葉山にヘリから落とされた結果がコレかよ。
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意識の低い就活生花宮の十年 http://togetter.com/li/769292
意識の低い就活生花宮のチェス http://togetter.com/li/817186

意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

頭ぐわんぐわんしやがる クソッ… 体動かねぇ

2015-05-04 19:00:12

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意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「花宮…っ!」 切羽詰まった声と共にベッドの外へ体を引っ張られた。ブチブチと音を立ててくっ付いていた管が取れる。 次の瞬間には誰かの腕の中だった。ぎゅうぎゅう強く掻き抱かれ全身に激痛が走る。離せ。死ぬ。言いてぇのに声が出せねぇ。 「良かった! ホントに良かった…!」 この声は…

2015-05-04 19:55:07
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「……ヤ、マ?」 「ばなびやあぁ〜!」 肩口に涙…コレ鼻水じゃね?が垂れる。汚ぇ。離せバカ。 「痛ぇ…から」 「うわあぁ!ワリィ!」 喉に水分無さすぎて声になってる気がしなかったが伝わったようだ。 「つかヤベェ! チューブ!取れた!」 あまりの煩さに朦朧としてた意識が戻ってきた。

2015-05-04 20:00:22
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「オレ看護婦さん呼んで…っ」 看護婦…ココ病院か。なんでオレこんなトコいんだっけ。 「いーから。とりあえず静かにしろ、頭に響く」 「ゴベン、つーか…ボンドにゴベン…」 山崎がますます泣き出した。 「原に、花宮が報復で海に落とされて意識不明って聞いて…」 だいたい合ってるような…?

2015-05-04 20:05:05
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「オレずっと後悔してて。このまま花宮が死んじゃったら、もう一生謝れねぇし、仲直りもできねぇのかなって…」 「……」 山崎がオレの体をそおっとベッドに寝かせた。それができんなら最初から労りやがれ。 「だから、本当に良かった」

2015-05-04 20:10:05
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「そんで気付いた。オレお前のことめっちゃ好きだわ。ウゼェって言われそうだけど、一生友達でいてくれよ」 バカだな、とっくにそうだろーが。 記憶が蘇ってくる。オレがこのザマなのも元はと言えばお前のせいだからな。絶対言わないケド。(原の奴、気が効くじゃねぇか) 「チッ…しょーがねぇな」

2015-05-04 20:15:04
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「あと、あんとき蹴ってゴメン」 「ヤマ、オレも…」 「いーよ、花宮は。謝るとか、らしくねぇことしなくて」 にやっと笑った顔は高校の頃と何も変わっていなかった。

2015-05-04 20:20:09
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「面会時間過ぎてっけどいっか。3日も寝てたら吸いてぇと思って持ってきたんだ」 山崎が鞄をごそごそ漁る。 「ハァ!? 3日!?」 「そーだよ。マジ心配したんだかんな。ヤニ切れる頃だろ?」 箱から一本を取り出し火を点け、オレの方へドヤ顔で差し出した。 「おあがりよ!」

2015-05-04 20:30:09
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「ブラデビのチョコ。オレも最近よく吸ってたんだ。花宮どうしてっかな〜って」 山崎は自分の分にも一本火を点けた。 …コイツ良い奴だが、とんでもねぇDQNだな。見舞いの品に煙草を持ってきて、あろうことか病室で吸い出すとか。隣のベッドのジジイが完全にオレ達を怯えた目で見ている。

2015-05-04 20:35:09
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

ま、オレも悪人だから有難く吸うケド。さすがに肺に入れたらヤバそうだから、口の中でふかすだけに留めておく。 「…ふはっ」 「何笑ってんだよ、花宮」 「別に。やっぱ美味ぇなって思ってさ」 やっぱお前はこっち側の人間だなって思ってさ。

2015-05-04 20:40:08
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「やべ、さすがに帰んねぇと。病院の人に見つかったら怒られるわ。こっそり出るから自力で起き上がったことにしといて」 面会時間よりもっと守るべきことあんだろ。患者の健康とかよ。山崎はナースコールのボタンをオレの手に握らせた。立ち上がりかけた服の裾を引っ張っる。 「最後に一ついいか」

2015-05-04 20:56:04
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「お前の勤め先。近い将来、どっかに買収されるけど気にするな。前よりマシになるハズだから」 「何ソレ予言? また何か企んでんのかよ;」 「そんなとこっ…ゲホゲホ、ゲスゲス」 クソッ…、喋りすぎて喉が限界だ。 「わかんねぇけど…わかった! 花宮は言うこともやることも間違ってるけど、」

2015-05-04 21:00:49
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「オレらん中では絶対だかんな!」 山崎は屈んで、オレは手を伸ばして、 かざした互いの手のひらを打ち合わせた。

2015-05-04 21:07:32

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意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「優しいお兄様ですね、入れ違いになっちゃいましたけど、ずっと付き添ってらしたんですよ。お見舞いにいらしたら元気な姿を見せてあげてくださいね」 「兄なんっ…んはっ」 世間話をしながら看護師が刺さっているカテーテルを一気に引き抜いた。予告しろよ、突然の激痛にヘンな声出たじゃねぇか!

