特別な本と贈りたい本。
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@moonnight_999

この歌集からする不思議な匂いについて考えてみたい。繊細な果実の甘さと血の混ざった匂いのことだ。(解説・市川春子) 風が砂が眼に入らぬように、そっと睫毛を揺らす瞬間のような音たち。 「砂丘律」千種創一 pic.twitter.com/kpBQMerWnO

2022-11-16 23:13:39
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買って、電車で少し読んで、そのままふらーっとファミレスに入って、お茶をがぶがぶ4杯飲みながら、貪るように読んでしまった。読み終わってしまった。立派なわるたべ中毒者。 pic.twitter.com/oTborObeco

2022-11-22 18:19:52
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息をのむことさえできなくなる場所にいた。この世で一番静かなミステリであり、きめ細やかな日記だった。小川洋子「沈黙博物館」 pic.twitter.com/FGZglniMih

2022-11-25 23:26:39
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吉田篤弘の夜が好きです。ブランケット・シティの新聞コラムを纏めた冬の夜に安心して眠るための毛布のような一冊。 吉田篤弘「ブランケット・ブルームの星型乗車券」 pic.twitter.com/j8c6Bw1mus

2022-11-30 23:52:41
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川上未映子のエッセイはスパンコール。きらきらしててなぜか少し懐かしい感じがする。この鋭い感受性にさくりさくりと刺されるのが好き。 川上未映子「世界クッキー」 pic.twitter.com/s1yxkPUezb

2022-12-10 11:07:22
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心がなにかを含み膨らんだ。もし土ならば、その何かは水や陽の光、微生物だろう。静かな自然の匂いがする。 コンクリートと電波に占領された世界で、日に日に狂う感性の調律と自然との距離感を幼子の手を引くようにそっと直してくれる随筆。 梨木香歩「不思議な羅針盤」 pic.twitter.com/8c4jX8uPTd

2022-12-20 06:42:23
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青く幻想的な詩集。なにもかもを拒絶したがる今の私に、静かに浸透した。冷たい風が熱る瞳に映った気がする瞬間を保存したみたいだ。 峯澤典子「微熱期」 pic.twitter.com/E5SQHo0bTD

2022-12-23 01:24:11
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クリスマスの夜に。小川洋子と梨木香歩。 pic.twitter.com/JMt173jdJE

2022-12-25 23:46:25
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峯澤典子さんの真白の詩集が七月堂から届いた。冬は詩が頭にひたひた浸透するから好き。 pic.twitter.com/nIgTQBDlGQ

2022-12-29 00:23:30
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小川洋子のラジオで出会ったこと。翻訳の山崎佳代子がユーゴスラビア紛争を綴ったエッセイを気づかずに読んだこと。心の中で唯一複数の扉が開いてしまう不思議な鍵。 読んだばかりの私は、若さの痛さと優しいアイロニーの寂しさで満たされている小説と言っている。 ダニロ・キシュ「若き日の哀しみ」 pic.twitter.com/w1beSe7pOI

2022-12-31 18:45:21
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明日からも静かに綺羅綺羅した日々になりますように。 長野まゆみ「鉱石倶楽部」 pic.twitter.com/weEExP9kb1

2022-12-31 21:27:42
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幸せでいっぱいだと出現地不明の寂しさが少しずつ滲み出る、すなわち「幸せの反動」がここにはある。春みたいで宇宙みたいな浮遊感が好き。 雪舟えま「たんぽるぽる」 pic.twitter.com/IW2WeuHt0u

2023-01-03 03:16:15
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光も酸素も届かない水中にいても、タヒさんの君を受信することはできる。詩を読んだ途端、心の日陰にいる名のない感情たちが息を吹き戻す。さみしさでしか守れない弱さのための詩集。 最果タヒ「不死身のつもりの流れ星」 pic.twitter.com/uSRCt2OWrH

2023-02-12 23:55:34
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下北沢のヴィレヴァンでよしもとばななを買った。 ばななさんはエッセイと小説で質感がまったく違う。月も冴える風が刺さるような静かな熱だけが共通している。それを幾度も感じることが私の幸せ。 よしもとばなな「小さな幸せ46こ」 pic.twitter.com/RBqvW3aQEw

