流れゆく景色と共に見える土煙によって霞む夜景が遠くに見える。知っているはずの船なのに知らないこの場所にいる。この夜景を肩を並べて見た時とはまるで別の景色のようだ。「……ハッ」鼻で笑う。感傷に浸るような趣味はないはずなのに、胸の奥底にある想い出が勝手に引き出しを開けてくる。──W
2022-05-28 21:08:39またひとつ、敵を潰した。この力はみんなの、家族を守るために使っている。きっとそれは正しいはずなのに、たまに胸が締め付けられるように苦しく、悲しくないはずなのに涙が溢れそうになる。ベッドで目が覚める。まっしろな天井。ぴょこんと映り込む茶色いの耳。「ロスモンティスさん?」
2022-05-28 21:15:45「……アーミヤ?」「はい、そうです。お身体の方は大丈夫ですか?」「アーミヤ」「?」「忘れたくないよ。アーミヤのことも、ケルシー先生も、ドクターもみんな」記憶が薄れて、いつしか自分自身も忘れてしまった時、きっとそれが私の死なのだろう。──ロスモンティス
2022-05-28 21:17:57忘れてしまえるような出来事など、あってはならないのだ。誰がどこでどのように戦士してしまったか、あの街で死傷者をどれだけ出してしまったか。それはオペレーターたちの責任ではない。アーミヤやドクターの責任でもない。山になった診断結果を一枚ずつ丁寧に目を通す。睡眠時間より、今はこちらだ。
2022-05-28 21:33:34どうすれば救える。どうやれば負担を掛けない治療が出来る。グニャリと歪む視界を誤魔化すためにまた真っ黒なコーヒーを口にする。「セーンセ!」「入るならノックをしろと言ったはずだがな、ブレイズ」「したのに気づかなかったのはそっちでしょ?顔、真っ青」「やるべきことが済めば休む」
2022-05-28 21:36:55甘茶の音楽工房より「忘却のパヴァーヌ」 ケルシー先生って厳しいけど自分には更に厳しくして、優しく出来ないよな。あとブレイズって敬語だったか忘れた
2022-05-28 21:38:02青空なんて、チェルノボーグにいた頃に見た覚えはあっただろうか。あるはずなのに、それ以上に凍てつく寒さと空を覆う暗雲ばかりが記憶にこびりついているせいで、真っ青な空を見る度に目が眩む。それは物語のような空で、それは映画で見たかのような真っ白な雲で。私は、未だにここにいる実感がない。
2022-05-28 22:00:26甘茶の音楽工房より「水平線に浮かぶ雲」 雪ばかりで気候が厳しかった環境から抜け出せたはずなのに、故郷とは違う場所にいるだけで違和感ばかりが増え、自分が異物のように感じるイースチナ
2022-05-28 22:02:04イフリータが寝顔を見る度に安堵と同時に苦悩が押し寄せる。強大な力さえなければ、この子はただ無邪気で、ちょっとワガママな子供として過ごせただろうにと。サリアと私が一緒にいてくれると嬉しいと笑顔を向けてくれる事が私にとっての幸せでもあり、罰でもある。
2022-05-28 22:18:04甘茶の音楽工房より「日の陰り(ピアノ編)」サリアとは複雑だけど、イフリータが笑ってくれるならとともに過ごすが、サリアに感じる確執もあるとかで色々考え込んでる自虐的なサイレンス
2022-05-28 22:19:49命の重さなんて考えたことがなかった。ある人に買われ、奴隷のように扱われると諦めていたのに、生きること、守ることを教わった。買われた立場から、自ら守りたいと思える人に出会った。命に変えても守ると告げると、その人は自分も大切にしてほしいと当然のように言う。「変な人ね」と私は笑った。
2022-05-28 22:33:28甘茶の音楽工房より「落葉」 グラベルも奴隷から騎士に買われ、学んで、ロドスに来ても色々学んでゆく素敵な女性だと思うから守られたいけど守りたいなって(スキル的にも防御系に特化だし)
2022-05-28 22:35:11いつもと同じ、冷たい大地のはずなのに、降り注ぐ雨が暖かい。冷え切っている自身が冷え切っているせいで暖かいのか、はたまた雨自体が熱を持っているのか。ポタポタと顔に落ちては頬を滑り落ちてゆく。「姐さん」「隊長ー、こっちですこっち!」「あぁ、お前たちか」静かに目を閉じ、ゆっくり歩き出す
2022-05-28 22:52:09私が黒になれば、皆を救えるというのならば私は喜んで黒へと染まろう。誰かを救いたいという気持ちに偽りはない。ただ、私が黒へ染まろうと足を踏み込もうとする度に腕を、肩を、手を掴まれるような感覚に襲われる。綺麗事だけで救済出来るのかと問われても、そうだとは答えられない。
