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ナナシ @darkmoon_souji

@sousakuTL 「え?ミリアル・スマイルの好みのタイプ?」 冷静沈着の四文字がよく似合うシオンが、素っ頓狂な声を上げた。 「死ぬほどどうでもいい…。そんなことを知ってどうするんですか?」 「お前今サラッと心の声が出ただろ。」 「いやだって、どうでもいいですし。」

2016-06-07 08:06:33
ナナシ @darkmoon_souji

@sousakuTL 「ああ、そうさ。どうだっていいさ。けどな!気になるんだよ!」 「先生、暇なんですか?」 「うるせぇ!!そうだよ、暇だよ!あいついつまで人を待たせる気だ!」 足をバタバタさせるシャルロット。 子供っぽいからやめてくださいという言葉をシオンは飲み込む。

2016-06-07 08:13:37
ナナシ @darkmoon_souji

@sousakuTL 「そんなに気になるなら本人に聞けばいいでしょう。」 「だってはぐらかされるもん。」 すでに聞いた後だった。 「俺は不思議で仕方がねぇんだよ。あいつが今までつきあってきた女とは、タイプが明らかに違うんだよ。」 一瞬何のことを言っているのかわからなかったが、

2016-06-07 12:49:55
ナナシ @darkmoon_souji

@sousakuTL すぐに合点がいった。 「学生時代に付き合ってた女を思い出してみたけどさ、みんなこう…何ていうか…その、なんだ。頭が悪そうな女っていうか。」 悩んだ割には直球すぎる表現だった。 いつか刺されても知らないぞ…と、シオンは心の中で呆れる。

2016-06-07 12:52:36
ナナシ @darkmoon_souji

@sousakuTL 「美人は美人なんだけど。付き合ってもすぐ別れてたな。あいつ基本的に冷めてるから。…つーかあいつ、完全に見た目で選んでるじゃねぇか!」 怒ったり呆れたり、驚いたり…シャルロットの表情は忙しく変わる。

2016-06-07 12:55:57
ナナシ @darkmoon_souji

@sousakuTL 「何て野郎だ!最低!」 人のこと言えないでしょ、と喉まで出かかった。 「それにしてもお詳しいですね、人の彼女のことなのに。」 「当たり前だろう!羨ましかったんだよ!!」 「……。」 わかってはいたがやはり浅はかな答えであった。

2016-06-07 19:46:46
ナナシ @darkmoon_souji

@sousakuTL 「でも例の女のことは全く知らなかったんだ。まさか、婚約までしているとは…。くそぅ!何で美人は皆あんなやつを!」 ドン!と自分の膝を叩いて痛がるシャルロット。 呆れた目でシオンは隣の人物を見る。 「はぁ。それにしたって謎だ。」

2016-06-07 19:53:26
ナナシ @darkmoon_souji

@sousakuTL 改めてシャルロットはつぶやいた。 「例の婚約者は今までのタイプに当てはまらない。おしとやかで、でも気が強くて、でも弱々しくて…ん?俺何言ってるんだ?」 自分で言っていてわけがわからなくなってきたようだ。 「これじゃあ二重人格みたいじゃねぇか。」

2016-06-07 23:08:53
ナナシ @darkmoon_souji

@sousakuTL 「仕方ないですよ。だって、あの方は」 そこまで言ってシオンは我に返った。 「え?何?」 「いえ、何もないです。不思議な方ですね」 「だろー!」 シャルロットは何も知らない、というか気づいていない。 どうして気が付かないんだろう… シオンは憐れみの目を向けた。

2016-06-07 23:12:17
ナナシ @darkmoon_souji

@sousakuTL 「やはり結婚ともなるとまた違ってくるのだろうか…」 言いたいことはわからなくもないが、この場合はそういうことではないです。と、シオンは心の中でシャルロットに言った。 そこへ応接間の扉がノックされ、待ちかねていた人物が現れた。

2016-06-07 23:16:29
ナナシ @darkmoon_souji

@sousakuTL 「やぁ、お待たせ。ちょっと立て込んでいてね。ごめんよ。」 疲れた顔でミリアルは部屋に入る。 「おい、ミリアル。お前は一体どういう女がタイプなんだ。」 「はぁ!?いきなり何!?」 登場して数秒だというのに、当然そんな反応になるだろう。

2016-06-07 23:20:55
ナナシ @darkmoon_souji

@sousakuTL 「結婚相手と遊び相手というものはやっぱり違うのか?」 「…ねぇ…仕事の話をしにきたんだよね…?」 ジトッとした目で見られても、シャルロットは構わずどうでもいい質問を繰り返した。

2016-06-08 08:07:29
ナナシ @darkmoon_souji

@sousakuTL 「結局ほとんど仕事の話できなかったじゃないか!」 ミリアルは怒りながら応接間の扉を開ける。 「続きはまた明日しにくるじゃねぇか。」 「こっちにも都合ってもんがあるんだけど!」 シャルロットはやれやれと首をすくめる。

2016-06-08 19:40:11
ナナシ @darkmoon_souji

@sousakuTL 「そうかっかすんなよ。」 「誰のせいだと…」 最早怒りを通り越して呆れているようだった。 「ん?何だ?もしかして夕食の席に招待してくれない系か?」 「もしかしなくてもそうだけど!早く帰ってくれないかな!?」

2016-06-08 22:07:40
ナナシ @darkmoon_souji

@sousakuTL 「ひでぇやつだ。友人に早く帰れだってよ。」 同意を求めるかのようにシオンの方を見るが、無視される。 「僕だって暇じゃないんだ……あ、マリー。応接間片しといてくれないかな。」 ミリアルは廊下の窓を拭いているメイドに声をかけた。 「……わかった。」 「!?」

2016-06-09 08:06:49
ナナシ @darkmoon_souji

@sousakuTL しかし、振り向いたのはあのドジなメイドではなかった。 「マリーじゃない!!!?」 ミリアルは思わず叫んだ。 「悪かったな。マリーじゃなくて。」 メイドの格好こそはしているが、リンだった。 「なぜそんな格好を…」

2016-06-09 12:50:23
ナナシ @darkmoon_souji

@sousakuTL 「服が汚れるからって、マリーにこれを着ろと言われた。……変?」 ミリアルは「うっ」と、言葉に詰まった。 「い…いいと思うけど……」 二人の間に妙な空気が流れる。 一瞬飲まれそうになったが、ハッと我に返り後ろを見た。

2016-06-09 19:55:09
ナナシ @darkmoon_souji

@sousakuTL シャルロットとシオンが冷たい眼差しを向けていた。 「俺たちはどうやらお邪魔のようだな、シオン。」 「そうですね。早く帰った方がいいのかもしれませんね。」 「さっきからそう言ってるし!わかっているなら帰れよ!」 「リア充め…」 「何!?」 「何でもない」

2016-06-09 19:58:48