第47回深夜の真剣140字60分一本勝負

RAY/※※※ @growler_ray

腕時計を耳に当てれば、規則正しい秒針の音が私の心を静かにしていく。不規則しかないこの世を生きる私にとって何より大事で落ち着く時間 「…また、あの人の顔…」 それでも最近は、その音に合わせてある人の顔が脳裏によぎるようになってきた。静かに生きたいはずの私は今、何を求めているの？

日引 @hibiki_ost

アフターファイブの安楽なんて無能な俺には無縁なんだ。誰もいない静まりかえったオフィス、左手の腕時計のカチコチという音がやけに耳について、まるで時限爆弾だ。さっさと消し飛ばしてくれよ、もう痛みも感じないんだ。不要品の人生に、自ら終止符を打つことすらできないでいる。

にゃん @nyan_kotonoha

キラキラの腕時計。ビシッと仕立てたテーラードスーツ。ガンガン騒いだアフターファイブ。たかが一時代。されど三十年。「すっかりオジさんになっちまったよ」「あたしもオバさんになったしね」時計は万歩計に、スーツは緩い部屋着に、寝る時間も早く変わったけど、二人一緒なのは変わらなかったね。 pic.twitter.com/t06E5R23cd

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青い糸 ❁ @aoi_ito_

アフターファイブ 約束の時間が近い 茜色に染まった空を見上げ、頬を綻ばせた。 昨日付き合い始めた彼女は、僕が告白をした後この茜色のように頬を染めていた。 記憶の中、俯きがちに頷く彼女はとても愛らしい ｢早く会いたい｣ 腕時計の秒針を見つめ君を待つ時間、きっと僕の頬も茜色に染まっている。

花滝ちかる @chikaru_toka

「その腕時計、男物だろ」 からかい口調の君に、私は答えた。 「父の形見よ」 言葉を失った君は優しい人ね。 「後悔してるでしょ」 「…うん」 「クリスマスに女物の時計をプレゼントしてくれたら、付き合ってあげる」 お父さん、未来の花婿さんは、お顔が真っ赤な正直な人でいいかしら？ #140字小説

ノス @kaite_kisumi

私は先程までいた店で、亡妻がくれた腕時計を忘れた事に気付き慌てて戻る。 店には妻と共に長年交流のあるテーラーがおり、新しいスーツを頼んだばかりだった。彼も私も高齢であるから、これが最後の注文だろう。 時計の秒針が静かに鳴る毎、私達は終りへ向かうのだ。 彼は私を笑って出迎えてくれた。

紅月シオン @lunser5

#深夜の真剣140字60分一本勝負 アフターファイブのためにテーラーに頼んで仕立ててもらった服を纏って待ち合わせの場所へ向かう 電車の予定を確認すれば5分前には間に合うな 月が照らす公園のベンチで座っていたのは約束の相手 貰った腕時計は見える位置で煌めいてる 今日こそ綺麗って言わせてみせる

津森七@文学フリマ京都い-36 @tumori_nana

アフターファイブに何するかって我が社の定時は六時なので勿論仕事でございますし何なら残業もつけられましたはい終了！！脳内でシャウトして腕時計を外す(終電に間に合う夢など捨ててしまえ)。テーラー仕立てのスーツは哀れシワだらけ、それでも朝焼けを美しく思う感性は、いまだ死んではいないんだ。

竜虎 @btbticc_org

キーボードに手を乗せたまま、腕時計にちらりと目をやる。そわそわしてしまい、指はほとんど動いていない。定時まであと、3、2、1…。カウントに合わせるように、終業を告げるベルが鳴った。『シャットダウンしますか』の文字にYesと返すと、私は颯爽と立ち上がった。その時。「君、この書類だけどね」

色糸 @IRO_Iroito_

小さな腕時計をしている彼は、何故かいつもスマホで時刻を確認する。 気になった僕は聞いてみる。 「あぁ、これ壊れてんの」 向けられた腕時計は確かに秒針が止まっていた。 何で？ 「恋人の形見だからね」 何でもないように言う彼。 5時10分で止まっている時計。 その時刻に、彼はまだ縛られている。

春日聖奈@二代目 夜 @haruhino37

腕時計を見る、既にアフターファイブは崩壊した。 予約客が来ない。もう服は出来ているのに… カラン… 「……すいません」 「お待ち致しておりました」 やっと来た。 「お客様、勝手に死なれては困ります。少々仕立てを変える必要がありますね」 律儀な客だ。 最高の白装束を準備させて貰おう。

∫ MatoP @_Mato_P_

起きる。 いつのまにか時間は過ぎ、夕方に。 少しだけ寝るはずだったんだが、そう思いつつ、支度をする。 今日は、君と夕食を食べる。 きっちりしたのは好きじゃないから、少しラクなお店で。 待ち合わせはもう少し後だけど、少し早めに出る。 足は止まらない。 君のアフターファイブが、風に揺れた。

TAB @Tapumaru

腕時計を見る。 3時 今日は無事にアフターファイブをむかえられそうだ。しかし今日は朝から運がなかった。アラームは鳴らず、定期を忘れ、スマホは充電切れ、今日のことは呑んで忘れようと考えていると周りがぞくぞくと帰り始める。 腕時計を見る。 3時 どうやら電池切れのようだ。