ストーカー被害にあう犬旬
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ななれん @nanareeen1

幸せで完璧なものがじわじわと弱らされて無気力になって壊された所を救うか仕留めるかで悩むけど。 ハピエン主義だから、モブのストーカーなら攻めに救われてほしいし、攻めがストーカーなら仕留められてほしい。 …何を当たり前のことを………

2021-07-22 20:15:02
ななれん @nanareeen1

はぁ… 大好きなのに、側にいてずっと守っていてあげたいのに、弱味を握られてしまって自分の手で大切な人を傷付けないと大切な人がもっともっと傷ついてしまう羽目になる展開って…どうしてこうも最高なんだ……?

2021-07-22 23:16:14
ななれん @nanareeen1

「この写真、ばら撒かれたくなければあの男と別れてください」って、恋人である犬飼さんとのキス写真を突き付けられながらストーカーに迫られる旬君ください。 「俺を脅迫する気ですか?」 「いえ、脅迫するなら犬飼会長ですね。…世間はどう見ますかね?ハンター協会の会長に就任したばかりなのに…」

2021-07-23 16:15:39
ななれん @nanareeen1

「…!!」 「貴方がいけないんです。あの男と付き合い始めるなんて…。ずっと僕の方がずっっと前から見ていたのに…!」 「……俺がその携帯を壊したら?」 「この携帯が壊れたらバックアップを取ったPCからネット掲示板に一斉にこの写真について書いた記事を拡散させる準備ができています 「…チッ」

2021-07-23 16:15:40
ななれん @nanareeen1

「別れてくれますよね?僕からのお願いですから。聞いてくれますよね?」 「………………」 「……返事がないと手動で拡散させます」 「…ハァ…。…僕と犬飼さんが別れたとして、どうやって確認するつもりだ?」 「いつも見ているので、わかります」 「……そうかよ」 「早く返事してください」

2021-07-23 16:21:58
ななれん @nanareeen1

「……わかった」 「じゃあ今別れてください。あの男に電話してくださいよ」 「………調子にのりやがって…」 「……」 「下衆が」 そう言ってストーカーを睨みながら携帯で電話を掛ける。「………………………もしもし、あき…犬飼さん」 『旬さん?どうしたんですか、突然』 明るい声で犬飼が出た。

2021-07-23 16:31:09
ななれん @nanareeen1

「…その……、僕と、別れてください」 「………は、え?」 突飛な発言に思考がついていかない。 「考えたんですが、犬飼さんと一緒にいるのは俺のためにならないと思いまして。…もう、煩わしいんですよ」 「ぇ…あ、旬さん…?なん……どうして…」 「じゃ、それだけ言いたくて。失礼します」

2021-07-23 16:31:10
ななれん @nanareeen1

「……満足かよ」 「はい、概ね」 「…まだなにか要求があるのか」 「僕と付き合ってください。できますよね。男と付き合っていたんですから」 「……」 旬の開いた口が塞がらなくなる。 「断れば写真を拡散させんのか?」 「はい」 「……」 旬には選べる選択肢などなかった。

2021-07-23 17:04:33
ななれん @nanareeen1

しかし「わかった」の一言が言えない。 犬飼と結ばれた日の幸せが脳裏を過ぎる。 たった今自分の手で壊した、穏やかで暖かな優しい日々。 (俺がコイツと付き合わないと晃さんに迷惑が掛かる…それはわかる…。付き合うって言わないと…。でも…でも……、晃さん……っ) 「付き合ってくれますよね?」

2021-07-23 17:13:56
ななれん @nanareeen1

「いま別れたばっかりで、そんな気分になれない。……俺の事ずっと見てたなら、そういう俺の気持ちも分かってくれるだろ?」 「……そうですね…。君は意外と心の整理をつけたがる人ですからね」 (…俺の何を知った気になっているんだ) 「分かりました。返事は明日ください。電話するので」

2021-07-23 17:19:27
ななれん @nanareeen1

(番号まで知られてるか) 「ではまた明日。良い夢を、旬」 「………………………あぁ、良い夢を」 そう言って背を向けて立ち去る男を見送りながら、その影に、1匹の蟻を忍ばせた。

