文学フリマ大阪の翌日は、京都の舞鶴……は遠過ぎたので夜中になって予定を変更、滋賀県の近江八幡へ。難波のカプセルホテルを出立して地下鉄御堂筋線で大阪駅、そこから新快速で草津駅、そして鈍行に乗り換えて近江八幡駅へ。 twitter.com/lousism/status… pic.twitter.com/j8kdnQqJL9
2022-10-01 13:17:30お、駅でレンタサクイル貸し出してる! ということで今回は自転車で観光。近江八幡にはヴォーリズ建築なるものが点在しているらしく、折角自転車を獲得したので積極的に拾っていこうと思う。先ず一つ目の近江金田教会。途中で八幡神社に立ち寄りつつ、二つ目の八幡商業高校はどうやら工事中。 pic.twitter.com/RdxoJu5rYT
2022-10-01 13:32:40入手したサイクリングコースの地図を頼りに出町通りを直進。木造建築が増えてきて段々と雰囲気が出てきた。途中で折れてアンドリューズ記念館へ。付近には近江八幡教会と地塩寮もある。どうやらこのオレンジとベージュを基調とした、きちっとした面構えの洋風建築がヴォーリズ建築の特徴のようだ。 pic.twitter.com/zDb44PA6vI
2022-10-01 13:44:16そして旧八幡郵便局。独特のデザインが眼を引く建造物だ。そして次のヴォーリズ建築を探して横道に逸れて……僕はようやく、自分が入手したサイクリングコースの地図の罠に気付いてしまった。 近江八幡の最大の特徴とは、八幡山の八幡城、その城下町として整備された碁盤目状の整然とした区画である。 twitter.com/lousism/status… pic.twitter.com/mzJS2H4gsQ
2022-10-01 13:54:24整然とした碁盤目状の区画と、そこに残された(或いは再現された)木造建築群の景観。これはとても見応えのあるものなのだが、通りが幾つも並行しているので観光ルートを定めにくい。そして今回入手したサイクリングコースの地図には、コース外の区画に関する情報がまるで記載されてなかったのである! pic.twitter.com/8CbJm5tB3v
2022-10-01 14:00:40こちらの巨大な建造物がヴォーリズ学園(近江兄弟社学園)で、この構内にハイド記念館があるはずなのだけど外からは判然としない。近くにヴォーリズ記念館があったのだけど発見出来ず(それっぽい別の民家の写真を撮ってた)改めてGoogle Mapで確認したところ、どうも路地一本向こう側だったようだ…… pic.twitter.com/WFLulGeXei
2022-10-01 14:12:40ちゃんとした地図を持たないまま碁盤目状の区画に見事に翻弄される観光客である。木造建築が建ち並んでいて風光明媚ではあるのだが、自分のいる場所が上手く把握出来ない。ただ遠く八幡山だけが方角を教えてくれる。想像以上に気温が上がって汗が流れる。それにどうにも工事現場によく遭遇する日だ。 twitter.com/lousism/status… pic.twitter.com/cXk4TeIMzB
2022-10-01 14:19:37近江八幡は近江商人が活躍した商業都市であり、新町通り、永原町通り、八幡堀沿いの町並み、日牟禮八幡宮境内が近世建築の景観を残した近江八幡市八幡伝統的建造物群保存地区として保護されている。こちらは伴伝兵衛宅址。受付のおじさん曰く、当時の商家としては珍しく三階建ての構造になっている。 pic.twitter.com/6VIbVNQnIv
2022-10-01 14:35:15因みにかつては役場や学校、図書館などとして利用されていたとのこと。江戸時代の商家の木造建築物でありながら、公共施設として転用出来るだけの規模を持った建造物であったということでもある。 pic.twitter.com/ZPw1dIcjH2
2022-10-01 14:44:09伴伝兵衛宅址、歴史民俗資料館、森五郎兵衛邸、そして重要文化財の旧西川家住宅が建ち並ぶ新町通りはまさに近江八幡の最重要スポット……なのだけど! 旧西川家住宅は月曜日は休館! 更に大規模な修復工事のため、青空をつんざくようにでっかい工事車両が! うーん、相変わらず間が悪いなぁ…… twitter.com/lousism/status… pic.twitter.com/U33VzEK1zX
