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にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

【勇尾】俺を断罪するはずの異母弟に溺愛されているのは、きっと悪夢に違いない!!(転生ものBL勇尾) を連ツイします

2024-02-11 23:47:07
にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

ふと目が覚めると見慣れない豪奢な部屋にいた。驚いて立ち上がると、その椅子は精巧な彫が施された飴色が美しい椅子だった。軍服ではない礼装で、尾形は驚きで息が詰まる。どういうことだ、とふと自分の前にある机に目を落とした。それは卒業報告書だった。「はなざわ……ゆうさく……」

2024-02-12 00:10:22
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その名前を見るとどっと記憶が押し寄せてくる。花沢百之助、とは名乗っているが戸籍上は尾形百之助。花沢家に数年前に迎え入れられ、今は当主代理として働いている。と言うのも、花沢家前当主の幸次郎とその妻ヒロは事故で無くなり、幼い勇作が当主となった。

2024-02-12 00:22:53
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そしてその勇作の代理として婚外子の尾形に白羽の矢が立った。尾形の母は子爵家の出身だったし、尾形も学院を首席で卒業していたのもあるだろう。花沢家は侯爵家だし、尾形は自分に手に入るはずだったこの家の権力と財産が転がり込んできたのだ。家令は初めは苦虫を噛みつぶしたような顔をしていた。

2024-02-12 00:32:07
にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

だが良からぬ輩に家を任せるよりは、と思ったのだろう。一方で勇作は無垢な瞳で兄がいたことを純粋に喜んでいた。そして、勇作が学校を卒業する18歳の時、彼を迎えに行くことを約束した。だが、尾形はそれを破ろうとしていたのだ。尾形は勇作を退けるために、勝手に彼を婿養子に出す算段を企てていた

2024-02-12 00:40:01
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そして、その先の未来は勇作に家の乗っ取りを断罪され追放される未来だ。無一文で放り出された惨めな未来。家を乗っ取るのは確かに重罪だ。下手をすればタヒ刑でもおかしくない。だが、勇作はあろうことか尾形の背中に罪人の焼き印を押したのだ。これがある限りまともな職に等就くことはできない。

2024-02-12 00:44:24
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その未来はとても恐ろしい。まともな職もなく、地べたを這いずる様な思いをしなければいけないなんて。それであれば勇作を引き取った方がましだ。尾形は慌てて家令を呼ぶ。「勇作を迎えに行く」そう言うと家令はどこかほっとしたような顔をする。「ええ、その方が宜しいと思います。」

2024-02-12 00:53:19
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貴方のためにも、と言われて尾形は一度家令を見た。どういうことだ、と尋ねようとするが、家令は尾形を馬車へと促した。そして馬車は勇作の元へ行くと、勇作は荷物をまとめて寮の入口に立っていた。一体どれくらいの時間立っていたのだろうか。鼻が少し赤くなっている。だが尾形の顔を見た瞬間に微笑む

2024-02-12 00:57:40
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その瞬間勇作の周りに花が咲いたかのような華やかなオーラが溢れ出す。顔がいい。とにかく顔がいい。貴族にとって顔の良さも大事だ。だが今はこの異母弟から速やかに離れた方が良い。幸いにも個人資産はある。当主として自由に使える予算は確保していた。だがそれも前当主である父親の半分ほどだ。

2024-02-12 01:09:15
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そのことで断罪されないよな、とひやりとする。「兄様!来てくださったのですね!」「え、ええ…遅くなって申し訳ありません」「いえ、来てくださったので、構いませんよ」そう言って勇作は尾形との距離を詰める。そっと腰を抱いてエスコートされている状況に、首を傾げる。馬車にのり、腰かける。

2024-02-12 01:18:29
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馬車の中で勇作はニコニコして尾形を見つめている。なんだ、何を考えている?と尾形は冷や汗をかいている。念の為道すがら確認した花沢家の経営状態は浮き沈みあるものの好調だ。尾形は自分が当主に相応しいと証明するために昼夜問わず邁進したからだ。社交界での評判はイマイチだが。

2024-02-12 08:56:53
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それは単に尾形が婚外子と言うのが大きい。尾形に愛想が無いのもあるが。だが、勇作ならそこら辺上手くやるだろう。「勇作さん、俺は近々家を出ます」尾形のその一言に勇作は固まる。ニコニコしていたその顔が引き攣る。「なぜですか?なぜ、勇作の側にいてくださらないのですか?」顔が怖い。

2024-02-12 09:03:40
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「い、いや……だって、当主が戻ったのにいつまでも居座るわけには……」「なら、私が当主の仕事に慣れるまでいてください!」「それは家令が支えますから……」「兄様は支えてくださらないのですか?……まさか、好いたお方でも?」「その予定はありません!」怖い、まるで尋問の様だ。