2021-07-23 17:19:27
ななれん @nanareeen1

ストーカーが自宅へ帰宅して扉を開ける。玄関に飾っている旬の写真をひと撫でしていそいそとリビングへと向かう。 部屋いっぱいに貼られた旬の写真や新聞の記事と、ボードに貼られた犬飼の写真に突き刺されたナイフという、異様な光景が広がっていた。 「旬…、僕の旬…。明日には君と恋人だ…」

2021-07-23 17:34:57
ななれん @nanareeen1

そう嬉しそうに呟いた途端だった。 背後にわざとらしくコツ、と足音が響いた。 「!?」 1人の部屋に他人の足音がした事で慌てて男が振り返ると、そこには愛して止まない旬の姿があった。 「な…なんで、ここっ…!」 驚愕しながら問い詰めるように叫び声を上げる。

2021-07-23 17:34:58
ななれん @nanareeen1

「…明日を待たずに会いたくなってな」 そう言いながらコツコツと部屋の中を靴で歩いて近づいてくる。 「…………………それだな」 男の背に隠れていたPCを見つけて鋭い目付きで見据えると、一瞬でPCに近寄って両断した。 「……は?」 目の前でPCが両断されるという離れ技を見せられて、

2021-07-23 17:41:41
ななれん @nanareeen1

男は理解の範疇を超える出来事に思考が止まった。 旬を見ると手に短剣が握られている。 「携帯も、だったな」 そう言ってパッと短剣を持った手が振るわれると、コートが細切れになり中に入れていた携帯がただの鉄屑となって床に落ちていった。 「……他には?」 「……は、はひ…っ!」 「データは?」

2021-07-23 17:41:42
ななれん @nanareeen1

「な、ひっ…!こ、こんなことして…!許されるとでも!?」 「……お前一人を片すことくらい、俺にはワケないことだ。許されようが許されまいが、どうでもいい」 「…!!た、頼むから…!殺さないで…!!」 「……なら、他にデータは?」 「ひ、引き出しの中のUSBに……」

2021-07-23 17:56:39
ななれん @nanareeen1

指差された引き出しを引き抜いて逆さにする。床に数多のものが散らばった。 「どれだ」 「コレ、これです」 男が床に手をついて拾い上げると、旬はその手に握られたUSBごと男の手を踏み抜いた。 つんざくような悲鳴が上がる中、壊れたUSBと男の砕けた手を興味のなさそうな顔で見下ろす。

2021-07-23 17:56:40
ななれん @nanareeen1

「もうお前に用はない。…二度とその顔を見せるな」 そう言って窓から立ち去ると、少し歩いて大通りへと出た。 適当にタクシーを停めて乗り込む。 自宅の住所を告げてシートに寄りかかると、ふぅ、ため息をついた。ふとポケットが震えて携帯の存在を思い出す。

2021-07-23 17:56:40
ななれん @nanareeen1

(そういえば、あんな電話して一方的に切ったんだったな…) 携帯の画面には「不在着信:20件」の文字が浮かんでいた。 (こんな別れ方になってしまったけれど…。かえってよかったのかもしれない。俺が側にいればいつかまたこういった事は起こるだろうし、晃さんに迷惑はかけられないから…)

2021-07-23 18:00:14
ななれん @nanareeen1

(だからこれでよかったんだ…。これで……) 不在着信の表示を消しながら、ポタリと画面に水が滴る。 (…!………俺に、泣く資格なんてない…っ!一瞬でも、一方的に傷付けて…!もう、晃さんと呼ぶ事さえ相応しくないかも知れない…。でも……心の中でくらいは…せめて…) つう、と頬にも涙が流れた。

2021-07-23 18:04:34
ななれん @nanareeen1

自宅へ着く頃には平静を装う事ができるくらいまで回復した旬は、タクシーから降りてすぐに人の存在に気が付いた。 「………晃、さ……」 「旬くんっ…!」 目の前にいる人の存在が信じられず動揺していると、そんな旬をガバリと犬飼が抱き締めた。 「あ、貴方に相応しくなるよう努めるので…!」

