農林省漁業取締船、俊鶻(しゅんこつ)丸(521総トン,横浜船渠(後の三菱横浜),1928(昭和3)年竣工)。「鶻」は隼の一種らしい。本船は、北洋漁業(カニ漁)の保護取締船であった。 pic.twitter.com/t2fRhg8K2T
2020-09-27 17:20:13主機に搭載した新潟鉄工所製MN6Gディーゼルエンジン(定格1,500馬力)はやたら大きかった。それもその筈このエンジン、元は陸上用発電機関LN6G(1,650馬力)の名前を変えただけである。 pic.twitter.com/HsS9c6IfcJ
2020-09-27 17:25:04なんでも新潟鉄工のストックとなっていた機関を安く購入できる、とのことで搭載が決まったらしい。なんせ元が陸用機関、人の背丈の2倍以上もある巨大な代物を500トンの船に積んだので、主機頂部は上甲板を越え、機関室囲壁は船橋とほぼ等しい高さとなって、「エンジンキャリア」の別名もあった。
2020-09-27 17:30:00もっとも、捕まえた違反船の乗員に主機を見せ、「本船の速力はとても速い。どんなに逃げても駄目だ」とやったところ、その大きさに驚いて逃げ切れないと観念した、というようなこともあったらしい。
2020-09-27 17:32:29さてこのエンジン、新造当時から代々の機関長に申し伝えられていたことがあった。「ある回転数以上は振動を起こすので回すな」というものである。戦後、船体延長工事の際に調べたところ、プロペラの静的バランスに異常があり、これを修正して所定の出力を出せるようになったという。
2020-09-27 17:39:43主機の定格1,500馬力/150rpm、新造公試では1,652馬力で12.67ノットだったようだが、振動のため136.5rpmまでしか回せず、結果的に定格以下で使ったので長生きした、という見方もできるらしい。
2020-09-27 18:01:26『昭和造船史』の記述では、本船の搭載した主機について、無気噴射と空気噴射を混同したものになっているが、MN6Gは空気噴射式2サイクル6気筒である。また、音響測深儀(仏ランジュバン製,可聴音波,輸入)を装備した日本最初の船であるとのこと。
2020-09-27 18:01:52