2024-02-12 09:13:21
にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

「なら、私が当主として恥ずかしくない人間となるまでで良いです……もう少し、兄様との時間をくださいませんか?」そう言って手を握る勇作。ふと、勇作を学校に送り出した日の事を思い出した。その時尾形は勇作と他愛もない約束をしたのだ。勇作が良い子にしていたら直ぐに会えると。

2024-02-12 09:55:59
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そうして放置して8年である。やばい。もちろん尾形だって遊んでいた訳では無い。日々領地経営に明け暮れていた。勇作から会いたいと手紙が来ていたらしい。尾形は読まなかったが、家令が中身を点検していたため、教えられた。無視していたが。やばい、怒っている。絶対怒っている。

2024-02-12 10:07:44
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「お、俺が教えられる事など……」「いえ、兄様の様な有能な方から学ぶことは多いはずです」「しかし…」「兄様、私は待ちました。8年、良い子にしていましたよ」勇作の琥珀色の目がぎらりと光る。握られた手の力は強い。このまま逃げたら、断罪が待ち受けているのではないか。横領とかで。

2024-02-12 10:11:44
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これが前世の業と言うのか。弟を56した自分への贖罪なのだろうか。尾形は覚悟を決めた。「分かりました、ただ期間を決めましょう……一か月です」「み、短いです!一年で!」「長い!二か月!」「いえ!十か月!」そんなやり取りの末、三か月に決まった。三か月、その間に勇作の前から後腐れなく去ろう

2024-02-12 10:41:23
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その晩、家令は精悍に育った勇作を見て涙を浮かべていた。使用人たちも勇作の帰宅を喜んでいた。彼らのそんな笑顔を、尾形は初めて見た。仕方ない。尾形は招かれざる客なのだから。皆尾形を必要としていたというよりは、当主代理を必要としていたのだ。むしろ花沢家を守らんと、尾形の権力を制限した。

2024-02-12 10:51:31
にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

みな尾形と一定の距離を保っている様に見えた。命令には忠実に従うが、それ以上の気を利かせた行動は無かった。給金以上のことはしない、と言うドライさがあった。その彼らが、勇作のために命令も無く働いている。尾形の出迎えは、誰もしていない。いや、一人家令が来た。「お帰りなさいませ」「ああ」

2024-02-12 11:11:47
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「御無事で何よりです」「あ?あぁ」花沢家の当主が帰ってくるとなれば、もしかしたら政敵が襲ってくるかもしれないとでも思ったのだろうか。家令は少し心配症だ。「夕食は勇作が好きなものを」「心得ております」家令と少し仕事の打ち合わせをしていると、勇作が尾形の近くにやってくる。

2024-02-12 11:20:31
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「兄様、兄様の部屋を見せてください」「俺の…ですか?」「ええ、兄様の部屋が見たいです!」「はぁ…」腰を抱かれて有無を言わさず歩き出す。なんだなんだ、と思うが尾形が何か大事なものを横領していないかチェックするつもりだろうか。部屋には特に何もないはずだ。いや、個人資産で買った小銃だけ

2024-02-12 11:24:39
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大丈夫、それで別に勇作を暗殺しようとかもう考えていない。前世で懲りた。勇作には幸せで長生きしてほしい。尾形の記憶が戻る前は自分の力を証明したい、と言うのがあったが、今は勇作には長生きして幸せに暮らしてほしい。だから花沢家をいい状態で引き継いで、勇作に好い所の嫁を見つけてやりたい

2024-02-12 11:31:47
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尾形の部屋に入った勇作は「これが、兄様の部屋ですか?」「ええ」「その…兄様は、こんなお部屋で?」尾形は動揺する勇作の様子につられて部屋を見回す。ベッドに、机、簡易的なソファーに、壁にはよく手入れされた小銃は数丁飾られている。本棚には経営学の本が並んでいた。何の変哲もない部屋だ。

2024-02-12 11:37:42
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「はい、まぁ、ほとんど眠るだけの部屋ですが」「兄様…!」「ヴェッ!」勇作に力強く抱きしめられる。「兄様はなんという、御方でしょうか」「ぐ、ぐるじぃ…」「このような質素なお部屋で、花沢家を支えていられるなんて…」そう言えば父親の部屋はもっと豪華だった。だがそれにはあまり興味はない。

2024-02-12 11:39:21
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葉巻もアンティークにも興味がない。少々年代物のウィスキーには役に立ってもらったが。一応父親が死んだときのままにしてあるが、そちらの方を確認した方が良いのではないだろうか。「兄様、この様に慎ましい生活をされていたなんて…花沢の財力であればもっと贅沢もできたでしょうに…」