2022-10-01 14:53:52情報量が多いのだ。そう、近江八幡は想像以上に視覚的な情報量が多い。江戸時代からの木造建築を保存した街並み、近代西洋建築のヴォーリズ建築、遠く八幡山から突き出るロープウェイ乗り場と思わしき建物……そして、恐らくこの景観を守る一貫でもあるのだろう、わりとあちこちで遭遇する工事現場。 pic.twitter.com/nsfpPlRpEt
2022-10-01 14:59:32ウィリアム・メレル・ヴォーリズ氏は近江八幡を拠点にした建築家・事業家・キリスト教伝道者。医薬品メーカー近江兄弟社(メンソレータムの販売権を獲得して国内に広め、現在はメンタームを主力商品とする。キリスト教の信仰に基づいた社業が特徴)の創立者の一人でもある。やはり情報量が多い…… pic.twitter.com/CIV5TqkyJ1
2022-10-01 15:13:47さて、近江八幡はまだ始まったばかり。ヴォーリズ像から西川近江八幡店前を通り過ぎ、日牟禮八幡宮の鳥居の真向かいにあるのが白雲館。西洋建築だけどこれはヴォーリズ建築ではなく、地域住民の支援で建てられた旧八幡東学校。現在は観光案内所及び市民ギャラリー。うーんやはり情報量が多い。 twitter.com/lousism/status… pic.twitter.com/zaajJqbnja
2022-10-01 15:24:16そして近江八幡の地名となった日牟禮八幡宮(ひむれはちまんぐう)と、今回の一番の目的地だった八幡堀である。 pic.twitter.com/9gZFQAlSFd
2022-10-01 15:28:11八幡山ロープウェイに乗る。八幡山にはかつて豊臣秀次の居城、八幡山城(近江八幡城)が築かれ、現在は秀次の菩提寺である瑞龍寺が置かれている。戦国時代に築かれた山城跡ということで、ロープウェイで登るぐらいの高さに分厚く石垣が積まれている。まさに要塞である。 twitter.com/lousism/status… pic.twitter.com/J8a2fmQEIx
2022-10-01 15:43:56八幡山自体は琵琶湖と並行に縦長に伸びており、山城があるのはその南端部分。ロープウェイの山頂駅と展望台があるあたりが二ノ丸、瑞龍寺があるあたりが本丸で、さらに琵琶湖方面に北の丸、西の丸、出丸がある。 pic.twitter.com/Au4mBWupin
2022-10-01 16:02:56これが出丸からの眺め。270°の眺望という文句は伊達ではなく、やたら目立つヴォーリズ学園の校舎から、整然とした近江八幡の碁盤目状の区画、広大な田園風景、そして琵琶湖沿岸部の壮大なパノラマを望むことが出来る。どうやら都市部と琵琶湖にはそれなりの距離があって、沿岸部はわりと田圃ばかりだ。 twitter.com/lousism/status… pic.twitter.com/ATk9qF1iJO
2022-10-01 16:15:27ロープウェイで下山して、八幡堀を徒歩で探索。堀であると同時に琵琶湖に通じる運河であり、水運の流通拠点として城下町の発展に大きく貢献した。現在も沿岸部の景観が保存されていて、船着き場から観光用の定期便が運航している。 pic.twitter.com/xZ3UNQg9hX
2022-10-01 16:25:11行き止まりに迷い込んで逆戻り。今回の旅は折角自転車を借りて速度を飛ばしてるはずなのに、どうにも無駄が多くて効率が悪い。うーむ、やはり情報量の多さに惑わされている。 twitter.com/lousism/status… pic.twitter.com/uWFHOdKD8k
2022-10-01 16:39:29更に八幡堀の風景。さて、ここからの行程には幾つか候補があった。サイクリングコースの地図に従って西の湖を目指すルート。或いは琵琶湖方面に向かって長命寺を目指すルート。ただしどちらも手持ちの地図が曖昧で道に迷う可能性があり、何よりも時間的に多賀大社は諦めねばならなくなる。 pic.twitter.com/66cTD1hmJ2
