なんやかんやあって江澄や師姐を養うために自ら性器を切り落として宦官になった魏嬰が、宦官は奸邪であり国家に巣食う蛆虫と教えられてきた官吏の藍湛(皇帝の教育係を務めるような名門出身)と宮廷で出会い、なんやかんやあって忘羨になるまでの妄想ツイ。魏嬰だけでなく藍啓仁も宦官になるので注意!!
6
前へ 1 ・・ 9 10 次へ
地獄のホテルにお熱なkirishima(🇮🇳🇨🇳沼と🇰🇷ミュ20↑shipper @hananinakuguis7

張り詰めた表情で黙りこくっている魏嬰を認めて、懐に手を入れる藍湛。「魏嬰、こちらを向いて」魏嬰が玉佩を吊るしている帯の穴に抹額を通して結びつけている甥を見ても眉一つ動かさない叔父と、藍氏の抹額はそれを身に着ける者と両親、伴侶以外は触れる事能わずと先生から聞いていたため固まる魏嬰。

2021-12-13 18:37:39
地獄のホテルにお熱なkirishima(🇮🇳🇨🇳沼と🇰🇷ミュ20↑shipper @hananinakuguis7

「一族が私の処遇を決めるまで預かって」「藍湛! こんな大事なもの、」「大事だから、君に身に着けてほしい」藍湛に見つめられ、魏嬰が頭を抱える。「問い質す者には藍忘機が手ずから結んだと」抹額を身内でも伴侶でもない己が佩玉と一緒に垂らすなんて先生が承知する訳ないと叔父上に視線を逃がす。

2021-12-13 21:10:17
地獄のホテルにお熱なkirishima(🇮🇳🇨🇳沼と🇰🇷ミュ20↑shipper @hananinakuguis7

「魏無羨、気が進まぬならそう言え。忘機も無理強いはせぬ」いやそういう問題か?! どうしちゃったんだよ先生?! と口をパクパクさせる魏嬰と素知らぬ顔の叔父上。「私や叔父上、他の者がどう思うかは気にしなくていい。嫌かそうでないかを聞かせて」焼き焦がすような熱視線に魏嬰が降参する。

2021-12-13 21:31:49
地獄のホテルにお熱なkirishima(🇮🇳🇨🇳沼と🇰🇷ミュ20↑shipper @hananinakuguis7

「嫌な訳ないだろッ! その、光栄だと思ってる…」「魏無羨、お前は情を示される度にこんな問答をしているのか? 意に染まぬ訳でもないなら当然の顔で受け取らぬか、お前はそれに値するのだから」「せ、先生~ッ! んむっ」じゃれつこうとした魏嬰の口に用意していた茶菓子を放って黙らせる叔父上。

2021-12-13 22:18:51
地獄のホテルにお熱なkirishima(🇮🇳🇨🇳沼と🇰🇷ミュ20↑shipper @hananinakuguis7

「忘機、事の次第を説明せよ」「はい、叔父上」魏嬰との関係を問われ、奸邪と交わりたいなら藍氏を去れと言われ、それに頷くと今度は頭を冷やせ、もう少し考えてから決めろと慰留された事を訥々と話しながら、顔を強張らせる知己に気づいた藍湛が緊張とぎこちなさを湛えた表情でそっと魏嬰の肩を抱く。

2021-12-14 00:38:09
地獄のホテルにお熱なkirishima(🇮🇳🇨🇳沼と🇰🇷ミュ20↑shipper @hananinakuguis7

「一族がすまない。お前に何一つ咎はないのに奸邪等と、」「馬鹿ッ、そんなのどうだっていい! 俺は…お前が俺のために罰を受けるのがやりきれないだけだ!」「お前は私に掟を守るのはいいが、その虜にはなるなと言った。魏嬰のためなら掟破りも罰されるのも悪くない。そんなふうに思う私は好かぬか」

2021-12-14 11:35:02
地獄のホテルにお熱なkirishima(🇮🇳🇨🇳沼と🇰🇷ミュ20↑shipper @hananinakuguis7

「俺がお前を嫌うなんて事ある訳ないだろ?! そうじゃなくて…」「はっきり言わぬか、魏無羨。忘機が陛下の御怒りを買ったならともかく、一族と揉めたごときで何をそこまで不安がる」「先生ッ、洒落にならない事言わないでくれ! っていうか本当にいいのかよ…命を惜しまず名を惜しむのが藍氏だろ」