2024-02-12 11:52:01
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勇作の言葉に、彼がある程度花沢の財政状態を把握していたのだろう。あのまま勇作を迎えに行かなければどうなったのだろうか、と改めて眩暈がする。「それほどまでに花沢に尽くしてくださったこの御恩、勇作は生涯忘れません」忘れて良いぞ、そう言おうとしたが勇作の顔を見て言えなくなった。

2024-02-12 11:54:49
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その日の夕餉は久しぶりにテーブルに座り、カトラリーを使った。日頃は執務室でサンドイッチを摘まむか、社交場で簡単なものを摘まむことが多いからだ。温かいスープは、こんなに美味しかっただろうか。しかし料理人の腕を振るいました、と言う言葉に勇作がいるからか、と納得がいく。

2024-02-12 11:57:41
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だが料理人の腕を腐らせていたことは確かなのだ、申し訳ない気持ちも湧いてくる。「百之助さまも、もう少し食べられますか?」そう料理人が聞くが尾形は首を振った。「いや、メインが…食べられなくなると困る…」そう言うと料理人はばたばたと走っていった。どうしたのか?と首を傾げる。

2024-02-12 11:58:59
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勇作は目を細めて尾形を見ていた。「兄様は本当に努力家なのですね」勇作に言われると、なんだかむず痒い。「これからは兄様のお力になれるよう、頑張りますね」「…ちがうだろ、お前が当主になるんだから、お前が頑張るんだ」「…はい!」勇作が少し寂しそうな顔をした。

2024-02-12 12:10:15
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そりゃそうだろう、卒業していきなり当主だと言われれば不安にもなるだろう。兄らしく励まさねば、と思う。「大丈夫だ、勇作さんの様に優秀ならすぐに仕事も覚える」そう、俺などすぐに必要なくなるだろう。伴侶がいれば、子供がいれば寂しさを感じる暇も無いだろう。

2024-02-12 12:14:28
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尾形卒業前に届いていた釣り書きをもう一度検分しようかと考える。するとメインの鱈のポアレだ。バターのいい香りが鼻をくすぐった。そう言えばサンドイッチにもよく鱈が具として挟まっていた。尾形は魚料理が好きだと、話した覚えはなかったが、料理人が得意なのだろうかと思う。

2024-02-12 12:16:53
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カトラリーを使いながら、鱈を食べていく。仄かに香草の風味がして、食欲がわいてくる。食事らしい食事をするのは久しぶりだ。「兄様は、お魚が好きなのですね」「え、ええ、肉よりは…」「一番お好きなのは鮟鱇ですよね?」「はぁ…まぁ、こういった食卓には上らぬ魚ですよ」昔、母と二人で食べた鮟鱇

2024-02-12 12:21:06
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それがこの食卓に出たことはない。そもそも誰にも話したことが無いのだから。だからなぜ勇作はそのことを知っているのだろうか。「君、鮟鱇を料理できるかい?」勇作が料理人に聞く。料理人は悩みながらも頷いた。「では、次の夕食に」「かしこまりました」勇作は自然と人の上に立つ振る舞いをする。

2024-02-12 12:23:15
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必死に威厳を出そうと、髭を生やしていた自分が滑稽なくらいだ。ああ、あと三か月。その間にここから拠点が移せそうな場所を探さないと。尾形はデザートのレモンソルベまで平らげて、部屋に戻った。小銃の火薬のにおいが、尾形の心を落ち着けていく。

2024-02-12 12:26:43
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そして父親の部屋からこっそりとくすねていた年代物のウィスキーを取り出す。グラスにシングル分注ぎ、一気に煽った。喉が焼けるようだ。身体がぽかぽかと温まる。あまり酒には強くないが今日はよく眠るために必要だと思ったのだ。尾形は程よい酔いと共にベッドにもぐりこんだ。

2024-02-12 12:33:41
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「兄様、兄様、おはようございます!」でかくて、そして良い声にたたき起こされる。はっと身体を勢いよく起こす。寝過ぎた。普段は日の出とともに起きるのに、今日は随分と日が高い。「兄様、よくお休みになられていましたね!」そう言って勇作が顔を覗き込んでくる。「兄様、湯浴みをしましょう!」

2024-02-12 12:38:51
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勇作がそう言って尾形を浴室に引っ張っていく。貴族令嬢であれば手伝う使用人がいるのだろうが、尾形はそう言ったことは当然ない。なのに「なぜお前まで…?」「兄弟水入らずです!」異母兄弟二人でなぜ風呂に入って、しかも勇作が尾形の背中を流しているのだろうか。勇作の身体はもう、美術品だ

2024-02-12 12:43:41
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逞しい胸板に、綺麗に割れた腹筋。臀部はえくぼがあり、脚も美しい配分で筋肉がついている。何よりナニがでかい。第三の脚じゃないか。「兄様はお肌がとても綺麗ですね。陶器のような白さと滑らかさです」「はぁ…」それは男性として喜んでいいのだろうか。勇作は健康的に焼けた肌をしている。