2022-10-01 16:48:04西の湖まで向かうならいっそ安土方面まで出ようか……長命寺まで遠出するなら沖島まで気になるし……と散々悩みに悩んだ結果、いや、安土や沖島はもう次の機会に本腰を入れて回ろう、今日は八幡堀と多賀大社だ! と決意。八幡宮の駐車場に停めていた自転車まで戻り、八幡堀を下流方面に降りていく。 pic.twitter.com/bbzG0vKJVu
2022-10-01 16:57:21八幡堀は戦後になると流通路としての役目を終え、水質は悪化して著しく荒廃、埋め立て計画すら持ち上がっていたという。そこから市民による保存運動や清掃事業が活発に行われ、現在では重要文化的景観(近江八幡の水郷)に指定されるまでに回復した。時代劇のロケ地にもなっているそうな。 twitter.com/lousism/status… pic.twitter.com/38Mz0im6gd
2022-10-01 17:15:48八幡山からの眺望で、ずっと気になっている場所があった。八幡堀沿いから碁盤目の最も果ての通りに折れ、佛光寺八幡別院の境内に入り(この強引にトタン屋根が増築された建物は何だろう……?)その裏手に回ると……これだ。この謎の岩肌が不自然に剥き出しになった山である。これは一体何だろう…… pic.twitter.com/rJC91MBIEl
2022-10-01 17:24:20石切場だろうか……? この沼地は……向こうに見える煙突は……? ここまで近付いても何も分からない。ただ立入禁止になっていて茂みに覆い尽くされただけの得体の知れない場所。煙突については、赤煉瓦の郷という介護施設内に残された旧中川煉瓦製作所の煙突らしいけど、山の情報は全然出てこない…… pic.twitter.com/autxODnwhM
2022-10-01 17:41:23さて、碁盤目状の区画は、観光するにはルートを定めにくい一方で、駅まで帰るうえでは非常に分かりやすい。このまま自転車で駅まで直行! ……と言いたいところだけど、先程の謎の山沿いには寺院、謎の赤煉瓦の建物、そして如何にも登らねばならない階段……どうしても寄り道が増えていく…… twitter.com/lousism/status… pic.twitter.com/3GZOXkhlQB
2022-10-01 17:45:11急勾配の階段を登った先にあるのが願成就寺。どうもこの御寺の境内がある場所は「観音山」と説明されている。ならばここは観音山なのだろうか……観音山で検索しても全然引っ掛からないのだけど……再び平地に降りて、本願寺八幡別院。とても立派な御寺だけど別院ってのはどういう意味なんだろう…… pic.twitter.com/rsEnyQKrmA
2022-10-01 17:54:06そして最後のヴォーリズ建築。池田町洋風住宅街。建築群となってるので複数の建築を含んでいる。門の正面にあるのがウォーターハウス記念館。後で調べたところ、その隣にある青っぽい洋風建築が吉田悦蔵邸で、そして煉瓦塀の向こうにあった横長の建物がダブルハウスというらしい。 pic.twitter.com/8pVSllv8b4
2022-10-01 18:15:23近江八幡市立八幡小学校手前から小幡町通りに出て、あとはひたすら直進すれば近江八幡駅に戻ってくる。因みに小幡町通りは途中でぶーめらん通りと名前が変わるらしくて、なんでぶーめらん? と首を傾げていたのだけど、途中でくの字型に折れてるからだとついさっきGoogle Mapを見ながら理解した。 twitter.com/lousism/status… pic.twitter.com/IxvFxKf0US
2022-10-01 18:24:18さて、午後三時、丁度いい時間に近江八幡駅に到着してレンタサクイルを返却。JRで彦根駅に向かい、そこから近江鉄道に乗り換え。近江八幡駅にも近江鉄道の八日市線が走ってるのだけど、多賀大社前駅までは彦根経由のほうが早いらしい。おお、このレトロな車体、車内発券機に料金箱。ローカル線だ……! pic.twitter.com/QYbzPcRTSS
2022-10-01 18:31:30車両内はがらがらだったけど、沿線に学校があるらしくて途中で学生達が一気に乗り込んできて途端にごった返す。高宮駅で多賀線に乗り換える。高宮駅からはたった二駅しかない、いわゆる盲腸線だ。因みに多賀大社前駅ともう一つはスクリーン駅(SCREENホールディングス彦根事業所の敷地内直結)である。 pic.twitter.com/BXCMePAVLc