2021-12-14 11:48:34
地獄のホテルにお熱なkirishima(🇮🇳🇨🇳沼と🇰🇷ミュ20↑shipper @hananinakuguis7

「…これが姓を失うのは胸が痛むというなら、お前が新たに与えればよかろう」「? …はあッ?!」驚きにのけぞる魏嬰が卓を蹴とばす事がないよう抱きしめる藍湛に測るような眼差しを投げかける叔父上。「忘機、次に長老連中が除名を盾にお前に翻意を迫ってきたら、魏姓を名乗るだけだと言ってやれ」

2021-12-14 12:27:40
地獄のホテルにお熱なkirishima(🇮🇳🇨🇳沼と🇰🇷ミュ20↑shipper @hananinakuguis7

「叔父上、彼の承諾もなくそのような…」「それもそうか。魏無羨、」「いや俺の許しとかそういう問題か?! 藍湛がそうしたいってんなら否やはないけど!」「お前と同じ姓になるのも楽しかろうと思う」「お前ってやつは…藍氏の邸を追い出されたらうちに来い。陛下や殿下には許しをもらっておくから」

2021-12-14 16:24:02
地獄のホテルにお熱なkirishima(🇮🇳🇨🇳沼と🇰🇷ミュ20↑shipper @hananinakuguis7

「…うん」髪を括っていた赤い紐を魏嬰がおもむろにほどき、藍湛に差し出す。「これは両親の形見なんだ。物心ついた時からずっとつけてたやつだけど、お前に持っていてほしい」ぱちぱちと目を瞬かせたあと、ほんのりと口元を綻ばせ、髪をまとめていた雪藍の髪紐を抜き取る藍湛。「なら代わりにこれを」

2021-12-14 17:27:21
地獄のホテルにお熱なkirishima(🇮🇳🇨🇳沼と🇰🇷ミュ20↑shipper @hananinakuguis7

「ふはっこれじゃ交換だな! 藍湛の髪は俺が結んでやるから、俺のはお前がやってくれよ」魏嬰の髪を結ぶ甥の瞳でちりちりと爆ぜる思慕の炎、朱に染まる耳たぶを見て危機感を抱く叔父上。自覚がないうちからこれでは忘機が此処に駆け込み、共に暮らし始めるようになってからが思いやられる。藍氏の男の

2021-12-14 17:52:50
地獄のホテルにお熱なkirishima(🇮🇳🇨🇳沼と🇰🇷ミュ20↑shipper @hananinakuguis7

呪いともいえる悪癖、"己の心を奪った者を攫って隠す"が万が一にも発動せぬよう気をつけなければ…。とりあえず温情に、と思ったところで皇帝&皇太子(聶兄弟)、副官、江晩吟も詳細を知りたがるに違いないと頭痛を覚える叔父上、魏嬰を気にかける者が一堂に会して話し合う席を設ける事を心に決める。

2021-12-14 18:00:31
地獄のホテルにお熱なkirishima(🇮🇳🇨🇳沼と🇰🇷ミュ20↑shipper @hananinakuguis7

数日後、皇帝と皇太子が人払いをした執務室で、温姉弟、江澄、魏嬰の副官、叔父上が一堂に会する。「藍啓仁よ、魏無羨の事で相談したき儀とは何だ。長ったらしい前口上は省いて、疾く本題に入るがよい」「魏兄と関わりが深い者たちを集めて知らせたい事って何ですか、先生。嫌な予感がするんですが~」

2021-12-15 14:46:32
地獄のホテルにお熱なkirishima(🇮🇳🇨🇳沼と🇰🇷ミュ20↑shipper @hananinakuguis7

扇をぱっと開いて口許を隠す皇太子懐桑、その隣で玉座に肘をつく皇帝明玦、義兄の身にまたしても厄介ごとがと眉間に皺を寄せる江澄、氷柱のように瞳を鋭くする副官、なんとなく内容を察して顔を見合わせる温姉弟を前に言葉を絞り出す叔父上。「まだ自覚こそないものの、忘機はあれに恋をしています」

