マンションの隣人として出会う炎ホ

ひしょこ @hishoco

そうだなぁ〜駅から徒歩10分、そこそこセキュリティの整った可もなく不可もなくのマンション。複数のタイプの間取りがあるけど、基本一人暮らし向け。広くても1LDK。駅からすぐ側には大学が、3つ隣の駅にはオフィス街が。そんな所なのでマンションの住人は学生と社会人が半々くらいに住んでいる。

ひしょこ @hishoco

引越しシーズンから外れた、雨模様が多い月。 こだわりは無かったが、出来るだけ早く入れる部屋を探してると要望を伝えれば、半月ほどで入居先が決まった。職場まで電車で15分、駅からも近い。部屋はかなり狭くなったけど、一人暮らしになったし家には寝に帰るだけだから問題ない。

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最低限の荷物と共に、新居に鍵を差し込む。 ガチャり、ドアノブを引く前に隣の扉が開いた。 「あれ…引越して来た方、ですか？」 「今日から越してきた、轟だ。家は空けてることの方が多いと思うが、よろしく頼む」 一応と用意していた引越しそばと、それだけじゃ今どき味気ないと言われ添えた緑茶を

ひしょこ @hishoco

声をかけてきた主に渡す。随分と若い…息子ほどだろうか。髪色は明るく派手で、軽そうな風貌なのに言葉遣いは丁寧で、意外だった。 「わ、これ、すごく良いやつじゃないですか？」 ありがとうございます頂きます！と、ハツラツとした笑顔を見せた青年は、駅前の大学に通う学生らしい。

ひしょこ @hishoco

「一人暮らしなんですが、よく友人が来ます。騒がしくしてご迷惑をかけることは無い、と思いますが、もし煩かったら言って下さい」 気をつけますので！それじゃ！と、一度受け取った蕎麦たちを置きに部屋に引っ込み、直ぐにどこかへ出かけて行った。 人は第一印象が9割というが、見た目の雰囲気とは

ひしょこ @hishoco

大きく異なり、とても礼儀正しい青年だった。 ご近所づきあい…というほど関わることは無さそうだが、隣人は好青年。新しい生活は幸先が良いかもしれないと思った。

ひしょこ @hishoco

って感じで、鷹くんの隣に引っ越してきた炎。 炎は独り身(諸々あって今は独身)。鷹くんは、大学2年生。よく友達を呼ぶと言ったけど、実はそれカレシさん。5つ上の社会人3年目。 隣人をやってて「あぁ、同性の恋人がいるのか」って炎は気づくんだけど、なんだかあまりいい関係じゃ無いように見えた。

ひしょこ @hishoco

お付き合いしてるのは間違いない。だが、言いなりというか…良いように使われているというか……学生時代、恋人がいればそりゃあ喧嘩はあったりしても、楽しそうにしていそうなものなのに。その男が部屋を訪れた後、鷹をみると苦しそうな表情をしている。

ひしょこ @hishoco

時々顔を合わせ、世間話をする。たまに、作り過ぎたからと料理のおすそ分けを貰ったり、食事を共にすることもあった。 歳の離れた友人の様で一緒に過ごす時間は楽しかった。踏み込んだ話はしない方がいいか、と避けていた。けれど、このまま見ない振りを続けていていいのだろうか……

ひしょこ @hishoco

って感じで、ろくでなしのダメ男から鷹を奪っちゃう炎……っていうのをドラマみながら妄想しました。ありがちなやつ。