2022-10-01 18:48:33ここで思わぬ緊急事態発生。彦根駅の券売機で往復切符を買ったのだけど、実は行きの切符と帰りの切符の二枚が出ていたはずが、行きの切符しか取っていなかったのだ。田舎産まれのくせにローカル線に慣れていない……! 車掌さんが御厚意で彦根駅に電話して対応してくれた。お手数お掛けしました。 twitter.com/lousism/status… pic.twitter.com/N9wpJCw6dw
2022-10-01 18:54:02多賀大社への参道は絵馬通りというらしい。お、軒下に絵馬が飾られている。 pic.twitter.com/vqQWb4tBO6
2022-10-01 18:56:23時期も時間帯も過ぎているのだろう、人気の少ない参道をゆっくりと歩く。近江八幡同様に木造建築が建ち並ぶ風光明媚な景観だ。重要文化財の阿弥陀如来座像が安置されてるお堂があって、堂内拝観も出来たのだけど「インターフォンを押してください」に怯えて断念してしまった。全く持って小心者だ。 pic.twitter.com/fwYoyj5DCS
2022-10-01 19:03:25そして多賀大社に到着。 twitter.com/lousism/status… pic.twitter.com/RruPVuziUJ
2022-10-01 19:08:16多賀大社の社殿は、拝殿から向こうがかなり奥行きのある構造になっている。この奥行きは、ここを訪れた人間が勝手に近付いてはならない聖域の範囲でもあるのだ。そういえば日牟禮八幡宮は拝殿と本殿が分離していて、本殿を直接拝めたけど、拝殿と本殿の合間が自棄に狭かったのが気になった記憶がある。 pic.twitter.com/VUWPZbc1aW
2022-10-01 19:27:47流石にこの時間では奥書院庭園は断念。軽く境内を歩いて撤退。参道のお店もこの時間では開いてないし、周辺を深追いしてさらに探索するようか時間もない。しかし電車が来るまではまだ時間があるのだ。にょきっと飛び出た路線の果て、わざわざこんな場所まで遣って来たのに僕は時間を持て余し始める。 pic.twitter.com/TO6jUtziEa
2022-10-01 19:35:47多賀大社前駅には多賀大社しかない。終着した線路の後ろを通って向こう側に出ても、コンビニと学習塾と田舎の退屈な景色しかない。地元の若者達がコンビニの駐車場でお喋りしている。ここは果てだ。近江八幡は流通の拠点だった。近江商人が活躍し、あの濁った八幡堀は琵琶湖に通じて文物を運んでいた。 twitter.com/lousism/status… pic.twitter.com/uYWYAAFErw
2022-10-01 19:41:17近江八幡は情報量が多かった。八幡山の出丸からは広大な眺望が見渡せたけど、要はあれだけの眺望が必要な程に、様々な情報が左右から往来する土地だったのだ。ところで多賀大社前駅には、多賀大社以外の情報が全然ない。駅舎に駅員はいない。駅のホームへは素通りだ。ここにはきっと何も届かない。 pic.twitter.com/2h4KeldgMo
2022-10-01 19:49:32ここには神様がいる。けれど神様以外には何もない。神様以外には何もない土地だけど、学校が終わった学生達の一部は高宮駅で多賀線に乗り換えてここまで帰ってくるのだ。これが多分、僕が物語の土台とするべき景色。神様しかいない街の景色。濁った八幡堀は琵琶湖に流れ、多賀線はここで行き止まる。 pic.twitter.com/HXSXiXgcQH
2022-10-01 19:53:44さて、あとは近江鉄道に乗って(米原直通だったけど帰りの切符を失くして駅員さんに話をつけて貰っていたので)彦根駅まで、彦根駅からはJRで米原へ、そして米原で新幹線に乗り換えて関東まで。情報量の多い旅だった……創作の糧にはなりそうな旅でした。琵琶湖はもう一度しっかり回んなきゃな…… twitter.com/lousism/status… pic.twitter.com/mrQbBDrIPq
2022-10-01 20:00:04