2023-02-26 01:35:19
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凛一という少年を愛してしまったら、胸を掻き毟りたくなる。でも、爪を立てたら脆く崩れてしまう。どこまでも美しい文体が少年の閉ざされた心のよう。弛むことを拒み、易く砕ける。砕けた硝子は溶かし固まりまた砕け散る。 長野まゆみ 「白昼堂々」「碧空」「彼等」「青葉のころ」 pic.twitter.com/tvgPoWL0m2

2023-02-26 22:08:03
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徒歩旅行は巡礼。雪と氷の世界を独り歩く三週間。過去と現在と幻想が冷たい空気を通って浄化され、ひとつの魂となる。厳しい冬が与える暴力性と無垢さを鋭く突きつけられる。 ヴェルナー・ヘルツォーク「氷上旅日記」 pic.twitter.com/MmM5bAQvCr

2023-02-28 01:45:03
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現実という仕組みはファンタジーで、世界の秩序を保つための呪縛なのかもしれない。 もし穂村さんにひとつ質問していいなら「サクマさんは実在しますか?」と聞く。もし穂村さんの妄想の産物なら、私と結婚して。そして私とサクマさんを繋ぐデバイスになってください。 穂村弘「現実入門」 pic.twitter.com/rxYj5WdPij

2023-03-02 10:55:30
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銀色の空がある。澄み切った孤独がある。孤独が苦しみじゃない。この孤独は透明な宝石。静かに光を受け止めて反射する。静謐な時間を過ごした。 安田茜「結晶質」 pic.twitter.com/MrETmMaHKn

2023-03-13 03:21:12
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夜天も海もラピスラズリを静かに散らしたような碧。冷たいリノリウムをゴム靴の底が叩く音がする。きらめきに取り憑かれ脆い冒険心を抱く少年たちの息づかいが聴こえる。 憧憬と幻想の交錯した夜の児童文学。 長野まゆみ「綺羅星波止場」 pic.twitter.com/61EiHoBXB7

2023-03-16 03:33:29
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何かを抱き覚えることが過ちとなる処。選ばれた純粋無垢な少年少女が憧れと疑念で瞳をひらく。真白な世界にひと筋墨を引く、そして世界は崩壊する。 詩的な文章は美しさとおぞましさを薫らせる。 川野芽生「無垢なる花たちのためのユートピア」 pic.twitter.com/i6Bhh4OzJd

2023-03-16 17:50:47
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瞬間嘆美共有的なと鏡の中に5回唱えてみた。 世間と幻想を自由に往き来する。宮殿の中庭に長い間埋まっていたかのようにひんやりと生き生きした言葉たち。 知っている名前が出てくるとどきりとする。まるで彗星。 尾崎まゆみ「ゴダールの悪夢」 pic.twitter.com/devGgJP9aO

2023-03-17 02:24:18
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ずっと俳人の瑞々しい切れ味をインストールしたかった。淡白でドラマティックな17音を生み出すことに憧れて。 身体の隅々まで風が吹き抜けて、季節が移ろう。子どもの純粋さと俳人の真っ直ぐさの交差点に立てたことがうれしい。 神野紗希「もう泣かない電気毛布は裏切らない」 pic.twitter.com/cU9wF8781y

2023-03-17 23:42:42
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川上弘美は春。近藤聡乃も春。春はこわい。 メリーゴーランドに乗りながら、流れていく写真のフィルムを見ている気分。どちらが動いているのかわからない。 読後はやけにブレる眼鏡のネジを締め直したみたいだ。読んでいる間はブレている。 川上弘美「このあたりの人たち」 pic.twitter.com/gh1GtkquUj

2023-03-19 03:20:56
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原っぱに寝転がったことが一度だけある。たんぽぽやすみれが咲いている季節だった。緑の孕んだ水分と陽の光を感じた。陽の光を見つめていたら黒い隕石が落ちてきた。あのときを思い出した。 あまりに健気で美しい現実とお茶目な夢が混ざり合って幼心を包み込む。 覚和歌子「覚和歌子詩集」 pic.twitter.com/IsykijsVqd

2023-04-06 01:55:03
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澄み切った青年の仄昏い想い。優しく哀しい韻律が心地よい。 鴉、微雨、水声、彼が主役にするものは私が愛するものばかりで、彼のように言葉を紡げたらいいのにとすこし羨ましくなる。 三好達治「三好達治詩集」 pic.twitter.com/Dcy66ZSF2n

2023-04-08 22:52:55
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この物語に抱いているものは限りなく恋に近い。 私の持つ美しさへの琴線に大きな影響を与えた一冊。 千早茜「透明な夜の香り」 pic.twitter.com/mG7zsP1SI8