2015-05-04 23:00:12
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「こちら使ってくださいね」 看護師が容器を差し出す。 「ハァ!? …ベッドでするんですか?^^;」 「歩けるようになるまでの我慢ですよ」 個室ならともかく相部屋だぞ!? 音とか…人間の尊厳とかどーなってやがんだ。オレは絶対にしねぇ。横目で車椅子の位置を確認。後で一人で行ってやる。

2015-05-04 23:05:03
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

ケガすんのってトイレ行くだけでこんなに大変なのかよ。つーことは「入院中? 同室のじーさんに花札習ったりして楽しかったぞー」なんて涼しい顔でほざいてた木吉も!この屈辱を味わったのか。否、オレが味わわせてやったのか。もっと見舞いとか行っときゃ良かった…ヤベー。なんかコーフンしてきた。

2015-05-04 23:15:02
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「大丈夫です、使い方はこれから僕が教えますんで!」 「ありがとうございます…(何も大丈夫じゃねぇよ)」 勘違いするなよ。別に期待してたワケじゃねぇが…看護師なんて9割は女なのに、なんでよりによって男が担当なんだよ!

2015-05-04 23:10:07

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意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

隣のベッドのジジイはリハビリ。看護師は暫く来ねぇ。きたぜ! トイレのチャンス! 尿瓶にさっきババア(就職先の偽装がバレてクソ怒られた)が買ってきた午後ティーのレモンを注ぐ。ベッドから降りて、車椅子が備え付けてある壁まで蜘蛛のように這っていく。折り畳まれたそれを開こうと手をかけた。

2015-05-25 13:00:17
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「ぎゃんッ!」 車椅子は上手く開かず、強く引っぱりすぎたのか、折り畳まれたまま倒れてきやがった。体が下敷きになる。重い。背骨痛ぇ。腹這いの状態じゃどかせねぇ。何か、何か使えるもん…! 周りを見回すと視界に来客用の深緑のスリッパが映った。 「…なにアザラシみたいにビチビチしよんの」

2015-05-25 13:05:03
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「そこで花宮のおばさんに会うたで。十年前から変らんままやなぁ。これ渡し忘れやって。預かっ…「クソババアの話なんざどーでもいいいから手ェ貸せよ! 見えてんのかその糸目!(びちびち」 顔面を踏まれ、邪悪な笑みに見下された。 「口のきき方に気ぃつけ? 誰のおかげで今生きとると思ってん」

2015-05-25 13:10:11
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「海から引き上げてやったのもワシ。ホンマ重いし寒いし大変やったで。手術の連帯保証人になってやったのもワシ。2人必要なん知っとる? 寝とる間も清潔な服が着れてたのもワシが洗濯してやったから」 つま先を顎に引っかけられ上を向かせられた。 「トイレに連れてってくださいお兄様、やろ?」

2015-05-25 13:15:07
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「べ、別に便所なんか行きたくねぇよ!(びちびち」 「じゃあ、車椅子でどこ行こうとしてたん?」 「喫煙所に行ってやろうと思っただけだ、バァカ」 今吉がニヤニヤ笑いながら袋からオレの勝負パンツ(カカオ柄)を摘んで取り出した。 「おもろい柄やなぁ…着替えはあるしワシはええで?」 「」

2015-05-25 13:20:06
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

八方ふさがりだ。どの選択肢を選んでもオレの人間としての尊厳は失われる…! 「…ださい」 「ん〜? 聞こえんなぁ〜?」 クソォオオオ!! 「っ……トイレに…連れてって……くださいお兄様!!」 死にたい。やっぱあのとき海に沈んどきゃ良かった。 この人ほど性格悪い人間をオレは知らない。

2015-05-25 13:25:05
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「よぉできました。花宮はお利口さんやなぁ」 今吉は一層笑みを深めながら車椅子をどかした。死にたいと思ったけどやっぱ違ぇわ。オレは死にたくない。お前が死ね! 「はいはい、ふて寝されても動かせへんから。つかまり」 首に腕を回すと多分目が合った。 「頼むから、あんま心配かけんといてや」

2015-05-25 13:30:21
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「ほな、いくで」 今吉の肩口に眉を埋めると体が浮いた。 「よっこい翔一!!」 「ぶはっ! オヤジ臭っ」 「重い重い! 動くな、アホ!」 「ムリっ…クソ、こんなつまんねぇギャグで…ふははっ」 縫い包みでも置くみてぇにポンっと車椅子に乗せられた。 「案外持てるもんやな。わははっ」

