JIGSAWED-off（IDOFF/ID:INVADED）

終世終太郎 @tsuiyotsuitaro

#idinvaded #イド #イドインヴェイデッド #VSvirus #第1話 #ATX #月曜日18時30分から #水曜日朝10時から #金曜日深夜26時30分から #IDOFF #スピンオフのようなもの #世界観の繋がり不明 #JIGSAWEDoff #月曜は最初の三分の一 #非公式 　　　『JIGSAWED-off』

終世終太郎 @tsuiyotsuitaro

#idinvaded #イド #イドインヴェイデッド #VSvirus #第1話 #ATX #月曜日18時30分から #水曜日朝10時から #金曜日深夜26時30分から #IDOFF #スピンオフのようなもの #世界観の繋がり不明 #JIGSAWEDoff #月曜は最初の三分の一 #非公式 　　　　１

終世終太郎 @tsuiyotsuitaro

#idinvaded #イド #イドインヴェイデッド #VSvirus #JIGSAWEDoff #非公式 　待ち合わせた井の頭公園の中のお店にちょうどたどり着いたくらいで雨が降り始める。中に入るとすでに奏雨はテーブル席に座ってソーダを飲んでいる。顔色がペールで薄暗い店内だとよく見えない。

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「よう」 　と声をかけるとストローをくわえたままちょっと顔を上げて目をぱちっとやる。だから何だよその挨拶方法はよ。慣れてる俺にしかわからないだろ。 　まあいい。ともかくこの馬鹿に何かを突っ込んでも仕方がない。

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「雨？」 　と訊かれたけど 「うん？まだじゃねえ？」 　と適当に答えておく。

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「何で嘘つくの」 　と奏雨は窓の外の池の水面を顎で示す。そこには雨の紋がポツポツと咲いている。 　応えずに話を始める。

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昨日の夜、男が片足を切り落とされ殺されているのが見つかった。連続殺人鬼《足切り》の３番目の被害者と目されている。

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三人の被害者はいずれも拉致され、郊外の人の来ない廃屋の風呂場に手錠のようなもので拘束され、生きたまま片足をのこぎりで切り落とされた後で解放されるらしいが、片足で脱出しようとしている途中で死んでしまう。

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逃げた被害者を犯人が追いかけた痕跡もなく、どうやら犯人は足を切ったら風呂桶に溜めた水でノコギリを洗い、それを放置して立ち去るだけらしい。

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「思うに、」と俺は言う。「おそらく犯人は医療関係者か、医学に詳しい人間だと思う。片足の切断で起こる出血量とペースを周到に計算して殺害現場を選んでる。本当にギリギリ助からないような場所で、それは起こってるんだ。

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最初の被害者は足の切断後にそのまま立ち上がって逃げたらしい。けどその運動のせいもあって出血の量もペースも早くて廃屋を出て人通りのある場所までたどり着く手前で昏倒して、そこから動けずに死んでしまった。

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で、おそらくそのニュースを見たいたから二番目の被害者はまずは止血しようとベルトで足を縛り、自分のシャツを脱いでぐるぐる巻きにした。

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でも当たり前だけど映画みたいに上手くはいかなくて手こずってるうちに出血は続くし慌てて脈も上がれば出る血の量も増えるし、結局二番目の被害者は廃屋を出ることもできなかった。

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で先行する二人の被害者たちの顛末をニュースで知っていた三番目の被害者だが、止血の方法を改善しようと思ったんだろうな、廃屋の中のキッチンを探し出し、コンロに行った。

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そこで切断面を火であぶろうとしたんだろう。でもそこは廃屋だ。もちろんガスも電気も通ってねえ。で、次に家探しして火を起こせるものを探した。

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そのときの被害者の気持ちを思うとたまらないぜ。まっすぐ速攻で逃げ出した奴は人のところに辿り着けなかった。身近なもので止血を試みた奴はもたついて時間と血を無駄にした。

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自分は要領良くやるつもりだったのに頭からとんだポカをしでかして、でも他の方針に切り替えることもできずに挽回する手立てを必死に探すしかないんだもんな。でもそいつはある意味ラッキーで、ゴミの中からライターを見つけることができた。

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しかしそいつにはまだ見落としてることがあった。映画とかドラマみたいにジュー、ぐー熱い、くらいで済むような話じゃねえんだ。そいつは最初、ライターの火で直接切断面を焼こうとした。

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チロチロとしたちっちゃな炎だけど、火傷は同じように痛い。ぎゃー、ですぐ観念したらしくて、次にゴミに火をつけた。それなりに大きな火になったから気合を入れ直して、一気に焼こうとしてドーンと接断面を突っ込んだ。

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ところがそれは血塗れの足だったから、火はジュ、って消えちまったみたいなんだよな。その上ゴミの中にはプラスチックや薬剤が火で溶けていて、それが熱々のまま傷口に塗りたくられた具合になって被害者は悶絶だ。