2024-02-12 12:51:11
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シミも、ニキビもない滑らかな肌。不健康そうな印象を抱かせる尾形の肌とは違い、快活そうな雰囲気を持っている。体中を弄られて、くすぐったさもあるが心地よい。「こうやって兄様と過ごすのが夢でした」それは、少しだけ咎められているような気持ちにさせる。迎えを待っていた勇作をほおっていたのだ

2024-02-12 12:53:58
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それならば少し位、遅れてやってきた兄弟水入らずをしても良いかもしれない。「…ちょ、ど、どこを…触って!」勇作が何故か尾形のそこを柔く扱いてきた。なんだなんだ!?と人との、それこそ異性との触れ合いなど経験したことのない尾形は大混乱だ。あっという間に高められてしまう。

2024-02-12 12:56:28
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「な、なにを…」ぐったりと逆上せかけている尾形に勇作はにっこりとほほ笑む。「兄弟ですので」そう言うもんなのか?寮生活では男同士で、と言うのも聞かないわけでは無かった。だけど、兄弟でするものなのか?尾形は冷静では無かった。冷静であればそんなわけないだろう!と思えたはずだ。

2024-02-12 12:59:07
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だが尾形は勇作の大きな手で優しく触れられたことで少しだけ冷静では無かった。そしてその触れ合いに嫌悪が無かったことも大きかった。久しぶりの人肌は、驚くほど心地よく感じたのだ。尾形の身体に触れる勇作に、まぁ、これも勇作が結婚すれば止めるだろうと考えるのを放棄した。

2024-02-12 13:34:45
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ぐったりと朝から疲れたが、勇作はその後も尾形に甲斐甲斐しく世話を焼いている。「当主がそのようなことをするものではありません」と言うと悲し気にしょんぼりとされるので居た堪れない。そのままお揃いの服に着替えさせられて、朝餉に向かう。同じものを着ているのに勇作の方がお洒落に見える。

2024-02-12 13:40:22
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「兄様、御髪がおりていると雰囲気が柔らかくなりますね」「あ、あぁ…まぁ、当主代理として舐められんようにしていますので」「そうなのですね」勇作の指が尾形の髪をくすぐるように撫でている。食卓に着けば温かな食事が出てくる。それに添えられるように家令が一つの書類を出してくる。

2024-02-12 13:45:59
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それは急ぎのものだろう、食事の手を止めてそれに目を通す。主要商用道路が大雨でガタついているという事だ。それは食料の販路として多く使われてきており、整備は最優先だ。尾形が当主代理になったときに真っ先に整えた道路だった。「分かった、予算を配分するが、どこから出せそうかな…」

2024-02-12 13:50:39
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そう家令と会話をしようとしたところ「兄様、今はお食事に専念をしてください」それは有無を言わせない口調だった。目が、今までと違う。「勇作さん、これは急ぎで…」「ですが、予算の配分は資料があった方が良いでしょう。良い仕事のためには食事をしっかりとることが大切です。」

2024-02-12 13:53:07
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そして勇作はぎろりと家令を睨む。「ここの使用人は少し兄様に甘えすぎではありませんか?」勇作が言うには、尾形が文句も言わず働いていることに胡坐をかき、彼を気遣う気持ちが足りないというのだ。「食事もそうです。兄様の手腕のおかげで花沢家は成り立っていたのですよ」

2024-02-12 13:55:02
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「それなのに、兄様のお身体を気遣うことも無くいるなど言語道断です」そう言って勇作は家令を睨んだ。家令はその視線にたじろいだ。「勇作さん、分かりましたから、食事の続きをしましょう」尾形がそう言って食事を再開する。尾形は頭が混乱する。使用人たちの接し方の違いにまで気づいたのだろうか

2024-02-12 13:57:18
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別に尾形はそれに不満は持っていないのだけど。さっさと食事を済ませて、執務室へと向かう。「兄様、私も同席させてください」「ええ、良いですよ。むしろしてくれんと困りますのでね」これからは何をするにも勇作の了承が必要になる。尾形は父親の部屋に連れて行った。

2024-02-12 14:11:18
にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

「ここは当主になる物しか開けられません。そして私が開けていないことは家令が確認しています」尾形が使っていたのは当主代理の印だ。当主印と代理印を同時に使うことは出来ない。勇作がその印を受け取ると、さっそく仕事を始める。勇作を執務室の椅子に座らせる。「これであるべき姿になった」

2024-02-12 14:15:21
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まとめたひと
にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

かれーの二次垢。krad/🐰🐉/勇尾/源頼光推し推し FGO/チェリまほ/特撮/金カム 女体化好き ネタバレは容赦なく フォロバ希望の方はリプください 昭和と平成をまたいで令和で生きる年齢18↑ 鍵垢→@kastukare