2021-12-15 15:05:37
地獄のホテルにお熱なkirishima(🇮🇳🇨🇳沼と🇰🇷ミュ20↑shipper @hananinakuguis7

木仏金仏石仏と同列に挙げられ、霞と礼を食んで生きると評判の藍氏が人間のように恋をして、しかも相手は師兄だと?! と驚愕を露にしたものの、一気に重くなった空気に首を傾げる江澄。「甥御の恋は貴殿にとっては驚天動地かもしれぬが、陛下や殿下にご報告申し上げるような大事とは言えぬのでは…」

2021-12-15 15:19:02
地獄のホテルにお熱なkirishima(🇮🇳🇨🇳沼と🇰🇷ミュ20↑shipper @hananinakuguis7

「江殿は藍氏というものをわかっておらぬ…! 彼らは普段こそ雅正の見本で四角四面という言葉が人のかたちをとったような者たちだが、一度恋に落ちたが最後、いかなる障害も腕づくでねじ伏せ、相手を夷狄のように攫い、竜のように己の巣穴に隠す事さえあるのですぞ」いきり立つ副官にたじたじの江澄。

2021-12-15 15:49:04
地獄のホテルにお熱なkirishima(🇮🇳🇨🇳沼と🇰🇷ミュ20↑shipper @hananinakuguis7

「任官して日が浅い江殿がご存じないのも無理ないわ。姑蘇藍氏は生涯に一度しか恋をせず、恋に落ちる事自体がそもそも稀な一族なの。そうよね、先生?」「…そのとおりだ」苦り切った顔の藍啓仁を鼻を鳴らす聶兄。「新米官吏が何の気なしに藍氏の者になれそめを聞き、座を凍らせるのはもはや風物詩よ。

2021-12-15 16:01:38
地獄のホテルにお熱なkirishima(🇮🇳🇨🇳沼と🇰🇷ミュ20↑shipper @hananinakuguis7

最近耳にしたものなど恋物語というよりもはや軍記物に近かったぞ。気まずい思いをする前に知れてよかったではないか」「居心地の悪い思いをすべきは周囲じゃなくて蛮族よろしく嫁とりしてる方なんですけど、恋の病に冒された藍氏に道理を説くだけ無駄ですし~」「陛下、藍公子には元帥が然るべき相手を

2021-12-15 16:44:14
地獄のホテルにお熱なkirishima(🇮🇳🇨🇳沼と🇰🇷ミュ20↑shipper @hananinakuguis7

見つけるまで辺境で過ごしていただくのは如何でしょう」「副官殿、状元を勝ち得、次の礼部尚書の呼び声高い藍忘機に国境警備をさせようというのは、流石に無茶が過ぎるのでは…?」「恋に狂った藍氏など暴れる象と大差はない。江殿は元帥と会えなくなっても構わぬと?」「…陛下、藍公子の配置換えを」

2021-12-15 17:14:06
地獄のホテルにお熱なkirishima(🇮🇳🇨🇳沼と🇰🇷ミュ20↑shipper @hananinakuguis7

顎に手を当て思案するそぶりを見せる聶兄に顔を引きつらせる叔父上。「江公子も副官殿も落ち着いて…こうして皆を集めたという事は、先生には何かお考えがあるんですよね?」微笑む温寧に水を向けられ、藍啓仁が気を取り直して咳ばらいする。「恋する藍氏は意志ある火薬も同じ、辺境に流すのは下策だ」

2021-12-15 19:20:45
地獄のホテルにお熱なkirishima(🇮🇳🇨🇳沼と🇰🇷ミュ20↑shipper @hananinakuguis7

片手で扇を閉じた懐桑が下唇に指を当て、首をこくんと傾ける。「その心は~?」「辺境行きを命じれば忘機は否が応でも恋を自覚し、別離の恐怖で早まった行動をとりかねぬ…否、十中八九とるでしょう。藍氏の男が想い人を攫うのは祝福されぬためであり、隠すのは己にはそれができるという驕りがある故」