2022-05-28 23:11:39レユニオンにも、きっと私たちと共に歩めた人々がいた。だが、彼らには私と違う道があり、無理矢理こちらへ引き込めば彼らは傷つき、私たちとは違う道を征く。終着点は同じかもしれないのに、自分が正しいと言い張れない時点で私は真っ黒にはなれないのだ。
2022-05-28 23:14:11甘茶の音楽工房より「少女の頃」 きっと真っ黒になったら、アーミヤは一人なっちゃうんじゃないかな。仲間がダメだと言っても、側にいても、心はひとりぼっち
2022-05-28 23:15:28──昔話をしましょうか。揺らめく焚火の炎を眺めながら、緊張が少しでもほぐれるようにと昔話を口にする。オペレーターがマグカップを包み込みながら、真剣に耳を傾けようとする姿勢がなんだか面白くて、つい笑ってしまう。今はもう咲かない草花だったり、自然豊か森や川のせせらぎをあなたへ。
2022-05-29 00:11:30甘茶の音楽工房より「望郷」 メテオは機械音痴だけど、その分自然や感情の汲み取りが上手なんじゃないかなと。穏やかなそよ風のように軽く、時には鋭く突き刺さる刃のように。
2022-05-29 00:14:00その牙で消えない咬傷を残してもらえたら。その爪で、消えない傷をもらえたら。その口から溢れる言葉が、私の心臓を棘で貫いてくれたら。「なに考えてるの」シーツが肌蹴け、生まれたままの素肌が露わになる。無数の赤い花。私には花弁の一つもない。大切にされている反面、グチャグチャに欲しい願望
2022-05-29 22:45:06アークナイツで首締めが似合いそうなのがって、勝手な妄想だとズィマー(するもされるも)やW→アーミヤ(でも、やりきれず手を離す)ケルシーがされるとかイケナイ妄想ばっか出るのは薬が効き始めてるからだよ
2022-05-30 01:47:52更に歪むなら、ロスモンティスがアーミヤか悪い方へ進むならと手を掛けるけど、家族を殺すなんで出来るわけもなく涙ボロッボロ零しながら「行っちゃやだよ、アーミヤ……」って抱きついてほしい歪んだ願望が見えました
2022-05-30 01:51:11記憶。忘却。喪失。分からないもののために涙をこぼす。忘れたくなんてないのに。昔の記憶ではなく、今この瞬間。眠りから覚めた時、そばにあった顔。「アー、ミヤ」彼女の名を口にする。起きていたのか、パチリと開いた目が私を捉える。「おはようございます。ゆっくり休めましたか?」
2022-06-11 11:42:31「うん。アーミヤは?」「ちゃんと休めましたよ」言いながらアーミヤは私の頭をゆっくりと撫でる。広いとは言えないベッドで二人並んで眠った夜。怖かったのだ。なにが怖かったかと聞かれれば答えられないが、底知れぬ恐怖感があり、アーミヤの部屋に潜り込んだのだ。
2022-06-11 11:46:19休む彼女のベッドに潜り込んだ時、キャッ!?と驚いた彼女ではあったが、一緒に寝ましょうかと言い、苦しくない程度に抱きしめてくれたのが嬉しく、暖かかった。
2022-06-11 11:48:15深夜。本日の業務をなんとか終わらせ、冷たい寝床に潜り込んだ。眠りに落ちていた意識がごそごそという感覚によって中途半端に浮上する。「キャッ!?」なにかが自身のベッドに入り込もうとしているのが見え、思わず悲鳴を上げてしまったが、よく見れば見覚えのある耳が垂れている。
2022-06-11 11:55:16「ろ、ロスモンティスさん?どうしたんですか、こんな時間に」「……一緒に寝ちゃ、だめかな」あぁ。なにか怖い夢でも見たのだろうか?精神が揺らいでいるように感じ、彼女をベッドへ招けば、しょぼくれていた表情に安堵感が戻る。安心出来るようにと抱きしめ、いとも簡単に壊せそうな身体を嘆く。
2022-06-11 12:06:03フリーBGM素材『Foggy Road』試聴ページ|フリーBGM DOVA-SYNDROME >> dova-s.jp/bgm/play16970.…
2022-07-06 00:51:17雨が降ってきた。顔な手に握ったままのナイフへと水は降り注ぎ、雫が赤と混ざり合い、やがて無色になり地面へ流れてゆく。身体やナイフの赤は溶けてゆく。地面に染み付いた赤は土と混ざり、かつていた大地の匂いを思い出させる。「レッド、獲物狩るだけ」地面の赤に、自分が混ざらないよう狼は歩き出す
2022-07-06 00:55:22甲板にパタパタと雨粒がぶつかり、地鳴りのような音を響かせながら走るロドスの船と合わさり、それは見事な耳障り合奏が耳が不幸だ。昔よりはマシになったのかもしれないが、やはり地鳴りに似た移動音は好きになれない。ふと、雨音の中になにか聞こえた気がした。