2023-04-20 20:05:03
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幼さが残る透明感のある短歌。彗星が静かに走るような世界観。与えられる側を必要としない独立したやさしさ。 本来のスケールが違くても、彼に選ばれた言葉はどれも平等に光っている。最短距離で手を繋いでいる。 笹井宏之「えーえんとくちから」 pic.twitter.com/skv2WrOAGg

2023-04-26 10:39:36
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錫製洗面器に水を張る、そこに月が映る、たまに星も映った気がする。 水分がいろんなところへ浮遊する。海になり夜になり果実になる。 移動式白昼夢投影機のような一冊。 佐藤弓生「世界が海におおわれるまで」 pic.twitter.com/KPZz54wwf3

2023-04-27 03:16:06
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毒が咲く。月光のもと、音もなく。 千早茜「赤い月の香り」 pic.twitter.com/tJ72i4B3um

2023-04-27 05:24:01
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温度は低く湿度は高い言葉。乙女妻母と移ろいゆく歌人は通して知性と美しさに満ち、平らを保ち続けているが、時々スリルとアンニュイを仄かに孕んでいる。連作「冬のヴェール」が特別好き。 栗木京子「栗木京子歌集」 pic.twitter.com/CfyUtbO62W

2023-06-17 03:54:03
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噛み砕いた氷砂糖の欠片を舌の上で踊らせる。海や宵闇の深層から掬った星屑。言葉の連なりが密やかで心地がいい。数十年前までこの星に巫女はいた。 山中智恵子「山中智恵子歌集」 pic.twitter.com/4DBJCkaet6

2023-07-07 03:37:54
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小川洋子の物語に漂っている時間が最も安全。宝物。 pic.twitter.com/kr0YKRHXjM

2023-07-08 21:39:12
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数週間、若しくは数か月に一回、突然思い出して読み進めていた。私のモラトリアムが過ぎていくのを共にした一冊。 左川ちか「左川ちか全集」 pic.twitter.com/urqtHNEQLZ

2023-08-10 01:45:35
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緑は影の色。白い光とそれに伴う影の中で読んだ。劈開しうる微々たる隙間に儚さを含んだ鉱物のような歌。左川や足穂の名が出てきて、はっとした。 佐藤弓生「薄い街」 pic.twitter.com/sxBQZFrwVV

2023-08-11 03:17:29
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細かに描写されている家の間取り。頭の中で静かに舞台装置が起き上がるようだった。突然、一滴の毒が落とされる。それが濃く広がっていくのではなく、薄まりながらゆるやかに浸透する安らかな不穏が癖になる。死は常に現実であるが、非現実的に置かれるのがお似合い。 大濱普美子「猫の木のある庭」 pic.twitter.com/wUvzMa1CZn

2023-09-01 02:45:21
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なんて愛らしい一冊。少年のままの一心不乱な絵筆と深い知識と植物への愛にあふれた随筆。素直な表現はときおりこちらをどきりとさせ、彼の虜になってしまう。 佐藤達夫「植物誌」 pic.twitter.com/RqEts7nKOl

2023-09-14 01:42:36
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いちばん気に入った作品が、後書きでオノナツメ特集への依頼と明かされて、くらくらした。 pic.twitter.com/dbH3lWqSFa

2023-09-19 00:13:14
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物語の世界では、つかみどころのない男が好きだ。ニシノユキヒコは当てはまってしまう。ちょっと嫌だ。読み終わった途端にニシノに会いたくなっている。濁点のない名前は好きだ。 川上弘美「ニシノユキヒコの恋と冒険」 pic.twitter.com/5sYf3KLZdu

2023-10-05 10:19:58
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雪舟えまの歌集は季節の変わり目、名のない宇宙で読みたくなる。かわいくてせつないときめきが宙に金平糖を撒いたようだ。 雪舟えま「緑と盾 ロングロングデイズ」 pic.twitter.com/rtsm2cqLcV

2023-10-14 22:38:00
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西瓜糖の日々でしか埋められない感情の隙間がある。焦って指先が本棚を彷徨うと砂糖瓜砂糖瓜と呟いてしまう。 pic.twitter.com/Cca1CHkj0a

2023-11-02 14:20:45
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店番うぃず現代短歌パスポート恐竜の不在号。 pic.twitter.com/woeTX1cT91

2023-11-26 14:09:30
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@moonnight_999

夜と冬と猫が好き。