2021-12-15 19:58:18
地獄のホテルにお熱なkirishima(🇮🇳🇨🇳沼と🇰🇷ミュ20↑shipper @hananinakuguis7

「ならどうするのが上策だと? 仲を認めても隠したって話、ちらほら聞きますけど~」「そんな…君子どころか賊ではないですかッ」恋でバグった同族たちのふるまいを思い出し、ドン引きを露にする江澄から目をそらす藍先生。「隠しても想う人の心を独占する事はできぬと、思い知らせる事が肝要かと」

2021-12-15 21:49:11
地獄のホテルにお熱なkirishima(🇮🇳🇨🇳沼と🇰🇷ミュ20↑shipper @hananinakuguis7

「なるほど…獣を飼いならすように力の差を教えてやればいいのだな」口の端を吊り上げて覇下をなぜる皇帝聶兄に拱手する副官。「陛下、その折は私も同席させていただきたく」小首を傾げる皇太子懐桑。「う~ん、藍氏相手だと逆効果な気が…。叶わないとなればそれこそ攫って隠そうとするのでは~?」

2021-12-15 22:19:31
地獄のホテルにお熱なkirishima(🇮🇳🇨🇳沼と🇰🇷ミュ20↑shipper @hananinakuguis7

藍湛とそこそこ面識がある温姉弟や、恋する藍氏の数々の武勇伝を知らない江澄は、激烈な皇帝/皇太子/副官の反応に驚くし藍先生がそうした物言いに憤慨しない事にも驚く。「皇太子殿下の危惧はもっともです。痛みで藍氏は止められぬ。大事なのは此処にいる者たちがどれほど魏無羨の幸福にとって不可欠

2021-12-15 22:36:14
地獄のホテルにお熱なkirishima(🇮🇳🇨🇳沼と🇰🇷ミュ20↑shipper @hananinakuguis7

かを、忘機の心と頭に刷り込む事です。あれが藍氏の邸を飛び出し、魏無羨の房で寝起きするような事になった暁には、もう私に配慮して訪いを控えるようなお気遣いは御無用。陛下や殿下、副官殿には足繫く房に通っていただきたい」「藍先生の意図は理解しました。これで気兼ねなく遊びに行けますね~!」

2021-12-15 22:58:41
地獄のホテルにお熱なkirishima(🇮🇳🇨🇳沼と🇰🇷ミュ20↑shipper @hananinakuguis7

数日後、必要最小限の荷を背負った藍湛が不安げな顔で魏嬰の房の前に立つと、ぱたぱたと駆けてきた幼子が足に抱き着く。「藍湛、待ってたぞ! 阿苑、まずはご挨拶な」「銭哥哥~!! 藍氏でもお金持ちでもなくなったってほんと?!」「阿苑~! そこは今晩はって言うところだしそう教えたよな?!」

2021-12-16 10:47:45
地獄のホテルにお熱なkirishima(🇮🇳🇨🇳沼と🇰🇷ミュ20↑shipper @hananinakuguis7

「今晩は、阿苑。私はまだ藍氏だし、君の基準で言えばお金持ちだと思う」膝をついて阿苑に視線を合わせる藍湛。「家の者たちと喧嘩をして、羨哥哥を頼ってきたんだ。此処で君たちと共に暮らす事を許してほしい」「藍お兄ちゃん、お家でいじめられてるの?」ぱちぱちと瞬きをする阿苑に詰まる藍湛。

2021-12-16 13:53:05
地獄のホテルにお熱なkirishima(🇮🇳🇨🇳沼と🇰🇷ミュ20↑shipper @hananinakuguis7

「此処にいれば大丈夫だよ! みんなには見えないけどね、羨哥哥には翼があるの。だから困ってる人を抱えても重くないし、お空を飛んで逃げられるんだって。阿苑たちを守ってくれたみたいに、お金持ちお兄ちゃんの事もきっと助けてくれるから心配しないで!」自信満々に言い切る阿苑に魏嬰が頬をかく。

2021-12-16 14:33:36
地獄のホテルにお熱なkirishima(🇮🇳🇨🇳沼と🇰🇷ミュ20↑shipper @hananinakuguis7

「阿苑、翼の話はみんなには内緒って言ったろ?」「藍お兄ちゃんは特別だから秘密はなし!」「藍湛、すっかり気に入られたな。…なあ、忘れるなよ。お前が一言、此処を我が家にしたいと言えば、その瞬間に此処はお前の家になるし、共に暮らす皆や此処を訪う人々は俺を通してお前の第二の家族になる」