終世終太郎 @tsuiyotsuitaro

朦朧とした意識の中で何度かゴミに火をつけて足を少しずつ焼いて、おそらく止血自体には成功しただろうに結局その場で失神し、消えなかったゴミの火が燃え広がってそのまま焼死だ。悲惨だよ。

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《足切り》がどこまでそれを計算したのかはわからない。が、被害者たちはどんどん酷い目に遭って……それも自分を勝手に酷い状態に追込むようにして死んでいる。

終世終太郎 @tsuiyotsuitaro

《足切り》を捕まえたいんだ。……何か、どうしたらいいか、どうやって考えたらいいか、教えてもらえることはないか？奏雨」 ＃月曜日の分終わり

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#idinvaded #イド #イドインヴェイデッド #VSvirus #第1話 #ATX #月曜日18時30分から #水曜日朝10時30分から #金曜日深夜26時30分から #IDOFF #スピンオフのようなもの #世界観の繋がり不明 #JIGSAWEDoff #水曜は次の三分の一 #非公式 　　　　　２

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奏雨が問う。 「人には想像力があると思う？」 「うん？」 　どういう文脈だ？

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「僕や君に、空想力があるかな？」 「あるだろ？」 　もちろんこの質問は《ない》と言いたいはずだ。果たして奏雨は言う。

終世終太郎 @tsuiyotsuitaro

「うーん、どこかの一部にはね、あるだろう。でもある程度さ。他の大勢についてはどうかな。僕が思うに、ほとんどの人間にあるのは想像力や空想力なんかじゃなくて、連想力だよ。頭に浮かぶ物事は単純なものにパターン化されてる。僕も君もね」

終世終太郎 @tsuiyotsuitaro

「どういう意味？……これ、事件と関連ある？」 「どうかな」 「どうかなって……」 「雨が降りだした。僕はこれを飲んでる。そしてここは井の頭公園だ。ここで昔有名な事件があったのを知ってる？」

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？どの事件だ？《有名な事件》と言われても、重要な事件はいくつもあるし俺は普段から事件を《有名無名》では区別しないが……でも一番最初に頭に思い浮かぶ事件名がある。 「バラバラのあれか」

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「うん。１９９４年のね。未解決で、時効も成立してしまった。で、その事件において、ここはいたましい現場だし、関係者が周辺にいるかもしれないし、心を痛めてる人もたくさんいるだろうからそれについて口に出して語るのはやめておこう。

終世終太郎 @tsuiyotsuitaro

犯人がこの店内にいないとも限らないわけだしね」 「……」 どうしてそんな古い事件を……？《足切り》の事件は《バラバラ殺人》なのだろうか？

終世終太郎 @tsuiyotsuitaro

違う、と直感的に思う。 《バラバラ殺人》は多くの場合、殺人の後に死体の解体が行われる。その目的は大きく三つに分かれる。一つ目は死体の廃棄や隠蔽のためだ。小さく細かくして隠したり運び出したり動物などに与えやすくする。

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二つ目は死者の解体に快楽を求めて。三つ目は解体された死者の公開。見せしめ、警察への挑発や扇動、あるいは《作品》としての展示などがこれにあたる。

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が、《足切り》の殺人はどれにも当たっていないだろう。足を切ったのは生きているうちだ。そもそも片足しか切っていないのをバラバラと表現するだろうか……？

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「君が今連想したことは全て僕の意図とは関係ない」 　と奏雨が言う。 「何じゃい」

終世終太郎 @tsuiyotsuitaro

したか。そりゃするだろこの文脈だと。 「僕が言いたかったのは、ここでかの有名事件のあった年、同様の事件が多発したのは知ってるよね？」

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「……ああ」 　１９９４年はいわゆるバラバラ殺人が十数件起こっている。

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「バラバラが警察捜査の撹乱や遅延に有効であることが報道などで明らかになって、おそらく真似されたんだろうね」 「……それも《連想》か？」

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「人間に想像力が本当にあるのなら死体の廃棄・隠蔽を解体に頼らないさ。何しろ解体作業は手間だよ？《もっといい方法ないかな》と考えるさ。それが自然じゃないか？

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ロープにくくりつけて真夜中に気球で運ぶとか大きなゴム紐に引っ掛けてパチンコみたいに飛ばすとか、色々やり方はあるだろう」

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後半の荒唐無稽な戯言は無視して考える。 「つまり、被害者たちは片足を切られてから自分がなすべきことについて、予め十分に想像できなかったと言ってるのか？」

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「うーん。まあそういう解釈でもいいんだけど、僕の真意はもうちょっと別にある。どうして一番目の被害者は傷の手当てをすることもなくただひたすら逃げ出したんだろう？」

終世終太郎 @tsuiyotsuitaro

「そりゃあ……」と言いながら考える。自分の足がちょん切られたら？「……痛いけど足が片っぽ残ってるんだ。ケンケンで走ってどうにかなると思うんじゃないか？ともかく犯人から離れたいのは普通だろう」