開催ありがとうございます。 #深夜の真剣140字60分一本勝負 @140onewrite お題 「ボールペン」 pic.twitter.com/nIIAcHWfMa
2021-05-08 22:01:53久々に会った先輩は、最後に見た時より、ずっと元気そうだった。彼が辞めた後の職場の話になると、先輩は苦笑いを漏らした。 「今も昔も変わらねえな、あそこは。なんなら、お前も俺の会社に『亡命』するか?」 ボールペン1本で簡単にできる亡命だぜ、という彼の冗談を、ぼくは笑い飛ばせなかった。 pic.twitter.com/vEQhVDsuwc
2021-05-08 22:04:12消しゴムでは消えない、ゲームを仕掛けてあげる。 第2外国語が中国語の私はノートの隅に書いた。 「I love you.はね、我爱你って言うのよ」 ドイツ語の貴方にボールペンを渡すと「Ich liebe dich.だよ」と隣に書いた。 私は貴方の顔を覗き込んだ。「日本語では?」 照れた貴方の消えない「愛してる」
2021-05-08 22:07:58引き出しの中からボールペンを取り出し、紙の上を走らせる。亡命前の記憶が消えてしまわないうちに。今も昔も変わらないのは、写真のその笑顔だけ。不意に手を止め、窓の外を見た。離れ離れになったあの日と同じように、月明かりだけがあった。 #深夜の真剣140字60分一本勝負 @140onewrite
2021-05-08 22:11:28#深夜の真剣140字60分一本勝負 @140onewrite お題: ①亡命 ②ボールペン ③今も昔も #木槿国の物語 現代でもあり得そうな話💦 pic.twitter.com/C853c2M16I
2021-05-08 22:12:05数年前、友人に告白して、フラれた。 華の女子高生時代を越えて、随分先に進んだ頃。失恋したあなたは私に言ったね。 「まだあたし、好き?」 あなたは今も昔も変わらない。寂しくなったらすぐ私に手を伸ばすクセは、全然変わってない。 だから、私も言うよ。私も、何も変わらない思いがあるってね。
2021-05-08 22:13:30「亡命するしかないって覚悟は決めてたけど」 告げる彼女の手を俺は放す。 ボールペンを投げつければ目の前の兵士ののど元に突き刺さって倒れる。 「……ダーツ?」 「武器は温存したかった」 わぁ、みたく彼女が呆れた声を出す。 「さすが逃がし屋さん」 今も昔も俺のやることは変わらない。
2021-05-08 22:15:21私は、ベルリンにあるブランデンブルク門に足を踏み入れようとしている。 ベルリンの象徴であるその門だが、ドイツが東西に分断された数十年前には西ベルリンへ亡命を試みる者を阻むベルリンの壁が門の前に存在していた。 今も昔も荘厳な雰囲気の門を通りながら、私はメモ帳とボールペンを取り出した。
2021-05-08 22:16:45私が愛した彼は、敵国の亡命者だったことを生前彼が書いていた手帳で知った。 今も昔も愛している、内緒にしていてすまない、なんて書かれたそれは、少し滲んでいて彼の心を思った。 失うならこんな国捨てて静かな場所で貴方と一緒に幸せになりたかった… 私は明日、まだ顔も知らない人と一緒になる。
2021-05-08 22:17:32#深夜の真剣140字60分一本勝負(@140onewrite ) #140字小説 姉妹の微妙な距離感(?!) pic.twitter.com/6lxmsmFu0C
2021-05-08 22:18:34#深夜の真剣140字60分一本勝負(@140onewrite ) #140字小説 最近手書きすることも少なくなりました。 pic.twitter.com/IAGHEqbjSU
2021-05-08 22:19:01#深夜の真剣140字60分一本勝負 (@140onewrite ) お題「ボールペン」「亡命」 pic.twitter.com/pgxbtf83aK
2021-05-08 22:19:24今も昔も亡命というものは面倒だ。偽造書、命懸けの脱走劇、銃弾の嵐。凄惨で理不尽、しかし生きるためにそこを無理やり走り抜ける。その例に漏れず私も逃げ出してきたんだ。私の欄だけ埋まった紙は、綺麗に雁首揃えて置いてきた。突き立てたペンが剣よりも強いことを、いまにも掠れそうな星に祈って。
2021-05-08 22:23:22