2021-12-16 15:17:02
地獄のホテルにお熱なkirishima(🇮🇳🇨🇳沼と🇰🇷ミュ20↑shipper @hananinakuguis7

「俺を選んで信じてくれた人々が集う、麗しの我が家へようこそ。どんな経緯であれお前を此処に迎えられる事、心からうれしく思う」宵闇に灯を点すように笑う魏嬰にひゅっと藍湛が息をのんだとき、老婆の声が響く。「阿苑、阿苑や~、どこにいるの? 戻っておいで」「おばあちゃん、阿苑はここだよ!」

2021-12-17 22:35:23
地獄のホテルにお熱なkirishima(🇮🇳🇨🇳沼と🇰🇷ミュ20↑shipper @hananinakuguis7

ぱっと顔を上げ、拙いながらも拱手の真似事をして得意げな顔をする阿苑。「藍お兄ちゃん、羨哥哥をよろしくね! 次はもっとたくさん遊ぼうね」「うん、約束だ。また明日、阿苑」「走るな、転ぶぞ!」「転んでも泣かない子は走ってもいいの!」軽やかに駆けていく阿苑に口元を綻ばせる藍湛の手を魏嬰が

2021-12-17 22:43:47
地獄のホテルにお熱なkirishima(🇮🇳🇨🇳沼と🇰🇷ミュ20↑shipper @hananinakuguis7

握って客間へと導く。「俺の小さな小カブちゃんは可愛いだろ? ま、この俺が産んだんだから当然だけどな!」「うん、魏嬰の子は可愛い。…カブとは不思議なあだ名だな。阿苑の好物か?」「とんでもない! 一時うんざりするほど毎日カブを食ったせいで、程度の差こそあれ此処の皆はあれが苦手なんだ」

2021-12-17 23:10:03
地獄のホテルにお熱なkirishima(🇮🇳🇨🇳沼と🇰🇷ミュ20↑shipper @hananinakuguis7

「では何故、子カブと…?」「う~ん、長くなるからその話はまた今度な! 藍湛、あわただしくてすまないが俺の大事な人たちがお前と話をしたがっていてな。まずは会ってくれるか」こくんと頷き、客間に足を踏み入れた藍湛は長椅子に並んで腰掛ける皇帝聶兄と皇太子懐桑、少し離れたところに座る副官と

2021-12-19 00:02:40
地獄のホテルにお熱なkirishima(🇮🇳🇨🇳沼と🇰🇷ミュ20↑shipper @hananinakuguis7

叔父上に瞠目。跪拝しようとする藍湛を手を振って止め魏嬰の頭をぐりぐりなぜる聶兄。「陛下、もっと壊れ物を扱うように、」「此処にいる時は天子ではなく、これの兄として接してくれればよい。よく来たな、藍忘機」「魏兄の愛する弟にして悪友の聶懐桑です~」「魏元帥の副官を務める蒙武と申します」

2021-12-19 00:32:44
地獄のホテルにお熱なkirishima(🇮🇳🇨🇳沼と🇰🇷ミュ20↑shipper @hananinakuguis7

魏嬰が皇帝の義弟にして皇太子の兄兼悪友…。落雷を受けた顔で固まる藍湛を鵜の目鷹の目で観察する副官。「宦官である元帥が陛下や皇太子殿下と身分を越えて義兄弟の契りを結んでいるのが、藍の若君には不思議と見える」「あっ、顔を伏せた! 藍忘機、さては私たちのなれそめを知りたいんですか~?」

2021-12-20 17:50:25
地獄のホテルにお熱なkirishima(🇮🇳🇨🇳沼と🇰🇷ミュ20↑shipper @hananinakuguis7

姫のように扇で顔を隠した懐桑に流し目を送られ、硬直する藍湛と顔をしかめる聶兄。「こら、科をつくるなッ! 全く、なれそめ等と男女の仲でもあるまいに…」「わっ見目といい物腰といい、人というより氷の彫像に近いものを感じてましたが、魏兄の事となると途端に無表情の濃淡が豊かになりますね~」

