まぁてなわけで、本日は世界の歴史に残る感動作品「ET」が放送されたわけで、最新作・話題作だけでなく、時にはこのような往年の名作に触れるのもいいですねという話だったのですが、「ET」というと、外してはならないもう一つの伝説があります。 #ET
2020-10-02 22:57:22それこそ、人類史に残る大災厄「アタリショック」!! 当時世界のゲーム市場の8割を支配していたというアタリ社が、その繁栄におごりまくり、儲け優先で作り上げた「史上最大のクソゲー」でございます。 pic.twitter.com/JGmiu2mCse
2020-10-02 22:59:36当時のアタリは「出せば売れる」状態だったので、大ヒット作の「ET」の版権さえあればあとは楽勝と考え、予算も製作時間も、その大半を版権獲得の為に動き、無理やりクリスマス商戦に合わせるために間に合わせで作られたゲームは、そらもうひどいもんでした。 pic.twitter.com/RS1s91ESLG
2020-10-02 23:01:52しかも売れる自信だけはあったので、ろくな市場調査もデバックもせず、問屋や小売店には大量に在庫を押し付け、「いいの? ウチのいう事聞かねーともうおろしてやんねーよ」と高圧的な態度で挑み、500万本出荷。もはや「金を刷っている」状態だったわけです。 pic.twitter.com/ZaMJ8VGdpy
2020-10-02 23:06:12発売された「ET」はたしかに当初は売れ行き順調でした。しかし「おいこれクソだぞ」と知れ渡ります。ネットもなかった時代ですが、人の口コミは馬鹿にできません。 昭和の頃の日本でも、製作者が「よくクリアできたな」と言う「ドルアーガの塔」を仲間同士が情報交換し制覇したくらいです。 pic.twitter.com/eV6CG4xqJ9
2020-10-02 23:10:45売り上げは急速に下降。300万本以上が売れ残るという大惨事となります。しかしこれは、まだ序の口でした。クリスマス商戦に合わせて、多くのゲームメーカーが、大量のタイトルを発表しましたが、その多くが「なんでもいいから作れば売れる」と駄作の山でした。
2020-10-02 23:12:13他社の人気作品や、既存作品のシステムに、別のキャラをかぶせただけのような紛い物や模造品の山、しかもオリジナルより出来が悪い。そんな中で、本丸であるアタリのメインタイトルすらご覧の有様で、ユーザーは急速に「冷めて」しまいます。 pic.twitter.com/eWNdmrOs7a
2020-10-02 23:13:59発生した大量の売れ残りソフト、小売店は返品しようとしますが、「作りゃ売れる」と思っていたメーカーは、それを受け入れる用意が・・・正確には「返金の金」がありませんでした。そのため「引取拒否」が発生します。 ゲームソフトと言うなの不良債権が山ヅマれたのです。
2020-10-02 23:18:15大量の在庫を抱えてしまった小売店は、それでもなんとか少しでも利益回収しなければなりません。どうしたか? この売れ残った大量のクソゲーを、「それにふさわしい、買ってもいいかという価格」にするしかなかった。 全国一斉大ワゴンセールの開幕です。 pic.twitter.com/PylKsOdgkM
2020-10-02 23:20:16下げに下げられたこれらクソゲーの価格は、当時平均一本七千円(当時為替)に対して、5百円以下にまでなりました。それでもなお売れ残ったというのだから、租税乱雑がどこまで進んだかという話です。ですが、これでもなお、これでもなお、事態の前章でしかなかったのです。
2020-10-02 23:22:19クソゲーとはいえ超低価格のソフトが溢れたことで、その後発売される新タイトルも売れなくなります。 なんせ玉石混交が進みすぎたため、「おもしろいかおもしろくないかわからない」状態では、安い方を皆買います。 結果売れ残った新タイトルも、ワゴンに送られ、安売られます。ワゴン連鎖です。
2020-10-02 23:25:52さらには小売店も、先のクリスマス商戦での「返品不可」で痛い目を見たため仕入れを絞り始めます。なにせワゴン在庫が山程ありますんで。結果として、ゲームメーカーは「おもしろかろうがおもしろくなかろうが買ってもらえない、仕入れてももらえない、店に並ばない」状態となります。
2020-10-02 23:26:56そうなると、生き残れるのは「儲け優先で低品質を作り利益率を高めていた」ところだけになります。要は「クソゲーメーカーだけ生き残る」になったのです。まさに絵に描いたような「悪貨は良貨を駆逐する」状態! pic.twitter.com/qCrBLIab16
2020-10-02 23:28:23そうなるとユーザーもどんどん離れていきます。「何買ってもクソゲー」なため、そもそもゲームをするという習慣から離れてしまったのです。悪夢のクリスマス商戦後もまだ残っていてくれたユーザーたちもついに見限り、わずか二年で、天下をとっていたアタリ社は一千億の負債を抱え事実上崩壊します。 pic.twitter.com/zwCRiS5Qaa
2020-10-02 23:32:48この一連の「急成長分野が、その成長にあぐらをかき、設け優先で品質を下げ、市場軽視、顧客軽視を行った結果、その分野自体が崩壊してしまった」現象は、「アタリショック」と呼ばれ、ゲーム業界にとどまらず、世界の経済史に残る大事件として語られることとなったのです。 pic.twitter.com/SLsdYckxTa
2020-10-02 23:36:15このアタリショックのよって崩壊したと思われた世界のゲーム市場に乗り込んだのが任天堂、そしてファミコンでした、その後なんのかんのあって現在のSwitchまで続いているのは、この時のアタリショックを教訓としていたからなのですね。 pic.twitter.com/Ty1Q4oRFNV
2020-10-02 23:39:02さて、そんなこんなで滅びた、古代帝国アタリ。 もはやワゴンにすら居場所がなくなり、倉庫代すら惜しまれたゲームソフトたちは、「産業廃棄物」となってしまいました。そこから、一つの都市伝説が生まれます。
2020-10-02 23:40:47「真夜中にアタリ社の倉庫に何十台ものトラックが乗り付け、”なにか”を山積みにして、ニューメキシコの砂漠の方角に走っていった」というものです。 ながくこの話は噂話として語られていましたが、今世紀に入って、ある好事家たちが、「よし、掘ってみよう」と、発掘調査を行いました。 pic.twitter.com/7nCvG93z6E
2020-10-02 23:44:47ショベルカーまで動員した大規模な調査の結果、土の深く下から、大量のゲームソフトが発掘されます。 ラピュタは本当にあったのです。 クソゲーの墓場は本当にあったのです! あまりにも奥深くに埋められたため、全貌はわかりませんが、700000本以上が埋められていたそうです。 そして・・・ pic.twitter.com/5vKkXnnaiD
2020-10-02 23:49:11その中には、大量の「ET」のソフトもありました・・・本来なら、多くのファンに喜びをもって迎えられ、笑顔をつくるはずだったそれらは、封を開けられることもないまま、土の底に埋められてしまったのです。 なんとも、憐れな、哀愁をさそう光景ではありませんか。 pic.twitter.com/NTnPvv3tjT
2020-10-02 23:50:53我々は、この光景を忘れてはなりません。 造り手が、送り手が、客への愛を失い、金や数字にしか興味を示さなくなり、その数字の一つ一つに人の心があることを忘れてしまえば、その「報い」は必ず訪れる。 この墓場に次に入るのは、我々なのかも、知れないのです。 pic.twitter.com/HaMUGKFowd
2020-10-02 23:53:30