2015-05-25 13:35:06

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意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

今吉に車椅子を押され廊下を進む。自分で車輪を回すより早くてムカつく。 「また来たんですか」 「妹の見舞いにな」 「誰が妹だ。ブラック企業は普通に休みも取れねぇのかよ」 「しゃーないやろ。毎日、新聞は出るんやから。お前のせいで有給霧散したわ…どーしてくれるん」 「ふはっ、いい気味」

2015-05-25 13:40:08
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「スマンの。意識戻ってから来れんで」 「別に。古橋とかバカみてぇに来たし」 「…まだ歩けんの」 「両脚逝ったからな。松葉杖使えねぇし、完全にくっ付くまで歩くな、だとよ。骨の再生力で身長伸びるかもな。ふはっ、楽しみだぜ」 「アホちゃうw なんや心配してたのアホらしゅうなってきたわ」

2015-05-25 13:45:05
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「ちゅーか、小便なんてどこででもやったらええやろ」 「はぁ!? いいワケねぇだろ!」 個室の引き戸に手をかけると上から制された。 「ええやん。ワシも若いねーちゃんに●の世話されたいわ〜」 「キモっ。いちいち言動がオヤジくせぇんだよ!」 「オマエがいちいち思春期の女子みたいやねん」

2015-05-25 13:50:09
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

多機能トイレの便座に座らせられた。さっきは爆笑してたからいーけど素面だとむず痒い。 「まことくん、一人でパンツ下ろせるか〜?」 「一人でできるに決まってんだろバカ! さっさと出てけ!」 「ほな、ごゆっくり〜」 今吉は心底愉快そうにスライド式の戸を閉めた。すっかりいつものペースだ。

2015-05-25 13:55:07
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

@8 ふぅ… 座りションもコレで何度めか… 人間としての尊厳以前に男としての矜恃っつーもんが…ハァ。

2015-05-25 14:00:10

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意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

トントン、と何者かがトイレのドアをノックした。どーせ今吉だろ。ムシムシ。待たせてやろ。黙りを決め込んでいると外の人物が声を発した。 「どうも」 その一言で、扉が迫ってきたような、広々とした個室が急に狭くなったように感じた。何だ、この威圧感。下着を上げようとしていた手が震える。

2015-05-25 14:05:08
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

アイサツされたからには返さねぇと。古事記にもそう書いてある。だが、クソッ…声帯まで萎縮してやがるっ…! (ざわ…) 相手の声には聞き覚えがあった。インタビューを視たことがある。 (ざわ…ざわ…) 「せがれが世話になったね」  赤 司 征 臣 降 臨

2015-05-25 14:10:07
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

詰んだ。コレ後で今吉に無惨な姿で発見される展開だろ。つか、あの人どこ行ったんだよ! すーっと肉を切るように、戸の隙間から書類が入ったクリアファイルが差し込まれた。“採用内定通知”…ハァ!? 負けたつってきたんですけど!? 「内定者面談を始めよう」 あっ、拉致されるパターンか。

2015-05-25 14:15:04
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

まさか、トイレの個室で・寝間着で・下半身を露出した状態で、世界的経営者赤司征臣と内定者面談するハメになるとはなっ…花子さん仕事しろ。 絶望的状況に頭を抱えていると、ゴンゴン、と些か乱暴にドアを叩く音がした。 「花宮さん、トイレ長いけど大丈夫ですかー?」 花k…今吉さんがきた!!

2015-05-25 14:20:19
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「そちらさん、お見舞いの方ですか?」 「今、私が話したいのは彼だけだ。悪いが君は外してもらっていいかね。(ゴゴゴゴゴ」 「すんません、花宮さん今から夕方まで検査なんですわ。また来てもらえます?」 ドア越しでも凄まじい気迫を感じる。よく平気でハッタリかませんな。さすがです、お兄様。

2015-05-25 14:25:05
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「ならばいい。今日のところは挨拶だけだ」 わざわざ脅しに来たのか? 「意思を確認するつもりだったが、必要ないと分かった。先日の所為は忘れてないようだからな。次は働くときに会おう。我が社の採用計画は絶対…」 落ち着くにつれ、じわじわくる。 「逆らう者は子でも殺す」 似すぎだろ!!

2015-05-25 14:30:08
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

赤司(父)の足音が遠ざかっていくにつれ、張りつめた空気が解れていく。 「行った…みたいやな。検診言うた手前ベッドにおんのも変やし屋上で時間潰そか。花宮、開けてや〜」 この人は何でヘーキそうなんだよ。本当に人か? 「は、ハイ…(ハッ」 開ボタンを押す前に急いで下着を履いた。危ねぇ。

2015-05-25 14:35:03