2021-12-20 21:45:21
地獄のホテルにお熱なkirishima(🇮🇳🇨🇳沼と🇰🇷ミュ20↑shipper @hananinakuguis7

ぱちん! と扇を閉じた懐桑がにっこり笑って胸を叩く。「お顔が素直で大変よろしい。ならば話してあげましょう。大哥、魏兄とのなれそめをどうぞ!」ぴっと扇子を向けられて目をむく聶兄。「どうしてそこで朕に振るのだッ! そこはお前が話すところであろうッ」顔を真っ赤にする聶兄に笑いをこらえ、

2021-12-20 22:06:02
地獄のホテルにお熱なkirishima(🇮🇳🇨🇳沼と🇰🇷ミュ20↑shipper @hananinakuguis7

懐桑が魏嬰に視線を投げると、心得たように魏嬰が上目遣いで陛下に迫る。「陛下は私と関係を持った事を恥じていらっしゃるのですか…?」目をこするふりをする魏嬰の手をとり、ぷんすこ怒ってみせる懐桑。「ともに一線を越えた相手を泣かせるなんて、偉丈夫の名が泣きますよ。大哥が陥落したのは魏兄が

2021-12-20 22:25:51
地獄のホテルにお熱なkirishima(🇮🇳🇨🇳沼と🇰🇷ミュ20↑shipper @hananinakuguis7

戸部と礼部を禁軍で包囲した時だっていうのは、ちゃあんとわかっているんです。なんせこの目で見ましたからね~」悪い笑みを隠さない懐桑に魏嬰がつくっていた科を投げ捨て、ぱっと驚きを露にする。「えっそうなのか?! っていうか聶兄、あの切迫した状況で周囲を見渡す余裕があるとは流石だな…」

2021-12-20 22:34:07
地獄のホテルにお熱なkirishima(🇮🇳🇨🇳沼と🇰🇷ミュ20↑shipper @hananinakuguis7

「あれは根も葉もない噂では…!」魏嬰と親交を持つようになり、彼が己の要求を通すために官庁を軍で威圧する等あり得ぬと断じていた藍湛。「真だが何か? 禁軍は名誉を重んずる。元帥の命に従った事を将兵は恥じておらぬ」「ごめんな…その、無茶な命令して」「職場で軍に囲まれる日が来るとはな…」

2021-12-21 13:36:44
地獄のホテルにお熱なkirishima(🇮🇳🇨🇳沼と🇰🇷ミュ20↑shipper @hananinakuguis7

「外が急に騒がしくなったと思ったら吏部尚書が駆けこんできて、魏無羨が宮中で兵を挙げましたって、あれは驚きましたね~! 当然、事前に相談は受けてるんだろうと大哥を見たら、当人は筆を取り落とす始末ですし」「朕の信任が目に見えるかたちでなくば宦官の身で禁軍元帥等務まらぬと言うから虎符を

2021-12-21 14:34:12
地獄のホテルにお熱なkirishima(🇮🇳🇨🇳沼と🇰🇷ミュ20↑shipper @hananinakuguis7

与えたのだ。それを使って外廷で兵を挙げるなぞ…しかも朕に一言もなく…」頭を抱えた聶兄から気まずそうに目をそらしていた魏嬰がやおら立ち上がる。「その、夕餉にはまだ早いがみんな小腹が空いてるだろうし、何かつまめるものを作ってくる!」ぱたぱたと出ていく魏嬰。「逃げたな」「逃げましたね」

2021-12-21 14:54:40
地獄のホテルにお熱なkirishima(🇮🇳🇨🇳沼と🇰🇷ミュ20↑shipper @hananinakuguis7

「そもそも何故魏嬰はそんな真似を…?」戸惑う藍湛に聶兄がため息をつく。「――朕のためだ。世継ぎは懐桑だと、その障害となる子を設ける気はないと初めて妃を娶った折から明言し、後宮の女たちには指一本ふれずに来たが、あるとき媚薬を盛られてな。ひと口で気づいた故、大事には至らなかったがいつ

