢【彼】を弟のもとに一時身を寄させてもらうこと｣｢仕事の目処がついたら2人で商いをしながら暮らすこと」を、大まかに話した。

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｢苦しい生活になるかもしれません｣と🍙が言えば、【彼】は｢お前がいてくれたらそれで十分だ｣と言ってくれた。｢仕事の目処がついたら迎えに行きます。だから、待っていてくれますか？｣と【彼】の手に指を絡めながら聞く。【彼】は握り返して、｢いつまでも待ってる｣と答えてくれた

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嬉しくなってまたどちらともなく笑いあって、触れ合うだけの口付けを交わす。その日の夜、2人は初めて枕を交わした。 それから数週間後、🍙は弟から｢大丈夫だ｣という返事をもらって、【彼】に伝えた。荷物を少しづつ向こうに送り、お世話になっていた仕事先とも円満に退職させてもらった

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＞＞＞兄上の街で【女】を見つけたシーン＜＜＜

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駅の前で【彼】の到着を待つ🍙。時計を見ながら、なかなか来ない【彼】が心配になって、探すことにした。街中を探していると、【彼】がこちらに向かって歩いてくるところだった。よかった、見つけられた。【彼】に駆け寄ろうとしたとき、その後ろでしリボルバーを構える【彼】によく似た男の姿 そして

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誰よりも長く傍にいて、未来を共に語って歩んでいこうと歩み始めた──そんな【男】の結末。 1人の【女】に運命を翻弄された【男が達】の話はこれにて終幕。 ⇒ 【女】の話に続く……？ pic.twitter.com/vFz5F0Og7a

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