2022-08-01 21:46:47それは歌声のようにも聞こえるし、声無き慟哭のようにも聞こえる。面倒だと思いながら、声が聞こえたであろう甲板へ向かう。こんな雨の中、エンジニアやメンテナンスをする連中ぐらいしか好んで雨ざらしになるバカなんていないだろうと知っているのに、あたしはそのバカがそこにいると分かってしまう。
2022-08-01 21:49:50鉄を雨が叩く。技術系ですら誰もいない甲板の隅にそのバカはいた。傘も雨具もなく、ずぶ濡れなったウサギが一匹。どこを見ているかも分からない瞳にいつもの堅さはなく、ぼんやりとした光が雨に濡れていた。「代表様がなにしてんのよ」声には反応したのか、耳がピクリとこちらを向く。
2022-08-01 21:53:59「どうしたんですかWさん。濡れちゃいますよ?」今のあんたが人に言える立場かと口にせず、黙ったままアーミヤの隣に並び、見ていた方角を見る。なにも見えない。巻き上がる砂埃と雨が混ざり、顔に泥が飛んでくる。アーミヤが見ていたものがなにか分からない。それが意味もなく腹立たしい。
2022-08-01 21:59:48「Wさん?」「人の心配するぐらいなら自分だけ戻れば?」いつものように突き放す言い方をするが、彼女にそれが通用した試しはない。「なに、サボり?それともあの冷血医者になにか言われたワケ?」「ケルシー先生は冷血じゃないですよ」「どーだか」二人してずぶ濡れ。
2022-08-01 22:06:55ケルシーを否定した際に見えた雨に混ざった涙の跡。涙は見えない。だが、目元に赤みはさすがに誤魔化せなかったのか、あたしの視線から逃れるようにフードを深々と被る。「今更隠しても無意味よ」容赦なくフードを引っ剥がせば、小さく悲鳴が上がる。「で、代表様はなにをお考えに?」
2022-08-01 22:10:49「……なんでしょうね?」腹が立つので、アーミヤの額を指で少し強めに弾けば、簡単に頭が後ろに仰け反る。「痛いですよ!」「痛くしたもの。とぼけられるほどあんたは器用じゃないし」「あはは」また誤魔化してる。不器用なクセに。「Wさん、お願いがあるんですが」「なによ?」
2022-08-01 22:19:40「えっ」「えってなによ。自分が言ったんでしょうが」「い、いえ。大抵一言目は断られることが多かったので……」「なに、断られたいワケ?」「い、いいえ!聞いてください!」「はいはい。で?」「その、少しの間でいいので腕を借りてもいいですか?」
2022-08-01 22:22:29「腕ェ?あんたに人の腕をもぐ趣味があるなんて驚きだわ」「違いますよ!?その、少し触れたくて」なにもずぶ濡れの時に頼むなんて考えながら、アーミヤに近い方の腕を軽く持ち上げる。「ほら。さすがにもいだら爆破するわよ」「だからしませんってば」
2022-08-01 22:29:48アーミヤが腕にゆっくり触れてくる。もぎとるワケでもなく、抱きしめるワケでもない。本当に指先で触れるだけ。その行動にどんな意味があるのかは分からない。だが、腕に触れている彼女の表情は穏やかに見える。──変なの。触ってなにが楽しいのかしら。抱きしめるでもなく、ただ触れるだけ。
2022-08-01 22:36:15あぁ、そうか。そうだった。甘えるのが下手なのではなく、甘え方が分からないのだ。どこまでなら叱られないかと距離を測りながら、それでも我慢出来なくて。(やっぱ子供ね)雨の中、されるがままだった。
2022-08-01 22:39:57「狂犬注意ってやつ?」「そういった意図じゃないですってば!」「口の中の治療をしたから触らないようにですぅとか言うんでしょ?言われなくても触らないわよ」「そんなこと言って、以前もギブス砕いて逃げたじゃないですか!?」的なアーミヤとW。Wは治療後逃げそう
2022-08-05 01:32:07ロスモンティスが忘れないようにって手を噛んだりするからって、アーミヤにマズルガードつけられて「忘れたくない」ってポツリと言うからアーミヤがすごい苦しい顔しながら手の治療したり。「痛みがあれば、少しでも記憶に残るかなって思った」「……痛みが記憶に残っても、苦しいだけです」
2022-08-05 01:37:40「牙はどうだ?」「まだムズムズする。ケルシー、これ邪魔」「無意識に硬い物を噛みたくなる可能性を考慮してだ。牙の生え変わりは気持ち悪いだろうが、今日一日は我慢してくれ」「分かった」「今日明日は緊急がなければゆっくり休むといい。食事のリクエストはあるか?」レッドは付けられても外さない
2022-08-05 01:44:29