2021-12-21 17:13:44
地獄のホテルにお熱なkirishima(🇮🇳🇨🇳沼と🇰🇷ミュ20↑shipper @hananinakuguis7

までこんな事を続けるのか、暗澹としていた時分にあれがこう言った――女たちが責められる事がないよう、懐桑への皇位継承を盤石にするための措置だと明らかにした上で、妃嬪たちに謝礼を与え、降嫁させるなり帰すなりして後宮を解体せよ、と」「そんな事が…」絶句する藍湛に苦笑する懐桑。「私を皇太子

2021-12-21 17:29:10
地獄のホテルにお熱なkirishima(🇮🇳🇨🇳沼と🇰🇷ミュ20↑shipper @hananinakuguis7

から外して大哥の子を世継ぎにするのがもっとも自然で理に適った事なのに、どうして今上陛下は父祖の例に倣わないのかと藍先生なんて火を噴く勢いで怒ってましたよね~。そこまでして継がせる器でもないっていうのが皆の共通見解だったのに、無位無官の魏兄がこんな提案をしたのがずっと不思議でした」

2021-12-21 17:52:46
地獄のホテルにお熱なkirishima(🇮🇳🇨🇳沼と🇰🇷ミュ20↑shipper @hananinakuguis7

「…玉座を欲しているわけでもない弟に、無理を通してまで冕冠を被らせようとするのは何故かと、あれに聞かれた。朕は、」聶兄が言葉を絞り出す。「古来より即位した甥が叔父を排除する例は枚挙にいとまがないというのにどうして子なぞつくれようと、朕亡き後は天子である事こそが懐桑を守ると言った」

2021-12-21 22:54:21
地獄のホテルにお熱なkirishima(🇮🇳🇨🇳沼と🇰🇷ミュ20↑shipper @hananinakuguis7

どうして皇帝が弟を世継ぎにする事にこだわったのか等、考えもしなかった藍啓仁は硬直し、懐桑が囁く。「魏兄はなんて?」「我らのために力を尽くすと答えた故、禁軍元帥になれと命じた」「それで火中に飛び込んだと…? 前任は正一品の妃たる娘こそ国母に相応しいと主張して憚らなかった。彼の後釜に

2021-12-22 00:32:15
地獄のホテルにお熱なkirishima(🇮🇳🇨🇳沼と🇰🇷ミュ20↑shipper @hananinakuguis7

座って後宮の解散に奔走するなんて刀の山を登るも同じなのに、どうして魏兄はそこまで…」「温氏残党を助けられたのはお前の策と朕への説得があればこそ、恩は返すと言っていた。…それに弟の健やかな未来のためならどんな事でもしてみせるという気持ちには覚えがあると」魏嬰が自ら性器を切断して宦官

2021-12-22 00:47:22
地獄のホテルにお熱なkirishima(🇮🇳🇨🇳沼と🇰🇷ミュ20↑shipper @hananinakuguis7

になった経緯を思い、しばし沈黙する一同。「…大哥はそれを信じたんですか?」「半信半疑であったな。朕は温氏の分家も宗主に歯向かわなかった以上は滅ぶべきだと考えていたがあれはお前に助けを求め、朕の意思を覆した。お前に取り入り利用する腹ではと疑う気持ちは常にあったが他に頼れる者もない」

2021-12-22 12:04:45
地獄のホテルにお熱なkirishima(🇮🇳🇨🇳沼と🇰🇷ミュ20↑shipper @hananinakuguis7

「大哥の願いを我儘と片づけず、我が身を危険に晒しててまで協力してくれるのって魏兄くらいですもんね。練兵場で彼の背に庇われた時、それがはっきりわかったからこそ私は策を授けたし骨折りしました。でも悲しいな~生まれた時から一緒なのに兄上は私が容易く誰かに篭絡されると思ってたんですね…」

2021-12-22 12:27:30
前へ 1 ・・ 9 10 次へ
6
まとめたひと
kirishimakagura(🇮🇳🇨🇳🇰🇷ドラとミュ好き20↑shipper @hananinakuguis7

虎に翼、RRR、hzbn、red book/銀河鉄道の夜(🇰🇷ミュ)マイディアミスター/ストーブリーグ、legally blonde/newsies/hamilton(Bway)山姥切長義にマウモア、魏無羨と温氏残党。マロmarshmallow-qa.com/kirishimakagur…