2021-07-23 18:30:56
ななれん @nanareeen1

お願いだから別れないでほしい 。 そう、必死な声で伝えられて、旬は自分が酷く愚かなことを選択しそうになっていたのだと気が付いた。 「ちが、ちがう…っ、違うんです、晃さん」 装った平静をかなぐり捨てて、旬は犬飼に縋りついた。 「ごめんなさい…っ俺が悪いんです…!」

2021-07-23 18:30:56
ななれん @nanareeen1

「俺が、貴方といると貴方に迷惑が掛かるから…!だから、俺さえ諦めれば、晃さんは変な噂が立ったりそのせいでかかる迷惑がなくなったり、普通の幸せを手にする事ができると…、そう、思って…!でも、でもっ…!」 しゃくり上げて言葉をつっかえさせる旬の背中をトン、トンと優しく撫でる犬飼。

2021-07-23 18:30:56
ななれん @nanareeen1

「旬さん……私の事で、なにかあったんですね?」 ヒックとしゃくり上げる様子にもしやと思い犬飼が尋ねる。 「……晃さんとの写真を撮られていて…。別れないならばら撒くって……会長になったばかりなのにって…。それで……」 「……!」 そこまで聞いた犬飼は旬の事を強く抱き締めた。

2021-07-24 06:46:04
ななれん @nanareeen1

「つまり、あの電話での別れ話は私を想ってのことだったという事ですか…?」 「……」 そう言われてしまえば否定も出来ず、旬は犬飼に周した手でキュッと服を握った。 犬飼にはそれで充分だった。 (本心からの別れ話ではなかった…!!) ホッと安堵したのもつかの間、犬飼は重要な事に気が付いた。

2021-07-24 06:46:04
ななれん @nanareeen1

「…ハッ…そ、そうだ、その脅迫してきた人物は?」 旬の頭を抱きかかえながら周囲を警戒しはじめた犬飼に、旬は一拍キョトンとしたがすぐに暖かい気持ちになってグリグリと頭を犬飼の胸元に擦りつけた。 「…大丈夫です。解決してきました」 当然の事のように言われた事に犬飼が少し心配する。

2021-07-24 06:46:04
ななれん @nanareeen1

「…その人物、旬さんに固執していたのでは?そんな人物とどうやって解決を…」 「犬飼さん、俺S級ハンターですよ」 犬飼からの心配が照れくさくて、胸元に顔を埋めたまま旬が答える。 詳細は語りたくないが解決済みである、というのはその1言で分かった。

2021-07-24 06:46:05
ななれん @nanareeen1

「……では怪我はないですね?」 「はい」 「…良かった」 「あの……晃さん。虫がいい話なのは分かっているんですが…。電話で言ったこと、撤回したいです。本当は別れたほうが良いって…今でも少し思うけど、でも、やっぱり晃さんと一緒に居たいんです。ダメ…ですか」

2021-07-24 06:46:05
ななれん @nanareeen1

「そんな訳……っ!!私だって貴方と一緒にいたいです…。すぐになんでも一人で抱えてしまう貴方から目が離せなくて、いつしかその優しさに惹かれて…。知っていますか?私はコレでも諦めが悪いんです。1度別れ話を切り出されたからといって、そんな程度では離してあげる事などできませんよ」

2021-07-24 07:03:31
ななれん @nanareeen1

「……それは、知らなかったな。…嬉しい誤算です」 犬飼の胸元に顔を埋めていた旬は顔を上げると犬飼の頬に口付ける。 「…では、これからも俺の事離さないでいてください………」 そう言って照れる旬に、犬飼は唇への口付けで応えた。 以上です。

2021-07-24 07:03:31
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まとめたひと
ななれん @nanareeen1

20↑。俺レベの旬君についての妄想を呟くアカウント。基本ES。でもCP無差別。色んな旬君受けの事を呟きます。その他ライン漫画、ピッコマ作品についても叫ぶ。 くるっぷ→crepu.net/user/nanarenjai